【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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麻帆良学園訪問 その2

 偉くなるというのは身分ができるという訳で、身分ができるという事はしがらみが生まれるという訳だ。

 ヤタガラスの一員設定だとそのあたり問題にならないのだが、一国の、しかも経済大国の一省庁の局長クラスともなると、そのしがらみも色々とあると俺は羽柴茂光の話に感心するしかない。

 

「ここに来た表向きの理由として、次期宮内省技術総括審議官が懐に収めた千二百億円の行方というのがあるのですが、それも上から触るなとお達しがありましてね」

 

 この千二百億円のうち、聖杯戦争の後始末で政府要人にばらまいた金の一部として言峰綺礼からもらったのが一千億円。

 こっちは東京湾の発電所建設資金として綺麗に使い切っている。

 残りの二百億円はハイデッカー製造に絡んで、ヨロシサン製薬から送られてきたやつで、返却したけど戻ってくるブーメランみたいなものに成り果てていた。

 

「返せと言われるならば返すが?」

 

 英雄王の所在がわかっている今、残っている二百億円を種銭にすれば一千億円程度はすぐに集められるだろう。

 英雄王もそういう意味合いで『できたら呼べ』と言っていた訳で。

 

「触るなと言われた金に触れて、次期宮内省技術総括審議官の背広に黒いシミをつけたくはないですよ。

 俺が聞きたいのは、貴方が建設を進めている東京湾の発電所建設に関わっているゼネコン各社についてなんです」

 

 大体羽柴茂光が来た理由が読めてきた。

 澤田武志議員とは接点がないと思っていたが、そんな所に絡みがあったか。

 

「建設費用の水増しで、その差額分が澤田議員の所に行っていると?」

「ご推察の通りで。

 で、手繰るとアンタッチャブルな資金と来たもんだ。

 触りはしないけど、話ぐらいは聞いてもバチは当たらないでしょう?」

 

 とてもいい笑顔で羽柴茂光は笑う。

 これ、ゼネコンを突けば連鎖的に俺まで巻き込まれるように、わざと澤田議員が仕組んだのだろうなぁ。

 とはいえ、澤田議員と羽柴茂光との関係は知っているので、止めようがないとというか止まらないと言うか。

 

「話す前に確認したいが、こっち側の話はどこまで聞いている?」

 

 

羽柴茂光のオカルト知識100ほど詳しく知っている。

 結果 47

 

 

「まぁ、こんな部署に居る訳ですからそれなりには。

 冬木の件も政府に提出した貴方の報告書は読ませていただきました」

 

「なるほど。

 それならば分かると思うが、一千億円の出処はあれに絡んだ宗教団体からだよ」

 

 物騒な話を車内でよくできるものだと我ながら思うが、俺達の回りに叢雲やステンノや蒼崎橙子やオルガマリー・アニムスフィアやメアリ・クラリッサ・クリスティや東風谷早苗やクロエや朔月美遊や朔月陽代子が談笑しているわけで。

 この車内いつから女性専用になったのやらというか、男二人の異物ぶりがすごい。

 

「その件で俺を捕まえると、内務省と宗教団体と海上自衛隊が敵に回ると?」

「米国と英国も支援してくれるだろうな」

 

 しがらみも悪い事ばかりではない。

 現在の俺ならば、手を差し伸べてくれる組織が多くあるという事でもある。

 もちろん、それ相応のお返しはしないといけない訳だが。

 

「ちなみに、自衛隊内で進んでいるある噂については聞いているかい?」

 

「ええ。

 省庁再編と政権交代にともなって、決起の理由を失って絶賛迷走中だとか」

 

 『民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除けばだが』とは英国宰相ウィンストン・チャーチルの言葉だが、それはしっかりとこの国でも機能していた。

 政権交代の結果、利権の中で腐っていた連中が野党になった為に力を失って失脚し、不平不満はその権力者の没落というショーによって沈静化していたのである。

 一方で、政権の座についたばかりの野党連立政権はその権力の毒にのたうち回っていた。

 溺れる以前の問題で、官僚の組織的抵抗、業界の消極的不服従、自分がしていただけに攻め所をよく知っていた野党のスキャンダル攻撃に右往左往するばかり。

 そんな状況で実権を握った澤田議員は只者ではなく、彼に乗っかって省庁再編を仕掛けた室戸文明次期宮内省事務次官も只者ではない。

 

(なるほどな。

 室戸次官がなんで宮内省なのかやっと理由がついた。

 あの人、やり過ぎて内務省から飛ばされたんだ……)

 

 飛ばされたのか、飛ばされる前に自ら飛んだのか分からないが、俺の推測は当たらずとも遠からずという所だろう。

 

「君が澤田議員を追うのは止めやしないが、巻き込まれるのは少し困るな。

 とはいえ、来てもらった分ぐらいの礼はしないといけないか。

 このままついてくるといい。

 それ相応の知り合いを紹介しておこう」

 

「ありがとうございます。

 余計なお節介と思いますが、その千二百億円はすみやかに返却しておいた方がいいと思いますよ。

 次期の文字が取れるまでぐらいには」

 

 そんな話をしていると駅に着き、ドアが開くと麻帆良学園の女子高生が一人俺たちのドアから乗ってくる。

 おかしいな。

 人払いの結界は張ってもらったはずだが……

 こっちが考えているとさらりと叢雲以下ほとんどの連中が戦闘体制に入っている。

 そんな事を気にしない金髪メガネツインテールな女子高生は一言。

 

「そこ。

 あたしの場所なんですけど。

 おじさん」

 

 結構いいダメージを心に受けたが、女子高生は気にせずにっこり。

 羽柴茂光笑うんじゃねぇ。

 

「あたしの名前は高木嘉子。

 まぁ、行き先は同じみたいですし、よろしくね。おじさん♪」

 

 高木嘉子。通称『かっこ』。

 その正体は、魔人ヴィゼータである。

 知ってか知らずか、羽柴茂光が一言。

 

「貴方もその年で女子高生は少し痛いというか」

 

「あ!?」




英雄王による資金返済
 黄金律A利用。
 その場合、このギル様プレジデンテになる。

魔人
 メガテンの魔人と『お・り・が・み』の魔人は少し違うが強さとかはその時のサイコロ次第。

ヴィゼータ
 戦後生まれの魔人。
 下手すると三十路どころか四十…くぁwせdrftgyふじこlp

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