【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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駄女神くおりてぃ


Intermission その2

 あの一日。

 倉庫街の戦闘に、冬木ハイアットホテル爆破未遂に、未遠川でのキャスター討伐。

 あまりに多くのことが有りすぎたので、やる夫陣営すらも黙認せざるを得なかった事。

 カルデア同士の情報交換。

 天才ダ・ヴィンチが二人居る事が、彼らの現状把握を可能にした。

 

「時間が違う」

 

 モニターのダ・ヴィンチちゃんがあっさりと告げ、ここにいるロリンチちゃんがそれにとどめを刺す。

 それがどれほどの意味を持つか分かっている上で。

 

「過去改変が発生してる」

 

「どういうことなのよ?」

 

 カウンセリングを受けて少し気が楽になったオルガマリー・アニムスフィアが、怪訝な顔で尋ねる。

 それに答えずに、彼女は瓜二つのマシュをじっと見る。

 もちろん、元水着マシュこと霊基再臨第三段階のマシュの方をじっと見ていた。

 

「あの、何か?」

 

「もう一度確認させてくれ。

 君の先輩はカルデアを去ったと言ったのだね?」

 

「はい。

 終局特異点『冠位時間神殿ソロモン』攻略後、先輩は『後はAチームの仕事だ』と言ってカルデアを去って日本に帰ったのです。

 所長代理となったダ・ヴィンチちゃんは私にも選択肢を与えてくれて、先輩と一緒に日本で住む事になったんです。

 先輩の家は冬木市にあって、妙な胸騒ぎがして慌てて盾を持って倉庫街に行ったら……こうやってみんなと会えた訳でして」

 

 マシュが嘘を言うような人間ではないことを二人のダ・ヴィンチちゃんはよく理解している。

 そして、己の性別が変わったぐらいで天才は揺らがないなんて言いそうな天才であったダ・ヴィンチちゃんはたとえどの時間の自分だとしても自分が言いそうな事はちゃんと把握していた。

 

「亜種特異点が発生するのに君たちを手放した?

 ありえないだろう!?」

 

 ロリンチちゃんが断言すれば、ダ・ヴィンチちゃんがモニター上で頷く。

 

「カルデアの機密とか何やらを全部無視して君達を私が送り出した!?

 そんな馬鹿な!?」

 

 二人とも掛け値なしの天才だからこそ、駄女神が改ざんした世界線レイヤーの齟齬に気づいたのだ。

 2015年のダ・ヴィンチちゃんが居て、2018年のダ・ヴィンチちゃんが居るのに、2017年のダ・ヴィンチちゃんが居ない。

 名探偵ならずとも見つけたら不思議に思う、致命的な瑕疵をこの二人が見逃す訳がなかった。

 ミステリー事件解明の三要素というのがある。

 

 フーダニット 誰が?

 ハウダニット どうやって?

 ワイダニット 何故?

 

の3つだが、そのうちの二つはこの天才は当たりをつけていた。

 フーダニットとワイダニットは簡単だ。

 この状況において得をする人間で、ロリンチちゃんはあっさりとそれを尋ねた。

 

「で、マシュ。

 やる夫くんとはもうしたのかい?」

 

「……」

 

 赤くなるマシュの顔が全てを物語っていた。

 間違いなく、このマシュとマスターのやる夫が鍵であるという事をこの場の人間は嫌でも理解する。

 要するに、この状況はやる夫とマシュが出会う為に作られた。

 だが、ハウダニットだけが分からない。

 さすがの天才二人も上位存在の女神の駒としてやる夫が選ばれ、そのハーレムボーナスとしてマシュを引っ張るためにこんな無茶を行ったなんて分かるわけがない。

 

「待て!

 ああ!!

 こういう事か!!!

 私の過去がまた改ざんされたぞ!!!」

 

 先に今があって、その後に過去がでっち上げられる。

 いみじくも因果が逆なこの世界の理由付けをロリンチちゃんはたっぷりと味わう。

 今や彼女が探偵だった。

 

「おいおい。

 ドスケベ礼装全部持っていったか!

