ある朝、ロビーに着くとターミナル付近が騒がしい事に気づく。罵声自体は飛んでいないようなのでそこまで大きい事態では無いみたいだが…
「あ~、朝から面倒事はやめてくれ~」
頭を掻きながら階段を上がっていく。するとそこには
「いってぇ…」
「ちっ」
頬を押さえ、何故か尻もちををついているロミオと、明らかに切れている見たことのない兄ちゃんが突っ立っていた。え、何この状況。なんか予想より修羅場ってるんだが。
これはどういった経緯で? と思った俺はジュリウスに話を聞いてみようとジュリウスに近寄る。
「何事?」
「ああ、三島さん。それが――」
聞いてみるとロミオが今日転属してきたばかりのギルバートというこの子にしつこく詰め寄ったらしく、それにキレてロミオが殴り飛ばされたらしい。あ~あ、いつかはやるだろうなぁとは思ってたけど……
「ロミオぉ、あれほど引き際を覚えろって言っておいたのに」
「だってよぉ…」
「だってじゃねえ馬鹿たれ」
ロミオの頭に軽くチョップをくらわせると手を掴み引っ張り起こす。
「いってぇ」
「アホ、これで済んだだけありがたく思えっての」
「でもよぉ」
「でもじゃない! すまねえな、こいつはこんなだが悪いやつじゃねえんだ」
「俺からも謝ろう、すまない」
謝らせるためにロミオの頭を掴み下げさせ、俺と隊長であるジュリウスも頭を下げて謝るとギルバートは少しばつが悪そうにしながら、帽子を深くかぶりなおす。
「構わねえよ。気に入らねぇから殴っただけだからな」
「だがこの馬鹿のせいで不快な思いをしたんだ。こいつの先輩として謝るのは当然だ」
「俺も隊長として責務を果たせていなかったからな」
「……分かったよ、受け取っておく。こっちも悪かったな。それと、状況で言うのもあれだが、俺はギルバート。マクレイン。ギルで良い。よろしくな」
ギルバートは踵を返すとそのまま去っていった。
「全く。ロミオ、これは懲罰もんだぞ」
「ええ! なんでだよ!」
「ったりめえだろ! ケンカになり掛けてたんだぞ!」
「そうだぞロミオ。隊の士気にも係る問題だ」
「ううぅ…」
俺だけでなく、ジュリウスにまで言われてしまったせいかロミオは不満顔ながらも大人しくなった。さて
「で、ジュリウス、罰はなんだ?」
「そうだな。関係の修復にしよう
「え~~~!! そんなの無理だよ! あいつ短気だしさ~!」
「身から出た錆だ。直せるよ努力しろ」
「うぅ……」
うなだれるロミオ。自業自得だ、頑張れ。
数日後、たまたま休暇だった俺はどこか疲れた様子で帰ってきたフィルを見つけ、どうしたのかと聞くとギルと極東支部から来たエミールという変わった人と任務に出かけたからだそうだ。
何でもエミールというやつがよくぶっ飛ぶわ、騎士どぉぉぉぉぉぉ!! と叫ぶわでてんやわんやしたらしい。
最終的には騎士道を見せてもらい無事終わったそうだ。
なにそいつ面白い。俺何時か会ってみたい。極東以外で。