【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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後始末と次の準備

 平崎市の後始末の話を語ろうと思う。

 藤原市長は生き残った。

 今ここで彼が失脚すると天海市の方まで飛び火するからと、ファントムソサエティーとガイア教の方で手打ちが結ばれたらしい。

 ガイア教はここに拠点を構築し、ファントムソサエティーはここから撤退する。

 警察の方は神奈川県警から署長を派遣するが、現場を知る百地警部を出世させて副署長扱いにしたとか。

 平崎市という市政については混乱はあったが、ともかくいままで通りという訳にもいかず、その穴はガイア教徒が埋めることになった。

 とはいえ、あれで穏健派なガイア教徒である聖白蓮は、自助努力による救済を掲げ、自治会や見回り活動を通じて悪魔討伐と市政再生を目指すらしい。

 そんな活動を支えるのが、現地勢力の葛葉キョウジとレイ・レイホゥ。

 それに修行中の対魔忍コンビの水城不知火と井河アサギである。

 せめて頭対魔忍が治って欲しい所だが、無理だろうなぁ。

 一方で、シエル先輩は後始末の見回りが終わったら、関東周辺の吸血鬼討伐を狙うらしい。

 となると、標的はデータをやったエドウィン・ブラックか、麻帆良学園のエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルなのだろう。

 俺達なのだが、拠点としてホテル業魔殿の部屋は残すことにしている。

 悪魔関係のオフィスとして、留守はメアリさんがやってくれるらしい。

 

「ほぉ。

 これがあんさんの船霊ですか」

 

 横須賀に戻った俺達に天ヶ崎千草はついてきた。

 籍がある関西呪術協会の連絡員としてであり、船の乗員としては従軍神官としてである。

 きちんと祀る事で叢雲やステンノをこの世界になじませる事ができるだろう。

 

「ああ。

 まだ改造中みたいだけどな」

 

 艦内に入ると、自衛隊員が敬礼して出迎えてくれる。

 自分が艦長という自覚が湧いてくるが、中に誰か自衛隊員以外の味方を入れたかったのも事実である。

 

「おかえりなさい。艦長。

 船の改造終了にはもう少し時間がかかりそうです。

 そちらの方は?」

 

「はじめまして。

 艦内神官としてこちらに厄介になる天ヶ崎千草と申します。

 どうぞよろしゅうに」

 

 副長代理の新島三佐と天ヶ崎千草が挨拶。

 そのまま、改造の進捗状況を聞く。

 

「艦橋下の無線室を取り払って、電子機器室を設置しました。

 設置するレーダーはあぶくま型と同じものを用意しています」

 

 そのまま図面を見せる新島三佐。

 少し図面が変更になっていた。

 

「で、お願いがあるのですが、後部の5inch砲を撤去できないでしょうか?

 取り払えると、そこにヘリの着艦スペースが作れます」

 

「だそうだ。

 叢雲。頼む」

 

「いいわよ。

 やってあげる」

 

 元々叢雲の装備はナノマテリアルで固定化されているから、叢雲の意思で装備の取り付け取り外しが可能ではある。

 とはいえ、今の改造みたいに後からつける装備についてはナノマテリアル化ができないから一々ドックに入らないといけない不便さもあるのだが。

 これで後部の5inch砲が撤去され、そこにヘリ用の着艦スペースを設置。

 25mm三連装機銃集中配備は空いている魚雷発射管スペースに設置される事となった。

 

「それと、一つ困った事が」

「何だ?」

「見てもらったほうが分かると思うのですが、冷蔵庫に……」

 

 あっ……

 三人揃って館内に設置した大型冷蔵庫のドアを開けると、

 

「ヒーホー♪」

 

 また湧いたジャックフロストが叢雲のとっておきのアイスを食べていた。

 激怒した叢雲に恐れをなしたジャックフロストが、仲魔にしてくれと頼み込んだのは言うまでもない。

 艦内神官がいるという俺の言葉を新島三佐が納得してくれたおまけもついてきた事をついでに書いておこう。

 

 

 

「めずらしい客が来たものだ。

 とりあえず歓迎はするよ。

 ようこそ。

 『伽藍の堂』へ」

 

 挨拶と共に俺に握手をするのは『伽藍の堂』の主である蒼崎橙子。

 俺と叢雲とステンノの三人での訪問だが、結界がはってあったらしく入り口前で主自身が待ち構えていた。

 型月世界屈指の人形師なのだが、その視線はじっと叢雲に注がれていた。

 

「お前が付喪神を手に入れたとは聞いていたが、これは人間そのものじゃないのか?」

 

