【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
「さてと、とりあえず僕を探したという事は、桜塚護にぶつけるつもりなのだろうが、あいにく僕一人であの桜塚護をどうにかできると思ってもらっては困る」
自衛隊基地にもかかわらず、ゆるいアロハシャツ姿の彼は、さも気楽に己の無力を言ってのけた。
かといって、それで本当に無力ならば彼はこんな所に出てくる訳もなく、その目は達観しているようで諦めていない意思が宿っている。
「そっちの仕事については臥煙さんから話を聞いている。
で、穏便に事を進めたいというのは僕たちも一緒だ。
その上で、桜塚護をなんとかしようという話になるわけだ」
「そのなんとかできる手段がないから、貴方を探したんだがなぁ。
忍野メメさん」
「臥煙さんの見立てによれば、なんとかなるのは貴方だけで、それもサイコロ片手の博打に等しいと来たものだ。
それを避けたいから、こうして僕なんかまで呼んだと。
ある意味正しいが、ある点を見逃している。
僕ができるのはそれを教えることぐらいさ」
「ある点?」
何を見逃したと俺が考える中、忍野メメはあっさりとそれを告げた。
たしかにそれは盲点だった。
「彼、ガイア教の雇われだろう?
なんでそっちの方から手を回さないのかい?」
そして、それは自衛隊とガイア教の繋がり、つまり自衛隊のクーデター計画という政治的にやばい話を意味している。
それを忍野メメは、いや臥煙伊豆湖は知った上で俺に話をふったと見ていいだろう。
「その話をするのならば、忍野さんの立ち位置を一度確認しておきたい。
貴方はどの未来を選ぶおつもりか?」
俺の質問に忍野メメはニヤリと笑った。
当たり前のことを聞くなよと言いたげな表情で。
「どっちの未来が正しいなんて、判断する方法は本来は無い。
自分の正しさを証明するなんて、この世には存在しないんだ。
その上で、そんな事を僕に尋ねるのかい?」
「それもそうだ。
忘れてくれ」
俺は頭を下げて忍野メメに謝罪する。
その上で再度、彼に協力を求めた。
「冬木における被害を減らしたい。
協力してくれ」
「それで僕は具体的に何をすればいいのかい?」
「舞鶴基地の防衛と、冬木の霊的災害における救助。
あとは、ここの人間達にこの国の神様について語ってやってくれ」
片手を上げて俺は部屋を出る。
そして、一言。
「モーさん。
殺れ」
その一言で、俺を監視していたアサシンがモードレッドの一刀によって殺される。
方針は決まった。
「で、マスター。
全部殺っちゃっていいのか?」
「ああ。
冬木市内に配置されているアサシンを全員殺してこい」
「そうこなくっちゃ!」
それだけ言ってモードレッドは消える。
こっちがアサシンを聖杯に落とせばそれは桜塚星史郎の戦力強化につながる。
放置してもセイバーかライダーが近く聖杯に落ちるからシャレにならない事になる。
天草四郎はそれを許容できないから俺への攻撃ではなく、桜塚星史郎への攻撃を決意せざるを得ない。
「やる夫先輩!」
俺の決意を察した藤丸立香が近づいてくる。
後ろに居た桜セイバーがさっきの一撃を見たらしく、人斬りの顔に戻っていた。
「君たちは好きに動くといい。
俺たちは、今夜聖堂教会に乗り込んで、アサシンを落とす!」
「お供します。やる夫先輩」
ちょっとうれしいと思ってしまった自分が居た。
それを察したのか、俺のマシュが盾を持ってアピールする。
「先輩の体は私が守ります!」
「っ!?」
両方の脇腹に良い肘が入った。
叢雲とステンノの仕業である。
「あらあら。
モテる男はつらいわね」
「本当。
真っ先に思い浮かべないといけない人を忘れているんだから」
笑顔で言い放った二人の一言に藤丸立香とマシュが一歩退いた。
アサシン掃討戦
50%以上で成功
やる夫
やる夫の仲魔 18%
ステンノ 1%
叢雲 2%
モードレッド 10%
マシュ 6%
藤丸立香
