仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線 作:ラズベアー
戦いは間もなく終わった。
"風の噂"から聞いていたこととは違い、黒い姿をした仮面ライダーダブルだったが、力の差は歴然だった。しかし、最初こそ僕の方が押していたのだが、ガイアメモリが翔太郎の意志と同調して発揮された力により、僕は負けてしまった。
彼を殺すつもりは毛頭無かったとはいえ、本気で戦ったのだが。
だが、これでわかった。
彼は、強い。
それは単純な戦闘力の話ではない。何かの為に戦うという"思いの強さ"だ。そして、黒いガイアメモリは、彼の思いを増幅させている。
ただ戦う為"だけ"に産み出された改造人間には無い力。この力さえあれば、シェードを、いや、ネオシェードを倒せるかも知れない。
「はっ…。俺のマキシマムドライブ受けて無傷とか…。さすが改造人間か…。」
翔太郎は自身の変身を解きながら言った。
「確かにそうだね。並の人間だったら、こうじゃ済まされなかったよ。」
同じく姿が戻った僕は彼に手を差し出した。彼は迷わず手を掴んだ。
僕が彼の身体を起こすと、赤いスポーツカーのような車がやってきた。
「左さん!!」
車から警官の青年が降りてきた。警視庁の刑事・泊進ノ介。彼もまた、仮面ライダードライブというライダーらしい。
「…ちょうどいい。君も入りたまえ。」
僕は進ノ介にも店内に入るよう促した。
「君達が追っているネオシェード、その先駆けの組織が存在したんだ。」
その言葉の後に、僕は翔太郎と進ノ介の二人にシェードについて、また、自身の成り行きについて話した。話をしている内に、二人はネオシェードの狙いが、前身組織シェードの創始者である徳川清山の奪還であることに気づいたらしい。
そして、シェードについて一通り話終えようとしたときだった。
ゾワっ…。
全身を嫌悪感が鋭く走った。同族嫌悪に近い感覚。"やつら"が近づいてきたようだ。
「さぁ、僕が話せることは君たちに伝えた。時間があまり無い、すぐに仲間を助けに行くんだ。」
僕は二人にここを出るように促した。
「あんたも一緒に戦ってくれないか?」
翔太郎が協力を申し出た。
「…僕は行けない、何故なら…。」
その瞬間、爆発音と共に店の半分が吹き飛んだ。僕達は店の奥にいたため難を逃れた。
「ナンバーファイブぅ!ここまでだ!」
外を窺うと数人の怪人達(確かドーパントと言ったか)と人型歩兵兵器と思われるマシン数機が店を囲んでいた。
狙いは間違いなく僕だろう。そして、このタイミングで現れたということは、ネオシェードはフィリップに近づけさせないよう策を講じたと言える。
「ここは僕が抑え込む。君たちは早く仲間の所へ!」
「…っ!ベルトさん!!」
進ノ介の呼び掛けに応えるように、駐車してあった赤いスポーツカーが独りでに走り出し、敵を轢き飛ばしながら二人の元へやってきた。
「左翔太郎君、忘れないでくれ。どんなに強大な敵でも、自分の背中には大切な仲間がいることを!そして、彼らが君の帰りを待っていることを!そんな彼らを待たせてはいけない!信じて戦え、仮面ライダー!!」
僕の言葉に翔太郎は黙って頷いた。
「行きましょう、左さん!」
「死ぬんじゃねぇぞ!」
翔太郎と進ノ介は車に乗り込み、僕が示した場所へ走り出した。
「死ぬな、か…。」
僕は思わず呟いた。
「僕は死ぬつもりはない…。愛する者のためにも!」
そして、僕はGOROを手にした。
「今…、僕のヴィンテージが芳醇の時を向かえる!変身!!」
ベルトにGOROを装着すると、再び仮面ライダーGへと姿を変えた。
「さぁ、来い!」
僕の挑発に乗り、ネオシェードが迫ってきた。
僕は胸部からソムリエナイフを模した剣、Gナイフを取り出し、応戦した。
ガイアメモリで変身した人間、それに人型歩兵兵器。その程度で僕の相手をするなんて、随分とナメられたものだな。
僕は特に力むことなくGナイフを振るい、一体また一体と斬り伏せていった。
「な、なんて強さなんだ!?」
ネオシェードの一人が狼狽えていた。
「君達ただの人間に、僕が負けるはずがないだろう?」
僕はさらに挑発するように言った。
「確かにな!」
別方向から声がした。
振り向くと、知った顔がそこにいた。
「…九龍、いやナンバーナインと呼ぶべきか。」
「久しぶりだな、ナンバーファイブ!」
彼は九龍、もとい改造人間No.9。
改造人間として完成された物にだけナンバーが与えられる。数から察せるだろう、彼は僕の後に生まれた"完成品"である。
そして、ずっと僕を付け狙うシェードの刺客という訳だ。そんな彼は同じく改造人間を他に二人連れていた。
「しつこい男は嫌われるって知っているかい?」
僕は冗談を言ってみせた。
「しつこいから女は男に落ちるんだぜ?」
何だ、その理論は。
ナインはそう言い返した。
「だが、お前は男だ。落とすのはその命だ!」
そう言うと、ナインは怪人に変異した。それに習い、他の二人も怪人に変異した。
「行くぞぉ、ナンバーファイブぅ!」
ナインが迫ってきた。
ナインは重量級かつ無駄に熱血な怪人だ。正直に言うと僕が一番嫌いなタイプだ。
「ふんっ!!」
ナインは肥大化した両腕を振るってきた。
「く…。」
僕はGナイフでそれを受け流す。が、その隙を狙って他の怪人が攻撃しようとしている。
「させるか!」
僕はナインの腕を払いのけ、怪人に回し蹴りをした。
「うわっ!」
しかし、もう一体の怪人の攻撃をかわしきれず、そのまま受けてしまった。
「良い声出すなぁ、ナンバーファイブ!」
気持ち悪い事を言うな。
しかし、三人相手はこちらの歩が悪い。ましてや、僕の後に生まれたということは、仮面ライダーとしての能力は把握しているはず。相当厄介な状態と言えるだろう。
だが、僕も今までの"僕"とは違う所を見せてやろう。
「ならば、君達に新しい力を見せてやろう!」
僕はそう言いながら、白いボトルを取り出し、ベルトに装填した。
シャルドネ・スパークリング!
