【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
舞鶴港到着の翌日。
早速、聖堂教会の言峰璃正からお電話がやってくる。
「聖杯戦争は聖堂教会及び時計塔の管轄。
その上でそちらが出向いてきた理由をお教え頂きたい」
「これはご丁寧に。
こちらも、魔術師同士が殺し合うだけならばまだ我慢はしましょう。
ですが、民間人を巻き込むのはいただけませんなぁ」
知っている事のなんと強烈な事か。
飛んで火に入る夏の虫状態の言峰璃正に俺は容赦なく王手を突きつけた。
「マスターの殺人事件を何時まで放置するおつもりか?
現場に残された召喚陣が明確な証拠ではないですか。
そちらがその気ならば、警察を介入させますよ」
「っ!?」
日本の警察は優秀だ。
雨生龍之介の指名手配要請を受けて彼の実家回りの捜査をしたら実家の蔵で彼の姉の死体がミイラ化して発見され、メディアを賑わせていた。
そして、彼が冬木市内で行った殺人事件は儀式殺人で、明らかに召喚陣が書かれている。
この時点で、言峰璃正は俺に対して何も言う資格が無くなった。
「ですが、神秘の秘匿……」
「神秘の秘匿が人の命より大事とおっしゃるか!
なんなら、全部ばらして聖杯戦争を陳腐化させてぶち壊してもいいんですよ!!
こっちは!!!」
言峰璃正が時計塔の魔術師ならまだ言い逃れができただろうが、あくまで監督役の聖堂教会であった事が彼を詰みに追い込んだ。
初撃で致命傷な彼に、実にわざとらしく救いの手を差し出す。
「もちろん、我々はお役所仕事ですから、上からの命令には逆らえません。
そちらが我々の上と掛け合って、我々を止めるのならばそれを尊重しましょう。
ですが、忘れないことですな。
神秘の秘匿にかまけて事件を続発させたら、それを名目に我々が介入する事を。
以上だ!」
がちゃん。
乱暴に電話を切る。
向こうはこれでこっちが激怒している事と、介入を止めるために東京の政府を動かそうとするだろう。
「またえらく芝居がかった怒り方でしたな」
この電話は会議室で参加者に聞かせるようにしていたから、俺の怒り方も芝居がかるのもしょうがない。
とはいえ、民間人の犠牲を当たり前とするこの方法に怒りがない訳ではなかった。
「これも駆け引きの一つですからね。
その前に事件としてこちらが片付けてしまえるならば、向こうは手を出せません。
速川二佐」
陸上自衛隊実験中隊隊長。速川保二佐。
TA部隊を率いて舞鶴基地に到着していた。
もちろん彼は駒でしかなく、その意思は市ヶ谷の後藤一佐や朝霞の石馬雪緒陸将補の影が見える。
向こうからすれば、決起後の米軍介入は必然で、それを押し止めるためにも海自側のコネが欲しいのだろう。
だから、迷うこと無く切り札を持ってきた。
「とはいえ、民間人に被害が出ているのは事実です。
向こうが止められないなら、こちらが止めるまで」
タカミチ・T・高畑がメガネを掛けなおして決意を述べる。
雨生龍之介の殺人が次々と発覚している時点で、彼を捕らえることに一番に賛同してくれたお人好しでもある。
「そうなのよ。
魔術を人殺しに使うのは許せないってのよ」
天草式十字凄教の建宮斎字も賛同するが、妙に語尾が気になる。
まぁどうでもいい事だが。
個々に介入して各個撃破なんてアホな事態をさける為の調停会議である。
地元魔術勢力の代表として天ヶ崎千草も参加させているが、関東への怒りより聖杯戦争の理不尽さの方に怒りが向いているらしい。
未来の彼女の京都修学旅行編でのやらかしを知っている俺とすれば、壮大なブーメランを投げているようにしか見えないが言うほど愚かでもない。
「状況は既に始まっています。
こちらを」
俺は空自に頼んだ航空写真を皆に見せる。
聖杯戦争のマスターの一人である遠坂時臣の屋敷の写真で、庭の一部が既に壊れていた。
まるで爆発でもあったかのように。
「何らかの交戦が発生したものと考えられます。
よって、夜間は彼らの時間です。
移動及び連絡は昼に行うように徹底してください。
魔術師以外の人間は、指示があるまで夜に決して出歩かないように」
「そうなると俺達は、ここで待機になるがいいのかい?」
速川二佐の発言に俺は頷いた。
自衛隊は、明確な国家権力の介入を意味するので見せるためにある。
彼らが冬木の地に立てば、聖杯戦争そのものが完全に狂う。
それこそが狙いだ。
「ええ。
それとお願いが。
爆発物処理班を待機させておいてください。
残りの皆様は、異存がなければ、叢雲にて冬木に送ります」
「ああ。了解した」
「こっちも異存がないなのよ」
さてと、準備は整った。
こちらも聖杯戦争に介入するとしよう。
「聖杯に招かれし英霊は、今ここに集うがいい!
