仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線 作:ラズベアー
黒いエターナルでさえ想定外だったのに、今度は白い仮面ライダーが現れたのだ。
しかし、どうやらガイアメモリ由来のライダーでは無さそうだ。
おそらくオーズ、フォーゼ、ウィザード、鎧武の様に違う街の仮面ライダーだろう。
だが、それが何故風都に?
「返して貰うぜ、その身体を!!」
そう言うとマッハと名乗る仮面ライダーが攻撃を仕掛けてきた。
「身体!?何言ってんだ!」
俺はやむを得ず応戦した。
先の戦いでダメージが残っていたため、満足に戦えなかった。が、相手の動きが若い。だから少ない手数で攻撃を受け流すことくらい容易いことだった。
「とぼけんな!!その身体、俺達にとって大事なもんなんだよ!!」
マッハは言うと、右手に持った銃器・ゼンリンシューターを撃ってきた。
ジョーカーは素手による格闘向けの力だ。その為、銃撃となると相性が悪い。俺はかわしながらも物陰に隠れた。
「そんな所に隠れたって無駄だ!!」
マッハはベルトからシグナルバイクを抜き取り、別のシグナルバイクを装填した。
シグナルコウカーン!
マッハ!マガーレ!
すると右肩にあるタイヤのホイールにあたる装甲に90°に曲がった矢印が印字された。
そして、ゼンリンシューターでジョーカーの隠れている所ではなく、あらぬ方向に射撃した。しかし、弾道は突如曲がり、影に隠れたジョーカー目掛けて飛んでいった。
予期せぬ攻撃に俺はその身をさらしてしまった。
「隠れていても当てにくるのかよ、反則じゃねぇか!」
「言ってる場合かよ、早く返せ!」
マッハからいくつもの弾が俺を目掛けて飛んできた。
せめてトリガーが使えれば…。
Wであれば、"銃"の記憶を擁するT(トリガー)メモリでボディサイドをトリガーボディに変える(ハーフチェンジ)ことが出来る。そうすることで、専用武器トリガーマグナムが扱える。
しかし、ロストドライバーでそれを試したことがなかった。
そうしている間でも、マッハから雨の様に銃弾が降り注ぐ。
「一か八か、やってみるか!」
トリガー!
JメモリからTメモリに入れ換えた。
トリガー!
すると、姿はそのままに、胸元にトリガーマグナムが現れた。
「あ。なるほど。こんな感じか。なら!」
俺はトリガーマグナムを手に取り、応戦した。
ルナの恩恵がないため、トリッキーな弾道で撃ち込むことは出来ないが、敵の弾を撃ち落とすことくらい造作もないことだった。
「うお!?マジかよ!」
マッハは動揺していた。
「へへん、さっきまでの威勢はどうした?」
だんだんこちらのペースになってきた。しかし、先の戦いのダメージやダイレクトにトリガーボディになっていないことでWのトリガーボディ程の精密射撃にはならなかった。
こんなことなら、しっかり射撃の練習をしておけば良かったぜ。
俺は、今までいかにメモリの恩恵に助けられていたのか痛感した。
やがて、距離を詰め再び格闘戦に持ち込んだ。
今度はマッハが防戦になった。そして、マッハに蹴りを打ち込んだ。
「…くそっ。やるじゃないの。だったら!」
マッハは立ち上がるとベルトのスイッチを数回叩いた。
ズゥーット・マッハ!
その瞬間、マッハは俺の目の前から姿を消した。
さっきの黒いエターナルと同じく超高速で移動しているのだ。
それを理解すると同時に、あらゆる方向から攻撃が飛んできて、俺はそれをもろに喰らってしまった。
速いなら追いつくのは不可能だ。ならば、確実に攻撃を当てるしかない。こいつを使ってみるか…。
メタル!
俺はTメモリを抜き取り、次に"闘志"の記憶を擁するM(メタル)メモリを装填した。
メタル!
