仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線 作:ラズベアー
と、俺。
「まさか、こんなことが。」
と、フィリップ。
「所長…。」
と、照井。
「ね?凄いでしょ??」
と、得意気な亜樹子。
俺とフィリップ、そして照井の三人掛りで読み解いた、我らが所長・鳴海亜樹子の語彙力が死んだ話。
俺達が徳川清山らと戦っている間に起こった、風都での戦いが、今語られる。
亜樹子視点でお送りします。
私の名は照井亜樹子!旧姓鳴海!
ここ風都で唯一の探偵事務所「鳴海探偵事務所」の空前絶後の超絶美人な女所長よ!
ある日、ガイアメモリ使用者が殺害される事件が発生。それはネオシェードっていうテロ集団によるものだったの。しかも、かつて風都を壊滅させようとした最凶最悪なテロリスト・大道克己またの名を仮面ライダーエターナルも復活して、大変なことに。
一体この街はどうなっちゃうのかな…?
「じゃあ所長、最後の戦いに行ってくる…!」
竜くんはそう言うと家を出ていった。話によると、すでにネオシェードを追い詰めたそう。
「気をつけてね、竜くん。」
竜くんなら大丈夫。それに翔太郎くんやフィリップくん、泊さんもいるから、きっとテロリスト達を捕まえて事件を解決してくれる!
そう、信じたいんだけど…。
どこか、落ち着かない自分がいる。
いっつもそう。
事務所所長という肩書きは持っているものの、事件を解決するのは翔太郎くん達仮面ライダーの仕事。
それは仕方がないこと。だって、この街で起こる事件というのは、ドーパントと呼ぶ怪人によって起きる。普通の人じゃ太刀打ちできないけども、ドーパントと同等の力を持つ仮面ライダーなら解決できる。
私にできることと言えば、元気に振る舞って翔太郎くん達の帰りを待つこと。
「これでいいのかなぁ…。」
私はぼそっと呟いた。
「ママ、どしたの?」
娘の春菜が心配そうに見つめていた。
「う、ううん!何でもないよ!」
私は空元気で言った。
「大丈夫!パパがきっと街の平和を守ってくれるよ!」
私が言うと春菜はにっこりして言った。
「うん!ママもつよいもんね!」
春菜がそう言った時だった。
『亜樹子、お前はほんとに強い子だなぁ。』
ふと、亡くなった父・鳴海壮吉の言葉が脳裏に浮かんだ。
「お父さん…。」
「ママ?」
春菜がまた心配そうな顔をした。
「あ…、ごめんごめん!ハルちゃん、ママと一緒にお散歩しよっか!」
「うん!」
散歩と言いながら、向かった先は鳴海探偵事務所だった。ここで、所長として待つことが私のできること。だとしたら、私はここにいなきゃいけない。そう思っていた。
「亜樹子さん。」
私を呼ぶ声に我に帰った。
声の主は泊霧子さん。泊さんの奥さんだ。息子の英志くんをベビーカーに乗せて来ていた。
「霧子さん、どうしてここへ?」
私は霧子さんに尋ねた。
「進ノ介さんに家で待っててと言われたんですけど、いてもたってもいられなくなってしまって…。それで、ここに来れば亜樹子さんに会えるかなって思ったんです。」
霧子さんが言った。
「それじゃあ、霧子さんの推理は当たったということね!」
私は笑顔で言った。
「そうですね!」
霧子も笑ってみせた。
「あ、そうだ!よかったら一緒にお散歩しない?」
私は霧子に言った。
「ええ、是非!」
私達は、風都こども公園に向かった。街の中では少し小高い所にあり、ある程度街を一望できる。芝生もあるため、こども達もここでよく遊んでいるそう。
でも、今は人気もなく閑散としており、ここからの風景も決して良いものではなくなっていた。
「さすがに、誰もいませんね。」
霧子さんが言った。
「誰もいなーい…。」
春菜も言った。
「いなーい。」
英志くんも言った。
「…でも、貸し切りと思えば!ね?」
私は言った。
「そうですね!」
霧子も元気に言っていたが、彼女もまた空元気なのだろう。
フゥー…。
うん。やっぱり風都の風は気持ち良い。
翔太郎くんや竜くんが言うように、この風に当たってると、すごく気持ちが落ち着く。さっきまで抱えていた不安感が少し和らいで行くのがわかった。
「んん~…。風都の風は気持ち良いですねぇ~。」
霧子さんも背伸びしながら言った。
