【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
「ちなみに、貴方がゴルゴ13に狙われたらどうするの?」
叢雲の質問に俺は両手を上げて降参する。
これだけは素直に勝ち筋が浮かばないからだ。
「まぁ、無理だな。
素直に撃たれるさ」
ゴルゴ13の厄介さはあらゆるエキスパートなだけでなく、きちんと事前情報を集めてその上で手を打ってくる用意周到さにこそある。
更に調べてゆくと、彼のスタンスというか立ち位置が見えて来る。
「彼は基本歴史の要人を狙わない。
狙うリスクが高過ぎるからだ。
かといって歴史が動く影の人物はターゲットに入る」
「あらあら。
じゃあ、貴方ピッタリじゃない」
「大丈夫です。
先輩は私が守ります!」
俺の説明にステンノとマシュが合いの手を入れる。
とはいえ、叢雲を入れたこの三人を使ってもゴルゴ13には勝てないだろうなと思ったり。
「ありがとう。マシュ。
まぁ、そんな訳で、一番いいのはゴルゴ13に依頼しなくてもいいように失脚の穴をあけておく事だったりする」
ゴルゴ13への依頼は基本一回のみで、依頼主と再度会う事を彼は望まないからだ。
彼への依頼料は20万ドルから300万ドルで、政府要人扱いである俺への依頼だと300万ドルの方だろう。
一ドル100円計算だとおよそ三億円。
政府要人への暗殺料金としてはなかなかの金額で、経費申告なんてできないこれを裏の金で用意する必要がある。
で、俺の失脚を企む連中でその目的が欲望ならば三億円をケチろうとするだろう。
頭があるならば、俺が用意した穴を突く方に行くだろう。
「失脚の穴って何です?閣下?」
シロッコが聞いてくるので俺は素直に告げる。
合法的に失脚させられるのならば、それに越した事はないからだ。
「今の俺の身分は宮内省の技術総括審議官だ。
新設組織でその上外様だ。
省庁の人事を考えると、数年で席を譲る事が確定しているんだよ」
もう少し言うと、室戸文明事務次官のスカウトという形だから彼が席を去れば必然的に席を去る事になる。
なお、彼の出世すごろくではもう内閣官房副長官に上がるか、立候補して議員となるか、そのまま退任して天下りの三つしかない。
そう考えると数年で去らねばならない椅子である。
「ちなみに、自衛隊の場合の席は?」
叢雲の質問に俺は考えながら答える。
叢雲とマシュ風の所有からここは絶対に離れられない所である。
「海将補相当官で、ここは動かないだろうな。
これは自衛隊側も手放したくはないだろうから、守ってくれるだろう」
今年の人事で甲賀朧一佐と雅羅派詩舞一佐が誕生するし、デグ様とシロッコというコネもある。
一番守ってくれるのが多分ここだ。
「もう少し言うと、俺を暗殺する場合地位や金ではなくて、叢雲やマシュやステンノたちを得たいはずなんだよ。
そうなると、俺を殺す前に一手間が必要になる」
このあたりは俺との契約があるのでこれを破棄して奪い取る必要がある。
『破戒すべき全ての符』で奪い取るのは可能ではあるが、従うかどうかは別である。
まぁ『お国の為に差し出せ』あたり言ってきそうな空気もあるが、この高レベルを従える代わりが見つかるとも思えない。
そういう所からも、俺を失脚させたい連中がゴルゴ13に依頼しにくい所なのだろう。
「あれ?
ならば、どうして先輩を狙う暗殺者がやって来るんですか?」
マシュの疑問に答えたのは陳宮だった。
「それは簡単です。
依頼主にとって、あなた方の所有という価値に重きを置いていないのです」
このあたり知恵と欲が足りない連中の特徴ともいえる。
今の俺が持っているものの価値を理解できずに排除しようとしている訳だ。
まぁ、仕掛けた連中がメシアとかそっち系だから、叢雲とかマシュとかステンノをとるつもりはないのだろう。
「さてと、そろそろ現実に戻るとしよう。
俺とシロッコ大佐を狙う暗殺者への対処だがどうする?」
俺の質問に陳宮が答える。
今までの話の間に策を考えていたらしい。
「この手のは守っていたら負けます。
国内に入ってきた時点で攻めるべきです」
「任せた。
現場指揮はシロッコ大佐。君がやるといい。
ハイデッカーとオイランロイドの兵を一個小隊用意するから排除してみせろ」
「了解しました」
暗殺者排除
ゾルダの暗殺者の工作
43
シロッコ指揮の襲撃
46
数日後。
シロッコ指揮の襲撃チームがソルダ暗殺者の排除に成功したという報告を受ける。
モブ暗殺者だった事でとりあえずは安堵するが、そのうちノワールを送り込んでくるのだろう……あ!?
こいつらの聖地、ピレネー山脈の麓じやないか。
英国に渡る拠点であるジブラルタルとは目と鼻の先である。
これ、潰しておかないと駄目だろうな。きっと。
デグ様に進言してNATO軍内部の浄化と合わせてやってもらおう。