【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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学園都市聖杯戦争 あとしまつ その3

学園都市の評価+黒妻綿流(女)の補正 100で満足

 16+82=98

 

「では、そういう事で」

「これからも協力をよろしくお願いします」

 

 学園都市第三学区の高級ホテルにて、今後の捜査継続と双方の取り決めの覚書が締結される。

 日本政府代表と学園都市統括理事である親船最中がインタビューに答えているのを横目に眺めていたら、美人が浮かべていい笑顔じゃない笑顔を見せながらテレスティーナ・木原・ライフラインがやってくる。

 

「せっかくの席です。

 もう少しマスコミ向けの顔をしてもバチは当たらないと思いますが?」

 

「よくもまぁ、口が回りますこと。

 失敗を新たなレベル6登場で上塗りしただけじゃない」

 

「まったくその通り。

 けど、お役所仕事ってのは、評価や期日ってのに厳格でね。

 手っ取り早く上塗りするにはあのレベル6は都合が良かった」

 

 殺意すら浮かべる視線をテレスティーナ・木原・ライフラインが俺に投げかけてくるのは、黒妻綿流(女)の保護者をあの冥土返しの所にした上で、日本政府の非公式職員という形で俺が保護をかけたからだ。

 第二のレベル6に対する非人道的な実験が禁止されただけでなく、現在できたレベル6である麦野沈利に対するカウンターを日本政府が握った事で、木原一族をはじめとする研究者連中から俺は派手に恨みを買う事になった。

 で、その研究者兼木原一族であるテレスティーナ・木原・ライフラインがとてもいい顔芸をしてくれている訳で。

 

「まぁ、木原一族も大変だろうからそこは同情するよ」

 

「それを裏で操っているのは、あんたの所のアンジェラじゃないの!」

 

 アンジェラことダヴィンチちゃんの無双によって学園都市の研究は飛躍的にかつ雑多に急速に進みつつある。

 木原一族としてはそれが面白い訳がないが、目の前の彼女は研究者であると同時に権力者である。

 仮にも木原の名前持ちとのコネは残しておいて損はないだろう。

 今後も学園都市が舞台で色々起こるのだから。

 

「まぁ、こちらとしては木原うんぬんはひとまず置いておいて、テレスティーナさんについては色々便宜を図っていただいた恩もあるので、それとなくお礼をと思っていた所なのですよ」

 

 控えていたステンノが女神の微笑でケースの中から書類を取り出してテレスティーナ・木原・ライフラインに手渡す。

 紙に書かれたある計画を眺めていた彼女の目が驚愕から欲望に変わるのはそれほど時間はかからなかった。

 

「『樹形図の設計者』修復計画……」

 

「うちのアンジェラだけでなく、麻帆良学園都市の研究者とも連携する形になりますがね。

 進んでいないんでしょう?

 あれの修復?」

 

 かくして、学園都市における手打ちは終了した。

 少なくとも、学園都市の聖杯戦争はこれで一応の終結という事になる。

 暗躍したキャスターリンボの行方がつかめなかったのは痛いが、再戦があるだろうという事で俺たちは学園都市を後にした。

 

 

日本政府の評価 100で満足

 97

 

他の悪魔がらみの事件の対処 100で十二分に機能

 97

 

 

 宮内省にて報告をあげた俺について、室戸次官はしばらくの沈黙の後こう告げた。

 

「本来の目的であるキャスターリンボ掃討については失敗だが、学園都市と麻帆良学園都市にこれ以上ない楔を打ち込んだ。

 キャスターリンボという事件について目をつぶっておつりがくる功績だよ。

 他の事件についても、君が用意した戦力が十二分に機能している」

 

 なかなか高評価らしい。

 麻帆良学園都市はあのテロによって自衛隊とメガロメセンブリア元老院が対峙する状況になり、麻帆良学園都市の自治権問題にまで発展。

 日本政府側が容赦なく関東魔法協会理事長でもある近衛近右衛門に詰め寄っていた。

 一方で学園都市にはついにレベル6が二人登場し、そのうちの一人が俺の庇護下だった事で学園都市の暴走が防げるという評価になったという訳。

 学園都市の闇はもっと深いのだが、今はここでそれを言って自分の評価を下げる必要もあるまい。

 

「一旦、君は下がりたまえ。

 次に何が起こるか分からんが、君の体は一つで、麻帆良と学園都市の二つは対処できない。

 今回の件はそれが全てだ」

 

「はっ。失礼します」

 

 室戸次官の部屋を出る。

 廊下を歩きながら、横に居た叢雲がぽつりと漏らす。

 

「もっとお小言とか言われると思ってた」

 

「俺もだよ。

 とはいえ、宮内省はできたての組織で、あちこちに敵が多い。

 ここで俺が失脚すると、宮内省そのものにもダメージが入りかねない。

 だからこそ、失敗を糊塗する功績を出してきた俺に乗ったという訳だ」

 

「で、この後どうするつもり?」

 

 少し立ち止まって、この後について思いをはせる。

 

「『樹形図の設計者』修復計画の為には、宇宙船が必要なんだよなぁ。

 今、叢雲を宇宙船にするのは目立ちすぎるから、米国あたりに恩を売ってスペースシャトルを借りるかな」

 

 そのまま叢雲を抱きしめる。

 ついでに後ろに居たステンノとマシュも抱く。

 

「だから、少し休息として英気を養うさ」


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