【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
帰りの電車の中。
この車内にいるのは、俺、叢雲、ステンノ、マシュ、羽柴茂光、ヴィゼータのみ。
朔月親子とクロエと東風谷早苗とメアリ・クラリッサ・クリスティは麻帆良学園都市のホテル暮らしから学校生活を始め、近くアパートを買ってそこに引っ越す予定だ。
基本荷物を持たない彼女たちだからこその生活とも言えるだろう。
あと、蒼崎橙子とオルガマリー・アニムスフィアもしばらくはエヴァの水晶球の中で人形談義に花を咲かせるつもりらしい。
呼んだメディア・リリィも少し残ってこの話に加わるとか。
あの中にマシュ・茶々丸シリーズの生産工房があるので、そっちの立ち上げも行うつもりなのだろう。
「で、羽柴さんは何か収穫はありましたか?」
「そちらが引き合わせてくれた葛葉刀子さんの他に、タカミチ・T・高畑先生あたりともお知り合いになりましたよ」
さらりと麻帆良学園都市最強戦力の一角とコネを作っているのだからこの人物は基本有能である。
そして俺は疲労困憊のコスプレ女子高生に話を振る。
「そっちは……よく逃げ切れたな」
「はぁはぁはぁ…魔人なめんなってーの!
最後かなりやばかったけど」
ヴィゼータの言う最後とは、呪いの解けたエヴァの追撃の事で、クラスメイトとの再会に喜んでいたエヴァに降って湧いたこの要請にエヴァは大激怒。
全盛期のエヴァからの追撃を逃れきったのだから、ヴィゼータも只者ではない。
知っていたが。
「はいはいはい!
という訳で、提案!
ゼピルムとコネ持ちませんか?
お安くしておきますよ♪」
まぁ、鬼ごっこをしに来たわけではないだろうから、この勧誘はある意味当然だなと思った。
超鈴音とともに見たダ・ヴィンチちゃんの声を思い出す。
『……クーデターの阻止がそのまま世紀末救世主思想と絡んで、メシア教の勢力拡大に繋がった事を軽視せざるを得なかった。
そして、学園都市と麻帆良学園都市という2つの治外法権がこの時最悪の方向に動いたのが、決定打となった』
「対神殿協会か?」
「もっと大きく、対メシア教と言っても構いませんよ。
神殿協会は、メシア教の分派みたいなものです」
とはいえ、その武力はメシア教内でも随一だ。
十二の聖騎士団と対魔特化の異端審問会を抱えているからだ。
ついでにいうと、元アメリカ海軍から払い下げられたエセックス級航空母艦を改装した、強襲空挺艦『エンジェル・ストレージ』を運用する軍事力と経済力は無視できるものではない。
「そちらのおじさんも私と仲良くしておくと色々お得ですよ。
メシア教が何処にどれだけの金を政府に流しているか、こっちは探り出していますからね」
「つまり、澤田議員回りの金にそれがあると?」
目の奥が光った羽柴茂光を見て、ヴィゼータが挑発的に笑う。
彼女の口から聞こえたカラクリは、俺達の想像を越えていた。
「金というより、武力の方ね。
この国の自衛隊がクーデターを起こそうとしていたのはもはや周知の事実で、連立政権は不満を収めた自衛隊に未だ不信の目を持っているわ。
彼の取ろうとしている策は、闇と現野党が繋がっていた勢力の掃討で、それをメシア教徒に任せようとしている」
アマテラス様の属性は、天津神だからLIGHT - LAWで、メシア教に近いものが有る。
とはいえ、この国の守護者という事は秩序の擁護者としてメシアとガイアの争いには中立的行動に終始せざるを得ず、それで大洪水を止められなかったと俺は読んでいる。
少しずつ、この時間軸の未来が見えてきた。
野党の政権奪還を阻止するため、野党側の闇資金を潰そうと澤田議員はメシア教と手を組んだ。
多分だが、その時俺は既に消えていたのだろう。
かくして、この国の中枢にメシア教が広がる素地ができたと。
「条件は?」
「私を麻帆良学園都市の生徒としてあの学校に居られるようにしてほしい」
ヴィゼータは女子高生として名護屋河鈴蘭の友人として学校生活を送っていた事がある。
その時の名前は高木嘉子という。
それの意味する所を俺は察する。
要するに、今は未だ孤児院か親戚たらい回しの生活を送っているだろう名護屋河鈴蘭を麻帆良学園都市に迎え入れる工作の一貫なのだと。
「学園都市じゃなくて?」
「あっこは駄目。
うちらでも手を出したくないわ」
「だろうな。
俺も同じ意見だ」
あの都市そのものがアレイスター=クロウリーの魔術工房みたいなものである。
あの都市を攻略するのならば、それこそアマテラス様が漏らした木花之佐久夜毘売を使った富士山大噴火で東京壊滅を覚悟の上での勝負となる。
「いいだろう。
書類は用意してやるから、学園長以下の説得はそっちでしろ」
「ありがとう。
この関係が長く続くことを祈っているわ」
そんな事を言ってヴィゼータは止まった駅に降り、ドアが閉まると彼女は見えなくなった。
「いいんですか?
信じて?」
「信じる訳ではないが、麻帆良学園上層部の首の入れ替えは確定事項でね。
それに利用させてもらうさ。
向こうもこっちを利用するだろうからね。
そうだ。
そっちの伝手を使って一人の少女を探してもらいたい。
名字は『吾川』か『深山』か『木野』か、名前は鈴蘭だ」
孤児の上親戚のたらい回しの時期だから名字が確定できない。
とはいえ、元刑事でとびきり優秀な羽柴茂光ならば、見つけられるだろう。
「わかりました。
暇な時に探しておきますよ。
ではここで」
羽柴茂光とも別れて品川到着。
ここから京急に乗って横須賀に帰るかという時にそのアナウンスが聞こえてきた。
『運転は再開いたしました。
なお、これより先、列車の遅れ、行き先、待ち合わせ等変更がある場合がございます。
ご了承ください。お急ぎのところ大変ご迷惑をおかけしております。
電車は運転を再開しております。
なお、遅れが出る見込みですので、ご了承ください……』
あ。
逝っとけダイヤ発動してる。
結局その日の内に横須賀に帰れず、その日はホテルに泊まることになった。
シングルと三人部屋でなくツインルームの四人使用を注文した叢雲はいい感じに俺の趣味に毒されていると思った。
エンジェル・ストレージ
地球限定のアースラみたいなもの。
転移魔術で敵艦へダイレクトアタックをカマしてくれるのでとても厄介。
逝っとけダイヤ
ニコニコ大百科に解説が。
https://dic.nicovideo.jp/a/%E9%80%9D%E3%81%A3%E3%81%A8%E3%81%91%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4
ツインルームの四人部屋
元ネタは『水曜どうでしょう』の喜界島一周。
ベッドは壊れていなかったが、汗まみれ汁まみれだったらしい。