鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。   作:Red October

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な、なんと残念なことに、半ばタイトル詐欺になってしまった…。同盟締結が軸のはずなのに、半分以上同盟とあまり関係のない話になってしまってる…



097. 誕生、ムロ同盟

 中央暦1641年1月17日、第二文明圏列強ムー国 首都オタハイト。

 ムー統括軍司令部でも、演習開始に向けて軍人たちが熱狂していた。自国の誇る海軍の勝利を信じて。

 だが、この場には4人以上、ムー海軍の()()を確信している者がいた。情報通信部・情報分析課のメンバーを中心にした「知ロデニウス派」の面々と、演習開始直前になってロデニウス海軍の技術や戦力を知らされたミニラルである。

 

 ちなみに、今回の演習内容の詳細が明らかになった時、マイラスを中心とする情報分析課の面々は、必死になってムー統括軍上層部に“ある意見書”を提出した。それは、『今回の模擬戦における戦闘経過』を予想したもので、言ってみれば一種の“予言書”である。そこには、「ムー海軍連合艦隊は、ロデニウス海軍の空母4隻によって完膚無きまでに叩き潰される」という分析結果が、戦闘内容の詳細描写と共に述べられていた。

 マイラスの目から見れば、統括軍上層部はその意見書を受理してくれはしたものの、信じられたかどうかは怪しいところがある。それに、仮に上層部がこれを信じたとしても、末端の一般兵たちはこの意見書を読んでもいないし、信じてくれていない。実際、提出されたこの意見書は後に資料室に置かれて一般兵たちにも公開されたのだが、()()()()()()()()様子がなかったのだ。

 だが、マイラスたち情報分析課メンバーは確信している。今回の演習は、ムー海軍の全滅もしくは圧倒的大敗で終わると。

 

 なお、何故マイラスたちがこんな意見書を提出したのかというと、「情報分析課の存在意義」を()()()アピールするためである。

 ムー統括軍情報通信部・情報分析課は、はっきり言ってその“存在意義”を疑問視されている。ムー国軍部においては、まだ情報分析に対する価値がはっきり認められておらず、情報分析課も「何をやっているのかよく分からない部署」「無意味なことをしている部署」などと軍人たちから陰口を叩かれており、いわば“日陰部署”扱いされてしまっているのである。

 しかし、最近ではロデニウス連合王国関連のデータを分析・提出し、特に艦上戦闘機「アラル」(ムー国産九六式艦上戦闘機)とラ・コンゴ級戦艦(ムー国産(こん)(ごう)型戦艦)周りの情報で高評価を得たことで、少しずつだが情報分析課の価値が見直されている。マイラスはそこに一石を投じ、結果が分かり切っている今回の演習についてその戦闘経過を()()することで、「情報分析も重要なのだ」ということを、“もう一度軍全体に訴えようとした”のである。

 

《演習、開始!》

 

 定刻になると同時に、演習開始のアナウンスが入った。

 ムー統括軍司令部の建物からでは、戦場までの距離が遠いので、直接戦闘の模様を見ることはできない。そこで、戦闘中継は無線通信で伝えらえる音声(但し感度の関係から、あまり遠距離だとこの手段は使えない)と、一部の主力艦にのみ回された映像撮影・放送用の魔導具、及び判定装置が判断した「撃墜」「撃沈」等の判定通信によって行われる。そして敵味方の艦艇に「航行不能」もしくは「沈没」「轟沈」の判定が下された場合は、広報員が貼り出された編成表の艦艇の名の上にバツ印を書き込み、沈没したことを示すようになっている。これによって、観戦に来た軍人たちは陸上に居ながらにして、“ある程度の戦況”を知ることができるのだ。

 

「マイラス、お前なら、あの艦隊に対抗するのにどんな手段を取る?」

 

 ラッサンに尋ねられ、マイラスは苦悩の表情を浮かべながら答えた。

 

「“軍人”としては、全ての『マリン』を艦隊上空に留まらせてエアカバーしながら、敵艦隊に全速で接近し艦隊決戦を挑む……というのが答えだな」

「では、“軍人”としてではなく、“1人の人間”としての答えなら?」

 

 この質問には、マイラスは一切の躊躇無く()()した。

 

「すっ飛んで逃げる」

「ええっ? 先輩、それはちょっと……」

 

 リアスが言葉を挟みかけるが、

 

「同感だマイラス。俺も、全く同じ意見だよ」

 

 なんと、ラッサンも「逃げ出す」と言い出したのだ。

 

「そりゃ当然だろ、リアス。あんな“バケモノ”相手にうち(ムー海軍)の艦隊が勝てる可能性は無いんだ。それに、今回の演習の設定は『ここオタハイトを狙って、敵の機動部隊が襲撃してきた』ってものだ。だったら、艦隊が負ければ次に何が起こるか、馬鹿でも分かるだろ?」

 

