ARMOREDCORE compensation 作:天武@テム
行きでは、何も起こらなかったが──
「ミッションを説明するわ。用心が乗ってる輸送機の護衛。グレイとジンは左右に展開して索敵、敵が来ない限り武は輸送機内で待機よ。来るとしてもノーマル程度だろうけど、気をつけてね」
ブリーフィングを終えると、タイミング良く輸送機が降りて後部のハッチを開く。
「ジン、グレイ、ノーマルはプライマルアーマーも無ければクイックブーストもない。そこを意識しておけよ」
了解。グレイと僕は返事をして輸送機と同時に離陸して共にローゼンタールの本部まで飛び立っていく───
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輸送機の空路には敵はおらず、問題なく本部まで辿り着いた。帰還まで護衛する任務となっている為、僕らは会議中は輸送機内で待機していた。シュミレーターで操作は覚えていたが、本物のノーマルを実際に操縦するのは初めてだったから心配だったが、敵機と鉢合わせにならずに済んだから安心した。
「何も来なかったね?」
「ローゼンタール本社にいる時はともかく、道中で平和だったのは運がいいな」とグレイが余裕そうに言った。
「ジン、グレイ、さっきまで何も来なかったからって、気を抜くなよ」
「「分かってる(よ)」」
僕とグレイは兄さんに注意されるが、確かにその通りだった。
「所属不明機、防衛目標に接近!」
ほっと一息つこうとした瞬間、アラートが鳴り響く。レーダーを見ると、前方からノーマル機が接近して来るのがわかった。
「敵!?このタイミングで!?」
「言っただろ、気を抜くなって。フォローは任せろ。空を飛べるお前らは、目の前の敵を蹴散らせ」
敵の数は5機、モニターを拡大すると、エイのような形をした戦闘機が2機、ノーマルが3機の編成だ。兄さんは輸送機から出ると、輸送機の甲板部分で、レーザーキャノンを構える。兄さんが乗っているハイエンドノーマルは、ノーマルと違ってカスタマイズの幅が広く、運動性能は上だが、空中や水上でのホバリングが出来ない。僕達は身構え、戦闘準備をするが、ノーマル部隊は止まり、一機だけ近づいてきた。
「そこのノーマル三機、企業の人間じゃないだろ?」
オープン回線から、男の声が聞こえた。恐らく、目の前のノーマルのパイロットだろう。どうやって答えたらいいか迷っていたら、兄さんが通信に応えた。
「だったら、なんなんだ?俺達も依頼を受けてやってるんだよ」
「俺達は無駄な戦闘はしたくない、さっさと輸送機から離れろ。もう離れたら、報酬以上くれてやるよ」
「知らない奴に言われても信用出来ねえよ。まず、お前達は何者なんだよ」
「答える必要な無い。死ね」
ノーマル部隊はライフルを撃ちながら接近してくる。僕とグレイは前進して、右手に装備してあるレーザーをノーマルに当てるが、撃破出来ずに、機関砲を撃ってきた。
慌てて避けて、なんを避けるがもう一機ノーマルが避けた先にライフルを撃たれて被弾してしまった。
「落ちなかった…!?」
「エネルギー対策はやってるってことよ。ノーマルはネクストより火力が低いのを忘れないでよ」
お姉ちゃんの言った通りだ、ネクストより性能が低いなら、武器の火力も必然的に低いし、瞬間的に避けられるクイックブーストも当然ない。
慌てて姿勢を制御して、反撃を仕掛けるも避けられるが、レーザーキャノンで貫かれて墜ちていく。
「バックアップは任せろ、お前は無理に撃破しなくていい」
「分かった…!でも、この機体って…」
「今は考えるな、とにかく輸送機を守れ!」
そう言った、グレイは機関砲を撃って来た戦闘機をレーザーでコクピットを撃ち抜いて撃墜した。流石に、ノーマルと戦闘機じゃあ、戦力の違いがあるから簡単に撃破できる。
僕も負けじと向かってくる、戦闘機の撃ち落とすと、残りはノーマル二機だけになった。
「どうしたんだ?その程度だったのかよ」
「ちぃ…撤退するぞ」
ノーマル二機は反転すると、撤退して行った。
「なんだったんだろ……あれ」
「おおよそ、盗賊とかそんなところだろ。なんにせよ、クライアントに、大事なくてよかったな」
グレイと言う通り、盗賊だったのかもしれない。企業専属の部隊だったら、肩部に企業のロゴが入ってあるが、遭遇した部隊にはなかった。この世界には、国という概念はない。20数年前の国家解体戦争で企業が勝利したからだ。だから、人を罰する法律は大半は無くなり、クレイドルや企業のコロニー以外の生存区域の治安は、かなり悪い。
兄さんやお姉ちゃんがいなかったら、盗賊の仲間に入っていたのかもしれない。そう考えると、僕は人を恵まれているのかもしれないと、帰還しながら考えた。