【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
爆弾テロ未遂が起こった冬木ハイアットホテルだが、客の殆どが当然のようにチェックアウトをしてほとんどの客が居なくなる羽目に陥っていた。
そんな赤字必至のホテルを買ったのが十字教である。
さすが世界宗教。お金持ちである。
で、そのままこの冬木の地における拠点としてビットリオ=カゼラが率いるローマ正教十三騎士団とリドヴィア=ロレンツェッティ、雇われ魔術師のオリアナ=トムソンが住み着くことに。
この段階で、ここを拠点とし工房を構えていたケイネス・エルメロイ・アーチボルトと何らかの取引が結ばれたらしく、この共存は今の所破綻していない。
「で、状況はどうなっている?」
「近くで警護していた自衛隊員の報告では、何か書かれた紙の群れがホテルの中に入っていったのを見たらしい。
その後、戦闘らしいものが発生し、ホテルで火災がという報告が入っている」
甘粕正彦の報告に俺は考え込む。
式神だろう。
そして嫌なことを思い出す。
舞鶴や冬木は京都府に一応属している訳で。
京都からはそこそこ近い距離にある訳で。
「魔都京都から百鬼夜行呼び出し放題だよなぁ」
「それは大変ですな。
こちらは対策はできないので、入即出二佐相当官におまかせするしか無いというのが実情ですが」
嘘つけと俺は心の中で突っ込む。
御札なり護符なりと対魔アイテムはしっかり装備しているくせに。
そんな事をおくびにも出さずに俺は甘粕正彦に命じる。
「俺達が来るまで自衛隊員の突入は無しだ。
冗談抜きで祟り殺されるぞ」
祟りの怖い所というか、式神を用いた祟りの要点は、その祟の正体が何なのか分からない所にある。
あげく、その術者は陰陽術を用いて暗殺をしかける桜塚護の当代と来たもんだ。
「そういえばやる……艦長は陰陽師らしいけど、何を極めたの?」
生えた設定だけにその奥を知らない叢雲が何気なしに訪ね、俺もそういえばと気になったので思い出すというか記憶に検索をかけるとろくでもない言葉が出てきて頭を抱える。
「あの駄女神め……」
陰陽師の概念には陰と陽というのがあるのだが、それを性に当てはめた術もあったりする。
その流れと仏教や山岳宗教がマゼマゼされてできあがったのが立川真言流。
密教系のそっちが叩き潰された結果、残った残党が陰陽師側に帰ったというのが陰陽師入即出家の流れらしい。
こまった事に、あの時代からその手の術は需要があった。
何しろお家大事の時代だから後継者ができるかできないかに直結したからだ。
陰陽師という貧乏公家の仮面をかぶってほそぼそと、その内実はかなり裕福に家を続けていた入即出家は、維新後の文明開化に合わせて時代の影に消える。
そんな中、家を畳んだと思われた俺が西洋魔術まで修めて帰国してきたのだから、そりゃそっち方面の人々は目の色を変えるわけだ。
なお、俺の西洋魔術もそっち方面に特化しているらしく、英国古代のケルトよりも古い女神信仰あたりがベースになっている。
「……ぇ?……ちょっと…!」
「あらあらまあまあ」
「先輩最低です」
耳打ちして話してやると叢雲は顔を赤め、ステンノは面白そうに、マシュは恥じらいながらも二次創作でできた言葉を面と向かって俺にいう。
そりゃそうなるわな。
時計塔のコネ 1
1 ある
2 ない
イギリス清教とのコネ 1
1 ある
2 ない
魔法省とのコネ 1
1 ある
2 ない
ヘルシング機関とのコネ 2
1 ある
2 ない
あ。
がっつりと英国のコネが生えた。
というか、すばらしい蝙蝠ぶりである。
英国で便利屋として暮らして、母国に錦を飾って帰ってみたらという所だろうか。
コネはないけど『第二次あしか作戦』発動したら呼ばれるな。これは。
「お取り込み中の所悪いのですが、話をもとに戻しても?」
「ああ。すまない。
たしか十字教の連中、ファントムソサエティーと一戦していたが桜塚護と組んだ?