 マイラスにそう言われて、リアスも青くなった。

 ムー艦隊が敗れる「未来」は、既に確定している。それも、一矢報いることもできずに全滅する可能性が高い。ならば、敵となるロデニウスの機動部隊には、“オタハイトを攻撃する余裕”はある筈だ。

 何が起こるかは、もう考えるまでもない。「オタハイト空襲」に決まっている。

 

「空襲になるから、その前に避難する、ということですか?」

「そうさ。命さえあれば、後で復讐することだってできるかもしれんからな。“命あっての物種”って奴だ」

 

 3人がそんな会話を交わしている間に、早くも演習開始から30分が経過していた。と、その時、

 

「速報です。我がムー艦隊が、ロデニウスの索敵機に発見されました!」

 

 広報員を務める女性職員が叫んだ。

 

「もう見付かったのか?」

「ちょっと待て、何で我が艦隊が()()発見されているんだ!? 我が国の『マリン』は、ワイバーンロードすら倒せる優れモノだぞ! 何でその『マリン』が、敵の索敵機を撃墜できなかったんだ!?」

 

 軍人たちがざわ付き出す中、

 

「なあマイラス。ロデニウスの索敵機って、どんなものなんだ?」

 

 ふと疑問を抱いたラッサンが、マイラスに尋ねていた。

 

「えーと、ロデニウスでよく使われるらしい『サイウン』なる艦上偵察機の場合だと、時速600㎞叩き出せるってさ」

「は!?」

 

 次元が違う速力を前にして、ラッサンが絶句する。

 

「600!? 600だと!? それマジなのか?」

「俺は嘘は言わん」

 

 ややぶっきら棒な口調で、マイラスはそう言い切った。情報を信じて貰えなかったために、少し機嫌が悪いようだ。

 

「な、なるほど……すまん、疑って悪かった。しかし、600だと……。これじゃ、どう足掻いても『マリン』じゃ追い付くこともできんな……」

「改めて聞くと恐ろしいですよね。ロデニウスの傘下にいる日本は、こんな代物を易々と開発・量産配備できるんですから」

 

 話し込んでいる3人を横にして、ミニラルは必死で頭を回した。

 

(さ、最高時速600㎞だと……。次元が違いすぎる! こんな速度、神聖ミリシアル帝国の「天の浮舟」でも、出せるかどうか怪しいかもしれんぞ……! ロデニウス連合王国は、なんて技術を保有しているんだ……)

 

 いよいよもって、嫌な予感しかしない。

 その後は、ミニラルの嫌な予感が見事に的中し、そしてマイラスたちが見通していた通りの展開になった。ムー艦隊の激しい対空砲火と110機もの「マリン」を以てしても、ロデニウス連合王国の航空機を1機撃墜しただけであり、逆にムー艦隊は全ての「マリン」と約9割の艦艇を失う、という大敗。演習の編成表に書かれた、味方艦艇の名前の上に次々と「航行不能もしくは沈没」を意味するバツ印が付けられるのを見て、軍人たちは一瞬ポカンとし、次いで混乱した通信の声を流している無線機に、(かじ)り付かんばかりに集まった。

 混乱した無線を聞いて、ミニラルが分析したところによると、どうやらロデニウスの戦闘機は「マリン」を以てしても追い付けないほどの高速を発揮し、運動性能も高かったらしい。また、金属質の甲高い音を鳴らしてほぼ垂直に落下するようにしながら爆弾を投下し、あるいは海面すれすれの超低空で艦隊に迫り、海面に“何か”を投下して()()()()()()()()()()らしい。

 

「予想通りになったな、マイラス」

「ああ。ある程度予想はしていたが、ここまで()()()()叩き潰されるとはな……。ロデニウス側が使った機体を見られると良いんだが」

 

 言葉を交わすラッサンとマイラスに、ミニラルはつい話しかけた。

 

「すまんが、今回の演習で使われたロデニウスの戦闘機がどんなものか、分かるかね?」

 

 しかしマイラスは、首を横に振る。

 

「大変申し訳ありませんが、混乱したあの無線通信を聞いて分析した限りでは、分からないことが多すぎて機種の特定は不可能であります」

「そうか……。では、今回使われた戦闘機は、君が先ほど言っていた『ゼロ』という機体だろうか?」

「その可能性は高いと小官は思います。『ゼロ』ですら、『マリン』を正面から叩き潰せる性能ですし」

 

 なお、残念ながらロデニウス艦隊がこの時使用した戦闘機は「(れっ)(ぷう)一一型」もしくは「()(でん)(かい)()」であり、マイラスやミニラルの言う「ゼロ」……零式艦上戦闘機は使われていない。

 

「あっという間に、溶けるようにやられましたね……やはり、魚雷攻撃があったのでしょうか?」

 

 ロデニウス側の第一次攻撃が終了し、残存艦がほぼ1割にまで減らされてしまったムー艦隊の編成表を見詰めながら、リアスが尋ねる。それに答えたのはラッサンだった。

 

