【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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入即出やる夫のバカンス その10

幽霊島の調査 100でばっちり+『天賦の叡智EX』30+バンゲリング帝国の技術解析61

 

 85+30+61=176 クリティカル

 

 

「……これ、バンゲリング帝国の技術と同根ぽいんっだよなぁ。

 多分解析できるけど、集めたエネルギーが暴発しかかっているね」

 

 調査の結果ダヴィンチちゃんの初手解説がこれである。

 ガーディアンが居たのだが、サーヴァントって便利だね。

 モーさんとクーフーリンが粗方叩き潰してましたが何か。

 なお、この幽霊島の秘密を巡ってアーカムとトライデントの暗闘が本来はあったのだが、『何でか』両方をにらんで手を出させなかったデグ様によって不発に終わった。

 まぁ、この島で太平洋戦争時の米軍製原爆なんてものが見つかったら、そっちの回収が最優先になるのは当然な訳で。

 

「よし。

 まずは安全確保からだ。

 この島、異界化させた『プリズマ・コーズ』にくっつけてしまおう」

 

 異界の維持にもエネルギーが要る。

 今は女神まどかと悪魔ほむらによって賄われているのだが、自前でそのあたりが賄えるのならばそれに越したことはない。

 という訳で、空母イントレピッドに移動してのその後の処理についてアーカム・トライデント・米軍を交えた話し合いに移る。

 

トライデントの主張 100で強硬

 1

 

アーカムの主張 100で強硬

 5

 

やる夫の説明 100で言いくるめ

 45

 

さすデグ 

 27

 

 

「こっちはそれで異存はないですよ」

「いいんじゃないか」

「……だそうだ」

 

 あれ?

 随分早く片付いたな?

 拍子抜けする俺にデグ様が笑う。

 

「調査前にある程度根回しはしておいたのさ。

 私の根回し前に双方ともにやる気が無かったというのも大きいが」

 

 デグ様のぶっちゃけに、ラリー・マーカスン大佐もぶっちゃける。

 

「こちらも妥協できるだけのものは頂きましたしね。

 バンゲリング帝国との戦闘データは貴重なものですし、そちらとも手は組んだままだ。

 それ相応のものは期待しても構わないのでしょう?」

 

 それに合わせるようにスティーブ・H・フォスター船長も苦笑する。

 

「こっちからすれば、あの島についても何だかの処置はしたいし、ヤバイ以上はそっちの提案に賛同するしかないさ。

 それに、カリブ海で戦った仲で、そのままここでは敵味方に分かれるってのはな」

 

 昨日までの味方が今日は敵同士というのは感情で割り切れないものである。

 ましてや、対立しているトライデントだけでなく俺たちまで敵に回る可能性を考えれば、こっちの穏便な解決手段に乗ったというのは悪い話ではないという所か。

 話し合いの席で俺は無線機をONにした。

 

「じゃあ、それで片づけてしまうか。

 ダヴィンチちゃん。

 やってくれ」

 

「まっかせて!」

 

 かくして、本来の目的である幽霊島はプリズマ・コーズとくっつく事になった。

 で、本番の歴史改変の確認である。

 

 

駄女神のがんばり 100で頑張った

 97 クリティカル

 

 

 デグ様の話を聞くと、駄女神様の頑張りで基本的な流れは変わっていないらしい。

 とはいえ、デグ様が上司に恵まれた上に、中将に昇進して空母二隻を運用する偉い人になっているのだからプラスなのは間違いがない。

 

「今回の出迎えに編成した部隊だからな。

 この航海の後、この艦隊は大西洋に戻ってミレニアム相手に暴れる事になる」

 

 メシアの連中が聖杯を北米に持ち去り、アンブレラとミレニアムのつながりが分かって排除が進む今、アーカムとトライデントの去就が注目される事になる。

 言下でそれをラリー・マーカスン大佐とスティーブ・H・フォスター船長に向けてデグ様は笑う。

 