「さてな。

 そもそも何を人間とするか、その定義からこれからは揺らぐかもしれん。

 その前に、突然の訪問の侘びをかねてこんなのを持ってきた」

 

 俺が合図をすると、叢雲が紙袋から人形を取り出す。

 ヒーホーくん人形である。

 

「これはこれで中々愛嬌があるな。

 まぁ、いいだろう。

 詳しい話は中にはいってからしよう」

 

 しばらく他愛のない話をした後で、俺は本題に入る。

 

「人形を作って欲しい」

 

 そしてステンノが袋から取り出したのはドリー・カドモン。

 明らかに蒼崎橙子の目の色が変わる。

 

「何だこれは?」

「で、これから生まれたのがこれだ」

 

 俺はそう言って、ホテル業魔殿のメイドのメアリを見せる。

 それを見た彼女はメガネを外して俺に問い詰める。

 

「待て。貴様。

 こんなのは『私の世界』には無いはずだぞ。

 貴様第二魔法でも手に入れたか?」

 

 おお。

 そこに気づくのか。実に素晴らしい。

 頼みに来たかいがあったというものだ。

 

「手に入れたというより、押し付けられたというべきかな。

 これからどんどん貴方が知らない人形技術が世に出てくるだろう。

 それらの技術を知りうる限り教えることを約束しよう」

 

 おれはそこから冒頭転生シーンを話すと、彼女は大爆笑した。

 

「あははははははははは……

 転生に、ハルマゲドンに、千年王国だと!?

 だが、分かるぞ。

 聞けば聞くほど、その話が『当たり前の知識』として私の記憶に刻まれてゆくのが。

 つまりあれだ。

 お前は神か悪魔の遊びの駒という訳だ!

 そんなのに私を巻き込むという訳だ!!」

 

「ご明答。

 そして世界にはそれぞれ無数の人形技術がある。

 楽しいだろう?」

 

 俺がニヤリと笑えば、彼女もニヤリと笑う。

 魔術師の取引は等価交換だ。

 

「で、どんな人形を作れと?」

 

 俺は彼女の前でアームターミナルを操作する。

 悪魔召喚。

 それに気づいたからこそ目を見開いた。

 

「待て待て待て!

 今、何をした!?

 貴様、その機械で根源から情報を引き出したというのか!?」

 

「なるほど。

 『貴方の世界』ではそういう解釈になるわけだ」

 

「鬼女。

 文車妖妃と申します。

 何か御用でしょうか?サマナー」

 

「お前を人形の中に入れる」

 

 COMPが狭くて、戦闘外補助悪魔である彼女の枠がきついのだ。

 それを告げると文車妖妃は目をランランと輝かせて言い切る。

 

「まぁ。

 じゃあずっと一日中神殿で本が読み続けられるという訳ですね♪」

 

「自重しろ。馬鹿。

 さて、人形師。

 人形制作の値段はいかほどか?

 制作期限は半年後。

 お聞かせ願いたい」

 

 蒼崎橙子はしばし考え込み、やがて結論を出す。

 

「一億。

 それと、このメイドを作った奴に会わせろ」

 

「了解だ。

 小切手でいいならこの場で支払おう」

 

 俺自身の金もあるが、天童組の壊滅時に彼らの隠し口座のいくつかをちょろまかしていたのである。

 ヒーホーくん人形はその時発見したものだったりする。

 ありがとう。

 ハイピクシーのスキル『宝探し』よ。

 

「半年後というのはあれか?

 冬木の聖杯戦争に乗り込むのか?」

 

 小切手を確認した蒼崎橙子に俺はわざとらしく肩をすくめた。

 さもいやいやという感じで。

 

「聖堂教会とは別の監視役さ。

 お役所仕事という奴でね」

 

 

 

 俺達が帰ってきた時、天ヶ崎千草は階段に塩をまいていた。

 

「今戻ったが、何やってんだ?」

「えろうすんまへんな。

 胸糞悪い客が来まして。

 関東魔術協会のシスター・シャークティと名乗らはったんで追い返した所ですわ」

 

 このあたり原作というか二次創作と言うか分からないが、とりあえずそのあたりの関係改善も進めておかないといけないなと、俺は心に誓った。




ヒーホーくん人形
 『デビルサマナー』のアイテムの一つ。
 コインロッカーで入手できるのだが、ネットにはついに何に使うか分からず。
 贈答品となった。

蒼崎橙子
 『空の境界』の人形師。
 やる夫がいける世界には、アリス・マーガトロイドや月村忍、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルや学園都市があるのでどんなメイド人形ができるか楽しみである。
 鹿角さんか武蔵さんまでの道は多元世界を渡り歩いても遠い。
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