「その可能性は極めて高いな。俺はロデニウスに行った時に、魚雷攻撃のシーンを見たことがあるんだが、あれは恐ろしい代物だった。青い海の上に細長い白い線が現れて、それが敵めがけて突き進むんだ。それを喰らったら、船は喫水線下に大穴を開けられて、あっさりと沈むか航行不能になってしまう。あの恐ろしさは、今でも忘れられん。

ただ、俺が見たのは“艦艇から発射する魚雷”であって、“航空機から投下される魚雷”じゃなかったんだ。それでも、大体は変わらんだろ」

「なるほど……」

 

 リアスがそう言った時、マイラスが声を上げた。

 

「どうやら、分かったことが1つあるぞ。『魚雷は、航空機もしくは小型艦に搭載して撃たせる方が都合が良い』らしいな」

「何故そう思うんだ?」

 

 ラッサンの疑問の声に、マイラスは落ち着いて答える。

 

「さっきのお前の話がヒントになったよ、ラッサン。ロデニウスの時は俺も一緒にいたけど、ロデニウスの連中は比較的小型の巡洋艦と、『駆逐艦』なる高速の小型艦から魚雷を撃ってたろ? それに航空機ってのは、小さい上に高速で飛行するから、撃ち落とすのが難しい。今の模擬戦の結果も、そのことを如実に物語っている。そこから考えると、魚雷は相手に確実に命中させるために、“相手の攻撃を掻い潜って懐まで突っ込んだ上で使うべき”なんだ。そうすれば確実に当たるし、相手に致命傷を負わせられる。しかし、相手も黙ってやられる訳がないだろう。

となると、できるだけ被弾しなくて済むように、『小型かつ高速の移動手段』で魚雷を運ぶ必要がある。つまり、航空機もしくは駆逐艦に魚雷を持たせるのが効率的、って訳さ」

 

 鋭い。そう評価するべきだろう。“たった1回”の模擬戦を見ただけで、雷撃戦の本質をここまで細かく捉えるとは、恐るべしマイラスの頭脳。差し詰め「ムー舐めるなロデニウス」ということだろう。

 

「よくまあ、そこまでポンポン考え付くな……」

 

 ラッサンが呆れたように肩を竦めると、今度はリアスが提案した。

 

「それか、“敵が気付かない海中”からこっそり忍び寄る、または待ち伏せるんですね。前の調査で分かりましたが、ロデニウスには『潜水艦』という、“自発的に海に潜って”魚雷を敵に発射する軍艦があるそうですから、それを使うのもありでしょう」

「しまった、潜水艦がいたな。そういえば、潜水艦に対抗する手段は駆逐艦じゃなかったっけ?」

「ええ、『ソナー』という水中の音を聞いたり、自分から音波を出して相手の位置を探ったりする器具を使って敵の潜水艦の位置を特定し、そこに『爆雷』という、水圧で起爆する爆弾を投げ込むんだそうです。他にも『迫撃砲』という、ほぼ垂直方向に弾を発射できる、“大仰角が取れる大砲”を使うこともあるそうですよ」

「なるほど。それじゃ、ロデニウスと同盟したら、駆逐艦の建造技術やソナーと爆雷の製造技術も貰いたいな。この後の交渉で生かせるように、今から上申書を書いておかないと」

 

 今後のムーの軍事技術の発達を見据えて話に花を咲かせる3人の横で、ミニラルは呟いた。

 

「時代が、変わろうとしておるのか……」

 

 そのミニラルの周囲では、次々と上げられた軍艦の沈没判定が誤報ではないと知って、床に崩れ落ちた多数の軍人たちの姿があった……。

 

 

 そして、演習の終盤。

 

「艦隊決戦か……!」

「行け! ラ・カサミ級ここにありと教えてやれ!」

 

 さっきまで崩れ落ちていたとは思えないほど、声を張り上げて無線機越しに「ラ・エルド」を応援する軍人たち。その傍らで、ミニラルは今度はリアスに尋ねた。

 

「君は確か、造船関係に詳しかったな? 今度の艦隊決戦について、どう思う?」

()()()勝てるのではないかと思います」

 

 軍艦の種別の“常識”に基付き、リアスはそう答えた。

 

「ほう、それは何故だ?」

「今回の対戦カードは、我が国の“戦艦”とロデニウスの“空母”です。『ラ・カサミ』を預かっていらっしゃるミニラル大佐殿にこんなことを申し上げるのは、猿に木登りを教えるようなものでしょうが、戦艦は主砲とその弾薬庫、艦の指揮を執るべき立派な艦橋、それに自身の主砲に耐える分厚い装甲を持っています。それに対して、空母は飛行甲板を確保しなければならないので、甲板の上は基本的に広く開けて置かなければなりません。また、速力と艦載機格納庫のスペースを確保しなければならないので、装甲も薄いですし、大口径砲を搭載する余裕はありません。従って、()()()()ならば勝てる、と小官は考えます」

「なるほど」

 

