【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
「光が……」
「フェーベの反応がありません!
艦隊は大混乱しています!!」
「あらあら。
どうするのかしら?」
グラナダ上空。
本隊がソロモン攻略後ア・バオア・クーへ向かい、ルウム経由でグラナダ攻略を命じられた俺の艦隊はマ・クベ中将を利用してグラナダ基地を無血開城で攻略。
なお、グラナダ攻略と同時にア・バオア・クー攻略戦を行う予定だったのだか、グラナダ無血開城にてタイムスケジュールが前倒しになった為、ア・バオア・クーに行ったキシリア艦隊を叩くためにア・バオア・クーへという所でこの閃光を目撃する。
あれ、発射タイミングがわかればまだマシュたちのバフで乗り切れなくもないが、超距離からの不意打ちだと、多分防げないな。
「艦隊各艦に動揺するなと伝えろ。
それと、戦力を再確認する」
ニューソクデ艦隊
マゼラン 11隻
サラミス 50隻
コロンブス 30隻
グレイファントム
MS編成
コロンブス一隻 ジム✕6 ボール✕12
ジム×180 ボール×360
グレイファントム
RGM-79SP ジム・スナイパーII×4
RX-77D 量産型ガンキャノン×2
「司令官。
ジャブローから通信が」
この忙しい時にと思いながら通信を開くと、ジャブローに居たゴップ大将が画面に映る。
明日の天気でもという他人事みたいな感じで会話が始まった。
「大変な事になっているみたいだな。『大将』」
「私はまだ中将のはずですが……?」
この時期の昇進なんていやな予感しかしない。
で、それは的中した。
「今から君は大将だ。
そして、艦隊をまとめて、ア・バオア・クーを落としてほしい」
「放置して、ジオン本国叩きませんか?」
何も決戦をしなくてもという顔でおれがぼやく。
既にマ・クベ中将を利用して、ジオン本国との交渉を進めようとしていた矢先だった。
「正しいことが常に通るとは限らないのが世の中でね。
連邦議会が動揺しているんだ」
あれを見せられた上にレビル将軍が艦隊の三割と共に消えたとなれば、動揺しないほうがおかしい。
俺はゴップ大将にしかめっ面で確認する。
「コロニーレーザーは講和条約で奪ってしまえばどうとでもなります。
分かっていますか?
ここで私の艦隊がア・バオア・クーに行ったら、この戦争負けますよ?」
「わかっているよ。
だからこそ、君を大将に据えるんだ。
君の提案した交渉は続けたまえ。
大将の箔もそのためというのが一つだ」
「では、ほかの理由は?」
ゴップ大将は画面の向こうで笑顔を見せる。
少なくとも、彼にとってはもう『戦後』が始まっていた。
「決まっているだろう。
君だったら、死なないだろうと思ったからだよ。
コロニー落としで最後まで殿をつとめ、ルウムでは指揮する戦隊を無傷で生還させ、オデッサでは上空でにらんで、ジオン軍をついに宇宙に上げさせず、そして今回のグラナダ無血開城だ。
混乱している連邦艦隊を現場でまとめられるのは君しかいないんだよ」
「……地球連邦軍も人材不足が決定的になってきましたな。
ただ、戦艦に乗りたかっただけの女連れの腐敗将校ですよ。私は」
「まったくだ。
だからこそ、私の引退後は君に仕事を押し付けるのでそのつもりで」
それが彼のエールであるのがわかっているのて、俺はただ敬礼で返事をした。
「こっちは、この一戦ぐらいは議員を抑えて見せる。
君の好きに動き給え。大将。
終わった戦争で死ぬほど馬鹿馬鹿しいものはないぞ。
死ぬなよ」
ア・バオア・クー攻防戦は高濃度ミノフスキー粒子が漂う中、0079年12月31日0時00分に開始された。
ソーラ・レイの被害を受けなかった第二、第三大隊をNフィールドへ、被害を受けた第一大隊とホワイトベースをSフィールドに向かわせる。
このタイミングで俺の艦隊がア・バオア・クーEフィールドに到着する。
まず行ったのは、指揮権の掌握だった。
「私はヤルオ・ニューソクデ大将である。
連邦軍本部の命を受けて、レビル大将の指揮権を引き継ぐ。
現状は個々に戦いつつも、司令部の指揮に従ってほしい」
派遣されたEフィールド別動隊を掌握すると同時に、艦船を派遣してNフィールドとSフィールドの指揮権を確保しなければならないのが面倒な事この上ない。
これも、俺の艦隊が来る前に戦闘を始めたせいなのだが、この時の連邦艦隊はコロニーレーザーの二射目を恐れており、ア・バオア・クーで戦闘状態に入る事で同士討ちを避けてコロニーレーザーが撃たれないことを考えていたらしい。
……小説版だとためらうことなく撃つのだが。
閑話休題。
「Sフィールドを攻めているのはワッケイン提督で、Nフィールドの主力はダグラス・ベーダー中将か」
「両提督とも提督の指揮権を認めるとの返事が届いています」
