仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線   作:ラズベアー

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照井亜樹子視点


ほんとに凄かった 照井亜樹子の語彙力が死んだ話 後編

「貴様、何者だ!?」

ネオシェードの一人が言った。

「あ、コイツ知ってるぞ!警視庁襲撃組を全滅させた仮面ライダーだ!」

別のネオシェードが答えた。

「「ええ!?」」

私達は揃って驚いた。

「だが、所詮ライダー一人だけだ!行くぞ!!」

ネオシェードが構えたが、再び彼らの前をバイクが横切り、行く手を阻んだ。

「亜樹子さん、霧子さん!大丈夫!?」

ヘルメットから五代さんが顔を出して言った。

「五代さん!」

霧子さんが言った。

五代さんは私と春菜、そして黒コートの男性を見て、一言言った。

「もしかして、旦那さん?いや、カッコいいなぁ。」

「ちちち違いますよ!」

私は全力で否定した。

「このおじさん、パパじゃなーい!」

春菜も全力で否定した。

「…旦那が、いるのか?」

黒コートの男性が聞いてきた。

「うん、ほれ。」

私は左薬指に嵌められた婚約指輪を見せつけた。

「ちなみに私も。」

と、霧子も私に続いた。

「…またか。」

黒コートの男性は深くため息をつきながら言った。

「…どうせ、俺には地獄がお似合いなんだ…。笑えよ、俺を…。」

黒コートの男性は五代さんを見ながら言った。

「えー…っと…。ま、まぁ、この先きっと良いことあるから、大丈夫ですよ!」

五代さんは笑顔でサムズアップをしてみせた。

「こらぁ、無視すんじゃねぇぞ!」

ネオシェードの一人が言った。

「往生際が悪いぞ、ネオシェード。」

別方向から声がした。

白いジャケットに暗いデニム、癖毛の男性が現れた。

「あの人って、G'sヴィンテージのオーナーさん?」

霧子さんが言った。

「仮面ライダーG!?貴様が何故ここに!?」

ネオシェードの一人が言った。

「ええ!?あの人も!?」

私はさらに驚いた。

「ネオシェードの本拠地にライダー達が総力を上げてるとなれば、こちらが手薄になる。そこを攻めて来る事ぐらいわかっているさ!」

Gと呼ばれたオーナーが言った。

「くっ…、おい貴様!!話と違うじゃねぇか!!」

ネオシェードの一人が仲間と思われる男性に悪態をついた。

「何も間違っちゃいない。俺は、今なら"風都"のライダーはいない。と言っただけだ。当たってただろ?」

と、黒いスーツにピンクのシャツを纏った男性が挑発的に言った。

「なるほど、やはり君の仕業だったんだね。士君。」

オーナーが黒スーツの男性・士さんに言った。

「ま、そういうことだ。矢車想、お前も手を貸せ!」

士が黒コートの男性・矢車さんに言った。

「…ハァ。どうせ俺は、お前みたいなヤツに濃き使われるのがお似合いなんだな…。」

矢車さんは凄くネガティブな発言をしながら手を構えた。すると、どこからともなくバッタのようなものが現れ、彼の手に収まった。

「五代雄介。お前は戦わないのか?」

士さんが五代さんに言った。

「五代さん、あなたももしかして…?」

私は五代さんを見て言った。

「…。俺は…。」

「五代さん?」

五代さんは拳を強く握り締めていたが、戦うことに迷っている様子だった。

「なら、そこで見てろ。」

士さんはそう言うとカードを構えた。

「さぁ、覚悟しろ!ネオシェード!」

オーナーも小さなワインボトルを手に取って言った。

「変身!」

 

「変身!」

 

カメンライド・オーズ!

 

タ!ト!バ!

タトバ・タ!ト!バ!!

 

「変身…!」

 

HENSHIN!

 

Change!KICK HOPPER!!

 