「諸君らの上の賢明さは知っているつもりだが、間違った選択をしないようにと諸君からも釘を刺してもらうと私としても嬉しい」

 

 こういう所で顔芸を披露しながら釘を刺すのはデグ様だなぁと感じずにはいられなかった。

 

「ああ。

 入即出少将。

 ちょっと残ってくれ」

 

 そんなデグ様に呼ばれて俺はデグ様の執務室に。

 そういえば、米軍ではデグ様のおかげで俺は少将扱いなんだよなぁ。

 

 

デグ様の話の厄さ 100ですごく厄い

 45

 

 

「ミレニアムについてだが、アンブレラ経由で排除を進めているが、多分間に合わないだろう」

 

 こういう時に最悪のケースを想定して話をするあたりさすがデグ様。

 ジト目で俺が突っ込む。

 

「理由をお聞きしても?」

 

「永遠の命を餌に悪魔と契約をする輩が多くてな。

 私や貴官をみてなお欲しいと思うのかね。まったく」

 

 ため息をつきながらデグ様は続きを話す。

 ミレニアムが狙うのは英国であり大西洋な訳で。

 基本俺はその流れに関与できない。

 

「アンブレラは米国有数の製薬会社でワシントンに大規模なロビーをばらまいていた。

 その一つ一つの精査を終える前にミレニアムが動く方が多分早い」

 

「で、それを私に伝えた上で何をお望みで?」

 

「貴官もある程度自由に動けるようになったみたいだし、色々と話ができると思ってな。

 少なくとも東京に核を撃つ馬鹿どもは、私とジミー・ハーディ大将が太平洋艦隊から排除したはずだ」

 

 交渉の前提条件をちゃんと処理して話を持ってくるからさすデグと呼ばれるのだ。

 同時に、そういう便利屋を現場が手放したくないというのをデグ様が忘れているあたりもさすデグなのだが。

 

「ミレニアムとアンブレラが何かした時に手を貸せと」

 

「その通りだ。

 ワシントンでのゲーム次第では、足を引っ張られるどころか真珠湾もかくやの奇襲を食らいかねん。

 貴官とその幕僚のみを飛行機で運べば、三隻の船が大西洋にやってくるのだろう?

 だったら、遠慮なく使わせてもらおうという訳だ」

 

 壁にかけられた世界地図を眺める。

 ミレニアムの襲撃を考えると戦力の集結地点は……

 

「ジブラルタル」

 

「ミレニアムの奴らの狙いは英国か。

 イタリアのガエータ軍港はダメなのか?」

 

 イタリアのガエータ軍港には米国第六艦隊の母港であり、地中海と東大西洋を管轄していた。

 現在はボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の激化に伴って、戦力が強化されつつあった基地である。

 

「空母『ロナルド・レーガン』はそこでいいでしょう。

 ですが、戦力を集中させるとボスニア・ヘルツェゴビナ紛争に使われます。

 それが一つ」

 

「なるほど。

 その他の理由は?」

 

「イタリアという土地そのものです。

 具体的にはローマ」

 

「なるほど。了解した」

 

 『ヘルシング』ではイスカリオテ機関が十字軍を編成して英国に攻め込んだ。

 『とある』世界だとクーデターの上に十字教がやっぱり英国に侵攻している。

 その本拠であるローマのあるイタリアに英国支援の戦力を置いておくことは、妨害される可能性を排除できない。

 

「英国にはNATOの縁でコネがある。

 ジブラルタル港に基地を用意しておこう。

 で、ミレニアムがいつ動くと貴官は考えているのかな?」

 

 話は終わりとばかりのデグ様の質問に俺は苦笑しながらドアを開けた。

 

「それぞ神様にでも聞いてくださいよ」

 

 

 

 数日後。

 横須賀に帰港した日米合同艦隊の演習報告という表向きの理由を携えて、俺は室戸次官にバカンスの報告をする。

 室戸次官はただ黙って一言。

 

「なかなか充実したバカンスじゃないか」

 

「ええ。

 たまにはこういうのも悪くはないですな」


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