【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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天海市攻略準備編 その3

 アニメやゲームの世界においては基本『レベルを上げて物理で殴ればいい』というルールが適用される。

 だが、近代戦を経てハイテク戦に入るとそれが若干変わってくる。

 第二次世界大戦では科学と数というものが猛威を振るった。

 それは湾岸戦争を経て更に突き進み、今や兵隊というのものは高技能熟練者でないとハイテク武器を扱えないまでになってしまっていた。

 その先は機械による兵器管理である。

 まぁ、そこまで行くと『ターミネーター』の世界も……ありえるから困るんだよなぁ。

 あの駄女神様だと。

 話がそれたが、要するに横須賀基地で話題になっていたのは、俺が持って帰ってきたイージスミサイルとレールガンのセットであり、これの運用だった。

 

「ミサイルについてはそちらの艦に載せることは構わない。

 で、だ」

 

 警備隊司令の咲川海将補が頭を抱えながら言葉を選ぶ。

 学園都市が提供してくれたイージスミサイルはハープーンSSM4連装発射筒の4基分だから計16発。

 これは俺への襲撃の侘びだから遠慮なくもらうつもりである。

 問題はレールガンだった。

 大規模電力が必要で、その射程は200キロを超える化物兵器。

 学園都市製だから『樹形図の設計者』とリンクができるイージスシステムの鉾となりうるこれを持って帰ったことで、俺への評価はうなぎ登りと同時に、やっかいな問題を引き起こしていた。

 誰がこれを使うかである。

 

「私の船には積めませんので、使用については警備隊司令に一任いたします」

 

 いけしゃーしゃーと言い放つ俺に対して咲川司令の顔色は良くない。

 理由は、この化物を巡って『俺にくれ!』と醜い奪い合いが自衛隊内で起こったからである。

 

「市ヶ谷が強硬に欲しがっていてね。

 かと言ってはいそうですかと渡すわけにもいかないだろう?

 厄介なものを持って帰ってくれたものだよ。君は」

 

「こちらも押し付けられたようなものでして。

 そちらのいいようにお使いになればよろしいのでは?」

 

「それができないから困っているんだよ」

 

 咲坂司令クラスともなれば、自衛隊内の不穏な動きは大体察しているのだろう。

 陸自のゴタゴタに海自が巻き込まれたくないというのがよく分かるが、欲しがっているのがクーデター勢力だとすれば、クーデター後の米軍の介入と核攻撃を警戒しているという証拠だった。

 

「こいつは使用時に大規模電力を必要とします。

 使うとすれば、基地内部で砲台として運用するべきでは?」

 

「それしか無いだろうな。

 下がってよろしい」

 

 美野原一佐が折衷案を出し、咲坂司令が了承する。

 部屋を出た後で美野原一佐がぽつりと口を開く。

 

「あんな事を言ってますが、貴方が来てから隊の予算が増えて喜んでいるんです。

 自衛隊は金食い虫ですからな」

 

 要するに俺を取り込みたい海自側が優遇しているという事なのだろう。

 それでも足りないのが人である。

 

「あの大砲の運用人員に警備要員。

 頭が痛いですよ」

 

 だったら俺の船の自衛隊員を降ろせばと言いたい所を俺は我慢する。

 彼らにとってはあまりに大きすぎる個人武力を持っている俺が暴走するのが不安なのだろう。

 そんな人員を解決する手段があると言えず、俺は愛想笑いを浮かべるにとどめた。

 

 

 

「なんだ。

 ホムンクルスが欲しいのか?」

 

 電話での蒼崎橙子との情報交換で彼女は笑う。

 魔術師だとホムンクルスという選択が取れる事があるからだ。

 アインツベルンとかユグドミレニアと言った家門でないと作れない技術ではあるが。

 

「あった方がありがたいが、使い捨てのサイクルが短すぎる。

 せめて数年は持って欲しいところだよ」

 

 実はそれが可能な学園都市のクローン技術というのを狙っても居たのだが、こっちは訪問時に断念した経緯がある。

 あれも露骨に絶対能力進化計画に絡んでいるし。

 俺は電話口で蒼崎橙子相手に愚痴る。

 

