渡された地図を頼りに、ハンターは森の奥にある洞窟の前まで来た。
見たところゴブリンといわれるモンスターの姿はないが、ひどい悪臭が少し離れた場所からも漂ってきている。
「くっさ・・・ババコンガ並みに臭い…やっぱ全部狩らなきゃ…」
ハンターの殺意ゲージがさらに一つ上がり、
闘気がみなぎる。
しかしここで突貫するほどハンターも愚かではない。
予想以上に狭い入り口に攻めあぐねていた。
「あの狭さじゃ太刀は振り回せないなぁ…突きでなんとかするしかないか。
一応ナイフは持ってるけど…切れ味落ちるから使いたくないなぁ」
硬いモンスターからも剥ぎ取りが可能なナイフを狩りに持ち入るのはあまり好ましくない。
悩みながらも手持ちの装備を確認する。
常備している回復薬、回復薬G、砥石、解毒薬、閃光玉、音爆弾、肥やし玉、薬草、青キノコ、ハチミツ、生命の粉塵など、普段から持ち歩いているものは大体持っていた。
ハンターは忘れ物をよくするため普段からなんでも持ち歩いていたが、これが功を成したといっても過言ではない。
そのかわり整理されていないので取り出しに時間がかかってよく仲間に怒れていた。
「…消臭玉も欲しいとこだが、仕方ない。
ぃよし、突っ込むか」
とりあえず、洞窟の入り口まで行き中を確認する。
中は外以上の悪臭が漂っているが、我慢できないほどではない。
警戒しつつ、奥へと進む。
時刻は夕暮れで、これ以上遅くなると夜になり、危険度が増すことになるため、
迅速に処理していかねばならなかった。
「予想以上に狭い…片手剣とか双剣じゃないことが痛いなぁ」
刀を振り回すどころか、振り下ろすこともできない狭さにため息を漏らすハンター。
咄嗟に抜けないことを考慮し、事前に刀を抜き、臨戦態勢をとる。
中も暗く、罠製造用に持ってきていた雷光虫の光だけが頼りだった。
「…暗いなぁ。
吹き抜けじゃないのか…」
ハンターが足を踏み入れる洞窟は大抵吹き抜けになっているか、光苔などで夜でも明るいためこんなに暗い洞窟に立ち入るのは久しぶりの経験だった。
ドンドンと進んでいくと、道の真ん中に何やら不気味なものが置いてある。
それは小動物の骨で出来たトーテムのようだった。
暗くて判断がつきづらいが、そこで道が二つに分かれていた。
「…なんじゃ、これ。
目印・・・なのか?なんのだ?」
見たことがないトーテムに頭を悩ませるが、知識がないハンターにはわからず、
それよりも二つに分かれた道について考えを巡らせる。
「うーん、分かれ道かぁ。
どっちかが住処に通じてる道だろうが…分からんな。
とりあえず、この道を探索してから戻るか」
あまり深くは考えず、とりあえず目立つトーテムがある道を進む。
挟撃される恐れもあるが、それはどちらを進んでも変わらないとの判断だった。
ならば、怪しい選択肢を確実につぶすことの方が先決だった。
「それにしても…ゴブリンってのはどういう生命体なんだ?
子供並っていうけど…子供並の奴らが大群になって襲ってきたらなかなか脅威だよなぁ」
こんな仕事を駆けだし用の依頼に置くのだから、なかなかこちらの世界のギルドも鬼畜だと飽きれる。
もっとも鬼畜度的に言えばハンター世界のギルドも負けてはいないが、と苦笑する。
「って、噂をすれば…てな」
ハンターは立ち止まり、刀を鳴らす。
後ろから小柄な足音が複数近づいてきているのが分かった。
隠密行動をしているつもりなのだろうが、歴戦のハンターにはバレバレだった。
「そ、こだぁッ!」
長い射程を生かし、太刀を思いっきり突きだす。
それは見事に命中し、鋭い突きがなにかを貫通する鈍い音が洞窟に響く。
「Guaa!」
断末魔を上げて倒れる緑色の人型のモンスターに、ハンターは身じろぐ。
しかしあとから蝗のように現れるモンスターにハンターはゴブリンにつきだしたまま、刀を横に薙ぎ、そのまま複数引き裂く。
「ッ!
キリがねえな、これは!」
前の敵をつき殺していると、背後からも複数の足音が聞こえる。
懸念通り挟撃にされたことを悟り、舌打ちをする。
ハンターは前にいたゴブリンたちの中心に転がると刀を突きだし、薙ぐ、
更にはこちらに攻撃しようと飛びあがった個体を下から上へ切り裂く形で両断する。
「ぁー、これは確かにパーティー組んだ方が楽だわ。
ソロはきつい」
後ろか来た個体たちも合流し、乱戦状態になる。
その間もハンターは突き、裂き、斬り、そして
「…本気で双剣に乗り換えたいと思った…
でもこの格好で双剣にするとリアル忍者になる…いやだ、俺はサムライになりたいんじゃ…」
通路に襲来してきた個体はすべて撃破した。
さすがにハンデがあったので無傷とはいかず、石や矢などが頭部に直撃した。
「けど、これ他にもいるんだろうなぁ…どうやっていくか」
ゴブリンの死体たちを見つめながら悩んでいると、入ってきたほうの通路から足音が聞こえた。
ゴブリンとは違い、装備をしている誰かの足音のようだった。
切っ先をそちらに向け、闇の奥を睨んでいると、
その人物の輪郭がぼんやりと映し出された。
「…このゴブリンたちは、お前がやったのか?」
現れたのはみすぼらしいながらも歴戦の趣を感じる装備に身を包んだ鎧の青年。
こちらを見据えるその姿に、隙はない。
「そうだけど…あんたは?」
見据えかえしたハンターに、鎧の青年は答える。
「…ゴブリンスレイヤー」
ハンター世界の洞窟広すぎぃ!
太刀が振り回せる環境とか素晴らしいよね。
乱戦になると本領を発揮するのは太刀の良いところだけど、
味方まで転ばせちゃうのはご愛嬌。
わざとじゃないんやで・・・
流石に振り回せないので突きとつき上げで頑張っていただきました。
実際この縛りでやると死ぬほど時間かかりそうですね