【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです 作:北部九州在住
オルガマリー・アニムスフィアは蒼崎橙子によって体を得たとは言え、未だこの地にとどまっているのは、その蒼崎橙子に止められたからである。
「人の体というのは繊細だ。
それを霊子化して転送するには危険が伴う。
もう少しだけ、留まっていたほうがいいんじゃないか?」
ある意味当然といえば当然で、カルデアとの往来を確認するために現在は蒼崎橙子の協力の元で人形を送り込む実験を考えている。
その蒼崎橙子が海自の横須賀基地に行ったので、時間ができた彼女は蒼崎橙子の工房でおとなしくしている訳もなく、カルデアと連絡をとっていた。
「じゃあ、報告して頂戴」
「ああ。
入即出やる夫氏の提供でこちらのスタッフの77%が回復した。
現在、必要な物資・食料・医薬品・魔術素材の確保に専念している。
回復したスタッフの手を借りて、施設の復旧も始めている所だ」
ロマニ・アーキマンの映像がデータと共に報告する。
約八割のスタッフの回復というのは、レイシフトを行う連中以外はほぼ回復させたという事だ。
その意図的な回復についてオルガマリーは質問する。
「レイシフトを行うチームを回復させていないのは?」
「純粋にダメージがひどくて時間がかかっているのが一つ。
もう一つは所長である君の判断を仰ぎたかったんだ」
ロマニの言葉にオルガマリーは顔をしかめる。
そこには、ロリンチちゃんから提供された入即出やる夫が歩いた、魔術王打倒の記録が記されている。
「こんな奇跡と偶然の結果を再現なんて無理じゃない!?」
と、オルガマリーは叫び、実際やる夫も無理だろうと思ったからこそ、スタッフ回復の支援を行い数で押す戦略をとらせたのである。
だが、その戦略を止めたのが隣に映ったダ・ヴィンチちゃんである。
「現在唯一のマスターである藤丸立香は、セイバー沖田総司、アーチャーエミヤ、キャスタークー・フーリンを得ただけでなく、入即出氏の勧めで金剛神界で修行した後、バーサーカー茨木童子とアサシン酒呑童子と契約した」
「戦力が強化できてよかったじゃない。
何が言いたいの?」
「彼女の戦力強化に、疑念と嫉妬の声が上がっている。
予備マスターである事を理由に、彼女からサーヴァントを取り上げて、正規マスターにわたすべきだという意見すら出た」
入即出やる夫がグランドマスターになってしまった理由は尽きる所、『それしか選択肢がなかった』からだ。
人員が増えて選択肢があるのならば、当然利害ができて派閥ができる。
藤丸立香を中心に据えなくていいのだ。
「もちろん、この意見は却下した。
入即出氏の資料提供で判明したけど、マスターとサーヴァントとの間に強い絆が結ばれるとその分攻撃力とかは上がるんだ。
つまり、新規のマスターは自分でサーヴァントを用意しなければならない。
待っているのは嫉妬と怨嗟さ。
『何で俺の所はこれなのに、あいつにはあんなにサーヴァントが居るんだ』とね」
こう考えると、レフの仕掛けは二重三重に渡って構築されていたと言わざるを得ない。
そのまま進めても待っていたのは、格差と嫉妬と疑心暗鬼によるカルデア崩壊。
それを乗り越えて人理が修復できたのは、それが起こらない程度まで人員が減り、藤丸立香しかマスターが居なかったという天の采配、いや、抑止力の干渉だろうか。
「少なくとも、次のオルレアンまでは藤丸立香の一人マスター体制をとらざるを得ない。
明確な格差と功績を以て彼女を保護しておかないと、他のマスターを働かせるのは無理だと判断している」
ロマニとダ・ヴィンチちゃんが言わなかったことが一つある。
カルデア内復興に際して、多くのスタッフから『入即出やる夫を所長にしたらどうか?』という声が出たことを。
当人がやらないだろうと却下したが。
「わかりました。
そちらの判断を尊重します」
オルガマリーはその件をそれで片付けた。
次の報告もとんでもないものだったからだ。
「マシュ・キリエライトのバイタルデータが急激に回復かつ向上しています。
当人に問いただした結果、金剛神界から帰った時に待っていたアマテラス様からもらった桃を食べたと」
ロマニもダ・ヴィンチちゃんも苦笑を隠さない。
良いことではあるのだが、それがどういう意味を持つか分かるオルガマリーは叫ばざるを得ない。
「神様からの桃ぉ!?
それとんでもないやつじゃない!?」
「彼女の体は元が元だからね。
これも、入即出やる夫氏の支援だそうだ」
やる夫のマシュから話を聞いたアマテラス様が可哀想だと彼女に桃をあげたらしい。
フリーダムだが善人でもあるアマテラス様らしいエピソードである。
あと、やる夫のマシュから話を聞いて自分の中に何が居るか分かったので、『今は遥か理想の城』が使えるマシュとして元気に種火と素材を集める日々を送っている。
ついでにいうと、桃を食べたマシュに釣られて近くの大江山から鬼がやってきてゲットされたという経緯がある。
なお、入即出氏が等価交換として提供を求めたのがこの種火だったりするが、あまりにも向こうの提供が大きすぎるので何時返せばいいのかわからないとこの三人が頭を抱えたりするのだがそれは別の話。
「いいわ。
これもいずれ返すものとして記憶しておきます。
で、最後の話は何?」
ここまで聞くと頭を抱えそうになるがオルガマリーはそれを己のプライドで耐えた。
それでも、ロマニの最後の報告にそのプライドを粉々に打ち砕かれる事になる。
「カルデアが、いや、僕たちの世界がこの世界から見て特異点になっている可能性がある」
と。
鬼二人
冬木市を舞鶴の近くにおいたので、大江山に行って鬼をゲットしようと当初考えていたがサイコロによってなくなったので、藤丸立香にわたすことに。
桃
神聖かつ不老不死の象徴。
ついでにいうと、食べたのは意富加牟豆美命(レベル53)で、この時点でマシュはこの世界において分類が『天津神』になっていたりするが当人及び周りは気づいていない。
つまり、「助けてください」と言えば「おねーちゃんにお任せっ♪」とおねーちゃんアマテラス様レベル173がやってくるという……
種火
狙いはランサークー・フーリンのレベル上げ。