【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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入即出やる夫のバカンス その1

「そういえば、学園都市の航空宇宙産業ってどうなっているんだ?」

 

 衛星軌道上で壊れたままの『樹形図の設計者』。

 そいつの修理の為に米国からスペースシャトルでも借りるかなんて考えていたのだが、その前に学園都市の航空宇宙産業はどうなっているのかと気になって調べてみる。

 軌道エレベーターなんてのを作ろうとする学園都市だから、その手の技術はあるのは分かっているが、ロケットは種子島か内之浦でしか打ち上げられないと思っていたからだ。

 で、俺は忘れていた。

 この世界、闇鍋だという事を。

 

「ロケット打ち上げ飛行機かぁ……こいつは盲点だった。

 学園都市なら、こういうのがあっても不思議はないわな」

 

 ロケット打ち上げ飛行機とは、ロケットを飛行機に積み込んで成層圏まで上昇し、そこでロケットを分離・点火して宇宙に上げる仕組みである。

 打ち上げ失敗で首都圏に甚大な被害がなんて起こったらたまらんなぁと思っていたので、これだったら大丈夫という所で俺は気づく。

 

「何で学園都市の奴ら、『樹形図の設計者』の修理に難航しているんだ?」

 

 という訳でダヴィンチちゃんに尋ねてみたら、答えは簡単な所にあった。

 

「単純な話さ。

 OSがやられただけだから、地上からデータの上書きでなんとかできるかもと試行錯誤していた訳だ。

 我々が提案したのは、ハードごとの交換で費用も出す形にしているからそりゃ乗るさ。

 もちろん、技術流用を恐れて統括理事会はこの提案を検討しているが……」

 

「……外に流れたら困る技術の最たるものだろからな。あれ」

 

 納得する俺は資料を眺める。

 なじみがある企業がなかなか前衛的な飛行機を飛ばしていた。

 

「おおう。

 北崎重工あるのか。そりゃ、ここならば学園都市と手を組むよなぁ」

 

 学園都市の技術の恩恵を受けている企業がしっかりと隆盛していた。

 そのうちゲーム機も出すかもしれないなぁと資料をめくっていたら、さらに素敵なものを見つける。

 

「ニューコムもあるのか。

 軌道エレベーターを作るなら、そりゃあるのかもしれんなぁ……」

 

 なお、起動エレベーター建設の宇宙側の作業場として宇宙ステーションの建設が進められており、そちらにロケットが使われているため修理用のロケットの手配が進んでいない事までわかった。

 

「あ。洋上メガフロートの建設が始まってやがる……ん?

 これ、潰したカテドラルの代替じゃないだろうな?」

 

 という訳で、調べてみた。

 結果から言うと黒だった。

 このメガフロート出資者にメシア教の影がちらつくからだ。

 

「そういえば、メシア教が力を入れている政策が国会で進められているわよ」

 

 調べていた俺に叢雲が書類をもって声をかける。

 閣議決定にかけられる前の書類だが、閣議決定されるだろうと霞が関で噂になっている超巨大公共事業の名前は東京湾総合開発政策。通称『バビロンプロジェクト』。

 地下都市東京ジオフロントが軌道に乗り、英雄王の魔力炉である巨大発電所が完成した事もあって、湾岸開発が一気に加速しようとしていた。

 未だバブルが続いているこの世界の日本にとって、東京に新たな土地が生まれることは利益になるのだ。

 特に、麻帆良学園都市と学園都市という形で内陸部に治外法権で使えない土地があるこの世界の日本では。

 

「まぁ、おとなしくしろという事だから、少しおとなしくするさ」

 

 そんな事を言ったからか、テーブルの電話が鳴る。

 フラグ回収早いなと思いながら受話器をとったら、相手はデグ様だった。

 

「おとなしくしろと言われたらしいな。

 だったら、一つ仕事をしてみないか?」

 

「今、そちらのあれやこれやで対米感情が悪化しているのですが、それでも得れるメリットを提示していただけるならばどうぞ」

 

「そうだな。

 その対米感情の改善に、トライデントからPR活動の提案がある。

 この仕事もトライデントからの提案だよ」

 

 げんなりする俺の顔を見て、ステンノがとてもいい笑顔を見せる。

 もちろん、電話だからデグ様はそんなやり取りは見えない訳で。

 

「トライデントの奴ら曰く、太平洋上に浮かんでは消える謎の島が出るらしい。

 そこに巡洋艦を送るつもりだが、良かったらこないかというお誘いだ。

 異界、だったか?

 貴国が管理しているその別世界の謎が解明できるかもという訳で、一口乗ればそれ相応の取り分はあると思わないか?」

 

「否定はしませんが、厄介ごとも多いでしょう?」

 

「否定はできないな」

 

 少し間をおいてデグ様がぼやく。

 念願の後方だろうにワシントンは魔境らしい。

 

「アンブレラの排除はうまく進みそうだが、メシアの排除に手間取っている。

 教化した退役軍人たちが圧力団体として蠢いていてな。

 学園都市から奪った聖杯の行方も、今の所不明だ。

 アラスカの米軍基地に入った所までは分かっているんだが」

 

 つまり、トライデントに恩を売ってメシア排除のテコ入れをすると。

 アーカムとかもあるのに米国政界は複雑怪奇なり。

 

「まぁ、いいでしょう。

 貴方についていくと、苦労はするけどリターンも大きいでしょうから。

 NASAに伝はありますか?」

 

「なくはないが、何をするつもりだ?」

 

「スペースシャトルを借りようかなと思って」

 

 

 

 数日後演習という形で俺の艦隊は出港する。

 米軍のと合同演習という形にすることは、指揮系統やら先のミサイル誤射事件から避けられ、たまたま同じ場所で演習するという形におちついた。

 

 

 

米軍太平洋艦隊 ラリー・マーカスン大佐

 

 巡洋艦 『バレイフォージ』

 ノーマン・ライマン大佐

 

 

 海上自衛隊 第70護衛隊 入即出やる夫海将補相当官 

 

   『叢雲』 艦長 東雲叢雲二佐相当官

         副長補佐  新島義則三佐

 

   『浜風』 艦長 マシュ・キリエライト二佐相当官

         副長補佐 フランシス・ドレイク三佐相当官

 

   『ジャンヌ・ダルク』 艦長 ジャンヌ・ダルク一佐相当官

               副長補佐 雅羅派詩舞二佐

               戦闘妖精少女 搭載




『スプリガン』の『忘却王国』
 ライマン艦長の苗字は適当。

ニューコム
 『エースコンバット3』。
 なお、このメガフロートは大体沈む。

北崎重工
 大サトーでおなじみの企業。
 

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