 ミニラルにそう説明したところで、「ただ……」とリアスは付け加えた。

 

「ただ、()()()()考えればそうなのですが、今回の相手はロデニウス連合王国です。かの国は何度も我々が考えることの三手先を行き、此度は『戦艦は航空攻撃では沈まない』という常識すら引っくり返しました。どうにも嫌な予感がします。もしかすると、我々の想像も及ばない()()を持っているかもしれないと、そう感じるのです」

「いや、参考になる意見をありがとう。おそらくだが、砲戦では我が海軍が勝てる筈だ。(けい)の言う通り、空母に“大口径砲を搭載する余裕は無い”からな」

 

 不安はあったものの、ミニラルはリアスにそう言ってみせた…その瞬間。

 

「ムー海軍、戦艦『ラ・エルド』轟沈! 敵空母の()()により、撃沈されました!」

 

 泡を食ったような声で広報員が報告し、ムー艦隊の編成表の一番上にあった「ラ・エルド」の名前にバツ印を付けた。そしてこの「ラ・エルド」こそが、ムー海軍で生き残っていた()()()()()であった。つまり……

 

「状況終了……! ムー艦隊の……完敗です……」

 

 そういうことである。広報員の声は完全に意気消沈し、その唇はワナワナと震え、顔面は蒼白、目には涙まで伝っていた。

 彼女の様子を見て、軍人たちはまず愕然とし、次いで何やら騒ぎ立て始める。『完敗』という結果を、受け入れられなくなっているものと見られた。

 

「……君たちの言った通りになったな」

 

 そんな中、マイラスたちの情報のお蔭で(ギリギリとはいえ)「ムー海軍大敗の可能性高し」の情報を得て免疫ができていたミニラルは、どうにか平静を保っていた。

 

「いえ……こうなることは、ある程度は想定済みでした。我々情報分析課も、もう何度もロデニウスの技術や戦術に驚かされていますから。……まさか、“砲戦”で戦艦()空母()沈められるとは思いませんでしたが」

 

 全てを諦め切ったような声でミニラルにコメントしたのは、「知ロデニウス派」でも筆頭格にあるマイラスであった。彼の場合、ほぼ“達観”してしまっているが。

 

「ああ。最後の砲戦で、まさか『戦艦が空母からの砲撃で沈められる』とは予想していなかった。ロデニウスはいったい、どんな兵器を使ったのだろう?」

「それは私にも分かりかねます。何か、我々の発想が及ばない“とんでもない兵器”を出してきたのかもしれません。これまでにもかの国は、魚雷だの回転砲塔を持つ装甲戦闘車輌だのレーダーだの、我々が()()すらも思い付いていない兵器を次々と持ち込んでいます。我々の知らない兵器、もしくは伝説上の兵器が出てきてもおかしくありません。ひょっとしたら、誘導魔光弾()()あるかもしれないのです。少なくとも“昔の日本”には、そんな兵器があったようですし。

そうなりますと、彼らがどんな兵器を持ってきたのかをしっかりと調べ、我々にもそれが作れるかどうかを検討する必要があります」

「ううむ……向こうの方が技術が優れている以上、已むを得んか」

「はい。さて、少ししたら艦隊が帰ってきますから、私は艦隊の見学のため、()(とう)に移動したいと思います。ミニラル大佐は、如何されますか?」

「おお、では私も行こう。彼らの空母がどんなものか、気になってきた」

 

 ミニラルがそう言ったところへ、

 

「あっ、先輩ズルいですよ、抜け駆けなんて! 私も行きます!」

「それじゃ、俺も見に行こうかな」

 

 リアスとラッサンも行くことになった。

 

 

 埠頭に着いてしばらくすると、演習に出ていた艦隊が帰投してきた。それらの艦艇のうち「ラ・エルド」を見た4人の表情が凍り付く。

 

「え……凹んでる?」

「凹んでますよね?」

「凹んでるよな」

「あれは凹んでるな」

 

 全員の意見が一致した。そう、「ラ・エルド」の第一砲塔の防盾が、大きく凹んでいたのである。ちょうどそこが、「()()」から発射された41㎝レールガン弾が命中した箇所であった。

 

「何があった!? ラ・カサミ級の砲塔防盾が凹むなんて……」

 

 マイラスが驚愕する。

 

「ラッサン君、君は何が起きたと思うかね?」

 

 ミニラルに問われ、ラッサンは少し考えて答えた。

 

「そうですね、考えられる可能性は二つです。一つは、“非常に重い物体”をぶつけられた場合。もう一つは、物体の重さはともかくとして、“高速で”ぶつけられた場合です。

今回の場合は演習です。使われる弾は“演習弾”であり、これは通常の砲弾より()()場合が多いですから、重い物体をぶつけられた可能性は低いと考えます。となると、残る可能性は“高速で演習弾をぶつけられたこと”しかありません。

しかし……そんな高速を叩き出せる砲撃なんて、果たしてあるのでしょうか? そこが、どうにも疑問です」

「ふむ、良い推理だ」

「恐れ入ります」

 

