【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

47 / 237
冬木市の一番長い夜 その2

 準備作業に没頭していると作業を終わらせたらしいロリンチちゃんが怒り顔でずんずんとこっちにやってくる。

 さて、何かやらかしたかなと思っていたら、ぐいっと頭を引っ張られて睨みつけられる。

 

「マスターくん。

 何アレ?」

 

「大聖杯を撃ち抜く弾丸」

 

「そうじゃない!!!」

 

 激怒しているみたいだが、子供なのでその怒り方もかわいい。

 こっちの思惑など知ったことではないロリンチちゃんは、怒り顔でその怒りの正体を告げる。

 

「オリハルコンじゃないか!あれは!!

 何でこんな所にあるのさ!!!」

 

 そっかー。

 そういう説もあったな。あれは。

 ロリンチちゃんが激怒し、忍野メメと天ヶ崎千草が絶句したオリハルコンの正式名称を俺はあっさりと言った。

 

「この国ではあれをヒヒイロカネと言うんだよ」

 

 女神転生にはかの将門公の武具を作るイベントが有り、その素材として登場していた。

 財力クリティカルしている俺の所にその素材が無いわけがなく、俺が言って叢雲の素材金庫の中を探した結果三人が絶句したという訳だ。

 そんな中、組み立て途中のレールガンをタクティカルアーマーが持てるように改造が続けられていた。

 

「若狭湾の原発の全電力を使ったレールガンで、天上の『樹形図の設計者』を使って大聖杯を狙い、柔軟な照準修正ができるタクティカルアーマーで撃ち抜く。

 どうやってそんな荒唐無稽な作戦を思いついたんだい?」

 

 まだ憮然とするロリンチちゃんに俺は苦笑して言った。

 カレンダーを思い出して、まだ原作は出ていなかったなと思いながら作戦名を告げる。

 

「作戦名は『ヨイチ作戦』だ。

 屋島の扇よろしく、見事撃ち抜いてくれよ」

 

 

 

 さて、大聖杯を撃ち抜く算段は整いつつあったのだが、その大聖杯周辺の状況が分からない。

 こればっかりは、先行して出した藤丸立香の報告に任せるしか無い。

 その彼女からの報告は想定していないものだった。

 

「こちら藤丸立香。

 映像送ります!」

 

 待っていた映像に絶句する。

 溶岩よろしくたぎっている聖杯の泥の中心に、大聖杯らしきものが禍々しく鎮座している。

 そして、そんな大聖杯を背後に敵を近づかせまいと佇む紳士が一人。

 

「あ。レフ教授。

 まぁ、ここなら出てくるわな」

 

「よく聞け。道化。

 あの雑種の操るできそこないの怨霊を令呪を使われて我が宝具で潰したまでは良かったが、その後あれからこの泥が出てこの様よ。

 あのルーラーは知らんが、こちらのバーサーカーと我とは別のアーチャーは飲まれた」

 

 何で後輩と仲良くなっているんですかねぇ。英雄王よ。

 まぁ、彼の行動を理解できるとは思えないし、敵対しないなら大歓迎である。

 おかげで、状況が理解できた。

 

 大聖杯に落ちたのが、キャスター・バーサーカー・ランサーで、ルーラーが抱えていたボブミヤとヘラクレスと英雄王で六体。

 英雄王が宝具を撃たされて魔力切れの消滅を狙い、ボブミヤとヘラクレスをサクリファイスした結果、聖杯の発動条件が揃ったのだ。

 で、めでたく泥が噴出して今に至ると。

 英雄王は受肉して吐き出された所を藤丸立香に拾われたという所か。

 桜塚星史郎とルーラーの行方が分からないのが怖いが、おおよそ状況は分かった。

 

「藤丸立香。

 今から命令する。

 そこで陣取っているレフ教授を排除しろ。

 排除したら全力でこっちに逃げろ。

 大聖杯についてはこっちで何とかする」

 

「ほう。

 道化の分際で大きく出たな」

 

 さらりと口を挟んでくる英雄王だが、そりゃ貴方ぐだ子お気に入りですからなぁ。

 彼がついているのならば、ルーラーと桜塚星史郎については安心していいだろう。

 

「王を楽しませるのが道化というもの。

 どうか楽しみにしてください」

 

「私を排除すると言ったか。

 大きく出たな。クズが」

 