いや、それは無いな。
桜塚護は基本一人だ」
「そっちも戦闘が発生しています。
結果は……」
1 ファントムソサエティー勝利
2 1+オリアナ死亡
3 1+オリアナ捕縛
4 1+オリアナ逃亡
5 十字教勝利
6 5+キャロルJ、マヨーネ捕縛
7 5+キャロルJ、マヨーネ死亡
8 5+キャロルJ捕縛、マヨーネ逃亡
9 5+キャロルJ逃亡、マヨーネ捕縛
10 熱烈歓迎
結果 8
「……十字教側が勝ったらしく、キャロルJを捕縛したそうです。
交戦にあたって、オリアナ=トムソンは駆けつけた自衛隊に投降しています」
こっちが釈放せざるを得ない圧力を後でかけるつもりなのだろう。
おまけに切り捨てOKのフリー魔術師の使い方として実に正しい。
まさか穴熊を決め込んだ拠点に突っ込んでくる奴が居るとは思わなかったのだろうか。
車が止まり、ドアを開ける。
見た限り冬木ハイアットホテルは壊れているようには見えないが、濃厚な死の瘴気が俺の背筋を凍らせた。
「あの桜塚護何を呼びやがった!?」
たまらず俺は叫ぶ。
十字教の主力騎士団とランサーを従えたケイネス・エルメロイ・アーチボルト相手に特攻できる相手なのは間違いが無い。
「ひっ!」
対魔忍の井川サクラの近くにはっていた蜘蛛を俺は慌てて踏み潰す。
その蜘蛛は靴をのけると式神の札と数枚の桜の花びらに変わる。
「人払いの結界を張るから、対魔忍は手伝ってくれ。
出てくる蜘蛛は一匹たりとも外に出すな。
自衛隊員は下がって、周辺の避難誘導を頼む」
叫びながら、俺は舌打ちをする。
出した正体が分かってしまった。
「艦長。
何だかわかったの?」
「ああ。
考えられる限り最悪のものを出してきやがった。
土蜘蛛だよ」
古のまつろわぬ民たちの総称であり、その怨念が妖怪化したもの。
祟り華やかなりし頃、鬼と共によく使われた悪魔である。
「あら?
何が最悪なのかしら?」
ステンノの疑問に俺はホテルの方を見ながらぼやく。
桜塚星史郎の狙いが分かったからだ。
「聖杯戦争のサーヴァントは一応西洋魔術に基づいてサーヴァントを選んでいるんだが、あれを魔力の塊として別術式で呼び出すならば、この国の妖怪とて呼び出せるんだよ」
彼がどうして大聖杯の前で呪術をやろうとしたか、やっと理解する。
彼にとって汚染された聖杯の魔力なんてとっておきのごちそうにしか見えないだろう。
そして、己の術式で遠慮なく祟り神を呼び出した。
タイミングも彼にとって最高だった。
大聖杯を守っていたアーチャーはもはやいない。
「こうなるとただの土蜘蛛ではなく、地域補正ってのが加わる。
何しろ大和朝廷に弓引いた方々の怨念だ。
名無しの土蜘蛛ではなく、ご当地の怨念たっぷりの土蜘蛛だ。
さぞ使いやすいだろうな」
悪魔たっぷりのメガテン世界だからこそ、地域伝承や風俗はちゃんと頭に入れてきている。
この地にもよりにもよってという土蜘蛛さんがいらっしゃったので多分その方だろう。
「陸耳御笠。
この地にて大和朝廷に抵抗し続けた土蜘蛛の大将だよ。多分」
やる夫にまじかる○○○をつけたげよう。
コネもたっぷりついたよ。やったね♪
これを泥沼と言う。
魔法省
『ハリー・ポッター』。
多分この省が無いと、あの国の魔法界制御できない。
陸耳御笠
サーヴァント二騎分の魔力を使って呼び出している。
宝具とかまでは考えるつもりはない。
証拠写真
https://twitter.com/hokubukyuushuu/status/1075637192062464000