【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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沖縄沖海戦 その2

 奇襲の上、内部に裏切り者がいる状況では、日本国防軍の初動に致命的な遅れが出る。

 ミサイル防衛が本格的に研究されだしたのは前世紀末あたりである。

 イージス改修された大和はその初期研究装備を積んでいたが、最後にものを言うのは艦娘大和の処理能力である。

 そして、この弾道ミサイル迎撃は、隠れていた第三勢力としての俺たちの姿を晒すことになる。

 海上自衛隊、藤堂海将は日本という国が生んだ自衛隊という忌み子。

 それを体現するような人物だった。

 

「弾道ミサイルへの迎撃開始!

 オープン回線でこちらの所属を告げた上で、人道的見地によりミサイル阻止のため迎撃すると宣言しろ!

 偵察機を出せ!

 敵は、こっちも狙ってくるぞ!!」

 

「今、メイヴちゃんを上げた!

 宗像二佐に乗ってもらっている」

 

 この艦隊の防空指揮を担当しているのは、藤堂守海将補相当官。

 湾岸戦争のイラク側で東側顧問飛行隊を指揮していた藤堂進海将の兄である。

 東側崩壊から日本に部隊ともども亡命してきたのだが、宙に浮いていた彼らを遠慮なくこき使うことにしたのだ。

 なお、空自からやってきているトップエースパイロットの二人は藤堂拓馬と藤堂輝男の二人だったりする。

 こんないい加減な作戦だから信頼できる身内を呼んだというべきか、厄介事だから身内に押し付けたというべきか、多分両方なのだろうな。

 ついでにいうと、航空管制官として結婚退職した藤堂美咲も乗り込んでしまい、夫婦の危機だとかなんとか。

 白煙をあげて大和から大量のミサイルが飛び立ち、弾道ミサイルの迎撃に向かう。

 まずは、これを落とせるかどうかにかかっていた。

 

 弾道ミサイル発射数 58

 ミサイル撃墜数 21

 残り 37

 

「撃墜数21!

 残り、37発、沖縄に着弾します!!」

 

 モニターから弾道ミサイルの光点が消える。

 速さと重さはそれだけで破壊力となる。

 奇襲の初撃としては重すぎる打撃を日本国防軍は受けることになった。

 

「那覇基地!

 嘉手納基地!

 恩納基地および市街地にミサイルが着弾!

 混乱しています!!」

 

「所属不明の航空機が多数沖縄に接近しています!

 沖縄からのスクランブル遅れています!!」

 

「沖縄の無線傍受しました。

 内通者の妨害工作で、混乱しているみたいですね。

 ミサイル直撃の被害状況もまだ把握できていないみたいです」

 

 これらの無線を俺は叢雲改二から聞いている。

 こういう時は素人は口を出さず、プロに任せるのが一番だと分かってる。

 だからこそ、見ているだけというのがもどかしい。

 

「気になる?」

 

 同じく見ているだけのステンノが俺に囁く。

 叢雲の方は、新島副長と共に警戒に全神経を尖らせている。

 

「気にならないと言ったら嘘になるが、口を出すとろくなことにならないのも分かっているさ」

 

 ポケットに手を突っ込んで手の震えを隠す。

 ステンノはそんな俺を見透かしたのか、一枚のレポートを俺に見せる。

 

「世紀末に発生した魔法がらみのあれこれで、非魔法師による対魔法師戦術を構築した人が記録に残っていたわ。

 それは、第三次大戦を通じて、多くの魔法師の死体生産に貢献した。

 誰だと思う?」

 

 そのレポートの写真に写っているのは俺の顔だった。

 ステンノは楽しそうに笑う。

 

「貴方よ。

 入即出やる夫。

 貴方の対魔法戦術に、魔法後進国だった大亜細亜連合は目をつけた。

 つまり、敵は、貴方の後継者たちよ♪」

 

 時間が繋がるという意味を俺は十二分に堪能させられていた。

 原作には無かった弾道ミサイルの大量直撃。

 それは俺によって引き起こされたと言っているのに等しいのだから。

 

「大丈夫。

 私達は何があっても、貴方の味方よ♥」

 

 こういう弱った時のステンノの囁きは効く。

 けど、その誘惑は俺はふりきった。

 今は、戦場。

 迷いも躊躇いも死に繋がりかねない。

 

「生き残ったらその先を聞くことにしよう。

 叢雲が睨んでる」

 

「あらあら」

 

 ムスッとする叢雲がまた視線を戦場に戻し、新島副長がやれやれと肩をすくめる。

 現代戦はあまりにも速く動く。

 

 

大亜細亜連合空母からの出撃機 16機

日本国防空軍の邀撃機 10機

 

日本国防軍の反応 1で友好的 100で敵対的

 結果 23

 

 

「日本国防軍より、義勇軍扱いとしてデータが送られてきました!

 転送します!!」

 

 日本からすれば考えたくなかった限定戦争の姿がそこには映し出されていた。

 対馬方面でも航空戦が発生しており、佐渡には所属不明勢力が上陸して交戦していた。

 そして、メイヴちゃんからの情報が大和経由で日本国防軍にも送られてゆく。

 

「ミサイルを撃ち落とした事で好意的になったという所なのかな?」

 

 俺のぼやきに美野原主席幕僚が反応する。

 彼の視線はモニターから離れない。

 

「というより、沖縄の基地のネットワークが寸断されて組織的な抵抗ができていないみたいですね。

 ほら。

 追加で、うちのスーパーシルフちゃんも出したでしょ?

 あれは基地とこの艦隊を繋いで、この艦隊から本土に状況を送るためなんでしょうな。

 おそらく内部の裏切り者、かなり多くいるんでしょう。

 鹿屋からも飛行機が上がっているあたり、本土は多分沖縄の状況を完全に把握していないみたいですな」

 

「衛星ネットワークは?」

 

「真っ先に潰されましたよ。

 おそらく、敵が居ない事と司令部機能が生きている事から、国防軍が乗り込んできて我々を接収しかねませんな」

 

 モニターでは、日本国防空軍と大亜細亜連合艦載機の空戦が行われていた。

 奇襲を食らった日本側はともかく、大亜細亜連合軍の航空機が思ったより少ない。

 

「主席幕僚。

 今、行われている航空戦はどうみる?」

 

「二次攻撃隊の準備でしょうな。

 目標は、陸上支援かこの艦隊か、または両方か。

 どっちにしろ、今上がっている連中が無事に基地に帰れるならいいですが、被害状況を考えると再度の出撃は難しいでしょう。

 制空権は完全に向こうに移るでしょう。

 今頃は、大陸からも増援の輸送機が飛び立っているかもしれませんね」

 

 国防軍司令部からの情報だと、沖縄近海には大亜細亜連合の潜水艦が潜んでいるらしい。

 潰すとなると、多分こっちの出番となる。

 状況は明らかに悪い。

 

「司令官。

 藤堂海将から」

 

 叢雲の声に俺は受話器を受け取る。

 その声から、美野原首席幕僚が懸念していた事が伝えられる。

 

「向こうの司令部からの要請だ。

 沖縄防衛の為の円滑な指揮を図りたいので、こちらに国防軍の士官を乗せたいという申し出を受けた。

 どうしたらいい?」

 

「受けましょう。

 このまま終わるとは思えません。

 ただし、艦隊の指揮権は絶対に手放さないように」

 

 もっとも、どうやってこの艦隊に来るのか。

 そこまでこっちは責任を持つつもりは無かった。




パイロットの皆様は『征途』より。
多分空自のトップエースが藤堂兄弟という設定。

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