 聞こえていたらしいレフ教授が声を投げかける。

 先を知っているだけに、彼の中ボス感が哀れに聞こえる。

 もっとも、警戒しなければならない敵である事は間違いがないのだが。

 

「お久しぶりですね。

 レフ教授。

 貴方共々、魔術王にお世話になった者です」

 

 あえて俺はマイク越しに彼に声をかける。

 精神攻撃は基本である。

 レフ教授の嘲笑が消えた。

 

「貴様、何を知っている?」

「何でもは知らないですよ。

 精々、あなた方の計画が、めでたく頓挫した事ぐらいしか」

 

 特異点Fの冬木市大炎上を起こそうとするには、この世界のレフ教授はどうしてもこの世界に張り付いていないといけない。

 FGOは人類史という一つの時間軸から人理焼却を計画しているので、俺みたいな多元世界の放浪者の介入に致命的に弱いという欠点がある。

 観測者である以上はその世界線に縛られるからだ。

 

「何を馬鹿な!

 私が、あの偉大なお方が敗れるわけがない!!」

 

 声が震えている。

 このまま押し切っても勝てると思っていたが、その結果聖杯の泥が冬木市に流れ出る事だけは避けないといけなかった。

 おおよその避難は完了しているとはいえ、ものがものだけに慎重に詰めていかざるを得ない。

 

「フランス。ローマ。オケアノス」

 

 レフ教授の罵声が止まった。

 気分は証拠をつきつける探偵のごとし。

 ホームズはこんな気持ちいい事をいつもしていたのか。

 これは探偵は止められないわ。

 

「ロンドン、北米大陸、エルサレム、バビロニア」

 

 

「黙れ!黙れ!!黙れ!!!」

 

 

 怒った。

 こちらの予定通りに。

 逃げられると厄介なので、とりあえずこいつはここで潰しておこう。

 

「人理焼却は失敗する。

 もっとも、別の脅威に人類は滅ぶかもしれないけどね。

 まぁ、君たち三千年の努力は、徒労に終わった」

 

 

「だまれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

 激高し、ついに正体を表す魔神柱。

 これを待っていた。

 

「バカだなぁ。

 レフ君。

 君は本当にバカだなぁ」

 

 まるで猫型と称するタヌキっぽいロボットがその持ち主の少年をバカにするように俺は優しくレフ教授の神経を逆撫でする。

 そして、俺は召喚の呪文をマイク越し告げた。

 

「おーい。

 ここに魔神柱がいるぞー」

 

 

 

「素材よこしやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

 

 カメラ越しにあの巨大な魔神柱がぶっ飛ばされるのが見える。

 そのぶっ飛ばした奴は藤丸立香の姿をしていた。

 

「わ、私?」

「せ、先輩が二人?」

 

 マシュと藤丸立香(CV 悠木碧)の前で藤丸立香(CV 金田朋子)が一心不乱に魔神柱をぶん殴っている。

 ビクビク痙攣しているのがまた惨たらしい。

 これだけ闇鍋になっていて、聖杯の泥が溢れていて、一万二千年も頑張って生きていける人類悪が居ない訳がないだろうに。

 さすが人類悪。

 『殺したいだけで死んでほしくはなかった』なんて迷言が生まれる訳だ。

 

「何だ!?

 消える…やめろ……やめてくれ……

 たすけ…………て……」

 

 動かなくなった魔神柱を前に、聖杯の泥まみれリヨぐだ子はただ一言。

 

「ちっ!

 フラウロスだったか。

 しけてやがる」

 

 派遣した藤丸立香(CV 悠木碧)一行はドン引き。

 一人英雄王が大爆笑していたという。

 なお、彼女は学園都市製のアイドルがシャンシャンするゲームをあげた結果、無事にこっちについてきてくれた。




神秘うんぬん
 メガテン世界ベースだから、神秘なんぞ無駄にあるのがポイント。
 この国はそういう意味で神秘大国でもある。

ヨイチ作戦
 もちろん元ネタは『新世紀エヴァンゲリオン』のヤシマ作戦。
 95年だから、まだ原作は登場していない。

藤丸立香のCV
 年末に出たアニメ版『マンガで分かる!Fate/Grand Order』でめでたくリヨくだ子の声優が決まったのでできるネタ。
 『ハロウィン・カムバック!_超極☆大かぼちゃ村』で酒呑童子の声真似ネタからもうひとりの声優も決まった……あれ?沖田さんと同じ声では?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。