思った通り。背中にメタルシャフトが現れた。
俺はそれを持つが、いつもより重量を感じた。
「重たっ!?こんな重いやつ振り回してたのか、俺は。」
それもメタルボディの恩恵だったのだろう。だが振り回せない訳ではなかった。
俺はメタルシャフトを地面に叩きつけ、そのまま自身を中心に円を描く様にそれを振り回した。砕けたコンクリートや土煙が宙を舞った。土煙を弾きながら、その中を高速で動くマッハを見つけた。
「そこだっ!」
俺はメタルシャフトを横に降った。
「ゔっ!!」
それは見事にマッハの胸元を捉えていた。マッハはその場で膝をついた。
だが同時に俺も眩暈を起こした。
そろそろ限界か。
俺はマッハを横目にメモリ使用者の死体を担ぐとハードボイルダーに乗せ、そのままその場を後にした。
「ま、待ちやがれ…!」
後ろからマッハの声が聞こえたが振り向くことなく、バイクを走らせた。
俺は、死体を担ぎ事務所のドアを開けた。
ボロボロの身体を見て、二人は目を見開いていた。
「翔太郎くん!?」
亜樹子が声を上げた。
「翔太郎…!?」
フィリップは驚きの余り、声が出なかった。
「へ、へへ…。よぉ、相棒…。」
俺は担いでいた死体を床に降ろし、ソファーの上に倒れこんだ。
亜樹子は棚から救急箱を持ってくると、何とか俺の身体を起こし、治療をし始めた。
「何があったんだい?」
フィリップが尋ねた。
「フィリップ…。驚くなよ。ヤツが…、エターナルが復活した。」
「!?」
「エターナルって、あの…??」
亜樹子は強張った顔をした。
フィリップは少し考えてから言った。
「…。新たにE(エターナル)メモリが開発されたということかい?」
フィリップの言う通り可能性としては有り得ない話ではなかった。現に今回の事件で使われているメモリは明らかに新造されたものだ。だとしたら、"永遠"の記憶を擁するメモリが開発されたとしてもおかしくはない。
「いや…。確かに可能性としては捨てきれない。だが、ヤツのベルトはロストドライバーじゃなかった…。」
「どういうことだい?」
フィリップの問いに俺は先の件を伝えた。
「黒い…、エターナル…。」
「でもそれって、エターナルに似た偽者ってこと…?」
亜樹子が確認した。
「あぁ…。」
「それに、翔太郎の言う"まるで機械のような動作"が引っ掛かるね。」
「そして、黒いエターナルを追って現れた、マッハとかいう仮面ライダーだ。俺をエターナルと誤認したらしくてな。"身体を返せ"なんて言っていやがったが…。」
身体の傷が疼き、傷を庇いながら言った。
「今回の事件、俺達が思っている以上にヤバい案件かもしれねぇぜ。」
「うわあああああ!!?」
俺たちの後ろで突然叫び声が上がった。
「ぎゃああああああ!!!!」
「うぉああああああ!!!?」
「!?」
亜樹子と俺は、反射的に叫んだ。
振り向くと、死んでいたはずのメモリ使用者が身体を起こしていた。
「いやぁああぁあぁぁぁ!!!!ゾンビいいいい!!」
「ど、どど、どどどうなってんだ!?」
二人ともパニックを起こしていた。
「うわあああああ…、あ?お…俺、生きてるのか?」
メモリ使用者は自身の身体を確認しながら言っていた。すると。
「…ない。ないないない!!くそっ何でないんだ!!」
「ないというのは、ガイアメモリのことかい?」
フィリップはメモリ使用者に恐る恐る聞いた。
それを聞いて我に返ったメモリ使用者がこちらを見てまた叫んだ。
「うわあああああ、だ、誰えええ。」
「うるさぁああああい!!」
スパァン!
