【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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プリズマ・コーズ防衛戦 あとしまつ その1

 人間何処から語ればいいかわからないものは色々ある訳だが、とりあえずあの特異点ことプリズマ・コーズにて起こった後始末について話そうと思う。

 闇の書の一件というかその過程で発覚した月のムーンセル・オートマトンの存在に各国政府は頭を抱えたのは言うまでもない。

 その上、『俺達のいる世界』の月にはそんなものが無い事まで分かり、安堵したと同時に残念に思っているふしがありありと。

 米国を始めとした大国が急に月面探索を名目に宇宙開発予算をつぎ込みだしたのは間違いなくこれが理由だろう。

 

「まぁ、無いと分かっていても、実際に見てみないと人間納得しないですからねぇ」

 

 当たり前のように居るBBちゃんの言葉に俺は苦笑するしか無い。

 マントをつけておパンツ丸出しなんだが、言わないのがマナー。

 何で彼女がこっちにやってきたかというと、ムーンセルに突っ込んだ闇の書の処理過程で、別世界に送ったFGO世界線経由で俺の世界線を見つけたらしく、だったら知己であるBBちゃんにこの一件を押し付けたという事らしい。

 要するに、闇の書というウイルス駆除にFGOBBちゃんというウイルスを注入するという毒を以て毒を制すような顛末に聞いていた俺は苦笑するしか無い。

 

「とは言いながら、ムーンセルにアクセス権あたり残しているんじゃないのか?」

 

「センパイが私のことを高く評価してくれるのは嬉しいのですけど、アレはそこまで甘くないんですよ」

 

 BBちゃんは否定するが、それを確認することができない以上彼女の言葉を信じる以外にないわけで。

 なお、このムーンセルについて驚愕したのはもちろん時空管理局。

 彼らはムーンセルがある世界に行けるので、ロストロギア認定して回収しようとして見事に返り討ちにあったとか。

 ざまぁと笑いたい所だが、事情を知っている俺に対して色々と圧力が。が。

 それを防ぎつつ、火に油を注いでくれるBBちゃんマジBBちゃん。

 

「で、闇の書は結局どうしたんだ?」

 

「あれ、結局分解『は』しましたよ。

 サンドボックスとして利用したサクラ迷宮内にて、かの闇の書はあわれBBちゃんに分解されました。

 めでたしめでたし」

 

だそうだ。

 彼女の言葉を信じるならばだ。

 

「闇の書ってさ。

 無限転生機能がついていたんだがなぁ。

 バラした時点で転生していると思ったが」

 

 ぽつりと俺が核心情報を言う。

 BBちゃんの笑顔は揺らがない。

 

「へー。

 そうなんですか。

 それは知りませんでした。テヘペロ♥」

 

 しらを切るBBちゃんに俺は少しずつ手を詰めてゆく。

 相手が相手だけに今回の探偵は細心の注意を払わざるを得ない。

 

「ところでさ、闇の書の使用者の少女。

 何処からやってきたんだろうな?」

 

「何処からですか?」

 

 叢雲の艦内後部。

 ロリンチちゃんの異界にて作られた談話室だからこそ、盗聴も妨害もない。

 それは同時に、何かあったら助けを求めるのに手間がかかる事も意味する。

 

「無限転生機能。

 多分、時空を越えて適正者を探す機能もついているんだろうなぁ。

 ハックを仕掛けるならば、さぞ好都合のタイミングだろうな」

 

「センパイ。

 私の話聞いています?

 サクラ迷宮であの闇の書は解体されたって言いましたよね?」

 

「ああ。

 あれは君の城でもあるからね。

 あっそこだったら、色々できるだろうなぁと思っただけだよ。

 たとえば、20世紀初頭の大英帝国ロンドン、科学でも魔術でもない、蒸気の国のお姫様のデータを受け取る程度の事はできるんじゃないかなと思ってね」

 

 BBちゃんの空気が変わる。

 だと思った。

 

「センパイ。

 あの娘の事知っているんですかぁ?