 ラッサンの説明は非常に理に適っていた。彼も若くして中佐にまで上り詰め、“ムー海軍の次代”を担うと目される逸材である。その評価は伊達ではない、ということだろう。

 

 

 その後、彼らは帰って来たムー艦隊の乗組員たちやパイロットたちから話を聞き、また寄港してきたロデニウス艦隊の空母を眺めることができた。

 ムー艦隊の面々の説明によると、彼らの誇る艦隊はロデニウスの空母から飛び立った航空隊によって、何ら有効な手立てを打てぬまま(じゅう)(りん)された、という。実際、55隻の艦艇から一斉に撃ち上げられる8㎜対空機銃の弾幕は相当の密度だっただろう、とマイラスには察せられた。だが、ロデニウスの航空機には通じなかったらしい。やはり口径20㎜以上の大口径対空機銃と、その射程外から敵機を叩ける高角砲を配備しなければならない、と考えるマイラスであった。

 また、パイロットたちの話を聞くと、「マリン」にしてもロデニウスの戦闘機に全く敵わず、射撃の的のようにバタバタと落とされたそうだ。しかも、僅かな擦れ違いの間にエンジンを撃ち抜かれたりコクピットに撃ち込まれたりと、“化け物”としか思えない練度だそうだ。実際に機体を見てみると、ほとんどの機体がエンジン部分やコクピットの風防ガラスを赤く染められており、“弱点を的確に撃ち抜かれた”ことを物語っていた。リアスとマイラスは、それを見て背筋が凍る思いがした。

 そして、肝心の「ラ・エルド」は……艦橋にいた乗員たちによれば、「あ……ありのまま、さっき起こったことを話すぜ……。こちらを向いた敵空母の艦首が青白く発光していた。おそらく何かの電気仕掛けだと思う……。その発光が一際大きく光った、と思った時には激しい衝撃に見舞われ、そして一瞬のうちに轟沈判定を取られた。何を言ってるのか分からねーと思うが……俺たちにも、何をされたのか分からなかった。頭がどうにかなりそうだった。ただの脅しとか砲撃とか、そんなチャチなもんじゃあ断じてない、もっと恐ろしい何かの(へん)(りん)を味わったぜ……(意訳)」とのことである。残念ながら、この話を聞いたラッサンにもミニラルにも、何が起きたのか全く分からなかった。ただ、ラッサンはどうにか推測を立てていた。

 

(この謎を解くカギになるのは、『青白い発光現象』だな。これが砲撃だとすれば、大きく光った時に弾が発射されていたんだろう。我が国でまだ開発されていない、燃やすと青白い光を放つ炸薬なのか、それとももしや、そもそも火薬式大砲ではないのか……。火薬でないなら、電気の可能性はあるな、あれは青白い火花が出るし。だが、“電気仕掛けで放つ大砲”なんて聞いたことがない。とすると、いったい何だろう……?

何にしても、おそらくこれはロデニウスが投入した“新兵器”と見て良いだろう)

 

 そして、ロデニウスの空母。それは、ムー海軍最新鋭空母・「ラ・ヴァニア級空母」をあらゆる点で凌駕していた。

 まず全長200メートル程度という時点で、ラ・ヴァニア級より艦体が大きい。こんな“怪物的な大きさ”の空母は、ムー国には存在しない。そして、その艦体のあちこちから高角砲と対空機銃の砲身を、ハリネズミの針のように空に向けて突き出していた。また、その飛行甲板に並ぶ航空機も、いずれも“金属製の単葉機”だった。これもまた、今のムー国に存在しない兵器である。その中に、中ほどから上に向かって折れ曲がった主翼を有する機体があった。その主翼からは、左右合わせて4本もの銃身が伸びている。

 

(あれが、ロデニウスの戦闘機か……。ざっと見たところ、機銃の口径はおよそ20㎜。“航空機用の20㎜機関砲”なんて、我が国ではまだ実用化されていないものだ。あんな機体を、俺たちが作らなければ……)

 

 双眼鏡を目に当てながら、空母「加賀」の甲板に並んだ戦闘機「烈風一一型」を垣間見て考察するマイラス。その一方、ラッサンとミニラルは「加賀」の艦首に目を留めていた。

 

「「何だ、あれは……」」

 

 2人の台詞が見事にシンクロする。その視線の先にあったのは、「加賀」の“艦首に開いた巨大な穴”だった。上甲板に掛かった海水の排水口……にしては不自然すぎるほど大きい。それは寧ろ、ラ・カサミ級戦艦に見られるような“大口径砲の発射口”に見えた。

 

((大砲……? でも、“艦首に固定した大砲”なんて聞いたことがない……))

 

 思いまでが一致する2人であった。

 

 

 その少し後、

 

「「何だってぇぇ!?」」

 