亜樹子の緑色のスリッパが、メモリ使用者の頭に直撃した。
「あいたっ!?」
「もう一度聞くよ?ないというのは、ガイアメモリのことだよね?」
フィリップはメモリ使用者の目を見て言った。
「…あ、ああ。」
メモリ使用者は答えた。
「何のメモリだ!?痛っ…」
俺も身を起こして聞いた。
「そ、それは…。」
メモリ使用者はどもった。
ガイアメモリを使うことにどんな意味を持っているのか、知っている様子だ。
「俺達は、警察なんかじゃねぇ。探偵だ。あんたみたいなガイアメモリ使用者が立て続けに殺害されているんだ。それに特定のガイアメモリを収集しているらしい。次の犯行を止めるためにも、あんたから話を聞きたいんだ!」
「あなたをここまで連れてきたのだって、翔太郎くんのおかげなんだからね!」
亜樹子も言った。
それでもメモリ使用者は黙っていたが、やがて口を開いて言った。
「…、ネヴァーだ。」
彼の一言に俺とフィリップは耳を疑った。
「何だって!?」
俺は思わず怒鳴って言ってしまった。
「悪いね。」
フィリップはすかさずメモリ使用者の身体に印字されていたコネクトを指で触った。
「"決意"の記憶、N(ネヴァー)メモリ。」
「決意?」
亜樹子が首をかしげた。
「"決して~ない"。ネヴァーの言葉の意味さ。メモリ使用者が強く願った決意に反応して、その力を発揮するものらしい。」
「てことは、こいつが死ぬ直前に、死にたくないって思ったことで、それにメモリが反応して生き返ったってことか?」
俺はフィリップに尋ねた。
「あぁ。最も効力は一回こっきりだけどね。」
「そ、そりゃ、誰だって死にたくないだろ。」
メモリ使用者も答えた。
「そのメモリ、どこで手に入れた!」
俺は傷だらけの身体を無理矢理動かし、メモリ使用者の胸ぐらを掴んで言った。使用メモリがNメモリだ。俺はそれを聞いただけで、"あの時"の記憶がフラッシュバックしていた。この情報を押さえない訳にはいかなかった。
「い、言える訳がない!言ったら殺される!!」
「君は既に一度死んでいる身さ。なら何も怖くないだろう?」
フィリップも脅しをかけた。
「そうは言っても…。」
バーン!
事務所のドアが開いた。
「その場を動くな!」
突然、スーツ姿の男数人が拳銃を構え事務所に突入してきた。
拳銃はメモリ使用者を捉えていた。
「ひっ!?」
亜樹子も突然のことで驚きを隠せなかった。
「何だあんた達は!?」
俺は一人のスーツ姿の青年に尋ねた。
「警視庁の者です!元ネオシェード構成員・忍野瞬矢!その身柄を確保する!!」
警視庁の人間が何故ここに…?
青年の脇にいた男達が、メモリ使用者を拘束し、事務所の外まで連れ出そうとしていた。
「は、離せっ」
「ちょ、ちょっと待て!!そいつにはまだ話を聞いちゃいない!!」
俺は立ち上がろうとしたが、無理に動いたせいで身体の傷が疼き、それが出来なかった。
「左!」
ドアの奥から聞き慣れた声がした。
事務所の入り口から、赤いライダースジャケットを纏った男が現れた。
「竜くん!!」
「照井か?」
「彼の身柄は我々で一度預かる。心配するな、情報共有は必ず行う。お前の力も借りたくてな。」
照井が言った。
「いったい、どうなってんだ…。」
翔太郎が呟いた。
メモリ使用者は警視庁の警官達によってその場から連れ出されてしまった。
突如現れた仮面ライダーマッハとジョーカーの戦いです。
本作のオリジナル要素として、TメモリとMメモリの扱い方を新たに設定しました。
Tメモリ、Mメモリ共に、ジョーカーの状態で使用すると、姿はジョーカーのままで、トリガーマグナムやメタルシャフトを召喚することができる。
しかし、Wと違い、それぞれのボディサイドの恩恵が受けられないため、トリガーボディ程の精密射撃できないことや、メタルボディ程の力が出せないため思うようにメタルシャフトが扱えないという難点がある。
ぶっちゃけた話し、オリジナルだから仮面ライダートリガーとか仮面ライダーメタルにしても良かったんですが、筆者がジョーカー好きな為、以上のような設定にしました。
ちなみに翔太郎はこれまでに映画等で様々なライダーと交流を持っていました。その為、鎧武までのライダーのことは認知しています。
※意外と客演していたことに驚きました。
オーズ&フォーゼ=映画オーズ×フォーゼMOVIE大戦
ウィザード&鎧武=映画平成対昭和
さて、マッハの言う"身体を返せ"という意味とは。
そして、東京から戻った照井竜と警視庁公安の青年。
さらに、彼の口から出た"ネオシェード"という言葉。
ここから物語が加速し始めます。
次回をお楽しみに!