【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
「ちょっと『戦後』の話をしたいと思ってね。
ニューソクデ『大将』」
秘密回線とはいえサイド3にまでこの通信を飛ばしてくるあたり、戦争は終わったのだなと感じざるを得ない。
俺はそんなことを思いながら、モニターに映るジャブローのもぐらことゴップ大将閣下に口を開く。
「私はまだ中将ですがね?」
「どうせ、あと数日かどうかの話だ。
何よりも、レビル君の功績を守った事も大きい。
レビル君も恨みがあるからといってわざわざ直率しなくてもいいと思うのだけどね」
あー。
レビル将軍は第二次世界大戦でのアイゼンハワー将軍ポジか。
となれば、俺はパットン将軍かブラッドレー将軍の役回りか。
先が見えた俺はぼやく。
「この戦争が終わったら、退役するつもりだったのですが……」
「するならせめて三年は待ち給え。
レビル君を政治家に転身させて、連邦軍を政府の枷にはめなおすまではね」
当たり前だが、地球連邦軍は地球連邦政府の下部組織だ。
軍があまりにも肥大化した結果、ティターンズやエゥーゴみたいな軍閥が出来上がって内戦までやらかしてしまう。
寄生虫を自認しているゴップ大将は、地球連邦軍が人類社会を食いつぶしかねない事を懸念しているのだろう。
たしかに、戦後レビル将軍が生きていたら、確実に政治家に転身させられただろうし、あの混乱は無かっただろうに。
「という訳で、次の任務先だが、サイド7、サイド5、グラナダ。
好きなのを選び給え。
名前は何か別なのになるだろうが、実質的な総督として赴任してもらおう」
序盤はともかく中盤以降は連邦優勢で推し進めた結果、かなり宇宙に連邦の支配領域ができあがっていた。
戦後の社会不安の改善は経済再生にあり、その経済再生は悪化した治安の回復なしには達成されない。
そして、赴任先を見て気づく。
サイド3ジオンが無いことに。
「ジオンは残すのですね?」
「今、あそこを占拠しても待っているのは泥沼のゲリラ戦だ。
それだったら、傀儡政権を作って操った方が楽だろう?」
ゴップ大将は笑いながら、重大なことをさらりと言った。
それがこの通信を送れる理由だったか。
「先ごろ、ジオン軍地球司令官ガルマ・サビ少将が降伏を宣言した」
ガルマの統制力 100でガルマ様ばんざい。
99
「彼の降伏宣言で、地球各地で交戦していたジオン軍が次々と降伏してきている。
従わずに夜盗化した連中も出るだろうが、現成の戦力でどうとでもなる。
ここで負けても、戦争の勝利はもう揺るがないという訳だ」
仕掛けたのマ・クベ中将だろうなぁ。
つまり、ガルマ・ザビで傀儡政権を作るという訳だ。
これでこの戦争は終わったな。
「なるほど。
だからこういう通信ができる訳ですね」
「私は臆病だからね。
安全が確保できないと出てこないのさ」
モニターが切り替わり、宇宙に打ち上げられている連邦艦艇が見える。
ついに出てきたサラミス改級とマゼラン改級が打ち上げられているのが見える。
「コリニー提督に増援艦隊を率いさせている。
サイド5に直進してそのままサイド3に向かわせている。
あと、ワッケイン提督のルナ2守備隊をそっちに送ったから好きに使うといい」
これが連邦の底力。
レビル艦隊が壊滅しても更に増援が控えている。
コリニー艦隊
マゼラン改級 5隻
サラミス改級 45隻
コロンブス級 17隻
サイド3到達時間 8日
ワッケイン艦隊
マゼラン 3隻
サラミス 12隻
コロンブス 14隻
サイド3到達時間 4日
「なるほど。
サイド3の生産設備は壊すなということですね」
「察しが良くて助かるよ。
イデオロギーや個人的感傷で生産設備を破壊する余裕はもう連邦には残っていないんだよ」
「それを唱えているの、ゴップ大将だけでしょう?」
「ああ。
だからこそ、ニューソクデ君には残ってもらわないと。
私の後の席座ってみるかい?」
「悪くないですな」
派閥争いで色々な所からお誘いや足の引っ張りがあったのは理解している。
その中で、軍政畑で物流面を掌握しているゴップ派閥は一番まともな所だし。
「というわけで、少し個人的なお願いだ。
サイド3に被害を出さずに、ア・バオア・クーで遊んでいるレビル君を死なせないでくれ」