 マイラスの話を聞いたラッサンとミニラルが、揃って絶叫した。

 マイラスが堺から聞いたところによれば、「加賀」の艦首に搭載されていたのは「レールガン」といって、火薬ではなく()()()により弾丸を高速で射出する兵器だ、とのこと。膨大な電力を必要とし、かつ要求される技術水準も非常に高度であり、残念ながら今のムーに作れる代物ではないとのことだった。しかも、今回のレールガンは口径410㎜の特大品だったそうである。

 

「ただ、勘違いしないで欲しいとも言われましたよ。今回のレールガンは、あくまで“実験”のために搭載されていた側面が大きく、また今回の演習の中で、“運用上の重大な問題点”がいくつか明らかになったんだそうです。そしてそもそも、『こんな兵器は空母に搭載すべき代物ではなく、空母は空母らしく“艦載機の運用”のみに機能を集中すべきである』とロデニウスの武官は仰っていました。つまり、空母には自衛用の対空機銃や小口径砲のみ搭載させ、持てる機能の大半を航空機の運用に注力すべきである、ということです」

 

 実際に、レールガンを発射した後で演習から帰投する間に検証してみたところ、砲身内部に焼け焦げや罅割れが散見され、発射の負荷が予想以上に大きなダメージになっていることが窺えた。また、レールガン発射には「加賀」の予備電源以外の全ての艦内電力を回さなければならず、やはり使い勝手が悪いと判断された。そこで、レールガンの運用はしばらく取りやめにする決定を、堺自ら下したのである。……なおこの後、堺は"加賀"航空隊に爆撃されました。

 

「まあ、役割は分けろってことだろうな」

「仰る通りと思われます」

 

 流石に長く海軍に勤めているだけあって、ミニラルは即座に本質を理解していた。そしてさらに、マイラスからとんでもない情報が告げられた。

 

うちの軍(ムー統括軍)人たち、“本当に負けたのか分からん”とか言って騒いでいましたが、『ロデニウス側が持ち込んだ映像記録』で一瞬で沈黙させられました。恐ろしいことに、あいつら“戦闘機にまで”映像記録装置を載せていたのです」

 

 マイラスの説明によれば、騒ぎ立てるムー海空軍の軍人たちに対して、ロデニウス側は無言で映像を上映したらしい。それは「ガンカメラ」なる、戦闘機の機銃のすぐ近くに搭載され、機銃のトリガーが引かれると同時に録画が始まる、というとんでもないカメラによって撮影された映像であった。しかも、音声までしっかり付けられた上にカラーで上映される、という仕事の徹底ぶりである。

 まず上映されたのは、「紫電改二」に搭載されていたガンカメラの映像。「加賀」直衛隊がムーの「マリン」相手に奮戦し、数的劣勢をあっという間に引っ繰り返す様子が、克明に映し出されていた。堺が先に「加賀」戦闘機隊をムーの攻撃隊にぶつけたのは、このためだったのだ。第601航空隊の「烈風」には、ガンカメラが無いのである。

 他に、ムー艦隊への攻撃に参加した「烈風一一型」のガンカメラ映像や、模擬戦終了時に飛んだ「二式艦上偵察機」が写した映像・写真もあった。機銃掃射の曳光弾が乱れ飛ぶ中、ムー海軍艦艇の横腹に巨大な水柱が突き立ち、甲板上に被弾を示す赤いペイントが飛び散る様子がいくつも捉えられていたのである。

 「カラー映像」という、神聖ミリシアル帝国()()実用化できていない筈の技術を見せられたこと、それに戦闘のついでに録画まできっちり行われていたということ、そして映像に映る艦艇や航空機の被弾箇所と実際の艦艇や航空機の被弾箇所が一致したことで、ムー国の軍人たちの反論は完全に封じ込められてしまったのだ、という。

 

「カラー映像だと? しかも、機銃のトリガーと連動して映像記録されるカメラ? なんて技術だ……」

 

 驚きのあまり、ラッサンも沈黙を余儀無くされた。

 

(彼らには、我々の船と航空機では勝てない……)

 

 ミニラルが、そのことを痛感するにも十分であった。

 

 

 ともあれ、これで全てははっきりした。「装備にもよるが、戦艦は航空機にも沈められる」ことが明らかとなったのである。まあ、演習に参加した戦艦6隻を一挙に撃沈されたとあっては、嫌でも航空機に対する戦艦の不利を悟らざるを得ないだろう。

 

 そしてついに、ムー国は自国の歴史に残る重大な決断を下した。これまで外交政策の中心としてきた「永世中立」を転換することにしたのである。

 ちょうどこの少し前、中央暦1641年の1月13日に、ムー国外務省を2人の訪問者が訪ねてきていた。それは、ムー大陸の西方500㎞、第二文明圏外と呼ばれる地域に国土を持つ島国「イルネティア王国」の第一王子エイテスと、同国の重臣ビーリー侯である。彼らの話によれば、イルネティア王国は現在グラ・バルカス帝国から植民地化要求を突き付けられている、とのことであった。イルネティア王国はこれを拒否し抗戦する構えであるものの、列強レイフォル国を下したグラ・バルカス帝国の力はあまりにも強大であり、勝てる自信はなかった。そのため、エイテスとビーリーはムー国からの軍事支援を要請してきたのである。

