ARMOREDCORE compensation 作:天武@テム
だが、想定していた敵部隊は逃げていったのだが……。
「ミッションの説明をするわ。着替えながら聞いて頂戴。」
武が操縦する輸送機の中で、ジンはパイロットスーツに着替え、ノアはクライアントから送られた作戦内容を見ながら話していた。
「依頼主はローゼンタール社、作戦内容は廃都市を不法占拠した連中の排除。リリアナが占拠しているって情報があるけど…濃霧が発生してて本当かどうか分からないわ。それと、コジマ汚染軽減の為にプライマルアーマーの展開は禁止されているわ。プライマルアーマー頼りに無闇に突っ込んで行かないようにね。」
「分かってる…兄さんからあらかた聞いてるし。敵戦力は?どのくらいいるの?」
ジンは着替え終えるとヘルメットを被り、紅桜を格納しているハンガーのロックを解除する。
ハンガーへ続くドアは何重にも重なっており、コジマ粒子の拡散を抑える役割を果たしている。
「情報によれば、ノーマルが小隊クラス程度の数らしいけど──」
「ネクストがいるかもって話でしょ?大丈夫」
「大丈夫って…あなた、リリアナが持ってるネクスト戦力よ?分かってるの?」
ノアはジンが以前砂漠の狼を自称するネクストに撃墜されかけたことは記憶にも新しく、今度は撃墜されるのではないかと心配だった。
「次は勝つ。そして、必ずお母さんの仇を討つんだ」
「…仇をとるのはいいが、目的を忘れるなよ、目的は敵戦力の排除とエリアの確保なんだ。それに私情だけで動いて、ローゼンタールの評価を落とされたら仕事が無くなるかもしれないからな。そこんところわかってるな?」
「わかってるよ…」
武に勝手な行動をしないように釘をさされ、不貞腐れながらも返事をし、紅桜のコクピットに入り、起動準備を開始する。
『こちらローゼンタール所属、イカロス小隊です。其方の準備はよろしいでしょうか。』
「こちら紅桜オペレーター。こっちは降下準備に入ってる。行けるわね、ジン」
「うん、いつでもどうぞ」
『了解しました。着陸次第、任務を開始してください。共に幸運を』
「ハッチ解放、紅桜出撃」
「了解、行きます!」
ローゼンタールから通信が届き、ノアはそれに返事をすると、輸送機のハッチを開き、紅桜を濃霧の中へと降下させる。
「リコンの設置は完了してます。レーダーの反応を元に敵部隊を撃破してください」
紅桜のレーダーには一定の等間隔でリコンが設置されているのが確認でき、複数の赤い敵信号がエリア外へ逃げていくのが確認できる。
「…?敵が逃げてる?」
『あー、あー。ジンさん聞こえますか?』
聞き覚えのある少女の声が通信から入ってくる。ジンは思いもよらないことに困惑しつつも返事をしようと回線を開く。
「もしかして…コスモス?」
『はい!今回はこの私、コスモスがサポートさせて頂きます!危険であれば、いつでも向かいますからね!』
「そうなんだ、それは助かる…じゃなくて!なんでこんなところに…」
『なんでって…そりゃ、この作戦の第一人者ですから?』
「ああ、そっか…じゃなくて!向かうってことは……ここにいるの?」
『そうですよ?ここの部隊指揮任されてるの、私なんですからね』
「…コスモスって、凄い人なんだね」
『別にそんなことありませんよ。ノイン家の娘として当然なことです』
「そうなの?」
『そういうものなんです。ほら、お喋りしてる暇あったら早くミッションを遂行して下さい』
「はーい」
一瞬間が空くも、コスモスは返事をする。
ジンはそれに気づかず、そのまま濃霧の中を進んでいく。
濃霧に包まれた廃都市は非常に静かで物音1つ聞こえない。レーダーを確認するも、敵信号はひとつもなかった。全員逃げたんじゃないか────
そう思った瞬間だった。突然ECMが作動し、レーダーに砂嵐のようなノイズ走る。
ジンは反射的に身構えて、トリガーに指を構え、廃ビルを背にして周囲を見回す。
しかし、濃霧で包まれた廃都市を見回しても何も見えない。
『それで警戒出来てると思ってるのか?』
武ではない、男性の声が聞こえたと思ったら、背にしていた廃ビルが崩壊すると同時になにが紅桜の後ろからショットガンの引き金を引く所だった。紅桜は右側のサイドブースターだけを噴射させて反転させ、そのまま勢いを乗らせたまま左手に装備していたレーザーブレードで斬り掛かる。
しかし、背後にいた機体はバックブースターで瞬時に身をかわした。
『残念、その程度じゃ俺には当たらねえよ』
「砂漠の狼……!!」
振り向くと、目の前には赤いSOLUH(ソーラ)フレームのネクスト、コロニーアスピナで戦って、殺されかけた、あの砂漠の狼だった。