鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。   作:Red October

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連載話数が、ついに100に到達…! ここまで来られたのも、拙作を愛読してくださる皆様のおかげです!本当に、ありがとうございます!
今回はついに、神聖ミリシアル帝国とロデニウス連合王国が接触します。

それと、改めてお伝えしておきます。
拙作は「日本国召喚」と「艦隊これくしょん」のクロスオーバーです。「アズールレーン」との関係は一切ありません。



100. ミリシアルとの国交

 中央暦1641年2月17日、ロデニウス大陸西方50㎞の海上。

 2月といえど、この世界では“亜熱帯”とでも表現すべき地帯にあるロデニウス大陸周辺の空には冬らしさは無く、雲1つ無い青い空は寧ろ夏を連想させずにはおかない。そんな空を、白く塗られた1機の機体が飛んでいた。その主翼の下にぶら下げられた2基の魔光呪発式空気圧縮放射エンジンは、後部から青い光を発しながら空気を放射しており、その気流によって機体を前へと進ませている。

 それは、“第三文明圏の技術レベル”では決して作れない(筈の)技術の結晶たる航空機「天の浮舟」。それも中央世界にある世界最強の国、神聖ミリシアル帝国が作り出した機体である。その「ゲルニカ35」と呼ばれる天の浮舟は、国交開設や先進11ヶ国会議への参加要請と参加に当たっての各種事項の指導、それに相手国の国力調査等を目的とした使節団を乗せ、時速310㎞の巡航速度でロデニウス連合王国へと向かっていた。

 

「間もなく、ロデニウス連合王国の領空に入ります。なお、同国の戦闘機が2機、我が機を先導・護衛する予定となっております。

戦闘機が来ても先導と護衛が目的ですので、使節団の皆様におかれましては、ご安心下さいますようお願い致します」

 

 機内放送が流れる。それを聞きながら、神聖ミリシアル帝国の情報局員ライドルカは、席に座ったまま伸びをした。

 

「長かった! 2日もかかりましたが、ようやっと着きますね」

 

 ライドルカが話しかけたその相手は、彼の右隣に座る外交官フィアームである。

 

「ええ、やはり遠いですね。しかしもうちょっとで、“東の果ての文明圏外国家”を相手にしなければならないかと思うと、頭が痛いです。

戦闘機が2機先導のために来るとのことですが、ワイバーンではなく戦闘機を持っていたこと自体が驚きですね。流石、()()()()()を得ている国です」

 

 実はフィアームは、この()に及んでもなお、ロデニウスの航空機は“ムー国の後押し”があったものだと思っているのである。ムー国の後押しが無ければ、()()()()()()()()()にこんなものは作れない、と。

 まあ、当然の話である。

 

「パーパルディアに勝った理由も、何となく理解できた気がします。

どんな戦闘機で登場してくれるのか、まずは見せて貰うとしましょう」

 

 外交官フィアームの脳裏に浮かんでいたのは、「マリン」とかいうムー国のレシプロ戦闘機である。

 実は、フィアームの思い込みにもちゃんとした理由がある。今回の使節団派遣に際して、情報局はロデニウス連合王国についてある程度の情報を仕入れていたが、その情報の“精度”が不確かなものであり、内容もあまりにも突拍子が無かった。そのため情報局は、「パーパルディアに勝った国」という事実()()を他部署に伝えるに留め、具体的にどのような国かは伝えていなかったのだ。

 

「フィアームさん、ロデニウス連合王国に関しては、『文明圏外の蛮国』といった“先入観”無しに見た方がいいかと思いますよ」

「はぁ……分かりましたよ」

 

 (たしな)めるライドルカに、フィアームが溜め息を吐きながら応じた時だった。

 

「いやぁ、私もロデニウス連合王国がどのような航空機で来るのか、非常に興味があります」

 

 通路を挟んで2人の反対側の席に座っていた、技官ベルーノが話に入ってきた。

 

「第三文明圏外国が作ったという航空機……どのようなものでしょうかね」

 

 ベルーノの言葉と共に、3人は窓の外を見た。遥か下には海が見え、機内には魔光呪発式空気圧縮放射エンジンの発する甲高い音のみが聞こえる。ロデニウス連合王国の航空機とやらはまだ来ていないようだ……と思った、その時。

 

「……?」

 

