【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
麻帆良大学にある超鈴音の研究室。
俺と叢雲とステンノとマシュだけという条件でこの部屋に入っている。
魔術的な結界が幾重にも張られており、麻帆良学園側の警戒すら想定しているのだろう。
「やあ。マスターくん。
私からみるとこういう言い方になるけど勘弁してくれたまえ。
久しぶりだね」
超鈴音が持っていた記憶媒体から再生されたモニターの中のダ・ヴィンチちゃんは、いつものと変わらない笑みを浮かべていた。
「まずは君たちが知りたいことから先に言おう。
この世界線では、カルデアはこちらの世界に付くことを選択した。
多くの人間が生き残ってしまった為に、藤丸立香を皆が信じられなかった。
そういう結末の世界線だと思ってくれるとわかりやすい。
カルデアは解体され、英霊は座に帰り、行き場が無かった彼女を助けたのが麻帆良学園であり、そこから先は言わなくてもいいだろう?」
知っているだけに納得する未来予想図だった。
世界の命運なんてものより、人は自分のことを大事にする生き物だ。
彼女がグランドマスターに成る前だったからこそ、多くの生存者たちは彼女を引きずり落とした。
多分、自分たちが何をしたのかも分かっていないし、この世界線についた時点で記憶の改竄が発生しているから覚えても居ないだろう。
「私は藤丸立香が居たカルデアのダ・ヴィンチちゃんだ。
冬木の時もモニター越しとはいえ会っているからとはいえ、私的には本当に長い時間ぶりの再会だ。
そういう物言いと割り切ってくれたまえ。
麻帆良学園、いや君から聞いた『ネギま!』の世界に私が残ったのは、藤丸立香くんの事もあるけど、後になって知り合った超鈴音の存在が大きい。
そして、私達は情報を出し合って、一つの結論に行き着いた」
そこで一呼吸おいて、ダ・ヴィンチちゃんはその結論を言う。
「君が言っていた駄女神様。
その彼女がやらかした最大のガバがこれだよ」
空気が緩む。
俺自身『まぁ駄女神だし』と悟りつつあるが、今度は何をやらかしたのやら。
「君自身は自衛隊のクーデターの発生。
もう少し言うと、米軍の核ミサイルの発射阻止に的を絞って行動していた。
そして、そのイベントをラストとして駄女神は君たちという駒を盤上から回収したのさ」
あ。
そういう事か。
すとんと納得する俺が居た。
おそらくはゲームクリアという形で物語を終わらせた訳で、俺たちについてはハッピーエンドという形で終わらせているはずだ。
問題は、ゲームクリア後も物語というか歴史は続くというわけで、その時間軸に収まらなかった超鈴音という存在が、未来からこれを伝えに来るというのは何という皮肉だろうか。
「勘違いしないでくれ。マスターくん。
君に全ての責任を押し付けるほど私も恥知らずではないよ。
けど、私達は話し合ってこの女神のガバにつけ込むことにした。
マスターくん。
気づいているかい?
超鈴音くんはね、タイムパラドックスを覚悟の上で、この世界にやってきている。
つまり、そういう事が君たちのハッピーエンドの後に発生したという事さ」
一度視線を超鈴音に向ける。
彼女はただ黙って首を振った。
「残念ながら、大洪水が発生してミレニアムが出現した」
衝撃を受けなかったと言えば嘘になる。
とはいえ、なまじ色々なものを混ぜすぎたので、そのどれかがやらかせば大洪水が発生するレベルになるだろうと納得する俺が居た。
「知っての通り、『ネギま!』世界は火星も舞台にしている。
生き残った人類でミレニアムに抵抗する人達は火星に行き、そこで地球奪還を目指している。
まぁ、そんな所さ。
で、マスターくん。
君、火星を舞台にした物語知っていたよね?」
いやな汗が出る。
うん。
知っているさ。
二次創作散々読んだし。
「『遺跡』。
聡明な君ならこれで分かるだろう?」
「やりやがったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ニヤリと笑うダ・ヴィンチちゃんに絶叫する俺。
からくりを知っている超鈴音以外は呆然とするばかり。
「そうなんだよ。
『遺跡』だったんだよ。
駄女神様が用意したはいいが、そこに行く手段がないとして設定だけ入れちゃった結果、『ネギま!』世界が火星だという事を忘れていたという訳さ。
我々がこうやってなんとか生きているのも、木星のプラントのおかげでもある」
『ネギま!』二次創作は基本学園祭あたりで力尽きるかオリ設定に移行する。
そこから先の魔法世界編が終わる頃には、『ネギま!』二次創作のブームが終わっていた。
材料選定者である俺は、魔法世界が火星であるとは知っていたが、そこまで行くつもりもないし、ダ・ヴィンチちゃんの指摘どおり核発射だけを防げばいいやと放置したのである。
で、そんなブーム時に同じく二次創作が盛り上がって、読みふけっていた作品の名前は『機動戦艦ナデシコ』。
さすがに時代が違うと弾いていたつもりだったが、『遺跡』関連は遺跡だからこそそこに存在しているという訳で。
完全に盲点だった。
「マスターくん。
君の驚く顔が目に浮かぶけど、トドメを言わせてくれ。
超鈴音くんはね。
カシオペアの技術と遺跡の技術を理解して時空跳躍機を完成させた、A級ジャンパー。
いや、この超天才ダ・ヴィンチちゃんが認定したただ一人のS級ジャンパーなんだよ」
超鈴音の母親が藤丸立香で無かった場合、この話は生まれなかった。
そうなんだよなぁ。
人類が到達していなくても、遺跡だからあるよなぁ……
つまり?
『ゼロの使い魔』とか『魔法科高校の劣等生』とか遠慮なくぶちこめるよ。やったね♪
作者の負担は加速度的に増える模様。