男性達が目の前で仮面ライダーに変身した。

「うっそぉ!?」

私は口をあんぐりと開けていた。

「行くぞ!」

仮面ライダーGの合図で三人のライダーはネオシェードに立ち向かって行った。

とはいえ、相手は相当な数がいた。三人がかりでもかなり手を妬いてるようだった。

「…亜樹子さん、霧子さん!あなた達はお子さんを連れて早く逃げて!」

五代さんが促した。

しかし、私達が動き出そうとしたときに、行く手を阻むようにネオシェードが現れた。

「逃がさんぞ!貴様らも道連れだ!!」

ネオシェードの怪人が私達に迫り来る。

でも、五代さんが間に入り、応戦していた。

「五代さん!!」

霧子さんが叫んだ。

相手は怪人。生身の人間が挑むなんて、いくらなんでも危険過ぎる。

「うわっ!?」

五代さんが力負けして吹き飛ばされた。しかし、それでも彼は立ち上がり、ネオシェードに立ち向かった。

「五代さん、危ない!一緒に逃げましょ!!」

私は五代さんに言った。

「ダメだ!こんな奴等のために、あなた達の悲しむ顔なんて見たくない!!だから、俺がみんなを守る!!」

「ならば、何故変身しない!?」

五代さんの答えに、オーズという仮面ライダーが戦いながら尋ねた。

「くっ…。」

今度は五代さんが黙ってしまった。

「誰かの笑顔を守る…。そんなこと言っている君が、そんな顔をしてどうするんだ!」

Gも戦いながら言った。

「どうせ俺は、誰かを笑わすことすら出来ないのに…!」

キックホッパーという仮面ライダーもみんなに倣った。

「お前の言う守りたいという思いは、その程度なのか?仮面ライダークウガ!」

「え!?」

オーズが畳み掛けるように言ったが、それより五代さんを仮面ライダーと呼んだことに驚いた。

「五代さん、あなたも…。でも、どうして!?」

霧子さんが尋ねた。

「…。」

何をそんなに迷うの?

その気持ちが揺らぐ原因って?

彼に何があったの?

五代さんの表情を見たときに、私はふとそう感じていた。

「このまま死ねぃ!」

再び、ネオシェードが仕掛けようとした時だった。

 

ファンファンファンファン…

 

パトカーのサイレンが鳴り響いた。それも複数だ。

数台のパトカーが現れると、次々と拳銃を手にした警官達がネオシェードに応戦し始めた。

「警視庁か。」

キックホッパーが気づいた。

「生身の人間が、無茶だ、退け!」

「いや、その心配はなさそうだ。」

Gが言ったが、オーズがそれを遮るように言った。

私達の前に一台のパトカーが停まり、ガタイの良い壮年の警官が車から降りてきた。

警官が五代を鋭い目付きで見ると、一言言った。

「君の気持ちは、わかる!」

「え!?」

五代さんは面食らった顔をした。

「いくら敵とはいえ、その拳で戦うことに苦痛を感じている。それは、君が戦うことを拒む平和な心の持ち主だからだ。」

警官が丸で五代さんの気持ちを代弁するかのように言った。

「勝手に現れてベラベラ喋りやがって!」

ネオシェードが警官に攻撃を仕掛けた。

「ハァ!!」

「ぐはぁ!!」

でも、警官は敵の攻撃を見切ってかわし、重そうな拳を敵に叩きつけた。

「だが、偶然とはいえ、力を手にしてしまった以上、その力を使う責任を果たさなければならない!たとえ、悲しみを一人で背負うとしてもだ。」

警官は力強く、でも静かに五代さんに言った。

「しかし!君が力を得たのは、必然だ!そして、その力で君が今まで為してきた事は、平和を願う君の気持ちそのものだ!」

「俺の、気持ち。」

五代さんが言葉を繰り返した。

「君の戦う理由はなんだ!?」

「俺は、みんなの…、みんなの笑顔を守るために戦う!!」

五代さんが答えた。

「貴様!何者だ!?」

ネオシェードが言った。

「俺か?」

オーズが言ったが、

「いや、君じゃない。」

と、Gに言われていた。

「俺の名は、本郷猛!またの名を、仮面ライダーだ!」

そう言う警官の腰には、いつの間にかベルトが巻かれていた。

「行くぞ、五代君!!」

「…はい!」

奮起した五代さんが自身の腰の前に両手をかざすと、ベルトのようなものが姿を現した。

そして、二人とも構えた。

「ライダー…!」

 

「「変身!!」」

 

本郷さんの体を木枯らしがWのそれと同じように包み込んだ。間もなく、黒い体に銀のグローブとブーツ、赤いマフラー、バッタのような赤い複眼を持つ仮面をした仮面ライダーの姿に変わった。

 

一方の五代さんは、赤く光るベルトを中心に姿が変わっていき、同じく赤い鎧のような体に、金の角を持つ仮面ライダークウガの姿に変わった。

 

「凄い!!」

霧子さんが声を上げた。

「何これ!!わたし、聞いてない!!」

私も叫ぶように言った。

「がんばれー、かめんらいだー!!」

「がんばえー!!」

娘達も応援し始めた。

 

「我ながら、とてつもないシチュエーションだね。」

Gが感心していた。

「まさかこの俺に、まだ見ぬ光があったとはな…。」

キックホッパーが言った。

「さて、これで俺の役目は終わった。後は、こいつらを片付けるぞ。」

オーズが手を払いながら言った。

「皆さん、心配掛けました。俺も戦います!」

クウガが言った。

「みんな、行くぞ!」

仮面ライダーの一言で五人のライダーが立ち向かった。

 

迫るネオシェード。

まるで、地獄から現れたような軍団。

私達を狙う黒い影から、この風都の平和を守る為に。

今、仮面ライダー達が、ベルトを光らせながら戦っている。

「行けっ仮面ライダー!」

私は思わず叫んでいた。

「これで終わりだ、ネオシェード!」

仮面ライダーが言った。

 

ファイナルアタックライド!

OOOオーズ!