 イルネティア使節団からの要請は、具体的にまとめると「ムーの機械兵器の輸出(もちろん対価は支払う)」「援軍の派遣」「先進11ヶ国会議席上におけるグラ・バルカス帝国に対する非難声明の発表」である。ムー側は彼らイルネティア使節団に対し、「機械兵器の輸出は国内法により許可できない」「援軍については、1年間イルネティア側が持ち堪えることができれば2ヶ月以内に派遣する」「先進11ヶ国会議においてグラ・バルカス帝国に非難声明を出し、同時に制裁措置を世界に訴える」と回答していた。レイフォル国が滅ぼされた件といいこれといい、何だかんだとムー政府上層部もグラ・バルカス帝国を気にし始めていたのである。

 そこへ今回のこれであった。情報分析課が提出した、「グレードアトラスター級戦艦に酷似する見た目を持つヤマト級戦艦」の性能詳細。そしてロデニウスから伝えられた「少なくとも戦車に関して、グラ・バルカス帝国はムー国の30年先を行っている」という情報。これらの事実から、ムー国はこれまでの外交政策を見直す必要に迫られたのだった。

 

 

 かくして、中央暦1641年1月25日、ムー国=ロデニウス連合王国同盟……通称「ムロ同盟」が締結されたのだった。同盟規定には、「軍事技術の積極的な交換を行う」・「技官の派遣や、合同軍事演習等を優先的に行う」といったことの他に「いずれか一国が第三国から宣戦布告された場合、両国は連携して第三国に対抗する」と定められた。

 また、これと同時にムー国はロデニウス連合王国に対し、「大東洋共栄圏」への参加を申請。ロデニウス連合王国以下の大東洋共栄圏参加各国としては、これを拒む理由はなかった……のだが、1つ()()が発生した。それは、共栄圏への参加資格の1つに「国土を大東洋に接すること」と定義されていることである。どう見てもムー国は大東洋には接していないため、これが問題となったのであった。

 これに対してロデニウス外務省が提示した見解は、ある意味“強引なもの”だった。「世界地図で確認した限り、大東洋はベリアーレ海と()()繋がっており、またベリアーレ海はムー大陸周辺の海とも()()接続している。従って、地域名こそ違えどムー国に接する海の水はベリアーレ海の水であり、()()()大東洋の水である。故に、ムー国は大東洋共栄圏に参加する前提を満たしている」というものである。……めちゃくちゃ“強引な論理”である気がするのはうp主だけだろうか?

 また、これ以外に「列強国であるムー国の立場に配慮した」という格好で、ムー国は「名誉大東洋共栄圏参加国」という形で参加することになったのであった。そしてここから、ムー統括軍の大幅な軍事力強化が始まる……

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 時と場所は変わって、中央暦1641年1月27日、「中央世界」列強神聖ミリシアル帝国 帝都ルーンポリス。

 帝国情報局の局長室では、局長を務めるアルネウスが頭を抱え込んでいた。それは、情報局の各課が集めてきた各国の情報が原因である。

 MI2(第2課、エモール王国の情報収集担当。なお、MIは「ミリシアル・インフォメーションセンター」の頭文字である)・MI3(第3課。元パーパルディア皇国、現新生パールネウス共和国担当)・MI5(トルキア王国担当)からは、依然変わりなしとの報告が届いている。MI4(元レイフォル国担当、現在はグラ・バルカス帝国担当)は、相変わらず相手の徹底した秘密主義ぶりに悪戦苦闘しているようだ。国家の規模や経済力の程度などはおろか、本土の位置すら掴めていないらしい。MI1(ムー国担当)からは、1月中旬にムー国がロデニウス連合王国と合同軍事演習を行ったようだ、との報告が届いていた。ただ、その詳細は明らかにはなっていないらしい。そして今年に入ってすぐ、アルネウスの命令により設置された第6課(MI6)は……

 

コンコンコン!

 

 その時、アルネウスの思考をドアノックの音が遮った。ノックの間隔が短かったことから、ノックの主は相当慌てているようだ。

 

「入れ!」

 

 アルネウスがドアの外に向かって叫ぶと、「失礼します!」と明らかに焦った声がして、1人の男が慌てた様子で飛び込んできた。それはMI6課長に任命され、ロデニウス連合王国と大東洋共栄圏の情報収集に当たっているライドルカである。

 

「MI6より緊急報告です。ロデニウス連合王国とムー国が、軍事同盟を締結したそうにございます!」

「な、何だって!?」

 

 まさかの報告に、アルネウスは思わず叫んだ。

 

