【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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 『亡国のイージス』を入手して艦内の生活が書かれていたので、それをベースにそのあたりを足してみる。
 DAIS?
 出るかもしれないなぁ……


CPOでの雑談

 叢雲のCPO(先任海曹室)。

 別名『兵隊元帥』のたまり場で、生粋の海の男達が雑談を交わす。

 

「あれよあれよという間に、艦長様から司令官様にご出世なさったのだからこの国はもう駄目かもしれんな」

「今更だろうよ」

 

 乾いた笑いが続くが、話はそれで終わらない。

 彼らはこの船の持ち主が不適格であるならば、その持ち主から船を奪うことを内々に申し付けられていた連中でもあったのだ。

 計画を立てたのは市ヶ谷の防衛庁だし、指揮は副長補佐以下の士官だろうが、実際に兵を動かすのは彼らである。

 

「正直、色々な船に乗ったがこの船ほど規律が緩んでいるのは見たことが無い。

 司令のイロ達が乗る時点で大概だが、ガキまで乗り込んでくるなんてな」

 

 チルノと大妖精化したハイピクシーとロリンチちゃんの事らしい。

 妖精二人はその悪戯心で隊員にいたずらをしかけては彼らの説教対象となるが、兵士を叱るのと違って見た目がお子様だからタチが悪い。

 なお、叱られると泣く。これが心に来る。

 彼らとて陸に上がれば家族がいるし、子供も居るのだ。

 かくして、叱るから手懐ける方向に必然的に話が進み、子供の躾なんて妻に任せていた事がいかに大変であるかを今更ながら知ることに。

 横須賀に帰ったら妻と子供に何かサービスをしようと決意した者も何人か居る。

 一方で、掛け値なしの天才であるロリンチちゃんは当たり前のように軍事機密に触り、そして理解してしまうあたりたちが悪かった。

 叢雲に備え付けられたレーダーから舞鶴基地の隊舎で壊れたエアコンまでロリンチちゃんは触り、理解してしまい、分解修理改修してしまう。

 『万能の人』の面目躍如だったが、だからといって喜んで良いモノではない。

 部署が違う陸自のタクティカルアーマーについてはついに触ることができずに泣きべそをかいていたし、学園都市から供与されたリニアレールガンを改造してこの叢雲に載せようと企んでいたのが発覚したのはついさっきのことである。

 『マスターくん』とロリンチちゃんが呼ぶ入即出やる夫海将補相当官のげんこつぐりぐり攻撃でその企みは潰えたが、そういう事を含めても、この船は他の護衛艦と比べて格段に風紀が乱れている。

 何しろトップが女連れて毎日毎夜盛っているのだから、ある意味当然とも言えるだろう。

 

「知っているか?

 そもそも、この船あの司令官の私物らしい」

「最初聞いて何を馬鹿なと思ったが、こういう事がまかり通るという事は本当なのかもしれんな」

「知り合いの情報だと、これは学園都市で無人艦として作られたらしい」

「米海軍が考えているアーセナルシップ構想か。

 さすが学園都市」

 

 事実、艦の運営は基本叢雲一人で何でもできるようになっており、それを人で代行した結果かえって効率が落ちるという所もあったのだ。

 もっとも、ダメージ・コントロール要員も居ないので、損害を受けた後の継戦能力に不安がある事も分かってきている。

 この叢雲のデータを入即出海将補相当官は市ヶ谷に出し惜しみを全くしなかった。

 この当たりも、彼からこの船を取り上げられない理由の一つになっていた。

 

「とりあえず、横須賀に戻ったら皆入れ替えだろう?」

「だろうな。

 俺たちも含めて、この船に長く乗り続けたら腑抜けてしまう。

 ただでさえ人不足なんだから、市ヶ谷の命令を聞く限りは放置されるだろうよ」

 

 元々この船に乗り込んだ自衛隊員達は、乗艦が衝突事故でドック入りしている連中である。

 元々の船があるし、ここでの緩さを元の船で締め付けないといざという時に使い物にならない。

 今や株価は40000円を超えて、平成元禄の真っ只中。

 海上自衛隊は装備面では急拡大していたが、人員は定数割れを続けており、とにかく人が居なかった。

 

「そういえば、この船を狙ったミサイル。

 あれどうなった?」

「どうやら米軍横須賀基地から流れたものだと断定されて、在日米軍は今大混乱中だ。

 第7艦隊全部署に装備確認命令が出て、使い物にならん」

 

 聖杯戦争の事が話せない以上、冬木市とその周辺で起こった一連の出来事は、テロとして処理せざるを得なかった。

 そのため、この叢雲を狙ったミサイルはテロ組織が米軍基地から流したものという事が嫌でもクローズアップされて、外交問題に発展したのである。

 在日米国大使が首相官邸に来て陳謝し再発防止に務めると約束させられたが、米軍も聖杯戦争の事を掴んでいたので介入しそこなって歯ぎしりを隠そうとしない。

 日米同盟に波風が立っていても、ソ連は崩壊し今の日本に注視する敵もない。

 

「そういえば、一部の連中が不穏な動きをしているって話、あれ本当か?」

「冗談だろうよ。

 まぁ、あれだけ現場に泥ぶっかけてくれる政府に、バカヤローと罵声を浴びせられるのは自由主義国家である我が国の良い所だな」

「そんな不穏な連中だが、我らが司令官に粉かけているとか」

「ああ。

 あの連中、明らかにそれ要員だもんな」

「けどまだ司令官は手を出してないらしいぞ。

 当人から聞いたから間違いない」

「てめぇ、アレだけ色仕掛けに騙されるなって言っただろうか!」

「そう言うなよ。兄弟」

 

 最後は馬鹿話で夜が更けてゆく。

 彼らもしっかりと叢雲の風紀の緩みの毒に染まっていた。




アーセナル・シップ
 訳すなら『武器庫艦』。
 イージス艦の周囲を囲んで、そこの指揮を元に武器をぶっ放す。
 単身で船をコントロールできる艦娘はアーセナル・シップの究極系と言えなくもない。

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