【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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意図的に色々なところから持ってきた。

証拠写真
https://twitter.com/hokubukyuushuu/status/1106219800496267264



洋上人狼 その1

湾岸戦争

 100ほど史実よりめちゃくちゃ

 

 結果 82

 

ミレニアムの関与

 100ほどバリバリ

 

 結果 63

 

 

デグ様の頑張り

 100ほどさすデグ

 

 結果 86

 

 

 この世界における湾岸戦争は多国籍軍の圧勝ではなく、中東の地獄の釜が開いた最悪の戦いだった。

 これにミレニアムが関与していたらしく、イラクが撃ち込んだスカッドミサイルにイスラエルが反撃してしまい、中東戦争がリンクしてしまったのだ。

 地獄の釜が開いた大戦争において『湾岸の英雄』の一人として名をはせたデグ様は、当然のように政治工作にも長けている。

 彼女は俺たちを演習航海に連れてゆくついでにこんな事をやってくれやがりました。

 

「我が合衆国において、入即出やる夫海将補相当官は、海軍少将として扱うのでそのつもりで」

 

 正規ルートで堂々と言ってのけたこれは米国による俺の取り込みにほかならない。

 市ヶ谷の抗議もどこ吹く風で彼女は出港準備を続けるが、市ヶ谷及び政府上層部が黙ったのは、例の聖杯戦争のもみ消しで多額の金で買収された事をちらつかせたとか。

 さすデグ。

 CIAにもパイプ持っているな。これは。

 なお、俺の辞退で一応なかったことになったが、米海軍はこの通達を取り消すつもりはないらしい。

 つまり、米海軍作戦行動において、俺は海軍少将として振る舞える。

 

「感謝はしていますが、もう少し穏便になんとかできなかったものですかね?」

 

 横須賀米軍司令部で臨時任務部隊編成で修羅場になっている俺が俺以上に修羅場になっているデグ様に嫌味を言う。

 なお、俺は判子を押す機械と化しており、実務はレベルキャップが解放された敏腕艦娘叢雲と事務エキスパートの文車妖妃によって回っている。

 

「腐りきっている上を相手に妥協や交渉をしても無駄だろう?

 やつらは、日米安保の意味を分かっているから、文句は言えどもそれ以上の事はしてこないさ」

 

「そういう連中ばかりだったら……」

 

と言おうとして俺の言葉が止まるのは、目の前の臨時上司が狩人の顔をしていたからだ。

 つまり、米軍内部のスパイだけでなく、海自内部のやばい連中もこれを機会に俺に狩れと言っているらしい。

 少将の地位はその前払いという訳だ。

 暗にしゃべるなと言われた理由に、内部のスパイの存在がある。

 米軍にも海自にもスパイが居る訳で、そのスパイがミレニアムと繋がっている可能性は捨てきれない。

 どこに盗聴器や集音器がしかけられているのか分からないのだ。

 

「こちらの編成ができたわ。

 確認して」

 

 横で仕事をしていた叢雲が海自参加艦艇を確認する。

 『叢雲』『浜風』『みらい』の三隻の他に、俺たちへの監視として『たかつき』と『たちかぜ』の第1護衛隊を送り出す事にした。

 ここで問題になったのが指揮系統。

 こっちは素人に毛が生えたようなものなのに、少将こと海将補待遇だから第一護衛隊司令の衣笠一佐より立場が上になってしまうという食い違いが起きている。

 そのくせ、デグ様は海自のまとめ役を俺に委任しているというこのややこしさ。

 この航海が海軍の仕事ではなく、裏のある事がミエミエなのだが、俺は自分たちの船も含めた海自艦艇の指揮を迷うこと無く衣笠一佐に丸投げすることにした。 

 『みらい』の待遇も問題だった。

 俺の所で抱えるのは論外。

 かといって、衣笠一佐との信頼がまだできていない状況で指揮下に入れるのは軋轢が生じかねない。

 俺の叢雲と浜風の為に急遽作られた第70護衛隊に続いて第71護衛隊も新設し、ある程度の自由裁量を与えることでごまかすことにした。

 またこの航海に際し、取り込みを兼ねて一階級昇進をさせている。

 このあたりの調整に奔走したのが、横須賀地方隊からの付き合いである美野原一佐。

 臨時部隊の主席幕僚を押し付けられて、なんとかまとめ上げたその調整力に素直に驚くしかない。

 かくして編成はこんな感じになった。

 

第50任務部隊参加艦艇

 司令官 入即出やる夫海将補相当官

   副官 恵美ステンノ三佐相当官

   主席幕僚 美野原信弘一佐   

 

