【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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世の中はうまくいかない上にさらに厄介事がやってくる

 冬木の聖杯戦争が始まりそうなので、天海市攻略を一時中断して先に冬木市に向かうことにする。

 約二週間で終わる予定の戦争だから、一月、最悪でも二月見ておけば大丈夫だろう。多分。

 

「弾薬に燃料は満タンにして頂戴!

 舞鶴港までの航海計画の提出を。

 乗員の非常招集はできている?」

 

「ご安心を。

 あと8時間で全部終わらせます。

 さらば日常、ようこそ非日常の世界へという所ですかね」

 

 出港準備に奔走する叢雲に副長代理の新島三佐が落ち着いて隊員に指示を出している。

 このあたり俺の仕事はないので、艦橋を出て俺の仕事に向かう。

 

「入即出はん。

 最低限のものは整えましたえ」

 

 天ヶ崎千草が巫女姿で俺に付きそう。

 叢雲のもう一つの体であるこの船体に対する魔術防衛は全部彼女に任せる予定なのだ。

 具体的に言うと、金にあかして買いまくったマジックアイテムの発動を彼女に任せる事に。

 また、残った悪魔達への指揮なども担当することになっている。

 

「じゃあ、そのあたりを含めてある程度レベルの低い悪魔を用意しておかないとな」

 

 COMPの中に12体入るので、数は置けるが指揮できる人間がいない。

 その手の指揮ができてある程度のレベルがある天ヶ崎千草の存在はかなり大きかった。

 追加で悪魔を補充という所で、また妙なものを見た。

 

「あ。

 入即出二佐相当官!」

 

 陸上自衛隊服姿の対魔忍達である。

 ビシッと敬礼してくれるけど、学徒動員に近い哀愁が漂って色々と痛い。

 で、もはやコスプレにしか見えない朧が俺に書類を差し出す。

 

「これが市ヶ谷からの正規の命令書です。

 特殊作戦第四中隊、第四小隊所属、甲河班以下七名。

 乗艦許可をお願いします」

 

「……」

 

 俺の知っている限り、特殊作戦群に第四中隊ってのは存在しないのだが、偽造なのか退魔組織なのか分からない上に書類は本物だった。

 こっちの動きに便乗しようというのその姿勢は評価するが、頭対魔忍でないとこうも的確に動けるのか。

 なお、甲河朧は三尉になっていた。

 

「入即出はん。

 使えるモンは使うべきどす」

 

 天ヶ崎千草のツッコミに俺は軽口を叩く。

 

「その使えるのが関東の人間だったら?」

「盾にしますな」

 

 おーけーわかった。

 好き嫌いはともかく、その姿勢は評価しよう。

 

「乗艦を許可する。

 誰か!

 陸自からのお客さんだ。

 船室を用意してやってくれ!!」

 

 朧と対魔忍達が部屋に連れて行かれるのを見ながら、俺は天ヶ崎千草に後を頼む。

 こうなるとやらないといけないことがあるからだ。

 

「ここは任せた。

 副長代理の指示に従ってくれ」

 

「はいな。

 で、入即出はんはどちらへ?」

 

「仲魔集めさ」

 

 

 

 今の仲間はこんな感じである。

 

妖精 ハイピクシー lv10

鬼女 文車妖妃 lv12

妖精 ジャックフロスト lv15

女神 ブリジッド lv47

幻魔 クー・フーリン lv43

妖精 チルノ lv9

 

 で、ホテル業魔殿に行って悪魔全書を使い、DDS-NETを起動して以下の悪魔を購入し合体する。

 

 

魔獣 オルトロス + 女神 ブリジッド = 神獣 ゲンブ

 

女神 ブリジッド + 鬼女 アチェリ + 天使 エンジェル = 魔神 ルーグ

邪龍 バジリスク + 夜魔 ザントマン = 魔王バロール

魔神 ルーグ + 魔王バロール = 威霊 ブラックマリア

威霊 ブラックマリア + 造魔 = 英雄 ジャンヌ・ダルク

 

 