俺の確認にマシュが返事をする。
コロニーレーザーでレビル将軍以下司令部が消えた結果、この作戦は現場指揮官とジャブローとの通信によって強行されたという経緯がある。
で、こりゃまずいとゴップ大将が俺を昇進させた上で司令官としてこの作戦を統括しろと言ってきた訳で。
「ニューソクデ大将?」
「あの人また出世したのか」
「ルウムの英雄だろう!勝てるぞ!!」
「え?あの女連れ提督が来たの!?」
「『ジャブローの火消し』のご登場か」
こちらに聞こえてきた通信に困惑というか苦笑というか安堵が入っているのは、この作戦がいかに無計画だったかを物語っている。
俺の艦隊次席司令官であるジョン・コーウェン准将に連絡を取る。
「グレイファントムを旗艦に臨時艦隊を組む。
マゼラン3隻、サラミス10隻、コロンブス5隻を渡すから、Eフィールドの艦隊を掌握しろ」
「了解しました」
Eフィールド分艦隊は戦力比で6対1にも関わらず、カスペン戦闘大隊等の活躍で第一次攻撃を跳ね返していた。
このあたりも司令部不在が響いているのだろう。
Eフィールド分艦隊
マゼラン9隻
サラミス32隻
コロンブス26隻
MS ジム・ボール含む 636機
「……なんだこれは?」
俺の艦隊がこのEフィールドの分艦隊と同規模はなのはよしとしよう。
問題は、詰込みに詰め込んだMSたちである。
そりゃ、統制なんてとれる訳もなく。
「ただでさえ、攻略の為に定数以上のMSを持ってきて、コロニーレーザーで打ち抜かれたものだから母艦が足りず……」
「おーけいわかった」
オボロ中佐の説明に頭を抱える俺。
マゼランやサラミスの甲板に露天係留みたいなマネしてMS持ってきたからなぁ。
「大将。
ちょっと暴れてくらぁ」
嬉しそうな声と共にヤザン少佐のガンダムが飛び立ってゆく。
一方で残ったライラ大尉に向けて、Eフィールドの全MS隊の統括をコーウェン准将と共に取らせるように頼んで、俺は戦況を見守ることにした。
戦況
1 ジオン有利
2 ジオン有利
3 ジオン有利
4 戦力拮抗
5 戦力拮抗
6 戦力拮抗
7 連邦有利
8 連邦有利
9 連邦有利
10 熱烈歓迎
Nフィールド 10 熱烈歓迎
Sフィールド 10 熱烈歓迎
Eフィールド 10 熱烈歓迎
「ん……何だかジオンの指揮が乱れてない?」
「通信もどうも混乱しているみたいで」
「Nフィールドの敵ドロス級巨大母艦が沈みます!」
叢雲・マシュ・オボロの三人の言葉に俺は顎を触りながら一息ついた。
つまり、やってくれたのだろう。キシリア・ザビがギレン・ザビを殺した指揮系統の混乱だが、ここまで露骨に出るとは思っていなかった。
そして、それを見逃すほど連邦軍もお人よしではなかった。
「勝ったみたいね」
「問題はここからさ」
ステンノのささやきに、俺は返事をしながらモニターを眺める。
何しろ、史実の退路上に居るのが俺の艦隊である。
死兵を相手にして、万一をもらう訳にはいかなかった。
「全艦隊に厳命。
逃げる敵は追うな。繰り返す。絶対に逃げる敵は追うな。
捕虜の処遇は南極条約に乗っ取ることを確認させろ」
俺の命令に何隻かのサラミスが離れる。
ミノフスキー粒子下の戦闘では通信が不安定なので、こういう連絡も一苦労なのだ。
「コレマッタ中佐の陸戦隊をSフィールドに送る。
要塞内部を制圧させるんだ」
艦船やMSは大量に用意した連邦軍だが、要塞制圧のための歩兵が圧倒的に不足していた。
そのため、とりついた艦船から陸戦隊を編成して制圧させなければならなかったのである。
それを見越した制圧部隊を乗せたマゼランが護衛のサラミスを連れてSフィールドに向かってゆく。
「艦隊の位置を下げる。
退路を開けてやれ」
意図的に艦隊を下げて退路を開けてやる。
既にSフィールドとNフィールドからア・バオア・クーに連邦軍が取り付きつつある現在、その意味に逃げようとするジオン軍は気づくだろう。
実際、こちらの射程距離ギリギリをぬうようにしてジオン艦隊が敗走してゆく。
ジオン軍の特攻
1 なし
2 同上
3 特攻が出るも無事撃墜
4 同上
5 同上
6 同上
7 特攻でMSに被害が
8 特攻でMSだけでなく艦船にも被害が
9 旗艦ムラクモまで敵が
10 熱烈歓迎
3 特攻が出るも無事撃墜
MS何機かが支援なのか私怨なのか知らないが、艦隊に突っ込むが、護衛MSの十字砲火を浴びて星の屑となる。
こちら側が手を出さないことを察したジオン軍は次々と逃げ出してゆく。
それは、この戦争が終わったことと、次の戦争が始まることを明確に示していた。
艦内だけでなく、通信でもミノフスキー粒子が薄くなって通信が回復しだす。
グラナダのマ・クベ中将から、ダルシア・バハロ首相が終戦協定の申し入れが発表されたという報告が届き、俺の一年戦争は翌日のグラナダ条約締結式に連邦軍代表に参加する事で終わった。