 窓際に座っていたフィアームが、最初に“異音”に気付いた。

 

「何か、“妙な轟音”が聞こえませんか?」

 

 彼女にそう言われて、ライドルカもベルーノも気付いた。

 

「む、言われてみれば、確かに何か聞こえますね」

 

 ベルーノがそう言った、その時だった。

 その轟音がだんだん大きくなってきたかと思うと、突如として“銀色に輝く何か”が2つ、轟音と共に3人の横を通り過ぎたのだ。

 

「なっ……何だ今のは!?」

 

 ライドルカが驚いているうちに、すれ違った2つの銀色の物体は「ゲルニカ35」の後方で向きを変え、あっという間に追い付いて来た。それが“2機の航空機”だとフィアームたちが気付くのに3秒ほどの時間を要した。その間に1機が「ゲルニカ35」を追い越して先導にかかり、もう1機が「ゲルニカ35」の横に付いて護衛任務に当たる。

 

「あ……あれがロデニウスの戦闘機か!? 速すぎる!」

 

 ライドルカが叫び、フィアームが絶句する。周囲にいた他の使節団メンバーもざわついていた。

 それは、神聖ミリシアル帝国の使節団が乗る機を先導・護衛すべく、ロデニウス連合王国陸軍戦略航空軍が飛ばした「F-86D改 セイバードッグ」戦闘機であった。

 

「ムーの飛行機に使用しているプロペラが無いぞ! あっ、あれは! 機の前方に空気取入口がある! まさかロデニウス連合王国も、魔光呪発式空気圧縮放射エンジンを実用化しているのか!?」

 

 技官ベルーノは、驚愕していた。

 

「なんて速さだ! 我が国の『エルペシオ3』の速度を凌駕しかねんぞ、あれは!」

 

 そこへ、武官アルパナが話に割って入る。

 実は彼の言う通り、「セイバードッグ改」の最高速度は時速1,138㎞もあるので、時速530㎞しか出せない「エルペシオ3」を軽く凌駕していることになる。しかも、「エルペシオ3」の武装が機銃のみなのに対して、「セイバードッグ改」は機銃以外にもFFAR「マイティマウス」噴進弾もしくはAIM-9B「サイドワインダー」空対空ミサイルを撃てるので、武装面でも「エルペシオ3」は完敗を喫しているのである。

 

「あの翼型は……なんと、“後退翼”か! 速度が音速を超えた場合に、翼端が超音速流に触れないために考えられた翼型じゃないか! 我が国ではまだ研究……というか()()の段階だが、まさかこんなところで()()が見られるとは!

アルパナ殿、あの戦闘機は音速を超える可能性がありますぞ!」

 

 “外見的特徴”から「セイバードッグ改」の性能に気付き、ベルーノが興奮してまくし立てる。

 航空機が音速を超えた場合、機体先端から斜め後方に向かう衝撃波が発生するのだ。その衝撃波が翼に触れると、安定した飛行が困難になるどころか、最悪の場合主翼が破損して飛行不能になってしまう。それを避けるために、神聖ミリシアル帝国では後退翼という機構が()()されていた。そのため、ベルーノは「セイバードッグ改」の主翼の特性を見抜くことができたのだ。

 

 その時、全身をワナワナと震わせながら外交官フィアームが口を開いた。

 

「馬鹿な! “文明圏外国”が、()()()()()()()()()()()()を持つ筈が無い! あってはならないことでしょう!!」

「しかしフィアーム殿、あの機体は明らかに“音速越え”を想定しているものと思われます。無意味な形の航空機は造らないでしょう」

 

 ベルーノがフィアームを窘めるが、彼女は興奮したような、若干上ずった口調で続ける。

 

「我が国は先進的な学問体系もさることながら、古の魔法帝国の遺産・遺跡を多数研究出来るという、『他国に比べても大きなアドバンテージ』がある。それにも関わらず、“天の浮舟の技術”という最も重要な一分野において、文明圏外国に負けるとは! いったいどういうことですか!?」

 

 激しく(ろう)(ばい)しながら、フィアームは自国の最新型制空戦闘機に勝る性能を持つかもしれない(実際にはミリシアルの戦闘機が()()している)ロデニウス連合王国の戦闘機、「F-86D改 セイバードッグ」を見詰めていた。

 

 

