叔父から地図をもらい、辺境の町まで歩く。
牛飼娘が送っていくといってくれたのだが、流石にそこまで世話になるわけにはいかなかった。
更にいうと叔父の目線が怖かったという理由もある。
不審者から犯罪者を見る目にグレードアップしかけたので、自力で行くことにする。
「私の幼馴染も冒険者をしているので、何かあったら頼ってください。
鎧をしてるので分かると思います!」
「なにからなにまで…本当にありがとうございます。
その冒険者にあったら、一度ご挨拶させていただきますね」
そうして、ハンターは今度こそ旅立っていく。
途中方向音痴を発揮して迷子になりかけたが、なんとか辺境の町にたどり着くことが出来、
冒険者ギルドへと足を運んだ。
「…目線が厳しいよぅ」
仮面の中で思わずぼやく。
この装備だと人目を引くらしく、好奇の目線にさらされて針の筵状況だった。
黒づくめで比較的落ち着いたデザインの装備でこれだから、もっとど派手で重装備など着てこようものならもっとひどい状況だったのだろう。
落ち着かない気持ちになりつつ、手続きを済ませると白いタグを受付嬢から渡された。
それを受け取り、首を傾げていると受付嬢が説明してくれた。
「これは冒険者ギルドの身分証です。
これであなたが白磁等級の冒険者である証明になります」
「白磁?」
「冒険者は十段階の等級に分けられています。
ですが最上位の白金は史上数人しかいない伝説レベル。
続く金等級は主に国家規模の難事に関わる冒険者ですので、事実上在野最上位は銀等級の冒険者になります」
「ほうほう」
「次の銅等級も実力と信用を兼ねたベテランの方です。
そして紅玉、翠玉、青玉、その下に鋼鉄、黒曜があり…一番下が白磁等級の冒険者となります」
「ふんふん、なるほど。
つまり俺は一番下っ端というわけかぁ…なっつかしいなぁ、この感じ」
つまりはギルドカードとハンターランクと同じようなシステムのようであった。
ハンターランク1から始めて、どんどんと緊急クエストをこなしてハンターランクを上げる。
今までやってきたこととさ程が変わりないことに安堵するハンターだったが、受付嬢の顔は厳しかった。
「冒険中何かあった時に身元証明にも使いますので、無くさないように」
「了解です」
「以上で登録は終わりです、今後の活躍をお祈りしています」
「ありがとうございました。
ちなみに、依頼はこちらで受けつける形になるんですかね?」
「依頼はあちらの掲示板に張り出されます。
等級にあったものを選ぶのは基本ですので最初は下水道でどぶさらいや巨大ネズミ狩りとか、あとはベテランの方と一党に参加して一緒に依頼をこなすことを白磁の方にお勧めしています」
「…なるほど」
受付嬢にいわれて掲示板を見るが、やっていて達成感がありそうな依頼はなかった。
初心者の内は仕方がないことだが、やはりもっと難しいことをやりたい気持ちがある。
「…ん?ゴブリン、退治?」
下水道でのネズミ狩りなどの仕事が多い中、一枚だけ森での仕事がある。
ゴブリン、と書かれたそれは聞いたことがない種族だった。
「すみません、このゴブリンってのは何でしょう?」
「え?ゴブリンをご存じないんですか?」
「あ、はい。何分ド田舎通り越して野生的で原始的でほぼ秘境といっても過言ではないところから来たもので…。
ちょっと見たことないモンスターだったから、聞いてみたいなって思いまして」
何一つ嘘は言って居ない。
なにせハイテクノロジーとワイルドを足して二で割って、
よく分からない成分を足したせいで訳分からなくしてしまったような土地からきたのだから。
秘境通り越して魔境のような場所も少なくない。
「ゴブリンというのは背丈、力、知性は人間の子供並で、単体では最も弱いとされている怪物の一種です。群れで行動し、人を脅かし、村を襲い、女性をさらうなどの被害をもたらします」
「モンスターが女性を襲う?なぜ?」
「そ、それは…」
顔を暗くして言い淀む受付嬢になんとなくだが察したハンター。
大自然で暮らし、モンスターの被害から村を救ってきたハンターにとっては、違う意味で驚いた。
あちらのモンスターは、そう言った意図で人はさらわない。
運悪く捕食されるか、領域を犯してしまったがゆえに敵対行動とみなされ、殺害されるケースくらいしかないからだ。
しかし、ここでは違うらしい。
カルチャーショックに黙り込むハンターに、受付嬢は声をかけようとした。
しかしその前にハンターが思いっきり依頼文をカウンターにたたきつけた。
あまりの衝撃に、カウンターに置いてあったものが倒れ、
離れたところで飲んでいた男の瓶が揺れるくらいの振動に、誰もがそちらに注目する。
「…この依頼、受けます」
「ぇ、パ、パーティーは」
「ソロで問題ないです。
こいつら根切りにしてきます。」
「で、ですが、もっと熟練者の方と一緒じゃないと危険ですよ!」
「問題ないです。
全滅させてきます」
力強く断言するハンターに受付嬢もなにもいえず、
依頼は受理され、地図と依頼の詳細がかかれた書類を渡された。
もし、ハンターの隠された眼差しが見えていたら誰もが震えただろう。
その目は、刃のように鋭い殺意でみなぎっていた。
ハンターさんのぶちぎれ・・。
絶対このハンター狂竜化ウイルスに感染してる…バーサクハンター。
自然と共に生き、自然を狩るハンターさんにはショッキングな話なのかな、と予想しながら書きました。
余談だけどハンター世界の女性とか逞しすぎて誰も襲えなさそうだよね…ちゅよい