僕の黒いスーツ部分が乳白色に代わり、赤かったGラインは緑色に変化した。
ソーカイな味わい!
「何だ、その姿は!?」
僕の新たな姿、シャルドーネボディを見て、ナインが驚いていた。
「行くぞ!」
僕は胸部から、コルクスクリュー型の双剣・Gスクリューを両手に持ち、再び挑んだ。
シャルドーネボディはスピーディーな戦い方を得意としている。怪人の攻撃を素早くかわし、二本のGスクリューで何度も切り刻んだ。
その内、一体の怪人が膝を付いた。
「そこだ!」
僕はベルトのスイッチを押した。
すると、両腕にワインのエネルギーが蓄えられた。
「エレガンススラッシュ!」
エネルギーを二本の剣に移し、それを振り切った。白い斬撃波となり、怪人の体を切り裂いた。
「うわあああ!!!!」
斬撃波を受けた怪人は爆散した。
「まだだ!」
僕はさらに紫のボトルを取り出し、ベルトに装填した。
カルベネ・フルボディ!
白いスーツが、今度は濃い紫色に代わり、緑色のGラインはマゼンタカラーに変わった。
ジューコウな味わい!
カルベーネボディは、シャルドーネボディの逆でパワフルな戦い方を得意としている。胸部からは巨大なコルク状の鎖付きハンマー・Gコルクを取り出した。
「逃がすか!」
僕は鎖を回しながら、鞭の要領で怪人にハンマーを叩きつけた。
「ぐはっ!」
一撃一撃を受けるごとに怪人は怯む。
「止めだ!」
ベルトのスイッチを押し、ハンマーにエネルギーが蓄えられた。
「トロッケンブレイク!」
エネルギーの溜まったハンマーが怪人に命中した。
「ぐわああああ!!!!」
怪人は爆散した。
「ちぃ…。おのれ、ナンバーファイブ!!」
元の状態に戻った僕に対し、ナインが言った。
「さぁ、まだ戦うかい?」
「当たり前だ!俺達は清山先生を取り戻す!その邪魔はさせん!」
ナインが迫ってきた。
しかし。
「いちいち、うるさいやつだな。お前。」
僕とナインの間に、別のライダーが間にふらっと入った。
右半身が緑、左半身が黒のライダー。仮面ライダーダブルだった。
「翔太郎君?なぜ!?」
僕はダブルに言ったが、無視された。
「ほぅ…。風都のライダーか!貴様の命も貰おう!」
ナインがダブルに挑んだ。
ダブルは自身の両手をパンパンと払うと、ナインに応戦した。
ナインの攻撃を意図も簡単に受け流し、一方的に攻撃を加えた。
「くっ!」
「その程度か、シェードの改造人間は。」
ダブルが言った。
おかしい。
先程戦ったとき、翔太郎は僕に手も足も出なかった。
それが、僕よりも強力な改造人間に対して優位に立っている。
しかし、その疑問はダブルの次の一手により、解決した。
アタックライド・メタル!
ダブルはガイアメモリ、ではなく、ガイアメモリが印字されたカードをベルトに装填した。
サイクロン!メタル!!
ダブルの黒い半身が鉄のような銀色の半身に変わる。と同時に、その背に現れた棒状の武器を手にし、ナインを殴りつけた。
「ぐはっ!」
アタックライド・ルナ!
ルナ!メタル!!
今度は緑の半身が金色に変わった。そして、棒状の武器が鞭のような撓りを見せると、ダブルはそれをナインに投げつけた。それは独りでにナインを縛り上げた。
「ぐぬぅ…。バカな、ナンバー入りの、ナインである俺が遅れを取るなど!」
ナインが言ったが、ダブルはふんと鼻で笑いながら言った。
「当然だ。俺は"10番目"だからな。」
フォームライド・サイクロンジョーカー!