「む、ムーが!? あの『永世中立』とは名ばかりの日和見主義のムーが、軍事同盟だと!? 間違いないのか?」

「間違いありません。商人に扮してロデニウス現地に潜入している諜報員からの報告と、ロデニウス発の魔信ニュースを突き合わせました」

 

 そこへ今度は、MI1の課長グデルが息せき切って飛び込んでくる。そして、「ムーがロデニウスと同盟した」という情報を報告してきた。

 

「2人同時となると、これは間違いなく事実だな。ムーとロデニウスの軍事演習の結果は何か分かったか?」

 

 アルネウスが尋ねると、グデルは姿勢を正して答えた。

 

「は。それが、どうやらムー海軍が大敗した模様です! それも、ムー海軍が50隻以上に対してロデニウス海軍は10にも満たない数で戦ったのに、です!」

「何だと?」

 

 アルネウスの片眉が吊り上がった。

 

「我が海軍の主力魔導艦隊なら、ムー海軍などあっさり破ることができるだろう。“それに匹敵する戦果”をロデニウス海軍が叩き出したとなると、これは相当のことだぞ……いてて」

 

 言い終わったのと同じタイミングで、アルネウスの胃がゴロゴロ、ギュルギュルと悲鳴を上げた。痛む胃を押さえながら、アルネウスはどうにか机の引き出しから杖を取り出し、自身に「回復魔法」をかける。何故杖が出てきたのかというと、アルネウス自身は魔法があまり上手くなく、詠唱の際に“何らかの魔導具”を必要とするからだ。

 余談だがこの回復魔法、身体的な負傷(怪我や骨折等)は治せるが、例えば流した血をその場で体内生成することはできないし、何より精神的な負荷(つまりストレス)に対しては、あまり効果が無い。そのため、しょっちゅう回復魔法の世話になっているにも関わらず、アルネウスの胃痛はこのところ止む気配が無かった。だがアルネウスは、そのことに気付いていない。

 

「ふう……おそらくだが、ムーよりもロデニウスの方が技術が上だと思われる。MI6がこれまでに集めた情報によれば、ロデニウス連合王国はプロペラを搭載した天の浮舟や地上を走る装甲戦闘車輌、ボルトアクション式でない小銃の他に、グレードアトラスターに匹敵し得る超大型軍艦を実用化している、とのことだ。ムー海軍が敗れても不思議じゃない」

 

 何とか痛みを押さえ込み、青い顔のままアルネウスは言葉を続けた。

 

「よって、ムーとロデニウス、両国の動向には一層の注意が必要となった訳だ。2人とも、よろしく頼む」

「「はい!」」

 

 返事をして退室しようとした2人を、アルネウスが慌てて呼び止めた。

 

「グデルはそのまま戻ってよろしい。ライドルカは少し残ってくれ、話がある」

 

 そして部屋に残ったライドルカを前に、アルネウスは口を開いた。

 

「去年言っていた、ロデニウスへの使節団の派遣の件なんだがな。リアージュ様の根回しが上手くいった。帝国議会でロデニウス連合王国との国交開設、同国の先進11ヶ国会議への招待、そして国交樹立並びに先進11ヶ国会議参加に当たっての指導を目的とする、使節団の派遣が全て可決された。詳細は後日伝えることになるが、ライドルカ、お前には使節団の一員として、近々ロデニウスに行って貰う。準備をしておいてくれ」

「承知しました」

 

 ライドルカはその場で即答した。

 

「よし。では、話は以上だ。引き止めて済まなかった。仕事に戻ってくれ」

「はい。では、失礼します」

 

 ライドルカが退室した後で、アルネウスは疲れたような表情で局長室の天井を見上げた。そして、誰に言うともなしに呟く。

 

「第二文明圏外に出現したグラ・バルカス帝国が、同じ文明圏の列強レイフォル国を滅ぼしたと思ったら、今度は世界の反対側、第三文明圏で同じことが起きた。第三文明圏外国であるロデニウス連合王国が、あの文明圏唯一の列強だったパーパルディア皇国を滅ぼしたのだ……。しかも今度は、そのロデニウスとムーの軍事同盟ときた。信じられないことばかりが、起こっていく……。

今に文明圏外国という定義がなくなって、新たな世界秩序が構築されてしまうかもしれない。この世界の(すう)(せい)は、いったいどうなるのだろうな……」

 

 彼の呟きは誰にも聞かれることなく、局長室の天井に消えていった。




はい、ついにムーは永世中立を破棄して、軍事同盟を結ぶ方向に舵を切りました。そして神聖ミリシアル帝国のアルネウスさんは、腰を抜かさんばかりに驚かされる羽目に。ついでに彼の胃痛の種がまた1つ増えました…南無。


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次回予告。

軍事同盟締結により、ロデニウスからの軍事支援が受けられることとなったムー国。ロデニウス製兵器の導入も可能となり、教官としての人材派遣も可能となった。そしてムー統括軍は、これまでにない大幅な強化の刻を迎える…
次回「生まれ変わるムー統括軍」

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