沖田総司 6%
エミヤ 7%
クー・フーリン キャスター 6%
マシュ 3%
合計 59%
深夜にかけて冬木市全域で行われたアサシン掃討戦は数の暴力を持つアサシンと、それ以上の数の暴力を持つ俺たちとの戦いとなって、順当に俺たちが勝つ結果になった。
冬木港に接岸した叢雲を司令部に、各所にサーヴァントを展開し、偵察・監視任務についていたアサシン達を掃討する。
モードレッドが暴れ、沖田総司がそれに刺激を受け、地の利を得ているエミヤが確実に仕留めてゆく中、逃げるアサシン相手にステンノは追う機動力がなく、叢雲は民間への被害が出ないように考慮した結果、不調な結果に終わる。
かくして、半分近くを叩き潰した結果、アサシン達は消えて本拠である聖堂教会に集結している事が確認される。
数を頼みにした彼らが一箇所に集まった時点で彼らの勝ちは無くなった。
最後の一人が、沖田総司の無明三段突きで消えた時、東の空が明るくなってきた所だった。
「これはどういう了見かね!?」
アサシンの消滅を確認してから、聖堂教会を取り囲むと主である言峰璃正が声を荒げて出てくる。
その後ろに保護されている体裁をとっている、言峰綺礼と遠坂時臣の二人が居る。
「どうもこうも、最初に脱落したはずのアサシンのサーヴァントが残っていたから処理したまでですが?
おまけにずっと、自衛隊基地に入って偵察をしていた。
掃討されて当然でしょう?」
アサシンのマスターであった言峰綺礼が敗退したという設定は未だ生きていた。
そこを誰も突かなかったというのもあるが。
だが、圧倒的不利な状況でそこを突かれると聖堂教会の立場が完全になくなる。
中立の監督役の立場が崩れるからだ。
そこで遠坂時臣が一歩前に出る。
貴族らしく優雅な物言いで俺たちを非難した。
「あのアサシンは私が再契約したものだ。
その契約は令呪によってなされており、正当なものだ。
それを掃討したのだから厳重に抗議せざるを得ない」
その抗議であわよくばこちらのサーヴァントを一騎よこせと言ってくるのだろう。
もしくは、カルデアの召喚システムの利用か。
けど、俺はその言葉を待っていた。
「なるほど。
では、サーヴァントを自衛隊基地に侵入させた罪は、遠坂時臣さん。
貴方が背負うんですね?」
「え?」
こんな時のために散々アサシンを見逃していたのだ。
遠坂家の遺伝子に刻まれたうっかりは見事なまでに発動した。
遠坂時臣の手に手錠がかけられる。
聖杯知識だろうが、実に手早くそれをやったのは、元新選組の沖田総司だった。
「基地侵入およびスパイ行為で貴方を逮捕します。
連れてゆけ」
「待ってくれ!」
状況が理解できない言峰璃正の前に現れたのは、大蔵省の入江省三だった。
その笑顔に言峰璃正がたじろぐが遅かった。
「大蔵省特殊査察部第二課執行官の入江と申します。
あなた方が政府や先生がたにばらまかれたお金についてお話が……」
かくして、彼もまた拘束された。
残るは言峰綺礼のみだが、彼を捕まえる理由も必要性も無かった。
対衛宮切嗣の駒として働いてくれるならそれにこした事はないからだ。
それら一連の捕物でも、言峰綺礼は表情なく動こうとはしなかった。
帰る途中で連絡が入る。
大聖杯のある場所でルーラーと桜塚星史郎が戦ったらしい。
1 ルーラー勝利
2 同上 桜塚星史郎撤退
3 同上 桜塚星史郎死亡
4 同上 陸耳御笠消滅
5 同上 桜塚星史郎死亡 陸耳御笠消滅
6 桜塚星史郎勝利
7 同上 ルーラー撤退
8 同上 アーチャー消滅
9 同上 ルーラー消滅
10 熱烈歓迎
結果 10
グッド 1
バッド 2
結果 2
大地が揺れる。
その地震かと思える振動の理由を俺たちは大聖杯のあった山から見ることができた。
「山が……吹き飛んだ……」
まずい!
下手したら、大聖杯の泥が冬木を飲み込みかねない。
ここで、この話はアクション伝奇ものから、パニック災害ものに変わることが余儀なくされることになった。