 戦闘機の護衛と先導を受けたゲルニカ35型天の浮舟は、無事にピカイア空港……かつてロウリア王国が建設・使用していたワイバーンの飛行場とは異なる、新たに建設された飛行場に着陸した。タラップが架けられ、神聖ミリシアル帝国の使節団の面々は、機体から降りるや否やフラッシュを焚き始める大勢の報道陣を前にして、少し驚くこととなった。まさか、世界の東の果てで“自国のそれ”に勝るとも劣らない規模の報道陣に囲まれるなどとは思っていなかったからである。

 さらに、フラッシュが焚かれる中で音楽隊が神聖ミリシアル帝国の国歌を奏で始めた。

 

「ふむ……これは良いな。誠意を尽くしている様子がよく分かる」

 

 ライドルカには、この歓待は好印象だったようだ。

 

(建物を見る限り、まだ文明圏外らしいところはあるな。例えば建物の装飾が少ないし、建物内の明るさへの配慮も足りない部分があるようだ。だがそれでも、“第三文明圏外としては”かなり洗練された建物だ。そんな建物を建設できるとは……この国は侮れないな)

 

 ベルーノはそんなことを考えていた。その隣では、アルパナがロデニウス連合王国製らしい双発機や四発機……「一式陸上攻撃機」と「B-29改 スーパーフォートレス」を見て目を見開いている。

 

(機銃がある……ということは、輸送機ないし爆撃機だ。爆撃機と仮定すると、ここまで大きな機体を作ることができるとはな……。爆弾の搭載量は尋常なものではなさそうだ。それに、機体の形状は非常にシンプルになっている。航空力学を理解して作られたことの証だ。航空機は余計な出っ張りがあると、空気抵抗が増加して飛行性能が悪化するからな)

 

 アルパナの目には、これらの機体が“高度な流体力学計算”に基付いて造られたものに見えていた。

 

 

 ロデニウス連合王国側の出迎えを受けた神聖ミリシアル帝国の使節団の面々は、ロデニウス側が用意した自動車(キューベルワーゲン)に分乗した。ホテルのチェックインにはまだ時間があるため、まずはピカイアの観光を兼ねた視察を行うことにしたのである。

 ロデニウスの自動車は、見た目がミリシアルの魔導車に似ているが、魔法を使っている様子がない。ドライバーに聞けば、ムー国の車と同じように石油を使用して走っているのだという。流石はムーの恩恵を受けた国……だと思いきや。

 

「え? これは国産品ですよ?」

 

 ドライバーのこの一言で、全員が硬直させられる場面もあった。

 

 そんな一行のうち、1号車に乗り込んだフィアーム、ライドルカ、アルパナの3人は、海の近くに来ていた。表向きは「ロデニウスの()を見てみたい」というアルパナの要望だったのだが、アルパナの真意は別にあった。ライドルカと共に、ロデニウスの()()を見ておこうとしたのだ。特にライドルカは、ロデニウスの軍艦には並々ならぬ関心を抱いている。まあ、偶然とはいえ“大和(やまと)型戦艦を見てしまった”のだから無理もないが。

 かくて、港を見下ろす高台へとやってきた3人だったが……

 

「嘘だろ……」

「デカい……!」

「ロデニウス()()に、あんな戦艦が……」

 

 全員が固まってしまった。

 ピカイアの港には、神聖ミリシアル帝国使節団を歓迎すべく、ロデニウス海軍第4艦隊の各艦艇が満艦飾を施してズラリと並んでいる。その奥、沖合に近いところに、神聖ミリシアル帝国の国旗を満艦飾にした1隻の大型軍艦が浮かんでいた。3人の目はそれに吸い寄せられていた。

 それは、目測で全長200メートルを優に超える灰色の巨艦である。艦体中央に丈高い艦橋と2本の煙突を聳え立たせ、艦体前方と後方に大口径の主砲を計4基搭載している。よく見ると、主砲は三連装砲であるようだ。マストにはロデニウス連合王国の国旗と赤い太陽を描いた白地の旗が翻っている。

 

「………」

 

 絶句しているフィアームの隣で、いち早く我に返ったライドルカとアルパナが、早速観察を始めていた。

 

「三連装砲4基……それ以外に、どうやら小型砲と対空魔光砲らしきものが多数見受けられます」

 

 口火を切ったのはライドルカだ。それに続いて、アルパナが苦虫を噛み潰したような顔で言う。

 

