【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
A HUGE BATTLE SHIP
YAMATO
IS APPROACHING FAST
太平洋八丈島沖自衛隊訓練空域。
「太平洋上より接近中の所属不明機は五機、二個編隊。
コールサイン『シルフ』 『シルフィールド』本土に接近中!
展開中の艦艇は迎撃体制を取れ!!」
「要撃機上がりました!
百里よりF-15二個編隊四機。
米空母『インディペンデンズ』より、F-14一個編隊とF-18一個編隊四機!
あ、今、厚木よりF-16一個編隊二機が飛び立ちました」
日米演習艦隊『インディペンデンス』の命令の後、叢雲の報告を俺は艦橋で聞く。
連れて帰った戦闘妖精少女達に自衛隊は何度目かになる激震に揺れに揺れた。
こんな女の子が無人戦闘機になるなんて。
というか、さらりとヘリ空母を指揮下に入れるんじゃねえとか色々である。
で、当然彼女たちの性能を知りたいという訳で、この訓練である。
航空自衛隊に海上自衛隊に在日米軍参加の大規模な訓練はこうして始まった。
それを俺は『叢雲』艦橋から眺める。
「しかしでかいですね。あれ」
「まったくだ」
美野原主席幕僚に俺は頷く。
米空母のデカさに負けない『やまと』を見ての感想である。
今回の訓練において米空母『インディペンデンス』、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦 『ヴィンセンス』、スプルーアンス級駆逐艦『イェルケル』が参加している。
このうちの『ヴィンセンス』は海軍戦術システムを入れ直して、『イェルケル』は艦長以下人員を入れ替えての参加である。
一方でこちら海自側、『叢雲』『浜風』『ジャンヌ・ダルク』の三隻に、『やまと』『みらい』『うらかぜ』の三隻が参加していた。
もちろん、ゲートがらみの技術を提供したトライデントの全面支援協力下で行っているので、この訓練データも持っていかれるのだろう。
現代戦は、訓練ですらカネがかかる。
というわけで、『インディペンデンス』を中心に輪形陣を展開した日米訓練艦隊は、アグレッサー役として艦隊を突破して首都圏に向かうよう指示をだした戦闘妖精少女達の実体化機との模擬戦が始まることとなった。
F-15
レベル20✕4=80
F-14
レベル8✕2=16
F-18
レベル12✕2=24
F-16
レベル5✕2=10
合計130
スーパーシルフちゃん
レベル12
メイヴちゃん
レベル56
シルフィールドちゃん
レベル56
ファーンちゃん
レベル23
ファーンⅡちゃん
レベル32
合計179
勢力比 4:6
結果
1 日米航空隊勝利 戦闘妖精少女撃墜判定
2 同上 戦闘妖精少女撤退判定
3 同上
4 勢力拮抗
5 戦闘妖精少女勝利 日米航空隊撃墜判定 艦隊に接近
6 同上
7 同上 艦隊に接近
8 同上
9 勢力拮抗 メイヴとスーパーシルフの2機のみ艦隊に接近
10 熱烈歓迎
結果 1 日米航空隊勝利 戦闘妖精少女撃墜判定
日米航空隊撃墜機数8機
性能はファーンちゃんたちで互角、シルフィールドちゃんたちでは上回っていた。
その上無人で操るから、人間の対Gを気にすることもない。
突破されてからが勝負と思っていたのだ。
その報告を聞くまでは。
「交戦開始。
……『シルフ』『シルフィールド』撃墜されました」
「へ?」
叢雲の報告を呆然と聞く俺が居た。
後で知ったが、空自の連中はトップエース連中を連れてきたらしい。
シルフィールドちゃんとファーンちゃん・ファーンⅡちゃんの編隊がこの編隊を迎撃し、スーパーシルフちゃんとメイヴちゃんが逃げるつもりだったが、それが裏目に出た。
性能的には互角であるファーンちゃんとファーンⅡちゃんが数と連携で撃墜されると、シルフィールドちゃん一機で持ちこたえられずに数機道連れに撃墜される。
スーパーシルフちゃんとメイヴちゃんは迎撃に踏み切るも、三倍差の機数の連携に翻弄された上に、『シルフィールド』を叩き潰したF-15が戻ってきて詰みとなった。
結果しては、『数』が『質』を押しつぶした戦いとなったが、得られたデータはそれぞれ考えさせられるものだったらしい。
今回の訓練のスポンサーである『トライデント』のラリー大佐の言葉を引用しよう。
「こっちは、育成に手間のかかるパイロットを八人失う計算で、向こうは機体のみだ。
このキルレートならば、数を揃えればこちらの航空戦力は最終的に消耗されますよ」
原作の『戦闘妖精雪風』がまさにそのとおりの展開になったな。
この世界では最悪クローン兵でパイロットを賄う事も……何処の『クローン・ウォーズ』だよ。
「やっぱり、まだ人間は要るな」
とはいえ、極まった人間相手に無人機は分が悪いという事を証明した戦いでもある。
彼女たちを航空戦力として運用するのならば、パイロットを乗せたほうがいいだろうと判断せざるを得ない。
何処からそのパイロットを連れてくるかで海自・空自・在日米軍あたり壮絶に揉めるのが目に見えて、俺はため息を隠すこと無く吐いたのだった。
なお、今回の訓練一番の見せ場およびツッコミ所はこの後だった。
「じゃあ、皆さん戻ってきてくださーい」
「「「「「了解」」」」」
ヘリ空母『ジャンヌ・ダルク』に突っ込んでゆく戦闘妖精少女機体フォーム。
そのまま突っ込むかと思われたその時、機体フォームを解いて魔法少女として甲板に着地。
「「それありなのか!?」」
と日米両軍が突っ込んだのは言うまでもない。