仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線   作:ラズベアー

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今回は照井視点の物語です。
照井が事件の報告書を作成し、その一部を抜粋したという体です。


第8話

「…なるほど。大道克己の復活。それだけは阻止しないとだな。」

左からの連絡を聞き、俺は戦慄を覚えた。

大道克己。風都史上最凶最悪のテロリストであり、仮面ライダーエターナルに変身する男だ。

ネオシェードの狙いが大道克己の復活だとするならば、早急に手を打たねばならない。

「照井警視、その話は信じても良いんですね?」

氷川班の班長・氷川誠が尋ねてきた。

「ええ。おそらくネオシェードは、大道克己を復活させ、やつを手中に収めることで力を示し、日本政府を転覆させる気だと思われます。」

俺は一連の事件を整理しながら言った。

「そこまでして、日本へテロ行為を行う理由って何なんでしょうか…。」

氷川班の刑事、泉信吾が言った。

「テロリストの考えることなんて、一般人である僕たちが考えた所でわかんないっすよ。」

G5ユニット主任、尾室隆弘が緊張感のないように言った。

「しかし、ネオシェードが何か目的を持って行動している以上、黙って見過ごす訳にはいかないですよ、尾室さん。」

氷川が尾室を叱責した。

「す、すみません…。」

 

「ダメです。中々強情で、話を割りません。」

泊が逮捕した元ネオシェード構成員・忍野瞬矢を尋問していた沢村ともう一人の警官が戻ってきた。

「ご苦労様です。沢村さん、須藤さん。」

氷川が言った。

「どこでガイアメモリを入手したのか、ネオシェードの目的が何なのか。何一つ話しませんでした。最も、ネオシェードの目的については本当に知らなそうでしたが。それで、何か進展はありましたか?」

須藤雅史が言った。

俺は、須藤と沢村に左から得た情報を伝えた。

「なるほど…。では、それも踏まえた上で、引き続き忍野への尋問を行います。」

須藤はそういうと、部屋を後にした。沢村もそれに続いた。

 

『港町にて、ドーパントの目撃情報あり。各員出動せよ。繰り返しますー』

 

署内放送が部屋に響いた。

「こちら氷川。氷川班出動します!」

「待ってました!G5ユニット、出動!!」

氷川の合図で俺達は出動した。

 

現場に着くと、ドーパントが港にある貨物コンテナを襲撃していた。

「あー、そこのドーパントぉ!無駄な抵抗は止めて、大人しく投降しなさぁい!」

パトカーから刃野がメガホンで訴えた。

「ふん!たかが警察ごときが止められる訳がねぇだろ!」

ドーパントが答えた。

「ごもっともだぁ!」

刃野が言ったが、何とも拍子の抜けた言い方だった。

「だがなぁ、俺達には仮面ライダーがついている!痛い思いをしたくなきゃ、黙って投降しろぉ!」

「そんなハッタリが効くか!」

「ならば仕方ない…。」

投降する気がないことが分かり、俺は他の警官達より前に出て、アクセルドライバーを取り出し腰に着けた。

 

アクセル!

 

「変…、身っ!」

俺は"加速"の記憶を擁するA(アクセル)メモリをドライバーに装填し、ドライバー左右にあるバイクのハンドルのようなグリップを右手で捻った。

 

アクセル!

 

その途端、俺の身体を赤い装甲が包み込み、仮面ライダーアクセルに変身した。

「ま…マジで仮面ライダーかよ!?」

明らかにドーパントは怯んでいた。

「ジーン・ドーパントか…。個人的にだが、そのメモリのお陰で嫌な思いをしてな…。本気で振り切るぜ!」

俺はエンジンブレードを構えた。

 

「あれが風都の仮面ライダー…。」

氷川は目を見開いて言った。

「…氷川さん、本当は戦いたいんじゃないんですか?」

泉が氷川に言った。

「いや…、今の僕には…。それに、G3ーXは今…。」

 

「くっ…!」

ジーン・ドーパントは踵を返し逃げようとした。

 

ファンファンファンファン…。

 

サイレンの音と共に3台の大型の白バイ・ガードチェイサーがジーン・ドーパントの行く手を遮った。

 