 

オーズは自身のベルトにカードを装填した。

それと同時に、Gもベルトのスイッチを押した。

クウガは、右足に炎を纏わせ駆け出した。

 

「ライダージャンプ!」

 

Rider Jump!

 

キックホッパーはベルトのバッタを操作し、高く跳躍した。

 

「とぅ!!」

 

続いて仮面ライダー、オーズ、G、クウガが高く跳躍した。

 

「ライダーキック!!」

 

Rider Kick!

 

「スワリング・ライダーキック!!」

 

「はあああああ!!!!」

 

「うぉりゃあああああああ!!!!」

 

「ライダぁキぃーック!!」

 

それぞれのキックが敵を次々と貫いて言った。

「ぐはあああああ!!!!」

「おのれ、仮面ライダーああああ!!!!」

「仮面ライダーがああああ!!!!」

「ライダーがあ、ライダーどもがあああああ!!!!」

断末魔と共にネオシェードの軍勢は、倒された。

 

「これで、僕の戦いもようやく終わった。」

変身を解いたオーナーが晴れやかな顔をして言った。

「お前はいいよな…。どうせ俺には、終わりのない闇しか待っちゃいない…。」

矢車さんが言った。

「それも悪くないだろ。いずれ、お前の前にも、お前だけの光が見えるさ。」

士さんが矢車さんに言った。

矢車さんは、ふんと鼻を鳴らすと、何処かへと去って言った。

「所で士君。何故君はさっきから本来の姿で戦わないんだい?」

オーナーが士さんに言った。

「この世界での役目は終わったが、俺の目的がこれからだからな。正体をさらす訳には行かないんだ。」

その時、私は士さんの正体を思い出した。

「そういえばあなた、確かディ…。」

その瞬間、銀のオーロラのようなものが現れた。そして、士さんが五代さんを見て言った。

「戦う意義、見失うなよ。五代雄介。」

そして、士さんはサムズアップして見せた。

「ありがとう!」

五代も、笑顔でそれを返した。

「ほぉ、中々言うようになったな、士。」

本郷さんが笑いながら言った。

「ふん、俺は通りすがりの仮面ライダーだからなぁ。また会おう、本郷猛。」

そう言うと、士さんはオーロラの中へ姿を消し、間もなくオーロラも消えた。

「さて、向こうもそろそろ決着が着く頃だろう。」

本郷さんも乗ってきたパトカーに乗ろうとした。

「本郷さん!ありがとうございます!」

五代さんが礼を言った。

それを見た本郷さんは満足そうな柔らかい表情を作り、そのままパトカーに乗って去っていった。

「これから、どうするんですか?」

霧子さんが五代さんに尋ねた。

「うーん、せっかく帰ってきたから、東京に行くよ。おやっさんや妹に、そしてあの人に会いにね。」

五代さんが答えた。

「いっちゃうの?」

春菜が五代さんに言った。

「ん?大丈夫、また会いに来るよ!」

そう言うと五代さんは娘の頭を優しく撫でた。

「ぼくもー。」

英志くんもおねだりした。

「はいはい。」

五代さんは同じく英志くんを撫でた。

「僕も東京に帰ろう。良かったら、僕の店に寄ってみてくれ。君に合う最高のワインを贈ろう。」

オーナーが言った。

「お、いいんですか?おやっさんも喜ぶだろうなぁ!」

二人はそれぞれのバイクに跨がりながら言った。

「それじゃ、またね!」

「翔太郎君によろしく伝えてくれ。」

そう言うと二人は東京を目指してバイクを走らせた。

 

こうして、私達の街・風都での奇跡の戦いは終わった。

程なくして、竜くん達も事務所に帰ってきた。

「お帰り、竜くん!」

「ただいま、所長。」

私達は熱い抱擁を交わした。

「進ノ介さん、お帰りなさい!」

「ただいま、霧子!」

同じく泊夫妻も抱き合った。

「おいおい頼むぜ。こんなところでいちゃつくなよ。」

翔太郎くんが羨ましそうに言った。

「ヒュー、ヒュー!お熱いねぇ、姉さん達!」

剛くんも冷やかすように言った。

「しかし、僕達がいない間、風都は凄く平和そうだけど、何もなかったのかい?」

フィリップくんが聞いてきた。

「そうそう!みんな聞いて!!ほんとに凄かったんだから!!!」

 

 




サイドストーリーズ
照井亜樹子編 後編
いかがでしたでしょうか。

サイドストーリーズ終章なので、「地獄の戦士」「芳醇の風」に登場したライダー達を再登場させました。

先手はキックホッパー・矢車想
続いて仮面ライダーGとDオーズ・門矢士
最後に、クウガ・五代雄介
本作本編の最後に登場した元警視総監、本郷猛改め仮面ライダー1号

彼らの活躍により、風都の平和は守られていました。

ただし、ディケイドがWやオーズに姿を変えていたのは何故なのか。
通りすがりの仮面ライダー、まだ裏に何かあるのでしょうか…。

以上を持って、サイドストーリーズ完結です!

続いてエピローグ編、お楽しみに!

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