「全長200メートル、幅も20メートルはあるか……。まずいな、我が国の魔導戦艦にも匹敵する大きさだ……」

「主砲の砲門数も、我が国のゴールド級どころか最新鋭のミスリル級すら凌いでいます。ミスリル級の主砲は三連装砲2基なので」

「砲口径はどうだ?」

「すみません、遠いのではっきりとは……。ですが、少なくとも30㎝はあると見られます。それと、形状から考えて“回転砲塔持ち”でしょう」

「確かムーの『ラ・カサミ級』は30.5㎝砲だったな。それくらいはあるか……。あれと戦ったとしたら、手数で押し切られると厄介だぞ」

「ええ。しかしこれで、ロデニウス連合王国がパーパルディア皇国に勝った理由が分かりましたね。あんな巨艦がある以上、パーパルディア皇国の戦列艦では勝てないのは明らかです。空軍にしても、あの戦闘機にかかればワイバーンロードなぞ一捻りでしょう」

 

 ライドルカの言う「あの戦闘機」とは、「F-86D改 セイバードッグ」である。

 

「そうだな。となると、陸軍も相応に強力だと見るべきか……。この国にも銃はあるんだろう?」

「はい。当時の駐パーパルディア大使館付武官から、そのような報告が届いています。しかも、“連続発射が可能な銃”を実用化し、それと同時に砲撃を放つ“鋼鉄の地竜”を投入していた、とも聞いています」

「何だと?」

 

 ライドルカからの情報に、アルパナの片眉が吊り上がった。

 

「確かなのか?」

「私も何度も確認しましたが、大使館付武官が嘘を報告するとも思えません」

「そうか……」

 

 アルパナは溜め息を吐いた。

 

「まずいな、これは。ロデニウス連合王国は、第三文明圏周辺では突出して高い軍事力を有している。それも、ムー国の軍にも劣らないような、強力な軍隊があるんだ。楽観はできんぞ」

「どうでしょうか……私は、ロデニウス連合王国の軍事力は確かに危険だが、同時にこの国は軍事力とは無縁の“平穏な対話”ができるのではないか、と考えています。その証拠に、彼らは確かにパーパルディア皇国を滅ぼしましたが、皇国の領土は一欠片たりとも割譲させていませんし、新生パールネウス共和国についても属領や属国にしないどころか独立国として認め、食料輸出等の支援を行っているのです。パーパルディアのような『拡張主義』であるなら、そんな行動はしないでしょう」

「何? そんなに()()()なのか、ロデニウス連合王国は?」

「ええ。外務省に残っていたパールネウス講和会議のアーカイブを見ましたが、彼らは最初から『皇国に領土割譲を要求しない』と言い切っていましたよ」

「なんと……」

 

 今度こそ、アルパナは発すべき言葉を失ったようだった。そこへ今度は、ロデニウス連合王国の軍艦に絶句していたフィアームが口を開く。

 

「ま、待て、待て待て待て。では何故、彼らはここまで強大な軍事力を持っているのだ? これだけの力があるなら、周辺国を武力で制圧するなど容易いだろうに」

「フィアーム殿、大東洋共栄圏の指針となっている『大東洋憲章』の第4条を覚えておいでですか?」

「え? ああ。ええっと確か、『大東洋共栄圏参加国における軍事力は、参加国又は大東洋共栄圏全体にその存続を脅かす脅威が迫れる時に限りこれを行使する』ですね」

「ええ。つまり逆に言うと、彼らは軍事力を“自己防衛”に使うことはあっても、“対外侵略”にこの武力を用いてはならないと、()()()()()()()()()のです。それはつまり、彼らが理性的であることを意味すると同時に、拡張主義政策を“最初から放棄している”ことをも意味します。

しかし、軍事力無くして平和を唱えても、“机上の空論”にすぎないと見られてしまい、寧ろ外国からの征服の対象になってしまうでしょう。ですから、“外からの侵略を跳ね返せるだけの軍事力”を有しているものと見られます」