黒い装甲の仮面ライダーと、その簡易型の青い仮面ライダー二人がバイクから降りて銃器を構えた。

「こちらG3ーX、尾室!ならびにG5!配置に着きました!逃がさんぞ、ドーパント!!」

「ええい…。こうなったら!」

ジーン・ドーパントは、海の中の魚にめがけ、腕から怪光線を放った。それに直撃した数匹の魚は海中から飛び出すとその姿を人の形に変えた。

ジーン(GENE)・ドーパント。その名の通り、"遺伝子"の記憶を擁するガイアメモリで変身した姿だ。その力は有機物を遺伝子組み換えをし、姿を変える。ドーパントの怪光線を浴びた魚は、その力で人の形に変えられたということだ。

「行け、魚人達よ!」

ジーン・ドーパントの命を受け、魚人が迫ってきた。

「おおおおおお!!!」

俺は迷わず剣を振るい、魚人を切り倒した。

「尾室主任…!」

「狼狽えるな、僕たちも行くぞ!」

G5ユニットも射撃で応戦した。

「各位、ライダーに続け!」

氷川の合図で、警官達も発砲し始めた。

「まだだ!」

ジーン・ドーパントは、さらに足元の蟻にも怪光線を浴びせ人型にした。

「今度は蟻か!」

このままでは、埒があかない。

「照井警視、離れて下さい!」

G3ーXが叫んだ。

その手には大型のガトリング砲ケルベロスを携えていた。

「これで薙ぎ払います!」

各々がケルベロスの射撃範囲から逃れたことを確認すると、G3ーXはトリガーを引いた。

毎秒数百発の弾丸が魚人や蟻人間を次々と撃破していき、ジーン・ドーパントにもダメージを与えた。

「くそっ…。」

 

エンジン!

 

俺はギジメモリであるE(エンジン)メモリをエンジンブレードに装填した。

 

エレクトリック!

 

ブレードのトリガーを押し、ブレードに電気を纏わせると、それをドーパント目掛けて振るった。

「ぐわっ!」

ドーパントが膝をついた。

「止めだ!」

 

その時、何か殺気を感じ取り、俺は攻撃を止めて回避行動を取った。それと同時に俺のいた所を高速で何かが走り抜け、その勢いでドーパントを蹴り飛ばした。

「な、何だ!?」

G3ーXは何が起きているのか理解していなかった。

だが、ドーパントを蹴り飛ばした者が何なのか、俺には分かった。

「黒い、エターナル…!」

左の言った通りだった。装甲や単眼の色は違えど、そこにいたのは、仮面ライダーエターナルだった。

「氷川班長!あれが例の黒いエターナルだ!」

俺は変身前に身につけていたインカムを伝って氷川に言った。

「こちらでも確認しました。ということは、やつの狙いはあのドーパント!」

「マジか…。」

刃野も驚きを隠せなかった。

「攻撃します!」

先に動いたのは尾室のG3ーXだった。

「尾室さん、迂闊だ!」

氷川が叫んだが、すでに攻撃をしていた。

後方のG5達が援護射撃をし、それを掻い潜ってG3ーXは肉弾戦を仕掛けた。しかし、黒いエターナルは弾丸をものともせず、またG3ーXの攻撃を意図も簡単にかわしていた。G5達も肉弾戦に切り替えたが、それでも黒いエターナルはかわし、一方で的確に一撃一撃をG5とG3ーXに与えていき、地に伏せさせていた。

各々、装甲の耐久性が落ちたのか、所々でショートしていた。

「な、何て強さなんだ…。」

G3ーXの中で、尾室が息も絶え絶えに言った。

G3ーXは旧型とは言え、近代化改修も施されている。並大抵の怪人相手なら善戦できる程だ。それでも黒いエターナル相手に手も足も出なかった。

黒いエターナルは地に伏せたG5ユニットを余所に、ジーン・ドーパントに近づいていった。

「く…、くるな…。」

ドーパントも逃げようとするが、先の戦闘でのダメージが祟ってか、うまく身体を動かせずにいた。

「総員、黒いエターナルをドーパントに近づけさせるな!!」

俺は叫ぶと同時に黒いエターナルに挑んだ。

「総員、アクセルを援護する!」

氷川の合図で警官達も黒いエターナルへ射撃を始めた。

黒いエターナルは、警官隊からの射撃は気にも留めていない様子だったが、こちらの攻撃には慎重になっていた。

俺は再びエンジンブレードに電気を纏わせ斬りかかった。しかし、それは黒いエターナルがいたはずの場所を空振りした。黒いエターナルは高速で移動を始めた。それに気づいた時点で、四方から飛び交う攻撃に身をさらしていた。

「何だ、このスピードは…。」

あり得ない。かつてのエターナルにはこのような力はなかったはず。やはりエターナルに模した別物と捉えるべきか。

「照井警視!トライアルならば対等に戦えるはずです!」

インカムから泉の声が聞こえた。

「言われなくとも!」

 

トライアル!

