ARMOREDCORE compensation   作:天武@テム

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ジンは不明ネクスト戦後、検査をした所。
GAのリンクス、ドン・カーネルが入院していると聞き、ジンは心配になり、駆けつけることになる。


chapter2-14「少女グレイス」

「軽度のコジマ汚染で済んでる。薬剤を用意しておくから、暫く飲めば体内のコジマ汚染を抑えることが出来ると思う」

 

「はい、ありがとうございます」

 

ジンは診察室で、レントゲンのデータを見せられながら診断結果を聞いていた。結果は大したことはなかったため、ジンは内心ほっとしていた。

 

「よく連続でネクストに乗ってたのに、軽度の汚染で収まってるね。これもAMS適性の高さのお陰なのかな」

 

「さぁ…?どうなんでしょうか……?」

 

ジンのAMS適性は高く、リンクス戦争時代に【オリジナル】と呼ばれたリンクス達に匹敵するらしい。しかし、AMS適性が高いからといって無条件で戦闘能力が高くなるわけではなく、最終的にはパイロットとしての技量が試される。

 

「君のAMS適性の高さはGAの中には誰にもいない。DNA採取をさせてもらいないかな?汚染抑制薬の対価として」

 

「はぁ…それは別に構いませんけど…?」

 

ジンは医者の言うことを、自分の遺伝子でなにか変わるのかと半ば疑問に思いながらも大人しくDNA摂取に協力した。

 

「ありがとう。これで多少なりとも研究材料になれば有難いんだけどね」

 

「その…AMSってそんなに大事なものなんですか?」

 

「そりゃ大事に決まっている。今では、アームズフォートが主流だが、ネクストはそのアームズフォートをも破壊する力を持っている。他企業よりもリンクスが少ないGAにとっては、喉から手が出る位さ」

 

「そういうもんなんですね?」

 

「そうさ。君のような傭兵じゃピンとは来ないだろうけど。今現在主力ネクストが1機しかいないんだから、数を増やしたいんだ」

 

「1機?3機の間違いじゃ……?」

 

ジンは首を傾げた。現在カラードに登録されてあるリンクスは3人だ。残り一機は上位ランカーのローディであり、企業として切り札として大事にしたいという点を考えて除くとしても2機になる。

 

「ああ……、ドン・カーネルがユニオンのネクストに襲撃されたんだ」

 

「カーネルさんがネクストに…!?大丈夫なんですか!?」

 

「ああ、敵機の弾切れで難を逃れたが彼は入院中だよ」

 

「そうなんだ……よかった、生きてるんだ」

 

「ああ、だけど彼の乗っていたニューサンシャインはダメになったらしいね……。」

 

「カーネルさん…もうネクストには乗らないんでしょうか……?」

 

「さぁ、そこは上の判断を待つしかないね。上質なリンクスがいないってのは企業も大変だねぇ」

 

医者はどこか他人事のように話ながらDNA採取の準備をしていた。ドン・カーネルは元ノーマルAC乗りの叩き上げであり、AMS適性は低く「粗製」と酷い呼ばれるような人間だった。しかし、ジンにとってその事情は知らず、ただ新人の頃に気さくに話しかけてくれたイメージしかなく、あの人は無事なのかと心配だった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

検査と採取が終わった後、ノアに「用事が出来たから、終わったら連絡する」とメールを送ると、医者から教えてもらった番号の病室まで向かった。

 

「失礼します、入院してるって聞いたので…。大丈夫ですか?」

 

「おお坊主!久しぶりだな!元気にしてたか?」

 

「元気ですよ。それより、カーネルさんは……元気そうですね」

 

部屋にはカーネルと、椅子に座っていた長めの髪に跳ねっ毛、それに白髪が混じった青年に、猫耳ショートヘアに黒いワンピースを着た小さい少女がカーネルのベットに手をついて立っていた。

「おや、久しぶりですね。生き残っててなにより」

 

「あれっ、この前病室に来た……」

 

「ええ、元気そうでなによりです。ジンさん」

 

「は、はい…!えーっと……」

 

「ノラです。あの時は名前を言ってませんでしたね」

 