「また、難しい事を」
「だから君に頼むんだよ」
俺はため息をついて敬礼した。
ゴップ大将も敬礼を返す。
「サイド7を。
あそこは私が作ったようなものです」
「後ろは任せたまえ。
ニューソクデ『総督』」
だからその役職は早いと……
「コロニーレーザーは撃てるか?」
コロニーレーザーチャージ24%
ア・バオア・クーまで届くチャージ57%
チャージまで1日
危険性のあるトラブルレポート23件
「調べた所、現在のチャージは24%。
ア・バオア・クーまでの射程でチャージを考えると57%は欲しい所です。
あと1日あれば、多分届きますね」
すごいな。コロニーレーザー。
連射が可能とはと感心したら報告してくれたマシュが渋い顔をする。
もちろん、欠点もある訳で。
「ただ、構造上連射は想定していないので、砲身が持つかどうかは怪しい所です。
現在、危険性があるトラブルレポートが23件報告されています」
つまり、暴発の可能性のある銃の近くに屯しているという訳で。
勝ち戦が確定しているのに、これに命を賭ける必要性は俺にも連邦軍にもなかった。
「じゃあ、次善の手を使うか。
次の通信を周辺宙域にフルオープンで流してくれ」
『アルテイシア・ソム・ダイクン。ホワイトベースに乗艦しているアルテイシア・ソム・ダイクンは何処にありや。全世界は知らんと欲す』
衝撃度 100ほどショック
連邦軍 25
ジオン軍 40
知っているというのはこういうことだ。
ホワイトベースに乗艦しているアルテイシア・ソム・ダイクンことセイラ・マスがホワイトベースに乗っているのは乗員名簿を取り寄せて確認している。
連邦軍は『何言ってんだこいつ?』の反応だが、ジオン軍にはテキメンに効いた。
特にニュータイプが磨かれつつあるシャアならば、セイラの反応を探ることは可能なわけで。
それは暴れているジオンNT部隊の足が止まる事を意味していた。
ジャブローからの後退命令 低いと無視 +アルテイシア電報の衝撃
96+25
ギレン艦隊の追撃 -アルテイシア電報の衝撃
52-40
「レビル艦隊、戦闘宙域から後退していきます!
ジオン軍の追撃はまばらです!!」
MSパイロットが人間である以上、疲れもすれば眠りもする。
ギレン艦隊はギレン総帥の天才的指揮でア・バオア・クー正面前まで引っ張ってこれたのだが、将兵たちの疲労が限界に来ていた。
きっと、ア・バオア・クーの射程に入った段階で、艦隊を休憩させて要塞主砲と守備隊MSに交代させる予定だったのだろうな。
ギレンの察し判定 91
91以下で生存戦略 46
「ア・バオア・クーより多数の艦艇が逃げ出しています!
これは……地球軌道圏外に向かっています!!」
予想通りだ。
政治的・軍事的に詰んでいるのにギレン・ザビが気づかない訳がなく、こちらがわざとすきを作ったことに感づいたらしい。
地球連邦は傀儡国家として独立させるジオン共和国との講和を急いでいたし、ガルマ・ザビが政府首脳部に入るだろうジオン共和国は連邦へのけじめをつける為にギレン・ザビの首を狙わざるを得ない。
ジオンが政治的内戦が確定してる中、再建された戦力に接収確定のソロモンやア・バオア・クーやコロニーレーザーがあるので、何かやらかしたら今度こそまとめて潰すことができる。
何よりも素敵なのが、あれだけ見事な指揮を見せたギレン・ザビが逃亡した事で、連邦内部の派閥争いが一旦収まるという所が素敵である。
ティターンズとエゥーゴの発生フラグ?
できて当然だろうが、そこまで俺の仕事ではないし、できた時には退役しているはずだ。
ついでに、ティターンズの拠点となるグリプスに総督として俺は赴任する予定だし。
「レビル艦隊が見えました!
結構やられているみたいです」
「我が艦隊はレビル提督の指揮下に入る。
あとは向こうの指揮に従え」
マシュに指示を足したら、叢雲が側に乗ってきた。
こういう時にこういう事を言ってくるのは、叢雲との付き合いが長い証拠。
だから、俺は叢雲を抱きしめてキスする。
「終わったわね」
「ああ。
あとは、この世界の人間の仕事だ」
後はリザルトで一話やってこの短期集中企画は終わる予定。
コロニーレーザー発射で完全勝利もあったが、23%でサイド3大爆発で展開が真っ白になるのを恐れたヘタレ作者