「しかし、ロデニウス連合王国はパーパルディア皇国の領土内まで侵攻していたではないか? それは()()ではないのか?」

「いえ。あの時ロデニウス連合王国は、パーパルディア皇国から殲滅戦を宣言されていました。それはつまり、殲滅戦を“言い渡された側”であるロデニウス連合王国は、()()()()()()()ならば“如何なる手段”をも取ることができる、ということを意味します。従って、パーパルディア皇国の奥地にまで侵攻したとしても、それはあくまで『防衛のための戦争』の一環であるという説明ができ、侵略的意図を持ってのものではない、ということになります。それに先ほど申し上げましたが、ロデニウス軍がパールネウスを陥落させるまで進軍したにも関わらず、ロデニウス連合王国はパーパルディア皇国から寸土たりとも領土を要求しませんでした。戦争に負けた国が勝った国に領土を奪われることが当然のこととなっている戦争では、これは極めて“異例なこと”です。それらの点から、あの時のロデニウスの武力攻撃は、全て防衛のためのものだった、と言えます。決して侵略ではありません」

 

 現在に至るも、他国への侵略を続けているグラ・バルカス帝国と比較して、ロデニウス連合王国は武力による他国制圧の意図はないらしい。自衛のための軍事力行使を除けば、原則的に平和を好む国家であるようだ。その点は幸い、というべきだろうか。

 その後、使節団の面々は順次ホテルにチェックインし、旅の疲れを癒すのだった。

 

 

その日の外交官フィアームの日記より抜粋。

 

今日という日は私にとって、人生で最も衝撃を受けた一日であった。

我が国、神聖ミリシアル帝国は、古の魔法帝国の遺跡・遺物を研究する事により、高度な魔法を柱とした文明を築いてきた。その文明レベルは、古の魔法帝国を除けばこの世界の歴史上最高であり、最も栄えていると言って差し支えない。

ムー国の科学技術文明が第二文明圏では最も優れているとはいえ、各種乗り物等の性能は我が魔導文明に遠く及ばなかった。魔法を如何に活用するかが、文明レベルの高さと繁栄の程度を決める。私はそう思っていた。

しかし、私は今日、我が国よりも少なくとも1つの分野において進んだ文明を目にした。しかも信じられない事に、それを“第三文明圏外の国家”が成し遂げたのだ。私は衝撃を受けずにはいられない。

 

ロデニウス連合王国の規模がどの程度なのかは、これから調べていくところではあるが、少なくとも一部の分野の質において我が国に迫る、あるいは……信じがたいが……凌駕していると考えられる。

ロデニウス連合王国は、パーパルディア皇国に代わって第三文明圏、いや、「大東洋共栄圏」の主宰国としてフィルアデス大陸沿岸部の国家群及び周辺の(とう)(しょ)国家群の代表的存在になっていくだろう。

明後日から、私はこの国に対して先進11ヶ国会議に参加するよう正式に交渉を行わなければならない。心して仕事を成し遂げよう。

 

ロデニウス連合王国の戦闘機及び戦艦らしき大型艦を見る限り、少なくとも軍事力においてはロデニウス連合王国は決して侮れない。我が国の他の外交官に、ロデニウス連合王国に対しては、無闇に高圧的態度を取らないように今後釘を刺さなければならないだろう。

しかし、私がそうであったように、ロデニウスの軍事力を()()()()()()()()()()()()、高圧的態度は是正出来ないかもしれない。何故なら、長い間あらゆる点において世界の頂点に君臨してきた我が国の外交官には、魂まで自国の優位性が刷り込まれているだろうことが容易に想像できるからだ。

これを是正することは大変なことだと、私は思う。

 

 

「明日から、ロデニウスの外交官との交流か……」

 

 外交官フィアームは、一抹の不安を感じながら眠りに就いた。

 

 

 翌日、中央暦1641年2月18日。

 ピカイアに設置された迎賓館にて、神聖ミリシアル帝国の使節団一同はロデニウス連合王国外務省の面々と顔合わせをしていた。ファーストコンタクトという訳である。

 

「こんにちは、神聖ミリシアル帝国使節団の皆様。此度は、遠路はるばる我が国まで来ていただき、感謝の念に堪えません。本当にありがとうございます。

私は、ロデニウス連合王国外務省のヤゴウと申します。ご説明致しました通り、本日は交流会ということで、我が国の事を少しでも知っていただきたいと思います。交流会終了の後、本日から、観光しながら我が国の首都クワ・ロデニウスに向かいます。