なおも顔見せに応じぬような臆病者は、征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものと知れ!!!」
征服王の雄叫びに次々と出てくるサーヴァント達。
その声に英雄王が出て……
「そこの船から隠れ見ている雑種!
王の御前であるぞ!!
姿を現さぬか!!!」
あ。
英雄王が千里眼持ちだったのを忘れていた。
艦橋にておれはステンノに声をかける。
「気配遮断を解いてくれ。
総員、戦闘準備」
「総員戦闘準備!」
新島副長補佐の声が響き、自衛隊員に緊張感が走る。
隠れてだが、セイバーとランサーのあんな派手な戦闘を見ていたのだから当然である。
とはいえ向こうも突如姿を現した駆逐艦に、マスターの驚く姿が目に浮かぶ。
英霊たちの殺し合いから、一気に現代駆逐艦の登場である。
主砲を彼らの方に向けながら、俺はマイクをとってスピーカー越しに話をする。
「あいにく、こちらは聖杯戦争を監視する側で、王の邪魔にならぬよう隠れていた無礼を詫びる。
護国機関ヤタガラスの入即出やる夫二佐相当官だ」
話しながらCOMPを操作して、甲板にクー・フーリンとジャンヌ・ダルクを立たせる。
あ。
大淫婦バビロンもあの格好で立っているが、気にしないことにしよう。
「おぅ!おおう!!!
鉄の船に一騎当千の英霊たちよ!!
余に降らぬか?
待遇は要相談という事で」
征服王が乗ってくるのでそのまま話を合わせる。
英雄王が機嫌を損ねてこっちを攻撃したらたまらない。
「こちらとしてもその提案は魅力的なものだ。
我々が、姿を現した理由は唯一つ。
今回の聖杯戦争における召喚において、民間人が犠牲になっている。
そのサーヴァントの討伐とマスターの逮捕にある」
征服王が何か言おうとした所でバーサーカーが乱入し、英雄王と交戦。
さらに派手に壊れる倉庫街だが、令呪にて英雄王が撤退するとバーサーカーは今度は騎士王にその対象を向けようとして……
「すまねぇな。
父上に剣を向けるのは俺だ」
見たことある白と赤の鎧がバーサーカーの剣を防ぐ。
あ。
こいつ見たことあるのだが。
「待ってください!
モードレッドさん!!」
「待ち給え!
この体にはなれていないんだ!!」
慌てて駆け出てくる水着姿の盾持ち乙女とロリンチちゃん。
これも困ったことに見た事があるぞ。
「面白いことになってるじゃねぇか……どれ、オレたちも行くか!」
「こっちです!
あっ……」
「何なの、何なのコイツら!?
なんだってわたしばっかりこんな目に遭わなくちゃいけないの!?
もうイヤ、来て、助けてよレフ!
いつだって貴方だけが助けてくれたじゃない!」
そして飛び出す盾持ち乙女とドルイドに泣きながら走る銀髪の女性と、忘れるわけがない赤髪の女性マスター。
駄女神め。
特異点だからってまとめて世界線を重ねやがった。
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メガテン世界ベースの冬木市でZERO時空
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FGO世界のFate/Accel Zero Order -LAP_2-
つまり
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モードレッド
私のFGOで一番使ったセイバー。
もうすぐ絆10なので登場。