  第70護衛隊 司令官直属 

   『叢雲』 艦長 東雲叢雲二佐相当官

         副長補佐  新島義則三佐

 

   『浜風』 艦長 マシュ・キリエライト二佐相当官

         副長補佐 フランシス・ドレイク三佐相当官

 

  第71護衛隊 梅津三郎海将補

   『みらい』 艦長 各松洋介一佐

 

  第1護衛隊  衣笠秀明一佐

   『たかつき』 艦長 宮津弘隆二佐

   『たちかぜ』 艦長 阿久津徹男二佐

 

 

 ……揉めるよなぁ。

 これ、絶対に揉める。

 生え抜きの方が階級が低く、外様引き抜き組の方が階級が高いのだから、生え抜き組が面白い訳がない。

 クーデター前の海自内部の不満分子の排除が目的だから、ある意味正しいと言えば正しいのだが。

 ため息をついて判子……こっちはサインか。

 サインを書いて、デグ様に手渡す。

 と、同時にデク様から米軍参加艦艇の編成を見せられる。

 

 

第50臨時空母打撃群

 司令官 ターニャ・デグレチャフ少将

 参謀長 エーリッヒ・フォン・レルゲン大佐

 副官  ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ少佐

 

 エセックス級航空母艦 『イントレピット』

  艦長 F・D・イントレピット大佐相当官

  副長 リエリ・ビショップ中佐

  参謀 ナオミ・エヴァンス少佐

  空母航空隊司令 マテウス・ヨハン・ヴァイス中佐

 

 タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦 『ヴィンセンス』

  艦長 ユーリア・ブラッドストーン大佐

 

 スプルーアンス級駆逐艦『イェルケル』

  艦長 ディノ・ディラッソ中佐

 

 ロサンゼルス級原子力潜水艦『セント・バージニア』

  艦長 ジョン・アレキサンダー・ベイツ大佐

 

 ウィチタ級給油艦『ウィチタ』

 キラウエア級給兵艦『キラウェア』

 

 

「裏がある演習にしては、力が入っていますな」

 

「だからじゃないか。

 色々見られているのは承知の上だ。

 表も、裏も。

 だからこそ、手を抜けん」

 

 デグ様はそう言って、西太平洋の海図を眺める。

 この航海は10日から二週間を予定し、硫黄島近海にて訓練を行うというのが表向きの名目だ。

 

「そうだ。

 入即出少将が買った連中、足は用意させるので密かに硫黄島に上げておいてくれ。

 メディカルチェックで、全員の遺伝子データは現在収集中だ」

 

 その冷酷な声にデグ様の意図を悟る。

 魔法に洗脳なんでもアリのこの闇鍋世界だからこそ、死亡という欠員すらクローンでごまかす腹積もりらしい。

 それだけの闇がこの作戦の背後にある。

 そうなれば、こちらも保険をかけておくか。

 

「一人、そちらの人間で推薦したい人物が居ます」

 

 デグ様が興味そうな目で俺を見る。

 その推薦員の職業を聞いて唖然とする五秒前。

 

「ケイシー・ライバック上等兵曹。

 コックです」

 

「コックだと!?」

 

「ええ。

 戦艦『ミズーリ』のコックだそうで、なかなかの腕だとか」

 

 それでこの人はピンとくるからここまで登ってこれるのだ。

 同時に絡んでいないらしいというか、絡んでいたら俺のほうが困る。

 

「あの一件、ペンタゴンの上の方しか知らない話なのだがな」

「こちらにも伝手はあると言っておきましょう。

 『イントレピット』艦内で彼の料理を食べるのを楽しみに……思い出した。

 そのあたりの設備の更新はしておいた方が良いですよ」

「我が国を舐めてもらってはこまる。

 物量と兵站で世界の覇者になった国がそんな所見逃す訳無いだろうが」

 

 書類を置いて互いに苦笑していた所に、デグ様の副官であるヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ少佐が入ってくる。

 

「失礼します。

 外交案件でトラブルが発生しました。

 英国がこの訓練航海に観戦武官を送り込みたいと申し出ており、外交筋だけでなくワシントンサイドからも圧力が」

 

「何処のどいつだ!

 この忙しい時にお客様等……」

 

 書類を見たデグ様が笑い出す。

 それを俺に差し出してくれたので、俺も拝見し爆笑する。

 デグ様は上は知らないのかもしれないが、俺は上も下も知っていた。

 

 英海軍観戦武官

  シェルビー・M・ペンウッド少将

  副官 ジェームズ・ボンド中佐

 

 理由が分からない叢雲とヴィーシャ少佐が俺達の爆笑を理解できずに首をかしげる事になった。




意図的に史実艦と架空艦を混ぜている。
給油艦と給兵艦の人事は力尽きた。

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