 神獣ゲンブは、タル・ンダとラク・カジャが使えるサポート要員。

 英雄ジャンヌ・ダルクは完全にメガテン側の姿の回復要員だった。

 持ってなかったからなぁ……ルーラー……

 護衛用に大天使イスラフィールを買ってひとまず平崎市を出る。

 今度は人形を受け取りに、蒼崎橙子の所に行かねばならないからだ。

 彼女は東京にも隠れ家みたいなものを保有しており、そこでの受け取りとなっていたのだが……運が良かったと言うか悪かったというか……

 

 横浜から東海道線に乗って湘南新宿ラインで歌舞伎町へ。

 隠れるなら雑踏の中とはよく言ったもので、その大通りを……なんだあれ。

 何でいるのだろうな。赤王ちゃま。

 水着モードである。

 しかも『あかいいなずま』。

 色々見えているし。

 というか、歓楽街の連中ですら神々しくて近寄って行かないのですが。

 俺も見なかったことに……

 

「待て。サマナー。

 この体に、この美に言うことがあるだろうが!」

 

 捕まった。

 しかも思った以上に力が強い。

 これかなりレベルが高いぞ。

 

「もしもしポリスメン。

 露出痴女が一人」

 

「待たぬか馬鹿者!

 これだけ扇情的な格好で最初の一言がそれとは何事ぞ!

 このローマを魅了した体でぬしをとろけさせてやろうか?」

 

 あ。

 これ赤王ちゃまの皮をかぶった別の悪魔だ。

 凄く嫌な予感がする。

 

「あら。

 マスターには私達が居るから駄目よ」

「そうよ。

 引っ込んでいなさい」

 

 ステンノと叢雲の口撃に彼女は二人の胸を見て一言。

 

「慎ましいのと普通の胸が好みなのか?」

 

「「殺っていい?」」

 

 逆鱗を踏み抜くそのスタイルと胸は嫌いではない。

 完全戦闘態勢の二人を見て、赤王ちゃまは呵々と笑う。

 

「怒るな二神よ。

 それで、サマナーをとろけさせているのならば十分ではないか。

 余ほどの悪魔となると中々契約できるサマナーがおらぬでな。

 契約させてやってもいいぞ!」

 

 ドヤ顔を決めたので、そのまま放置して目的地に。

 この手のキャラは放置を一番嫌がるのだ。

 

「まてまてまて!

 こう見えても魔人だぞ!

 凄いんだぞ!!

 偉いんだぞ!!!」

 

 涙目で袖を掴む赤王ちゃま。

 皮に悪魔の性格まで引っ張られたか、それともこういう性格だからこの皮になったのか。

 

「いいじゃない♪

 契約してあげれば♪」

 

 ふいに耳元から囁かれて、俺達は慌ててその場を離れるが、そこには蛇を巻き付けた妖艶な痴女二号が。

 ……歌舞伎町だしなぁ。

 

「失礼ですが、東京キングダムあたりに巣食っていると思っていました」

「そうなのよ。

 なんかえらく強いシスターが暴れててこっちに避難してきたって訳♪」

 

 歌舞伎町の主になるのも時間の問題だろうな。

 夜魔リリスだし。

 

「おいっ!

 余の事忘れていないか?

 強いんだぞ!

 役に立つんだぞ!!

 契約してほしいんだぞ!!!」

 

 あ。

 涙目で懇願しだした。

 リリスからすればこんな所で赤王ちゃまが居ると営業妨害もはなはだしいから俺に押し付けたと。

 ここまで悪質なキャッチセールスは見たこと無い。

 ため息をついて赤王ちゃまと契約をする事にした。

 

「うむっ!

 余の名前は大淫婦バビロンだ。

 これからもよろしくな!!」

 

「良かったわね。

 だからこれ以上ここに居ないでね。

 私の餌が減るから」

 

 こんなのがほっつき歩いているぐらい、この街の危機は深刻化していると。

 

 

  

 出迎えた蒼崎橙子が大淫婦バビロンを見て大爆笑したのは言うまでもない。

 用意した人形は問答無用で彼女に奪われ、追加で人形をもう一体発注する事になる。




あかいいなずま
 ぐぐれば全てが分かる。

大淫婦バビロン
 その逸話から赤王ちゃまの皮はある意味当たり役。
 なお、悪魔データは別名のマザーハーロットを使う予定。

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