【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
マゼラン改級戦艦にはいくつかの種類がある。
一年戦争前にできていたマゼラン級戦艦は元々MS運用能力がなく、一年戦争時の改造でMS運用能力があるやつをマゼラン改と呼ぶケースが一つ。
もう一つは、『0083』での巨艦巨砲設定のやつで、『Z』時代はさすがにそれはないだろうという事で、MS運用能力があるものに統一改修されている。
ちなみに、艦首主砲を外して艦首部分にカタパルトとMS格納庫をつけたやつで、MS搭載能力は12機にも及ぶ。
「とはいえ、ジムⅡでは戦えませんよ。大将」
ヤザン中佐の突っ込みに俺は両手をあげてしらを切る。
「訓練だよ。訓練。
あくまで長距離航海と戦闘訓練の為の出撃。
戦う必要なんてないだろう?」
嘘である。
グリプスでのティターンズとエゥーゴの小競り合いが大火になるのを見越して、状況の確認と把握に出たのである。
で、ティターンズ側の司令官がバスク・オム大佐なだけに話し合いが通じるとも思えず、交戦も視野に入れての対応なのは言うまでもない。
「最新鋭機相手に突っ込めなんて無理は言わんよ。
だが、万一を考えて艦隊防衛の為の出撃訓練は頭に入れてよくように」
「そういう建前なのは了解しました。
そのあたりはライラの方が適任なのでうまくやってください」
そんな演習艦隊の隻数は以下の通り。
マゼラン改級『ムラクモ』。他2隻
サラミス改級 9隻
MS搭載数 全機 ジムⅡ
マゼラン改級 12機×3=36
サラミス改級 4機×9=36
計 72機
グリプス到着時の状況
エゥーゴVSティターンズ
1 原作通り
2 同上
3 同上
4 ティターンズ有利
5 エゥーゴ有利
6 どないしよ?
5 エゥーゴ有利
「前方の艦艇より救難信号です。
所属は……エゥーゴのアーガマ級強襲用宇宙巡洋艦『アーガマ』です!」
「……やられた」
マシュの報告に俺は指揮官席でうめく。
エゥーゴのやつら、こちらの出撃を知って、身分を明かして投降する事でこちらを巻き込むつもりなのだろう。
厄介なのは、ティターンズもエゥーゴも基本連邦軍内部組織なので、一応救難信号を出されたら助ける必要がある訳で。
「全艦戦闘準備。
停戦信号を全周囲に流せ。
回線を繋げ。まずはアーガマの話を聞く」
ミノフスキー粒子下の通信はかなり不安定になる。
それでも、アーガマ一隻とそれを追いかけていたアレキサンドリア級巡洋艦とサラミス数隻の前に現れた12隻の大艦隊。
MSの性能で押せるかもしれんが、それをするとマゼランの主砲が両者をつぶせるという距離で両者とも砲火を納めざるを得ない。
「お久しぶりです。閣下」
「ブレックスくんか。
いい船に乗っているじゃないか」
画面上のブレックス・フォーラ准将はそれ相応の礼儀をもって敬礼する。
さて、彼らを助ける為に出撃したように見えるこの形をどうやって崩したものか……
「時間もないので、本題に入ろう。
君たちが追われる理由を聞かせたまえ。
仲介の用意がある」
「バスク相手に仲介を?」
「その上と話をしても構わんぞ。
それとも、君たちはここで内戦の引き金を引くのかね?」
グリプスからガンダムMk-IIを盗んでいる時点で開戦しているようなものだが、第三者である我々を味方につけるという下心がそれを表に出せない。
「15分待とう。
その間に、向こうの話を聞く」
一旦通信を切って、今度はアレキサンドリアの方に繋げる。
バスク・オム大佐は画面からでも隠そうとしない尊大ぶりにこちらに命令してきた。
「我々はジオン残党の起こしたテロ組織への攻撃を行っている最中である。
我々への協力を……」
バスクの口が止まる。
これまでも会口一番に命令していたのだろうが、『ティターンズでは一般の軍律は通用しない』や『ティターンズは一般軍人より1階級上として遇される』なんて言えない階級が出てくる事は想定していなかったらしい。
慇懃無礼に敬礼して、わざと相手を挑発する。
「やあ。大佐。
テロ組織という事だが、同じ連邦軍相手に実弾訓練とはなかなか熱心だな。
ジャミトフの耳に入れば、小言の一つ二つは漏れるんじゃないかね?」
直で会えばブライト中佐よろしく暴行されかねないのでこうやって離れて話をするに限る。
その上で、相手の要求を呑むふりをする。
「事情は把握している。
落としどころについては悪いようにしないから、ここは私に任せてくれないだろうか?」
バスク大佐の反応 100で激高
14
「……わかりました。
我々は新型モビルスーツを奪われています。
その返還交渉の仲介をお願いしたい」
「了解した。
30分後に再度通信する」
という訳で、再度アーガマに。
ブレックス准将に俺は要求を突き付けた。
「君たちがグリプスから奪ったものを返したまえ」
「……っ!?」
「まだ火遊びで納めてやる。
そこから先は言わなくてもいいだろう?」
ブレックス准将の反応 100で激高
84
「ふざけないで頂きたい!
閣下はティターンズが何をしたかご存じのはずだ!!」
「ああ。知っているよ。
で、ティターンズの非を責める為にテロを起こして、世論は納得するのかね?」
俺の一言にブレックス准将の顔が画面向こうで歪んだ。
第三者から見て『お前らティターンズと同じじゃん』の一言は強烈に効いたらしい。
ブレックス准将の反応 84以下で承諾
「……わかりました。
ここは閣下にお任せします」
1 ガンダムMk-II二機とカミーユ返還
2 同上
3 同上
4 ガンダムMk-II二機返還
5 同上
6 どないしよ
4 ガンダムMk-II二機返還
結局、アーガマは奪ったガンダムMk-IIを返すことになる。
ガンダムMk-IIをムラクモに乗せてアーガマは逃走。
ティターンズは追撃よりもガンダムMk-IIの回収を優先して、アーガマを追わなかった。
なお、母を目の前で殺されたカミーユ・ビダンはアーガマに残ったらしい。
とりあえず、目の前での紛争勃発は鎮火させた。
だが、これで火が消えるとも思わず、俺の知らない場所で想定できないような形で火を噴くのだろうと確信せざるを得ず、ため息をつかざるを得なかった。