ノラは、以前オーダーマッチのことを話してくれた青年だった。当時とは変わり、黒染めにストレートヘアだった為、一目見ただけわからなかった。カーネルにこっち来いよと手招きされ、ジンは傍の椅子に座った。

 

「なんだ?お前ら知り合いだったのか?」

 

「そうですよ。ジンさんとは以前アスピナの医療機関で姉の頼みで様子を1度見に行きました」

 

『お姉ちゃんが頼んだってことは……もしかしてこの人もリンクスなの?』

 

「そうだよグレイス。彼は新しいリンクスなんだ」

 

グレイスと呼ばれたワンピースの少女はリンクスだと聞くと、パッとジンの方を見た。

 

『じゃあ、じゃあ!新人さん!!君が乗ってるネクストって喋る?もし喋るんだったr』

 

「グレイス、そのお話は後で。今は病室だから静かに。すみません、コイツ着いてくるって聞かなくて」

 

「気にすんな、ちびっこはよう喋る方が賑やかでいいじゃねえか」

 

「そうです?なら構いませんが?」

 

ノラはグレイスの口を塞ぐが、気にするなと聞くと口を塞ぐ手を離すとすぐさまグレイスはジンの側へ駆け寄る。

 

『ねぇ新人さん!貴方のネクストって喋ったりする?』

 

「え…?喋ったりっていうのは……」

 

『そのまんまの意味だよ!!それで、喋るの?喋らないの?』

 

「あ、えっと……ネクスト自体は喋らないけど、そのネクストに搭載されてあるAIは喋ったりするよ?」

 

質問に困惑しながらも、紅桜に搭載されてあるサクラのことを話した。すると、グレイスは嬉しそうにパァっと笑顔になった。

 

『ねぇご主人!!僕間違ってなかったよ!!やっぱり身体があると色んな人と喋れるね!』

 

「ああ、お姉様にはちゃんとお礼を言わないとだな」

 

「えっ?」

「身体?どういうことだ?」

 

「説明してませんでしたね。お二方、彼女…グレイスは人ではありません。ネクストに搭載されてあるAIを人工の身体に試験的に移しているのです」

 

「そ、そんなこと出来るんですか!?」

 

「あくまでも試作品ですが…。気になりますか?」

 

慌てて立ち上がるジンに、ノラはふっと微笑む。

 

「は、はい…。少し」

 

「それは、どうしてです?」

 

「えっと……その、サクラはずっとネクストの中から離れられなくて、戦う以外じゃ話すことも出来ないから寂しいかなと思ったんです。こうして身体があればみんなと一緒だから寂しくないかな…って」

 

ジンははっとして椅子に座る。

一人ぼっちのサクラが心配だった様らしく、身体があれば傍にいられると思っていた。

ノラはジンを見て、クスクスって笑うと「いいですよ」と微笑みながら言う。

 

「えっ!?ほ、ほんとですか!?」

 

「ええ。だけど、お姉様が許可してくれたら……の話ですが。連絡先の交換いいですか?」

 

「はい、いいですよ!」

 

ジンは携帯をポケットから取り出し。ノラと連絡先を交換した。

 

「ありがとうございます。わかり次第連絡しますね。では、次の仕事があるので私はここで失礼します」

 

「おう、来てくれてありがとうなノラ」

 

ノラは一礼すると、病室出て行き。ジンは小さく手を振って見送った。それと同時にジンと携帯から着信音が病室に鳴り響く。

 

「わひゃあ!?」

 

ジンは着信音で驚き、素っ頓狂な声を出して携帯を落としかける。

 

「おいおい、そんなんでビビってたらこの先生き残れんぞ」

 

「そんなの言われたって……あ、兄さんからだ。もしもし?え、さっきメールで用事があるって……。急ぎの依頼???わかった、すぐ行く」

 

「どうした?依頼が舞い込んで来たか?」

 

「はい…なんか、急ぎの依頼って……。ごめんなさいちょっと行ってきますね!お大事に!!」

 

「はいはい……。慌ててコケるなよ?」

 

ジンはバタバタ立ち上がり、病室から慌てて出ていく。カーネルは「生き残ってくれよ」と聞こえていないであろう言葉を呟きながら後ろ姿を見ていた。その言葉には、先輩リンクスとして、子供を見守る親としての想いが込められていた。

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