【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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異文化交流 その1

 プリズマ・コーズの異界内の大海原と竜の国にて。

 

「雁首揃えて! いらっしゃいませ~!」

「夕雲型駆逐艦、風雲、出るわ。いい? 艦隊出撃!」

「駆逐艦夕雲、本気で行くわ!」

 

 全員元の艦の姿で出撃する夕雲型三人を中立地帯で対峙するのは一人の弓の英霊。

 

「やるときは本気でやるって決めてんだ」

 

 アーラシュであり、この戦いは艦これ世界に返す前の夕雲型三人娘が何か提督のお役に立ちたいと言ってきたからで、ならばとアーラシュの性能を見ようという事でこの模擬戦と相成ったのである。

 その為、両者の周囲には俺たちの乗る叢雲の他にカメラをはじめとした観測機器が並べられて逃さぬようにデータを送り続けていた。

 

「よし。始めてくれ」

 

 

秋雲・風雲・夕雲の三隻から12.7cm連装砲の砲撃

 31

 

アーラシュの弓

 74

 

 

 俺の合図と共に、秋雲・風雲・夕雲の三隻から12.7cm連装砲の砲撃が、中立地帯に居るアーラシュに浴びせられるが……

 

「落ちろぉっ!!!」

 

 その砲弾の全てをアーラシュは己の弓で落としてゆく。

 12.7cm連装砲は一分間に10発の射撃速度だが、夕雲型駆逐艦についている12.7cm連装砲は三基×三隻=90発の砲弾を叩き落すのだから、離れた叢雲艦内で見ていた木林とラリー・マーカスン大佐とデグ様とテレスティーナ・木原・ライフラインは茫然とするばかり。

 

「わかってはいたが、英霊の力が本当にまずいな」

「この異界はある意味彼らの世界のホームですからね。

 問題はあのような英霊を維持し続ける魔力の方ですよ」

 

 デグ様のぼやきに俺は苦笑しつつ返事をする。

 英霊の欠点はここにあって、単独行動を持っていたとしてもマスターを叩かれるとどうにもならないのだ。

 その為、英霊の維持の為に魔力炉が必要となる訳で、うちの叢雲やマシュ風の機関部にはこの魔力炉が備え付けられて、ドレイク船長やモードレッドなどを現界化させていたり。

 

「よし。射撃終了だ。

 アーラシュに秋雲・風雲・夕雲お疲れ様」

 

「勝利は気持ちが良いもんだ」

 

「これじゃあイラスト描けないよぉ…」

「も~う。駄目じゃない! でも、こんなの!」

「やってくれたわねぇ……、ば……倍返しなんだから!」

 

 訓練とはいえ勝者と敗者が出る訳で、余裕のアーラシュに対して艦娘三人組は悔しさを隠そうともしない。

 今回は訓練と言う事で艦娘側は彼女たちの制御で戦ってもらったが、人を乗せた場合はまた違った結果になったかもしれない。

 言うつもりもないが。

 

「失礼ですが、あの少女たち三人も統括審議官の指揮にしか従わないのならば、統括審議官自らが指揮をなさるべきでは?」

 

 木林の純粋な質問に俺がその理由をあっさりとバラす。

 お役所仕事という名前の理由を。

 

「艦の指揮については厳密に決められていてね。

 海将補相当官が指揮するには数が多すぎるんだよ」

 

 あまりにたて続けの騒動の結果黙認されているに過ぎないが、俺の率いる第70護衛隊は『叢雲』、『浜風』、『ジャンヌダルク』の三隻であり、今回の夕雲型まで使うと隊を分けろと言ってくるのが目に見える。

 宮内省の統括審議官となった俺だが、古巣の海上自衛隊に過度なヘイトを売るつもりもないのだ。

 

「ですが、伊勢湾沖のトラブルについてはあの三隻は有効なのでしょう?