「でしょ?元々わたし、大阪出身なんだけど、風都の風を感じてからは離れたくないって思っちゃって!」
私は言った。
「そうなんですね!いいなぁ。私もここに引っ越ししたいなぁ~。でも、進ノ介さんも私も警視庁直属だから東京から離れられないし。」
霧子さんは不満を口にした。
「うーん、ドンマイ!」
「あ、何ですかそれぇ。」
私達は自然と口が閉じなかった。段々と我が子自慢になり、旦那の愚痴、翔太郎くんのことや霧子さんの弟の剛くんの話と、話題が止まらなかった。
気がつくと、春菜と英志くんも芝生広場で遊んでいた。ちょっとお姉さんの春菜が英志くんをリードしながら楽しそうにしていた。
その時だった。
「ふぁあぁあ~…。」
大あくびするように男性の声が聞こえた。
「え!?」
私達はびっくりした。まさか他に人がいるだなんて思っていなかったから。たまたま私達の死角になってた所で昼寝していたようだ。
「マ…。」
「マ…。」
「「ママぁー!!」」
驚いた子ども達が泣きながら私達の元へ走ってきた。
「ん…、あ!ええ!?」
寝ぼけながらも事態に気づいた男性が慌てて言った。
「ごめんごめん!驚かすつもりはなかったんだ!」
男性が言っても子ども達は怯え、ついでに私達も警戒していた。
「な、何なんですか、あなた?」
霧子さんが言った。
「えーっと…。わかった!」
男性は何か閃くと、自身のボストンバッグから玉を三つ取り出した。
「見てみて!」
そして男性は三つの玉をそれぞれ宙に飛ばして、ジャグリングを始めた。
「よっ、ほっ…。」
「…。」
子どもは泣き止みそれをじっと見つめた。
「あのさ、カバンからピンも取って来れる?」
男性がそう言うと、子ども達はゆっくりとカバンに近寄り、中からピン三本を取り出した。
「そうそれ!それを投げ入れて!あ、優しくね?」
幼い英志くんに代わって春菜がピンを三本投げ入れた。始めに回した三つの玉と合わせ、六つの物が宙で回った。
「わあ、すごーい!」
「しゅごーい!」
春菜と英志くんは拍手しながら喜んでいた。
気がつくと、私達も自然と楽しんでいた。
やがて、玉とピンは男性の両手に収まり、終了した。
「ありがとうございました!大道芸人さんなんですか?」
私は男性に尋ねた。
「…て訳でもないですよ。俺の妹が幼稚園の先生やってまして。そこで子ども達を喜ばせようと思って始めたんです。」
男性は答えた。
「そうなんですね。他にもできるんですか?」
霧子さんも興味津々だった。
「はい!何たって2000の技を持つ男ですから!」
そう答えると男性は笑顔でサムズアップしてみせた。
「そんなに!?」
私はそれを聞いて思わず驚いてしまった。
「あ、すみません。名乗りもしないで勝手にべらべらと。これ名刺です!」
そう言いながら、男性は自身の名刺を私達に渡した。
「わたしもほしい!」
「ほちい!」
「うん、いいよ!」
男性は子ども達にも渡した。
「"夢を追う男・2000の技を持つ男"五代雄介、さん?」
私は呟くように言った。
「冒険家やってます。」
五代さんが言った。
「世界中、旅してたんです。それで久々に日本に戻ってきて、ここに来たんですよ。」
「そうだったんですね。」
霧子が言った。
「あ、私は照井亜樹子です。」
「泊霧子です。」
お互いに自己紹介をした。
「この街、すごく良い風が吹いてますね。旅の疲れも一緒に吹き飛ばしてくれそうで。…それでついつい居眠りを。ごめんなさい、驚かしちゃって。」
ハハハと笑い頭をかきながら五代さんは言った。
「ほんとこの街は良いとこですよ!でも…、今は訪れる時期じゃなかったかも…。」
私は口を濁しながら言った。
「みたい…ですね。」
五代さんももの寂しげな表情をしていた。
「ネオシェード、でしたっけ?この街と東京とでテロ行為をしている連中って。」
五代さんが言った。
「ええ。亜樹子さんのご友人や旦那さん、私の弟や夫が事件解決の為に行ってるのですけど。」
霧子も不安げに言った。
「なるほど。」
「「「う~ん…。」」」
三人して頭を抱えていた。
「…て、ごめんなさい。五代さんには関係ない話ですよね。」
私は言うと、五代さんは真剣な表情になった。
「いや、そんなことないです。」
五代さんが言った。
