【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
「ちょっとした思考実験をしたい」
そんな思い付きでシロッコ、孔明、陳宮の三人を呼び寄せる。
今の所次の戦場である英国で発生するだろう地獄。一応味方なのだが対アーカードをあの少佐がどうやって潰すのかという奴である。
叢雲・ステンノ・マシュの三人と共に会議室を借りての席。
俺が覚えている限りのアーカードの情報を提示すると、シロッコが一言。
「核でロンドンごと焼くのは?」
「ありだ。
最悪の事態にはそれを使う事を想定していた。
ある意味便利な兵器だよ。核って奴は」
孔明が考えながら口を開く。
「我々を呼んだという事は、そういう化け物相手に対抗できる英霊が居るかという事なんでしょうが、今の言葉で範囲が絞れましたな。
要するに『ロンドンを核で焼く』程度の範囲攻撃ができるサーヴァントが、該当するでしょう」
「となると、対軍宝具以上?」
「色々例外はあるでしょうが、それぐらいかと」
このあたりの色々はその時どっちの物語が強いかにかかっている。
『ヘルシング』の方が強ければ、対軍宝具でも殺し切れないという訳だ。
陳宮が口を開いた。
「少し視点を変えてみましょう。
おそらく、属性として吸血鬼、もしくは死霊系という事なので聖水などは効くのですか?」
「効くだろうな。殺せるかとなると微妙ではあるが。
だからこそ、核の一掃という選択肢が便利に見える。
そのあとの救助と復興は考えたくないがな」
何もアーカードを敵にする必要はないが、この闇鍋世界少佐の方が対アーカード攻撃のろくでもない手段を持っている可能性があるから困るのだ。
「たとえば、天使の軍勢が彼を仕留めに来た場合、彼は勝てない」
俺はここで口を閉じる。
『ヘルシング』十字軍よりたちが悪い本物の天使たち。
これはアーカードでも勝てないだろうと判断している。
シロッコが俺に質問する。
「どうしてなんです?閣下?」
「補正の差だ。
欧米世界におけるハルマゲドンの天使。
その信仰強度は終末論もあってかなり強い。
で、ロンドンを潰す大災害が起こってみろ。残った人間は間違いなく神にすがるぞ。
かくして、信仰力を得た天使たちは容赦なく天使に従う者以外は皆殺しと」
話していてだんだんと思考が見えて来る。
この話、問題なのはロンドン壊滅ではなく『ヘルシング』原作では発生しえない天使たちの総取りという可能性なのだ。
特に、天使とあの少佐が組んでいるというか、分かってあの少佐踊ってやがる。
ハルマゲドンなんて戦争狂にとって最高の舞台だろうからなぁ。
「面白そうな事をやっているではないか。弟子よ」
呼んだ訳もないし、いつから居たあんたと言いたいのだが、俺は鬼一法眼に突っ込んでも喜ぶしかないのが分かっているので、そのまま話に加える。
「次の戦場である欧州での仮想敵に対する思考実験ですよ。
次の話題はこいつの霊核を数百万のゾンビか死霊か吸血鬼か分からないものの中から見つけて貫けるかという訳で」
俺の次の言葉に鬼一法眼以外の人間が首をひねる。
鬼一法眼が笑顔で皆の疑問を口にした。
「つまり、その数百万の群れの中から一つを選んで、弟子が持つ槍兵の槍が届くかどうかという事じゃろう?
簡単な事ではないか。
当人に聞いてみればよい」
という訳で、ランサーのクー・フーリンを呼んでくる。
当たり前のようにバニータイツ師匠もついてきたがいつもの事なので気にしない事にした。
「『刺し穿つ死棘の槍』は、発動すれば確実に当たるぞ」
「ただ、その発動条件、満たすのは難しいがな」
クー・フーリンの返事に対するスカサハの突っ込みは事実で、槍そのものの距離まで入らないと発動しない訳で。
となると、近づくために数百万のとりまきをどうするかが問題となる訳で。
「そう案ずるでない」
さも当然のように、バニータイツ師匠は真顔で言う。
説得力はみじんもないが、彼女の言葉は俺たちが見落としていたある事を思い出していた。
「戦場がロンディニウム、いやロンドンなのだろう?
地域補正だったか、かの地に行けば私もこいつも宝具の一つ二つぐらい増えるだろうよ」