サイクロン!ジョーカー!!
ダブルはカードを装填して、最初の姿に戻った。
ファイナルアタックライド・DDDW!!
さらにカードを装填したダブルは空中に浮遊した。
「ジョーカーエクストリーム!」
風の力を受けたダブルは、ナインに向けて両脚蹴りを…。いや途中で、黒と緑のボディが二手に別れ、それぞれ蹴りを放った。
「ぐわああああ!!おのれ、ディケイドおおおお!!!!」
ナインは爆散した。
僕は自身の変身を解いた。と、同時にダブルもまた変身を解いた。現れたのは翔太郎、ではなく、上下黒いスーツとマゼンタカラーのシャツを着こなした、"風の噂"が現れた。
「やれやれ…。君には驚かされることばかりだな。」
僕は言った。
「そうでもないだろ?」
"風の噂"が言い返した。
「所で、そのベルトはどうしたんだい?以前の物とは違うようだけど。」
僕は"風の噂"が腰に着けたマゼンタカラーのベルトを指して言った。
「これか?課金した。」
「…?」
"風の噂"の言っていることを理解できないでいると、彼はふんと鼻で笑って言った。
「冗談だ。色々と、訳ありでな。それより…。」
"風の噂"は目付きを変えて言った。
「お前の世界は何ともなっていないようだな。」
「どういう、意味だい?」
僕は尋ねた。
「いや、こっちの話だ。」
そう言いながら、彼は一枚の写真を僕に渡した。それは黒いバイクのような物が写されていた。
「次はこれを解放しろ。」
"風の噂"が言った。
写真の背景から、ここがどこかは察しがつく。が。
「なぜこんなことを僕にさせる?今回のシェードの件といい。君の狙いは何だ?」
僕は尋ねた。
「ネオシェードはお前にとっても因縁浅からぬ存在。潰せるに越したことはないだろう?」
"風の噂"が言った。
「それに、シェードを潰すことで、"やつら"も顔を出すだろう。それが俺の目的だ。」
「やつら?」
「お前には関係ない。」
僕の問いをあしらうと、彼の目の前に銀のオーロラが現れた。
「じゃあな。上手くやれよ。」
そう言いながら"風の噂"・門矢士はオーロラの中へ姿を消した。
士の目的が何なのかはわからない。だけど、シェードを潰すことは僕の悲願でもある。今回は彼の言葉に甘えよう。
僕は受け取った写真を頼りに、バイクで目的地へ向かった。
お詫び
前回、次回は中編というようにお話しましたが、余り話が膨らまなかったため後編となりました。すみませぬ。
というわけで、サイドストーリー・仮面ライダーG編、いかがでしたでしょうか。
仮面ライダーGオリジナルフォームを考えました!
<仮面ライダーG・シャルドーネボディ>
白い変身ボトルを装着した、スピードタイプのフォーム。変身音は「シャルドネ・スパークリング!」「ソーカイな味わい!」
モチーフはスパークリングワイン(白ワイン)
基本カラーは白、Gラインは緑。
スピードに特化した形態。基本形態よりも走力や跳躍力は飛躍的に上がっているがパンチ力が落ちている。それを補うように武器を使用する。
武器はコルクスクリューを模した双剣・Gスクリュー。
必殺技は斬撃波を飛ばすエレガンススラッシュ。
上品な味わいからエレガンスを使いました。
<仮面ライダーG・カルベーネボディ>
濃い紫の変身ボトルを装着した、パワータイプのフォーム。変身音は「カルベネ・フルボディ!」「ジューコウな味わい!」
基本カラーは紫、Gラインはマゼンタカラー。
パワー重視の形態で、基本形態よりも腕力や防御力が飛躍的に上がっているが、走力や跳躍力が落ちている。パワーを生かし、鎖付きハンマーを武器とする。
武器はコルクを模した鎖付きハンマー・Gコルク。
必殺技はハンマーをぶつけるトロッケンブレイク。
辛口な味わいからトロッケン(辛口)を使いました。
対するシェードの改造人間、九龍。
ナンバーファイブの後に誕生した改造人間であるため、ナンバーナインと呼ばれる。
Gよりも後に生まれたため、基本スペックはGを上回っている。肥大化した両腕が武器であり、重量級の攻撃を得意とする。
モチーフはカブトのワーム・ベルバーワーム。
他二体はご想像におまかせします。
そして、ナインを葬ったのはまさかのディケイドW。
Wとして戦う際に、ハーフチェンジの変わりに、片方のみの変化をアタックライド、サイクロンジョーカー、ヒートメタル、ルナトリガーの基本フォームはフォームライドで変身するのではないかと想像して設定しました。
そう。"風の噂"と表現された世界の破壊者・仮面ライダーディケイドこと門矢士でした。
今回の事件にシェードが絡んでいると仮面ライダーGが知っていたのは、士がある目的を果たす為にGに助言をしていたということです。
士の言うやつらとは…。
次回サイドストーリー・鳴海亜樹子編
サイドストーリー編最終章となります。
お楽しみに!