まずは、二つの国が初めて出会えたという事を祝し、交流を兼ねてお食事会を執り行います。

食事会は120分を予定しております。その後、我が国の大陸第一横断鉄道の駅にご案内致しますので、どうぞごゆっくりなさって下さい。それでは皆様、よろしくお願い致します」

 

 ロデニウス側の代表たるヤゴウの挨拶が終わり、各人のテーブルに様々な食事が運ばれてくる。その食事に手を付けながら、ライドルカは横に座るフィアームに話しかけた。

 

「おお、これは旨いな……。何やら変わった黒いソースを付けて食べるだけの素朴な味付けだが、イケる。生の魚だと聞いたからどんなものかと思ったが、中々どうして……。フィアームさん、ロデニウス連合王国をどう思います?」

 

 皆様既にお気付きと思うが、ライドルカが口にしたのは刺身である。

 

「そうですね、私の所見としては、この国はムーのような科学技術と固有の魔法・魔導技術を組み合わせた国家形態になっているようです。第二文明圏のマギカライヒ共同体のようなものでしょうか。

魔法・魔導技術は、我が国に比べればまだまだ、という感じですね。ですが、第三文明圏周辺としては質の高い魔石を精製していたり、強力な回復魔法を使える者がいるなど、我が国としても目を見張るところがあります。科学技術については分からないことが多いですが」

 

 フィアームがそう言うと、ベルーノが話に加わってきた。

 

「私は技官として、科学技術についてもある程度は知っていますが……ロデニウスの科学技術はどうやらムーより高いようです。彼らの天の浮舟や軍艦を見ていると、そのように思います。自動車についても、ムーと同レベルの性能はあるようですし」

 

 ライドルカ、フィアーム、ベルーノの3人が話していると、ロデニウス人が1人、彼らの元へやって来た。ロデニウス側の代表として挨拶をしていたヤゴウである。

 

「初めまして、お話し中に失礼致します。此度は先進11ヶ国会議の事前説明並びに国交開設の手続きのためご足労いただきまして、誠にありがとうございます。

私は、ロデニウス連合王国外交官のヤゴウと申します。今回の交流会から国際会議、そして国交開設、我が国の先進11ヶ国会議への参加までを担当させていただくことになります。神聖ミリシアル帝国という、世界に名だたる最強の国家との国交を担当させていただき、光栄の至りです」

 

 非常に丁寧な対応である。しかも「世界最強」と神聖ミリシアル帝国を尊重している。

 

(そう、これ。こういう対応でなければ)

 

 外交官フィアームは気を良くし、笑顔で席を立ってヤゴウと握手した。

 

「こちらこそ、初めまして。神聖ミリシアル帝国外務省外交官のフィアームと申します。

1つお伺いしたいのですが、ヤゴウ殿、外交担当も貴方となるという認識でよろしいですか?」

「はい、特に政府の意向により変更が無ければ、このまま私が神聖ミリシアル帝国との外交を担当致します」

 

 ヤゴウのこの答えを聞いて、フィアームの目が一瞬怪し気な光を放った。そしてフィアームは、何か“悪いことを思い付いた悪ガキ”のような笑みを浮かべ、持ってきた大きいバッグから袋を取り出した。そしてそれを開け、中身をヤゴウに手渡す。

 

「担当の外交官の方への、()()()からのプレゼントです。我が国で開発された、一瞬で演算するための道具です。これを使用すれば、桁の多いかけ算や割り算であっても、一瞬で答えを弾き出すことができますよ」

 

 自信満々に、巨大な魔導機械をヤゴウに手渡すフィアーム。

 彼女が手渡したそれは、神聖ミリシアル帝国の魔導工学の粋を集めて発明された魔導計算機であった。地球で言う“電卓”である。但し、それは“デスクトップパソコン”ほどもある巨大な機械であった。地球ならば、“骨董品”レベルの代物である。

 フィアームは、魔導計算機を渡すことによって最初に神聖ミリシアル帝国の技術力を示し、同時に国力の大きさをも誇示するつもりだった。第三文明圏外国では決して作り出せない技術力を示す事により、外交上有利なポジションを得ようとしていたのである。

 

「あ、ありがとうございます! む、これはなかなか重たいですね」

 

 フィアームの思惑通り、目をキラキラさせながら魔導計算機を受け取るヤゴウ。

 

