ARMOREDCORE compensation 作:天武@テム
ジン達がコロニー跡地の調査がリリアナの襲撃に受け、調査が中断となる。また、イカロス小隊の損傷はコジマ爆発によって被害が想定よりも大きく、報酬もその分少なくなってしまった。
武とノアは報酬を受け取ると、武は報酬の少なさにと軽くため息をつき、ノアは腕組みをしながら、自身が乗っていた輸送機を置いたドックまで歩いていた。
「……まぁ、リリアナがコジマタンクを抱えていたなんて誰も想像出来なかっただろうしな。仕方ないと言えば仕方ない……」
「でも、邪魔をするってどうして……。元々わざわざコジマ爆発までさせてまで退却させるかしら?」
「居場所を知られない為に拠点ごと爆破したのか。はたまた、企業に知られたくない何かがあったのか……。どちらにせよ、リリアナの情報は得られないわ、報酬は少ないわ、良い事なしだな」
「赤字じゃないだけよしとしましょう。ところで、ジンはどうしたの?あの子、報酬の取引現場にいないで、どこほっつき歩いてるのかしら」
「ああ、それのことなんだけど。ジンはちょっと調べ事をしてもらっている」
ノアは調べ事って?と聞くと、武は神妙な顔つきで話し出す。
「以前、ジンが不明ネクストと戦っただろ?その不明ネクストに気になる装備があってな」
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ジンはネクスト用パーツの扱う企業連のカタログモニターで調べ事をしていた。武から預かった写真には、不明ネクストの上半身だけが映っている。
「GA、ユニオン、オーメルサイエンス。どれも該当パーツなし……か。もー、こんなんじゃ見つかる気配全くないよ。休憩しよ、休憩……。ずっとモニターばっか見て疲れた」
ジンはカタログモニターを閉じて、カフェに向かおうとするが、写真を眺めながら歩いていた為、通路の角で人とぶつかってしまう。
「わ……っと、ごめんなさい。前見てなかったです」
「夢中になるのはいいですが、ちゃんと歩く時は前を向いてください。ジンさん、」
「はい、すみません……ってノラさん?」
「ええ、お久しぶりです、ジンさん。今日は一人でどうしたんです?」
顔を上げると、以前出会った白髪混じりの青年、ノラに出会った。
「ちょっと調べ事をしていて……。この機体に装備してある、電波装置みたいなパーツを探しているんです」
ジンは、ノラに武から預かった写真を見せると、にこやかな表情から神妙な顔つきに変わる。
「ジンさん。この写真は何処から入手したのですか?」
「えっ…?僕はこのネクストと戦うので必死で分からかったんですけど、多分兄さんがこっそり撮っていたのかと……」
「この機体と交戦したのですね?」
「は、はい……それがどうしたんですか?」
ノラは真剣な顔付きでジンに詰め寄り、思わずおずおず後ずさりした。
「随分と面倒なことに巻き込まれましたね…」
ノラは深くため息をすると、周りを確認し、周りに人がいないことを確認すると再び話し始める。
「その機体は、【フェラムリソドス】という名前で、現在私が調査を進めていました。ですが、オーメルからは、交戦の禁止を命じられていました。」
「交戦の禁止…?僕が依頼されたのはアルゼブラで、内容は撃破でしたよ」
「この件については、企業連の中で利用価値がなくなったかと私は推測しています。ネクストというのは、企業の資本がなければ維持するのに非常に厳しいものです」
ネクストは非常に高性能で高い戦闘能力を持っているが、コジマ技術の結晶でもあるので少しの損傷でも高い修繕費が必要になる。その為、カラードに登録してあるリンクスの大半は企業がスポンサーとして、背後についている。
「僕は企業と契約してないですけど…?」
「ジンさん、君のお姉さんのノアさんから、なにか約束事か何かをしませんでした?」
「はい、リンクスになる前になにか書かされました。確か、GAの依頼を優先的に行い、定期的に戦闘記録を姉に送る…みたいなのが書かれてました」
「その場合は、ジンさん自身ではなく、ジンさんの義姉さんが企業と契約をしているのかと。ノアさんは、GAEテクニカの跡継ぎ候補ですし、不思議ではありません」
ノアは、自分から言うことは全くないが、GAEテクニカの令嬢であり、ジン達の支援も企業に貢献することを条件に許可されている。
「じゃあ、なにかを知るために泳がせていたけど。用済みとなったから消した…って感じなんですか?」
「恐らくは…。企業のことですし、不思議ではありません。それに…」
「それに…なんですか?」
「…最近クレイドルを支えるアルテリア施設が襲撃されたのです」