 ターニャ・デグレチャフ中将。

 米国軍人として、その有効性を同盟国に進言するのは日米関係改善に寄与できるものかと」

 

「ラリー・マーカスン大佐の進言は最もだ。

 私としては、入即出少将の艦隊について日本政府に働きかけるのもやぶさかでない」

 

 英国で事が起こった際に、ロンドンに突っ込む事になるのがデグ様の艦娘であるイントレピットで、その護衛は俺たちの船である。

 数が増えるのならばとデグ様が内政干渉示唆も分からなくもないが、そういうことをするから後方勤務できないんじゃと言うつもりもない。

 

「実際問題として、化け猫騒ぎは学園都市としては早急な解決をお願いしたい所です」

 

 テレスティーナ・木原・ライフラインが俺とデグ様に向けて懇願する。

 『樹形図の設計者』復旧計画は俺の支援もあって進んでいたが、情報生命体である化け猫がPOPした為に、打ち上げスケジュールが白紙になっていた。

 万一化け猫たちに『樹形図の設計者』を乗っ取られたらと思えば、化け猫たちへの対策は焦眉の急なのだろう。

 艦娘のみによる武器コントロールは、化け猫たちが情報によるハッキングから対抗できると見られているのだろう。

 

「よし。じゃあ次の訓練に移行するぞ。

 装備を変更してくれ」

 

 次の訓練と言うのが、化け猫騒ぎの本命である対潜水艦戦である。

 化け猫に乗っ取られたロサンゼルス級原子力潜水艦コロンバスだが、同型艦の退役艦に予算をつけて復旧させる事でごまかしていた。

 その艦の復旧後訓練も兼ねている。

 コロンバスの名前の前の潜水艦の名前はバトンルージュ。

 シエラ級原子力潜水艦のK-276に衝突され修理より退役を選ばされたこの艦を復旧させたぐらい、コロンバス乗っ取りがやばかった事を物語っている。

 とはいえ、乗組員までは一朝一夕にできるものでもない訳で、今回の訓練では想定される戦場が伊勢湾という事もあって自衛官たちがこの船を動かしていた。

 海江田四郎二等海佐以下やまなみの全乗員である。

 

秋雲・風雲・夕雲の対潜攻撃

 93

 

コロンバスの攻撃

 39

 

 潜水艦と駆逐艦の勝負は第二次大戦期なら駆逐艦の方が圧倒的に有利だった。

 潜水艦は常時潜れないし、攻撃して外したら速力差で追い付かれて爆雷の雨あられを浴びるからだ。

 だが、原子力潜水艦の登場はその常識を変えた。

 そのスピードと誘導魚雷という高性能武器は潜水艦を海の暗殺者に相応しい兵器に変えたのである。

 艦娘という想定外兵器の存在さえなければ。

 

「コロンバスより魚雷が発射されました。

 魚雷は3発!

 それぞれ、秋雲・風雲・夕雲に向かっています!!」

 

 観測していたオペレーターが声を張り上げる。

 訓練用の模擬魚雷とはいえ回避不能の必殺距離だが、俺以外の全員が目を向く。

 

「はん!こんなの被弾の内に入らないけど!」

「みいつけた! 艦隊、合戦用意、やるわよ。いい?」

「提督、私を選んで良かったでしょう?」

 

 三隻の艦の姿が消えて洋上に浮かぶのは三人の少女たち。

 その下を魚雷が通り過ぎて行った。

 

「あれありなのか!?」

「あれができるからこそ、コロンバスを沈められるんですよ」

 

 デグ様悲鳴に近い突っ込みに俺も苦笑して返事をする。

 そして、攻撃という己の位置を暴露した潜水艦が原子力によって高速離脱しようとするが、ロサンゼルス級潜水艦の潜航時速力が31ノットに対し、大戦期の主力オブ主力の夕雲駆逐艦の速力は35ノット。

 三隻からの模擬爆雷を雨あられと落とされて撃沈判定を食らう事になる。

 

「じゃあ最後の訓練だ。

 始めてくれ」

 

 そう告げると同時に海面から12発のトマホークが発射される。

 目的地は中立地帯でそこにまはだアーラシュが控えていた。

 

トマホークの攻撃

 51

 

アーラシュの迎撃

 87

 

 

 

「こいつをこうして……こうだ!」

 

 800kmの巡航速度でやってくるトマホークですらアーラシュの目から逃れる事はできず、12発全てを叩き落された後俺を含めて沈黙が場を支配した。

 

「これは……いろいろとまずいぞ……」

 

「英霊ですからね。

 繰り返しますが、英霊を相手にするよりもマスターを狙うべきです。

 もしくはマップ兵器で街ごと焼くか」

 

 聖杯を捧げたアーラシュすげぇと内心思いつつも俺はそう言って訓練を締めくくったのである。

 

 

 

おまけ

 

「わたしも参加したかったのに……」

「俺たち乗せたまま艦娘化するのか?」

 

 ちょっと拗ねていた叢雲をなだめるのにアイスクリーム片手にツッコミを入れ、叢雲はアイスを口にする事で返事を避けたのであった。

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