【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
星一号作戦。
宇宙要塞ア・バオア・クー攻略戦として知られるはずだったこの作戦は、思ったより順調な連邦の戦力回復に伴ってジオン公国制圧のグランドキャンペーンとして定義されることになった。
その為、その最前線であるサイド5ルウムには俺の艦隊とワイアット艦隊だけでなく、ティアンム艦隊とレビル提督自身が率いる艦隊までやって来ていた。
次の目標は月面都市グラナダ。
そこを落とせば、ジオン本土であるサイド3は目と鼻の先である。
「ア・バオア・クーに集まっているジオン軍については?」
会議室中央のレビル将軍は俺に質問をするが、俺はわざとらしく肩をすくめた。
今までの功績もあって、俺の発言力はかなり高い。
「何も敵が待ち構えている要塞を攻める必要はないでしょう。
グラナダを攻めたら、次はジオン本土が狙われると分かるから、嫌でもジオン軍は後詰めの艦隊を出してくる。
それを叩いてしまえば、彼らの移動戦力は枯渇します」
MSは戦争を変えた。
そうだろう。
だが、それを操るのはパイロットであり、腹も減るなら疲れもするし睡眠欲や性欲もある地球産の生き物である。
艦船建造能力で地球連邦が凌駕している以上、移動面と兵站において連邦は常に優位にあり、それは何処を攻めるかを選べるという事につながっている。
「だが、もう少し待てば我々の方のMSも本格投入できるが?」
ティアンム提督が慎重論を出す。
このあたりは本当に反対と言うわけではなく、反対側への面子立ての側面が大きい。
何しろ、この作戦に、つまり復讐に燃えているのが総大将であるレビル提督なのだから。
「それも有りだとは思いますよ。
とはいえ、それまでにとれる所はとってしまってもいいと思いますが?」
月面都市グラナダを落とせば、中立を宣言した月面都市フォン・ブラウンが動揺するし、同じく中立を宣言したサイド6がますます連邦よりになる。
喉元にナイフをつきつけられた状態でジオンが講和に手を出してくれたら万々歳なのだが、デギン公王はともかく、ギレン総帥は乗らないだろうな。
そんな事は裏事情を知っている俺の感想でしかないわけで。
「グラナダ、つまり月面に戦線が移動する事で、地球周辺の連絡線が更に安定します。
そこまで行けばしめたものですよ。
国力差は敵総帥であるギレン・ザビの言葉を借りるなら30対1。
ジオンのMSを1機落としたら、こちらを30機は撃墜しないと釣り合わない。
泥仕合もそう遠くないうちにジオンの敗北で終わるでしょうな」
そしてそれをギレン・ザビはよく理解している。
だからこそ、コロニー落としやコロニーレーザーという戦略兵器で覆そうとしたのだ。
レビル将軍は断を下す。
「諸君。
進もうではないか」
こうして、星一号作戦が発令された。
ヤルオ艦隊に追加配備された艦船・MS
マゼラン4+1=5隻
サラミス13隻+5=18隻
コロンブス8隻+2=10隻
配備MS
1 RGM-79[E] 先行量産型ジム 宇宙戦仕様
2 RGM-79 ジム
3 RGM-79 ジム
4 RGM-79L ジム・ライトアーマー
5 RGM-79L ジム・ライトアーマー
6 RGM-79L ジム・ライトアーマー
結果 2 RGM-79 ジム
MS編成
コロンブス一隻
ジム✕6 ボール✕12
合計
ジム×60 ボール×120
隊長ヤザン・ゲーブル少佐 ガンダム
副長ライラ・ミラ・ライラ大尉 RGM-79S ジム指揮官機
艦隊としてはそこそこの戦力ではある。
とはいえ、50隻を超えるレビル提督率いる本隊やティアンム艦隊に比べると少ないのは事実だ。
このあたり、派閥を持たない俺に対してこれ以上の功績は渡したくはないという連邦軍首脳部の本音が透けて見える。
その分好き勝手させてもらうとしよう。
ニューソクデ艦隊への命令
1 ジオン艦隊への迎撃
2 同上
3 同上
4 グラナダ攻撃
5 同上
6 待機
結果 4 グラナダ攻撃
レビル本隊
1 ジオン艦隊への迎撃
2 同上
3 同上
4 グラナダ攻撃
5 同上
6 待機
結果 5 グラナダ攻撃
ティアンム艦隊
1 ジオン艦隊への迎撃
2 同上
3 同上
4 グラナダ攻撃
5 同上
6 待機
結果 1 ジオン艦隊への迎撃
ワイアット艦隊
1 ジオン艦隊への迎撃
2 同上
3 同上
4 グラナダ攻撃
5 同上
6 待機
結果 6 待機
ジオン軍の反応
1 静観
2 静観
3 静観
4 出撃
5 出撃
6 コロニーレーザー
結果 3 静観
「その割には、俺を使い潰そうという意図がありありと見えるんだよなぁ……」
「だって、一連の宇宙の戦いのポイントゲッターじゃない。司令官」
俺のボヤキに叢雲が突っ込む。
与えられた命令はレビル将軍の本隊の露払い。
俺の後ろにレビル本隊が大名行列よろしく堂々と行進しているはずだ。
ミノフスキー粒子が濃くてわからないが。
「月面降下用意。
フォン・ブラウンの近くに降りて、グラナダを目指せ」
「どうしてそういうコースをとるのでしょうか?
高度を維持してグラナダに出たほうが燃料もかかりませんが?」
「そしたら、移動がサイド3から丸見えになる。
コロニーレーザーにどうぞ撃ってくださいというようなものだ」
ここからは、ジオンのマップ兵器ことコロニーレーザーに気をつけなければならない。
連邦軍首脳部も警戒はしているが、その恐ろしさをいまいち実感できている訳ではない。
知らないうちに光に包まれて命を終えるなんてまっぴらである。
「失礼します。提督。
スパイによるグラナダの情報です」
そんなやり取りをしていたらオボロが報告を持ってきた。
キシリア・ザビの失脚で、内部ががたがたになっていると踏んだが……
グラナダの戦意
9
連邦軍に対する抵抗 9以下で成功
19
「えらく低いしやる気がないな」
「艦隊および戦力のほとんどをア・バオア・クーに集めた上に、キリシア派はキシリア・ザビが失脚した事で冷遇されているから、やる気が出るわけ無いですよ。
おまけに、グラナダは元々ジオンの都市ではなく、この戦争で占領された場所です。
おかけで、捨て石にされたのがわかって、兵も住民も理由があるなら降伏しますよ」
「理由ねぇ……」
という所で思い出す。
うちには無傷で手に入れたチベ級重巡洋艦とザクがあるじゃないか。
ついでに、マ・クベ中将は捕虜だし、彼を捕まえたエルラン将軍がスパイだった事も知っている。
「じゃあ、その理由を作ってみるか」
偽装工作
89
ジオン軍の看破能力 89以上で成功
24
戦果
84
某銀英伝の第七次イゼルローン要塞戦よろしく俺の艦隊から逃れたという芝居をしたチベは無事にグラナダに逃げ込み、エルラン将軍からお借りしたマ・クベ中将の説得によってほぼ無血開城と相成った。
これらの工作をやってくれたのは、もちろん助命を餌に降伏したサイクロプス隊。
そりゃ、元々ジオン軍だから偽装も何も本物だわな。
かくして、グラナダはジオンから開放された。