「実際にクローンやホムンクルスが戦場に投入されてみろ。

 自立する合法的な肉壁。

 都市戦ががらりと変わるぞ」

 

「発展途上国で行われている少年兵と何が違うんだ?」

 

 分かっているくせに聞いてくるのだから蒼崎橙子はタチが悪い。

 俺もそれを理解しているので、自虐的に言い切る。

 

「こいつらの厄介な所は、教育によって最初から熟練兵の動きができる。

 短期間でプロが育成できるのは大きいぞ。

 そして、この国は魔界なんてものと繋がりつつあるから、兎に角裏の人間が足りない」

 

「神秘の秘匿もへったくれも無くなるな」

 

「それ以上の神秘がやってくるんだから、問題ないだろう?」

 

 二人して乾いた笑いをあげた後、蒼崎橙子は確定的に告げた。

 

 

「冬木の聖杯戦争が始まるぞ」

 

 

「何!?」

 

 

 俺はそれ以上の言葉が出ない。

 馬鹿な。早すぎる。

 あの聖杯戦争は冬に行われたのでなかったのか?

 今は、まだ初夏だぞ。

 

「むしろ何故予定通りに聖杯戦争が起こると錯覚していたのかな?

 順調に世界が混じっているのだから、予定が狂ってゆくのは当たり前じゃないか。

 時計塔からの情報で、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトとソラウ・ヌァザレ・ソフィアリの入国を確認したわよ」

 

 これは聖杯戦争が開始されるだろう。 

 きっと衛宮切嗣とアイリスフィール・フォン・アインツベルンと久宇舞弥も入国しているに違いない。

 

「もしもし?

 聞こえているか?」

 

「聞こえているよ。

 頼んでいた人形の制作だが、何処まで進んでいる?」

 

「事が事だから急いで仕立ててある。

 別料金を頂きたい所だがな」

 

 俺は受話器に安堵のため息を吐き出す。

 学園都市に行ってスティーブンによってCOMPの拡張ができたのは大きかったので急ぐ必要はないかもしれないが、造魔に等しい人形に補助職悪魔を入れて独立行動が取れるのは大きい。

 

「その分の請求書は改めて用意してくれ。

 支払おう」

 

「安心しろ。

 こっちの分は金よりも別のもので払って欲しい」

 

 その時の蒼崎橙子の声は悪魔の囁きに聞こえた。

 こうやって物語はさらに複雑化してゆく。

 

「学園都市へ入るための許可が欲しい。

 正規のやつだ」

 

 隠れて学園都市に入るぐらいはどうとでもなると思ったが、彼女が入る理由は一つしか無いと気づき、それだったらたしかに隠れて探るよりも堂々と入った方が色々やりやすい。

 

「クローン技術か」

「ご明察。

 日本政府正規の肩書があれば、ある程度は探らせてくれるだろうし、そこから奥は自己責任でするさ」

「ヤタガラスの協力者として申請を出しておく」

「ああ。

 近い内に人形は取りに来てくれ。

 では。

 良い聖杯戦争を」

 

 そう言って電話は途切れた。

 この言葉はやる夫スレでは見たけど、こうして聞くとは思わなかったな。

 

 

「やる夫。

 ちょっといいかしら?」

 

 戻った俺に叢雲が呆れた声で話しかける。

 何だと言おうとする前に、叢雲は手を引っ張って冷蔵庫の前に。

 あっ……

 

「またか」

「それだけじゃないのよ」

 

 ドアを開けた。

 

「ヒーホー♪」

「あたいったらさいきょうね!」

 

 ドアを閉めた。

 見なかった事に……

 

「待ちなさいよ!

 あれなんとかしなさいよ!!

 なんなの!?

 何で必ずあれが居るわけ!?

 しかも増えているし!!!

 わたしのアイス食べられているんですけど!!!!」

 

 叢雲の激昂の結果、妖精ジャックフロストと妖精チルノが仲間になった。

 あの冷蔵庫、完全に異界化しているな。




レールガン
 ここまで実用化されているらしい。
 https://toyokeizai.net/articles/-/60167

チルノ
 『東方紅魔郷』。
 大チルが俺のアイシクルフォール。
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