「え?」
「俺が旅をしてるのは、誰かの笑顔を守る為なんです。偶然とはいえ、この街の人が悲しんでいるなら、放ってはおけないですよ。」
五代さんが言った。
何だか翔太郎くんみたい。
ふとそう思った、その時だった。
ファーーーーーーーーーン。
急に街中にサイレンが鳴り響いた。
『警視庁から緊急放送です!風都民の皆さん。テロ集団ネオシェードの活動が確認されました。外出されてる方々は速やかに屋内に建て込もってください!繰り返します。』
「そんな!?」
竜くんがもう追い詰めたと言っていたのに。再び不安が押し寄せてきた。
「ママ!」
春菜と英志くんがそれぞれ母親の元へ寄ってきた。
「亜樹子さん、事務所に戻りましょ!」
霧子さんが言った。
「その方がいいですね。俺は、街の方を見てきますから!」
五代さんはそう言うと街の方へ行こうとした。
「五代さん、危ないですよ!?」
私は咄嗟に五代さんを呼び止めた。
「大丈夫!俺に任せてください!」
五代さんは、こんな状況でも笑ってみせた。
そして、街の方へ駆けていった。
なんて、強い人なんだろう。
私は思った。でも、それが大事なんだろう。
きっと五代さんも不安なはず。でも笑顔を見るとそんな不安な気持ちが和らぐ。
私達が今できることは、笑顔でみんなの帰りを待つこと。仮面ライダー達の仲間として、そして母親として。
事務所へ戻る途中、街中に爆発音が響き渡った。
「キャア!」
「ママ!」
「大丈夫!」
私は春菜を抱えた。霧子さんも同じく英志くんを抱え走り出した。
しかし、最悪なことにネオシェードと思われる大軍団と鉢合わせてしまった。
「風都民よ!もはやネオシェードに未来は無くなった!しかし、このままでは終わらせない!この街ごと道連れにしてやる!」
ネオシェードの一人が叫んだ。
「何よ!勝手なことを言わないで!あんた達の好き勝手なんて仮面ライダーがさせないんだから!」
私は叫んで言った。
「はっ、言うじゃねぇか!だがな、お前の言う仮面ライダーどもは、全員俺達のアジトに向かっている。誰がここを守るってんだ!?」
「…っ!」
あいつの言う通りだった。
「まさか、この状況を知って攻めてきたんですね!」
霧子が言った。
「察しがいいな!そういうことだ。お前達も道連れだ!」
ネオシェードがそういうと、全員怪人に代わり迫ってきた。
「こわいよ!」
「大丈夫、ママがあなた達を守るから!」
私はそう言うと、事務所から持ち出したガイアメモリを取り出した。
バット!
スパイダー!
スタッグ!
ビートル!
メモリガジェットにそれぞれメモリを装填すると、それぞれライブモードとなり、ネオシェードに向かった。
ブォン!
さらに霧子の周りからミニカーのような物が走り出して、同じくネオシェードに向かった。
「ええい、鬱陶しい!」
少しだけネオシェードは動きを止めたが、力ずくでそれらを払いのけ、再び私達に迫ってきた。
「助けて、竜くん!」
私は春菜を、霧子さんは英志を庇うように抱き寄せ、背を向けた。
「ぐわっ!」
私達にネオシェードの攻撃は届くことはなかった。
「大丈夫か?」
男性の声がした。
「っ!竜く…。」
私は振り返りながら夫の名前を口にしかけたが、途中で声が詰まった。
私の知る夫、照井竜は赤い革ジャンのライダースを着ている。が、今私の目の前にいる男は、真っ黒な革のロングコートを着ていて、どこか影のある男だった。
「…誰?」
私は黒コートの男性に言った。
「下がってろ、あなたは俺が守る。」
黒コートの男性が答えた。
「俺が本当の地獄を見るのは、どうやらまだ先らしい。あなたのような美しい女性の側にいられるなら、俺は…。」
え、もしかして私、一目惚れされた?
サイドストーリーズ・照井亜樹子編 前編
いかがでしたでしょうか。
今回はあまり登場しなかったヒロイン・照井(鳴海)亜樹子と泊(詩島)霧子の二人が主人公のお話しです。
彼女達にはお子さんがそれぞれいますから、照井春菜(5)、泊英志(3)のつもりで描いてます。
そんな彼女達の前に現れたのは、まさかまさかの2000の技を持つ男・五代雄介!
これから彼が物語にどう絡んでくるのか。
そして、最後に現れた黒コートの男。その正体とは。
次回、後編です。
お楽しみに!