【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
1 バフ
2 デバフ
結果
1 バフ
「一つ言っておかないといけない事があるネ」
時間跳躍実験の前。
超鈴音はそう言って、俺に懸念点を伝える。
「行って帰ってくる以上、どうしてもこの世界との繋がりができてしまう。
それに合わせて、行く世界も改ざんされる事を覚えてほしいのネ」
簡単に言えば、『魔法科高校の劣等生』世界にこれから行くとしても、それは正規の『魔法科高校の劣等生』世界ではない。
散々やらかして闇鍋と化したこの1993年から派生した『魔法科高校の劣等生』世界という訳だ。
つまり、悪魔もいれば英霊も居る状況でいろいろあって『魔法科高校の劣等生』世界になったという訳で。
「率直に言って、あなたたちが何をどれだけやらかしたのか、こっちでは判断がつかないネ。
求めているものはあるのだろうけど、その過程であなたが考えている世界にかなりの修正が入っているという事を肝に銘じてほしいのネ」
「なんだそんな事か」
事も無げに俺は言う。
つまり、今までと同じように、駄女神様の奮闘に期待するしかないという訳だ。
駄女神様の奮闘 100ほど頑張った
結果 99
世界改変の影響 100ほどでかい
結果 95
「こういうの……得意ではないですけれど」
世界移転後、ステンノのスキル『気配遮断A+』発動。
他の艦娘を実体化させる前にまずその姿を隠す。
「さてと。
世界情勢はどうなっているのかな?」
ロリンチちゃんと超鈴音という二人の天才のおかげで、衛星から情報入手。
ポストアポカリプスで無い限り近未来は衛星が地球を周り、情報が常時動いている訳で。
同時にこちらの情報もバレる危険もあるが、ステンノのスキルでマシュ風を擬似イージス化させられるのが強みである。
「それじゃあ、飛ばすよ!」
マシュ風船長のフランシス・ドレイクもごきげんである。
最大戦速の35ノットで沖縄にぶっ飛ばす。
「学園都市や麻帆良学園都市は第三次大戦でなくなっているのか」
その間に情報収集。
このさすおに世界は、俺が居た闇鍋メガテン世界のありえる未来の形として時間が繋がっている。
ある意味、超鈴音が望んだ未来と言えなくもない。
「ニュースサイトを漁ったけど、うっすらと開戦の理由が見えてきたネ」
「未来だろうと魔法があろうと、人の営みは変わらないって事だね」
超鈴音とロリンチちゃんが、ニュースサイトのプリントを俺たちに手渡す。
ありきたりで、だからこそ切実な理由の正体をロリンチちゃんは語る。
「大陸にできた大亜細亜連合は、未だ華北地域の寒冷化と砂漠化に対応できていなかった。
そこから難民爆弾が周辺諸国にばらまかれ、第三次世界大戦にというのがこの世界の歴史だ。
問題は大陸の中華国家である大亜細亜連合の、この時間の日本に対する感情だね」
ロリンチちゃんがモニターを操作して世界地図を極東地域にクローズアップさせる。
ちゃんとデータをこの時間世界に合わせているのが芸が細かい。
「華北にあった大漢と呼ばれる国家が崩壊し、大亜細亜連合ができたのはいい。
問題は、彼らがこの時間の主戦力である魔法戦力において劣っていた事だ。
結果として彼らのドクトリンは魔法というより科学に重きを置いて、その人海戦力で押しつぶすという形になる。
彼らは焦っただろうね。
そんな彼らの目と鼻の先に、魔法大国である日本がある訳だ」
ロリンチちゃんの説明の後を超鈴音が続ける。
戦争とは外交の一形態とはよく言ったものである。
「ここ数年、大亜細亜連合は日本に対して経済協定および、魔法技術の供与および開発を目的とした技術協定を呼びかけているが、日本はこれを無視している。
このままでは後進国となる彼らの意図は2つあるネ。
一つは、限定的戦争によって大亜細亜連合が日本になんらかの要求を通す事ネ。
沖縄の占拠後、返還を理由に魔法技術協定あたりを結べたらという事ネ」
そこで超鈴音は一度言葉を区切る。
「もう一つはもう少し野心的なものネ。
魔法の優位性が完全に証明される前に、対魔法という形で彼らは成果が欲しいのネ。
それは、彼らが後進国から大国に戻れるチャンスでもある」
簡単に言えば、科学対魔法の対決で科学の勝利を大亜細亜連合は欲している。
科学というのは、究極的には数だ。
これに対して魔法というのは究極的には質だ。
この世界は、質が数を凌駕したという世界なのだ。
俺は、ある意味納得していた。
あの闇鍋メガテン世界を人間社会の存続という形で残すのならば、人修羅みたいな連中が出てこないと悪魔相手に人間社会を残せない。
そうなると、大亜細亜連合の戦略が見えてくる。
それをロリンチちゃんは印刷されたニュースとして晒してみせた。
「で、こんなのがあるのだけど、どう思う?
マスターくん」
『大亜細亜連合海軍本部は、8月7日から東シナ海海上で大規模訓練を行うと発表した。
参加艦艇は、空母二隻、巡洋艦三隻、駆逐艦六隻で、陸軍および空軍や戦略打撃軍も参加する大規模なものになる』
開戦前の移動に訓練と称するのは常套手段である。
そこで、黙っていた藤堂海将がぽつりと呟く。
「囮だな。こいつは」
たしかに、原作だと内部の裏切りで上陸とかあったしなぁと思っていたら、藤堂海将はとんでもないものを開戦の冒頭にあげたのである。
夜明け前。
沖縄沖200キロ地点で艦娘を現界化させて輪形陣を作る。
① 大和
② 叢雲改二
③ ジャンヌ・ダルク
④ 浜風乙改
⑤ 叢雲
↑
沖縄
①
② ③ ④
⑤
そして、ついに戦闘が始まる。
内部の裏切りや、潜水艦の攻撃より前に、ハッキングしていた衛星はそれを捉えていたからである。
中華大陸から一斉に発射される、通常弾道の中距離弾道ミサイルの群れを。
「発射数は58!
その全てが沖縄方面に向かっています!!」
証拠写真
https://twitter.com/hokubukyuushuu/status/1164277338353258496?s=20
この戦いのポイント
「さすがですお兄様」VS「戦いは数だよ兄貴」
なお、さすおにを通して読んでこの展開にする事を決めた時点で、私的には『クローン・ウォーズ』をやろうと決めていたり。
中距離弾道ミサイル
ちなみに、この攻撃プランは中国の台湾侵攻プランの亜種である。
台湾の場合、短距離弾道ミサイルの射程内だから、この先制に耐えきれるかが深刻な問題となっており、イージス艦などの購入を求めているなんて話もあったり。
ニュースで米国が台湾へのF-16の売却が話題になったけど、中国が本気でガチギレになるのが、このイージス・システムで、イージス艦、もしくはイージスアショアが台湾に渡ると……