 

俺は、"挑戦"の記憶を擁したT(トライアル)メモリをベルトに装填した。

 

トライアル!

 

赤い装甲が砕け散り、代わりに青い装甲が身を包んだ。

耐久力やパンチ力には欠けるが、この方が高速で戦える。

俺は、黒いエターナルと同じ土俵に立った。

黒いエターナルは、俺が高速の世界に飛び込んだことに動揺していた。

「もっと早く!」

俺は拳を蹴りを幾度も黒いエターナルに叩き込んだ。黒いエターナルも対応しようとするが、徐々に追い付かなくなっていた。

「はあっ!!」

俺は最後の一蹴りを与え、黒いエターナルを蹴り飛ばした。

「地獄へ還れ、エターナル!」

そう言うと、俺は、ベルトからTメモリを抜き取り、スイッチを押した。メモリに設けられているタイマーが起動すると同時に、俺も再び高速で移動し、黒いエターナルへ最後の攻撃をしようとした。

 

ところが、その直前に、俺と黒いエターナルの間に何者かが飛び入り、俺の攻撃を弾き返した。

「うわっ!」

俺は何とか受け身を取り、体勢を整えた。

黒いエターナルを守るように、両手にハサミのような武装をしたドーパントが新たに現れた。その姿はまるで人の形をした蟹のようだった。

「ここで、これを破壊される訳にはいきません。」

ドーパントが言った。

「貴様…、ネオシェードの残党か!」

俺はドーパントに向かって言った。

「勿論。」

「さて、狙いはそこのドーパントでしたが、どの道手に入りますから今回は見送りましょう。ではまた。」

「っ…!逃がすか!」

しかし、黒いエターナルは再び高速移動を始め、どこかへ走り去り、新たに現れたドーパントは海中に飛び込み姿を眩ました。




照井が所属するもう一つの捜査班・氷川班のお話です。

班長はその名の通り元G3ユニットの氷川誠が務めています。
今回はアクセルの他に仮面ライダーG3ーXとG5が登場しましたが、オリジナル要素を取り入れた設定となっています。

<仮面ライダーG3ーX 尾室カスタム>
かつて氷川が装着していたものをとある理由からG5ユニット主任の尾室に譲渡した強化外骨格。
近代化改修が施されており、総合的な性能は底上げされている。現在の能力ならばエルロード以外のアンノウンならば易々と駆逐できるようになった。
外見は当時と変わらないが、尾室の趣味によりG4のようなカラーリング(複眼はオリジナルのまま)になっている。

氷川が尾室にG3ーXを譲渡した理由は後に明かされます。

<仮面ライダーG5>
仮面ライダーG3ーXの簡易量産型の外骨格。見た目はG3に近いがスペックはそれを上回っており、前身にあたるG3ーMILDの上位互換の仕様となっている。量産が前提であるため、コストダウンの影響でG3ーXよりも防御力や万能性(武装がスコーピオン、サラマンダー、ガードアクセラーしか扱えない)が落ちたが、集団での戦闘でそれをカバーすることができる。G5ユニットに多数配備されている。

アギト本編最終回で登場した、尾室が主任を務めるG5ユニットを個人的に掘り下げてみました。

<ジーン・ドーパント>
W本編でも登場したドーパント。新型メモリを用いているので、他の生物の姿を変えられる力を持っている。

<クラブ・ドーパント>
オレンジ色の体色をした蟹型のドーパント。見た目は某ライダー作品に登場したあるライダーにそっくりで、両腕に左右非対称な巨大なハサミを持つ。右手のハサミはス○○○○・○○トのように切れ味が鋭く挟む力も凄まじい。左手のハサミはガ○○・○○トのように堅牢な甲殻で盾として用いる。こちらのハサミでも攻撃が可能。腰にはV○ッ○○が見られない。
変身者は不明(笑)。

新たにネオシェードの刺客として現れた蟹型のドーパント。
ジーンドーパントを狙って現れたダークエターナルの狙いとは。

次回もお楽しみに!!

<登場警察官>
〔氷川班〕
氷川誠(仮面ライダーアギト)
尾室隆弘(仮面ライダーアギト)
須藤雅史(仮面ライダー龍騎)
泉信吾(仮面ライダーオーズ)
※以前登場した沢村は氷川班所属となっている
※照井の部下であるため、刃野と真倉も氷川班所属となっている

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