【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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ココ最近、私の小説でフリー素材よろしく便利に使われているソマリア内戦よ……


ザ・ライト・スタッフ

 プリマスのデヴォンポート海軍基地

 そこに最近配属された戦艦は市民の話題の的になった。

 

「あの船、オールドレディのような気がするが?」

「多分そうなのでしょうな」

「ミサイルが飛び交う現代の戦場において戦艦?」

「あの船は、NATOが構想しているアーセナル・シップのテスト艦として建造された。

 英海軍に一応属するが、英国王室の私有財産である」

「金の無駄遣いじゃね?」

「そう言われるのが分かっていたからこそ、あの船は英国王室の私有船なのだ」

「実際に動くの?」

「動く。

 ついでに砲も機能する。

 近くこの船に乗り込む乗員がやってくる予定だ」

 

 

 そんなやりとりがマスコミと軍広報官との間であったとかなかったとか。

 基地の一番奥にでんと鎮座する全長195.3メートル、基準排水量32,468トンの巨体が名物になるのはある意味当然と言えよう。

 そんな巨艦に参謀として乗り込むことになったマリア・クレメンティ中佐は、この艦の主である艦娘ウォースパイトと、提督であるペンウッド卿に挨拶をする。

 彼女も裏のことを知って裏で痛い目を見た人間ではあるが、高貴を絵で書いたようなウォースパイトと『この人を支えないと』と思わせるペンウッド卿を見て、懐に入れた辞表提出を我慢しようと思う。

 また、他のスタッフと話をするとこの船の特異性がいやでも浮き彫りになってくる。

 騎士団と共に派遣されたリーマス・ジョン・ルーピンとシリウス・ブラックは魔法側の人間で騎士団を中心とした魔法部隊の指揮官と副指揮官である。

 傭兵部隊『ワイルド・ギース』隊長のピップ・ベルナドットも10代後半の若手であり、この艦には軍周りのエリートがペンウッド卿以外には誰も居なかった。

 なお、魔法部隊と傭兵部隊を合わせても、乗員は百人ちょっとである。

 

「どうやって船を動かすのですか!?」

 

 嘆くマリア中佐にきょとんとするウォースパイト。

 その意味を理解していない。

 

「この装備なら全部私が動かせますけど?」

「そう彼女も言っているしね」

 

 違うそうじゃない。

 そう言いたいのを堪えて頭を抱える。

 正しく自分が島流しにあったことを的確に理解した。

 辞表を受理されない以上、ここで飼い殺しという訳だろうが、それならばそれで放置すればいいのにこの人の良さそうな提督を見るになんとかしてあげたいと思ってしまうのである。

 なお、そんな人間は英海軍内に結構多いらしく、転属希望を出しているがはねられているという事をこの時の彼女は知らない。

 だが、頭脳は優秀なので解決策を見つけることはできた。

 ペンウッド卿が日本で作ってきたコネであるターニャ・デグレチャフ米海軍少将に嘆願したのである。

 唐突な電話に受話器向こうのデグレチャフ少将は少し考える。

 デグレチャフ少将にとって、無駄は怨敵みたいなものである。

 

「一介の海軍少将に期待されても困るのだが」

「湾岸の英雄であり、NATOの拡大に尽力なされていた少将が一介の少将とはとても言えませんね」

「私はただ単にコミュニストが大嫌いなだけだが。

 ……なるほどな。

 拡大するNATOの象徴として売り込む腹か。

 それならばNATOの予備費から支出できるロジックもできるな」

 

 NATOの拡大はソ連の崩壊と共にかえって進むようになった。

 これは混乱するロシアから米国に旗を変えたいポーランド以下中欧諸国の流れであり、ECがEUに変わる過程でもあった。

 そんなNATOの象徴としてウォースパイトは十二分に広告費用分のリターンを弾けると計算したデグレチャフ少将は確認を取る。

 

「で、具体的には何を望むんだ?」

「海軍軍人二百人の確保を。

 少将も艦娘の提督ならばおわかりかと思いますが、最低限のバックアップ人員がこの人数です。

 我が国では緊縮財政により海軍では合理化を続けており、多くの退役者を出しています。

 彼らを再度雇い入れる費用の負担をお願いしたい」

「上に掛け合うにはもう少し政治材料がほしいな。

 日本の件で、ペンタゴンでは色々とあってな」

 

 頭のいい人間は最初から詰めまで用意して話をするから話が早い。

 マリア中佐はその切り札をここで切る。

 

「ソマリア。

 苦労しているみたいじゃないですか?」

「おかげで、次はソマリア沖だよ」

「戦場では砲兵は女神です。

 女神の加護、欲しくありませんか?」

 

 兵員と共に艦娘が飛行機で移動できるのも艦娘の強みである。

 それを理解しているデグレチャフ少将は、次の戦場を国連安保理の決議に基づいて多国籍軍を展開しているソマリアに求めた。

 安全に艦娘を出すため、現在は英領ジブラルタル基地に居るからこそこうして電話をかける事ができたのだ。

 

「良いだろう。

 上に掛け合って大統領に話してみよう。

 あと、定員を定数に満たしたいなら、日本の入即出少将にも声をかけるといい。

 あれは悪いようにはしないはずだ」

 

 マリア中佐は賭けに勝った。

 10月の戦闘において、米国からの要請という形でソマリア沖に派遣されたウォースパイトの38.1cm42口径MkI連装砲4基が火を吹いて支援し、『ワイルド・ギース』が米軍を窮地から救う事で艦娘ウォースパイトの有用性を国内外に見せつけることに成功する。

 その後の定数充足化と近代化改修が無ければ、英雄的行動を讃えるに足る十全な動きができなかっただろうから。

 だが、この功績をマリア中佐が誇ることは無く、彼女が辞表を出すことも無かった。




タイトル
 知ったのは『パトレイバー』だけど元ネタはアポロ計画の小説。

NATO
 北大西洋条約機構。
 アメリカを盟主とした西側の多国間軍事同盟。
 デグ様がアカ潰しに奔走する以上、キャリア的にはここが一番深いと設定。
 今のデグ様はさすデグ状態なのでそこそこの無理がきくかわりにソマリアにて航空支援のお仕事に行く事に。

ソマリア
 『ブラックホーク・ダウン』。
 この戦闘に間に合うと感づいた為にこの話がでっちあげられた。
 ネオナチの前にソマリア民兵を吹き飛ばさないと装備が整えられない現実の世知辛さよ……
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