 君たちは」

 

「……」

 

 ロリンチちゃんの呆れ顔にマシュはもはや真っ赤を通り越して頭から湯気が出るかもという状況になっているが、他の面子は首をかしげるばかり。

 まぁ、名前からして察しているだろうが。

 

「やっと理解した。

 私は君たちを手放した世界線の私だったわけだ。

 どうりであの船に一人で逃れた訳だ」

 

 一人苦笑するロリンチちゃんに、黙って聞いていた藤丸立香が声をあげた。

 

「そろそろ、みんなに分かるような説明をお願いしていいかな?」

 

「ああ。

 そうだね。

 その前に頼みがある。

 ロマニをモニターに出してくれないかい?」

 

「……少し待ってくれ」

 

 察したダ・ヴィンチちゃんの姿が消えて、ロマニ・アーキマンが姿を現す。

 その顔を見たロリンチちゃんだけでなく、赤くなっていたマシュが涙目で彼を見た事で、藤丸立香は察してしまった。

 彼女の旅の結末の一つを。

 仲間の一人が帰らぬ事を。

 それはモニターのロマニも同じだったのだろうが、彼はいつもの穏やかな笑みでこう言ったのである。

 

「ああ。

 僕達の長い旅はちゃんと終わったんだね」

 

と。

 

 

 

 愁嘆場が終わり状況を整理すると、出てくる爆弾発言に頭を抱える2016年カルデア組の面々。

 

「レフが裏切り者!?

 嘘でしょ!!!」

 

 現実逃避をして叫ぶオルガマリー所長に突っ込む人間は居ない。

 だって、貴方死んでるんですよってその前にロリンチちゃんとマシュが言いましたよね。

 聞いてなかったのか聞きたくなかったのか知らないが。

 

「亜種特異点に異聞帯だと!?

 そっちでは何が起こっているんだ!?」

 

 同じく頭を抱えるダ・ヴィンチちゃんとドクターロマン。

 特異点の先のさらなる厄介事の露見だが、ロリンチちゃんはさらなる爆弾を投げつける。

 

「この場所そのものが異聞帯になっている可能性がある」

 

 モードレッドとドレイクとクー・フーリンはカルデアの霊基と一致したから分かったが、明らかにジャンヌ・ダルクはカルデアの霊基と違っていた。

 ついでに言うと、クー・フーリンは霊基が一致はしたが、カルデアの知らない情報が混在している。

 

「まぁ、マスターのやる夫に話を聞くしかないだろうね。

 少なくとも、彼は今の私達を切る選択はしないよ」

 

「ああ。

 彼のマシュがここに居るのに彼女を悲しませる男じゃなかったよ。

 女泣かせなのは否定しないが」

 

 そりゃ、彼と同じ制服を着たステンノともうひとりの女性を見て察せられる程度にはダ・ヴィンチちゃんは女人生を謳歌していた。

 それでもマシュの先輩への思いを考えると、一発ぐらい殴ってもバチは当たらないと思っていたが。

 

「あの、いいかしら?」

 

 そんな中、オルガマリーが声を出す。

 当人死んでいるのだが、未だその自覚は無いらしい。

 

「会ってみたい人がいるの。

 時計塔鉱石科の君主で、敗退したロード・エルメロイに」

 

「どうしてだい?」

 

 ダ・ヴィンチちゃんの質問にオルガマリーは少し考えて答えた。

 それが何を意味しているのか理解せず。

 

「ホテルの前で何かやっていたのをちらっと見ただけだけど、悪い人じゃなさそうだと思ったから。

 それと、知りたいのよ。

 名声もあって、将来も開けていた彼がどうして聖杯戦争に出たのかを」

 

 

 

 なお、徹夜になった翌日の朝、やる夫の部屋に突貫したマシュはステンノと叢雲との間で修羅場となったが、ドスケベ礼装が3つあったために結局三人共やる夫のベッドで寝ることになった。

 その時の台詞をここに残しておこう。

 

「仕方ないわね。

 マシュだし」

「仕方ないわね。

 浜風だし」




駄女神クオリティ
 某赤いハマのあんちくしょうよろしく、世界線を逝っとけダイヤで運営する運営主任さんが駄女神の正体。
 なお、実際は小竹向原ルーレットをやっているだけだったりする。

ドスケベ礼装
 名の通りのもの。
 エロい。

浜風
 外の人つながり。
 やる夫スレでは、マシュ風なんて呼ばれることも。
 
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