【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
コロニーレーザーでのエゥーゴ艦隊の被害
36%
アーガマ判定 36以下なら撃沈 +カミーユ・クワトロNT補正
114 生存
「エゥーゴ艦隊。次々に月面に帰還しています。
アナハイムとグラナダに艦隊を集めて再編する模様です」
「損害については大体三割から四割という所でしょうか」
「アーガマも撃沈までは行っていないみたいですが、かなり損害を受けているみたいですね」
モニターには、ボロボロのアーガマが映っていた。
直撃は避けられたがカタパルトにまでMSや脱出ランチが乗っているあたり打撃の凄まじさを見て取れる。
なお、近代軍隊では三割の損害で全滅判定なんて言われて後方での再編成が必要とされていたり。
一年戦争のア・バオア・クー戦がいかに無謀だったかよく分かる。
「あれ、絶対ジオンの内部分裂がなかったら負けていたよなー」
「今、そういう感じになっているけどどうするの?」
俺のボヤキに叢雲が突っ込む。
まぁ、それをなんとかするのが俺の仕事なんだが。
「毒ガスだけでなくコロニーレーザーまで撃つとこちらも反乱軍として対処しないといけないなー。こまるなー」
「先輩。棒読みです」
マシュのツッコミを俺は無視して、今後の方針を告げる。
まずは政治でニューディサイズの正当性を剥ぎ取る。
「主の居なくなったティターンズを乗っ取るのさ」
治安維持組織としてのティターンズは権限拡大が連邦議会で承認されていたが、そのトップのジャミトフ・ハイマンがニューディサイズがらみのクーデターによって全ての公職から身を引いていた。
まずは、ここを掌握してニューディサイズを討つ正当性を握る。
「ただ、その為には一つ問題があるんだよなぁ」
「あらあら。どんな問題なのかしら?」
ステンノの声に俺はモニターに地球を移す。
地球とグリプスとゼダンの門の位置関係を見ながら話を続ける。
「ティターンズの乗っ取りの為にはダカールの連邦議会に出向く必要がある。
ついでに言うと、ジャブローで生産中の艦隊とMSの打ち上げ先がゼダンの門の真ん前。
どうぞ撃ってくれと言わんばかりなんだよなぁ」
更に言うと、月方面艦隊司令長官である俺の不在はエゥーゴの本拠地である月都市攻撃のチャンスでもある。
艦隊の離脱や逃亡が起こっているニューディサイズは彼らの理念を達成するためにも残された時間で乾坤一擲の博打を打たねばならなかった。
「俺が出向いている間に、誰にこの月を任せるかな?」
シロッコは大佐の上木星船団という外様。
マ・クベは中将だけどフォン・ブラウン基地司令で元ジオン。
艦隊の次席司令のジョン・コーウェンは少将に降格している。
いかにこの艦隊が俺によって回っているかよくわかろうというもの。
そりゃ、軍閥と陰口を叩かれるわな。
「ワイアット大将はコンペイトウから動かしたくない。
ダグラス・ベーダー大将はルナ2から動けない。
となると……」
この世界線で生き残ってしまった提督に連絡を取る。
彼はレビルの後継者として連邦軍本部にて中将になっており、遠くない未来に大将になるだろうと皆が目していた。
「ワッケイン中将。久しぶりだな」
「お久しぶりです。閣下。
お元気そうで何より」
挨拶の後、即座に本題に入る。
互いに温和な表情だが目は笑っていない。
「近く地球に行くのだが、月方面艦隊の艦隊司令代理をお願いしたい」
「また唐突ですな。
理由をお伺いしても?」
「権限が拡大されているのに頭と手足がなくなったティターンズを乗っ取るのさ」
俺の企みに画面向こうのワッケインの口が歪んだ。
俺がゴップ議員と懇意にしているのは知っている訳で、それは連邦議会で承認を求めるならば通るだろうという事に気づかないと連邦軍将官なんてやっていない。
「艦隊司令代理の間好きに動いてもよろしいので?」
「そのぐらいの役得はあってしかるべきだろう?
とはいえ、私も使える連中は連れてゆくので、残った者で頑張り給え」
ハイザックとマラサイを載せたマゼラン改とサラミス改の艦隊およそ40隻については、アナハイム・エレクトロニクスと交渉して彼らの秘密基地である茨の園に隠すことになっている。
かわりに、残った艦隊を預かるワッケイン中将とどんな取引をしようとも俺は関知しない。
ワッケイン中将が月に着くと、アナハイム・エレクトロニクスの重役連中とエゥーゴのブレックス・フォーラ 准将が接触する段取りなっている。
ワッケイン中将はしばらく無言の後、ため息を吐き出して了承する。
「相変わらず、閣下は一年戦争の頃から変わりませんな。
ルナ2で問題を起こして、それを処理していた頃を思い出します」
「そういえば、ずっと留守番を任せていたなぁ。
ア・バオア・クー戦もある意味尻拭いだ」
「閣下の増援と指揮掌握がなければ、私もあそこで死んでいたかもしれませんな」
「それは困る。
私の後始末を押し付ける奴が居なくなるじゃないか」
そして二人して笑う。
事ここに至ってはティターンズの乗っ取りと同時にいやでも政治に絡まざるを得なくなる。
動けなくなる月方面艦隊に信頼できる連邦軍将官は絶対に必要だった。
「連邦軍本部の根回しはこっちでする。
後は任せた」
「拝命します」
月方面艦隊の欺瞞行動
56
ニューディサイズの看破
48
ニューディサイズが俺たちが地球に降りた事に気づいた時には、既にシャトルは大気圏内だった。
あれだけ戦艦に乗ることに拘っていた俺があっさりとシャトルで地球に降りるという選択を信じきれなかったのだ。
結果、俺達のシャトルは無事にジャブロー基地に到着する。
その後、ダカールの連邦議会にてティターンズ総帥代理にニューソクデ・ヤルオ大将が就任する事と、ティターンズの治安権限拡大が連邦議会で承認。
ダカールの議場で俺は宣言する。
「議員の皆様に与えられた権限の重さに真摯に向き合い、この権限を地球圏の平和のために使いたい。
また、ティターンズの功績を評価しつつも、それに泥を塗り地球圏の平和を脅かす勢力の伸張を私は許容しない。
ここに宣言します。
ティターンズはその権限に基づき、ニューディサイズを反乱軍として討伐する事を!」
議場の万雷の拍手の中、ニューディサイズはその政治的正当性を完全に失った。