 相変わらず、手が早いんだからぁ♥」

 

「そうでもないさ。

 彼女には熱狂的なファンが居てね。

 彼が本人を連れて行くのを望まないだろうと思っただけさ」

 

 某TRPGなら、ここでSANチェックだろうな。

 ぽろりと服の裏に貼ってあった状態異常回復の鎮心符が灰になり床に落ちた。

 

「闇の書の今回のマスターな。

 多分管理局内部の人間だったんだよなぁ。

 それも、かなりやばめの話で、記憶転写型クローンを作り出す研究のおそらくはプロトタイプだったのかなぁと」

 

 後始末の為にプリズマ・コーズにて会談する事になった管理局のギル・グレアム提督に話を振ったら、ほぼ黒でしたよ。

 そりゃ、プロジェクトFの初期素体がこんな事になったら、計画は捨てられるわな。

 知っているのを良いことにカマをかけてみたら、向こうの動揺がえらいことに。

 ムーンセルに絡まない事を条件に管理局側から大幅譲歩を引っ張り出せたので、多分間違いないと思っている。

 尤も、奴らでムーンセルをどうにかするリソースはもはや無いので、いずれ放置確定という所に落ち着くだろう。

 

「そのマスターと今回、ムーンセルからやってきた少女の顔が違うんだ。

 どうしてなんだろうなぁ?」

 

 おそらくは、マスターの少女をムーンセル内部で情報分解した上で、闇の書の無限転生機能の応用で彼女のデータをコピーしたのを記憶転写クローンである彼女に落とし込んだ。

 ムーンセルという化物演算機と、送信元の無理を押し通す何かがなければできない力技だろう。

 という訳で。

 ネタバラシタイムといこう。

 

「で、BBちゃん。

 今日はつけていた髪飾りしていないんだね。

 星5のやつ」

 

「……こういう時、こう言うべきなんでしょうね。

 『センパイのような勘のいいマスターは嫌いです』でしたっけ?

 いつから気づいていました?」

 

「最初から。

 あの娘、知っているんだよ。

 その物語も、誰のお気に入りかもね」

 

「なーんだぁ。

 わざわざ騙そうとカマトトぶった私が馬鹿みたいじゃないですかぁ♥」

 

 BBちゃんが笑う。

 妖艶に、獰猛に。

 BBホテップとして。

 

 ニャル様侵食率 25%

 

「で、わざわざこの遊び場にやってきたのはどういう理由で?」

 

「決まっているじゃないですか♥

 こんな格好の遊び場を独り占めなんてずるくないですか?

 私も遊びたーい♥」

 

 だと思った。

 俺は立ち上がる。

 彼女との話はこれでおしまい。

 

「好きにすると良い。

 手を出さないし、出すつもりもないよ」

 

「あら。

 絶対討伐すると密かに戦闘準備に入っていたのですが♥」

 

 テヘペロと笑うBBちゃんだが、目がしっかりと赤である。

 そんな彼女に、同業者として俺はひと声かけた。

 

「仕える神が違うとは言え、振り回されるのは同じだからな」

 

 アンコ女神とニャル様。

 たぶんどっちもどっちだと思いながら、俺は部屋を出る。

 なお、案の定BBちゃんはいつの間にか姿を消していた。

 医務室で寝ているメアリ・クラリッサ・クリスティを残して。

 次に会う時は多分、日本にやってきた時だろうなぁ。

 あのアマテラス様、キャス狐の情報も持っているし……




この世界の月
 ムーンセル無し 月の都あり


↑ BBちゃん派遣 メアリをやる夫に引き渡す


ムーンセルがある世界 月の都なし
 ムーンセルあり ここに闇の書が突貫してきた
 BBちゃんニャル様汚染
 闇の書とマスターを使ってメアリ・クラリッサ・クリスティを構築


この世界の移動ができるのは現状管理局のみ



プロジェクトF
 『魔法少女リリカルなのは』でフェイト・テスタロッサを生み出したプロジェクト。
 途中で頓挫し、その計画を引き継いだのがプレシア・テスタロッサ。

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