「重さは14㎏もありますので、確かに少々重いですね。ですが、演算能力の速さは産業の発展速度や工業製品の生産能力に直結します。それは、我が国では高価なものですが、私的にヤゴウさんにプレゼントしたいと思います」

「このような、高価なものをいただけるとは……誠にありがとうございます! 大事に使わせていただきます!」

 

 ヤゴウとフィアーム、両者は共に笑みを浮かべていた。前者は純粋な喜びの笑みを、後者は「計画通り……」と言わんばかりの“黒っぽい”笑みを。

 

 

 なお余談であるが、ヤゴウはフィアームからの贈り物である、この魔導計算機を甚く気に入り、同僚に計算速度での勝負を挑んでは勝ちまくって、魔導計算機を自慢していた。そしてつい、大東洋共栄圏参加各国への武器の輸出状況の確認のため、堺の命を受けて外務省に顔を出していた"(きり)(しま)"に、計算速度での勝負を()()()()()()()のである。

 お題は「1から100までを足した合計は幾らになるか、出せ」というものであった。例によって同僚を破っていた時のように、「1+2+3+……」と計算機に打ち込み始めたヤゴウ。それに対し、"霧島"は平然とメガネを操作して計算を開始し、ヤゴウが1から10までを足す間にたった2秒で計算を終えてしまった。まあ、彼女のメガネに仕込まれていた電卓がよりにもよって“関数”電卓、それもスパコンばりの計算速度を誇る代物だったせいもあるのだが。

 メガネに仕込むことができるほどの小ささに、一瞬で複雑な計算を完了できる程の凄まじい演算速度。これにより、ヤゴウの自信は一瞬で木っ端微塵にされてしまったのだった。

 

 え? 何で"霧島"のメガネに関数電卓の機能があるんだ、って? それは、彼女のメガネが“射撃用レーダー”の役割を持たされているからである。砲兵たるもの、計算ができなければならない。風向・風速・湿度・地磁気・気温・気圧、その他あらゆる要素を考慮して弾道を計算できなければ“正確な砲撃”ができないから、砲兵なぞ務まらないのだ。そのため、計算能力の“補助装置としての機能”を、彼女のメガネは持っていたのである。

 

 

 交流会終了後、ミリシアル使節団はヤゴウたちロデニウス側の人員と共に、ピカイア駅からロデニウス大陸第一横断鉄道に乗り込み、ロウリア州からエスメラ州を経て、クワ・トイネ州の州都にして王国の首都クワ・ロデニウスへと向かった。なお、鉄道は石炭を利用して走る蒸気機関車だったため、ミリシアルの面々は「ムーと同じような感じだが、乗り心地はこちらの方が良い」という印象を抱いた。

 そして、ほぼノンストップで走り続け、半日かけて到達した首都クワ・ロデニウスは、神聖ミリシアル帝国の帝都ルーンポリスほどではないものの、高層建築物が立ち並び、道路を多数の自動車が走り、電気式の街灯が暗くなった道路を照らす立派な近代都市であった。ミリシアルの面々は「ムーの首都オタハイトと同程度の街並みである」と分析している。

 もう夜も遅くなりかけていたため、神聖ミリシアル帝国の面々はホテル「ラ・ロデニウス」へと案内され、その日はそこで宿泊することとなった。国王への謁見及び先進11ヶ国会議に関する本格的な説明会は、明日以降になる。

 

「いやぁ、ロデニウス連合王国の発展ぶりには驚きましたな。農村部はともかくとして、首都の街並みがまるでムーそっくりだ。まさか第三文明圏外の国がこれほどまでに発展しているとは……」

 

 ホテルの一室で、ライドルカが興奮気味に話している。

 

「いや本当に。第三文明圏外の技術レベルから考えれば、この国の発展の仕方は言い方が悪いが“異常”としか言えない。いったい何があったのだろうか?」

 

 ベルーノも、どこか興奮気味だ。

 

「あの技術に基付いて建造されたらしい軍艦は、その大きさがムーの『ラ・カサミ級』すら超えている。それほどの軍事力を持つ一方で、自分たちから侵略戦争を仕掛けることはせず、平和を良しとする理性的な判断ができる……古の魔法帝国が復活した際には、この国も“戦力の一助”となりそうですな」

 

 アルパナは比較的冷静に、ロデニウスの軍事力を分析している。

 

(さて、ファーストコンタクトは上手くいったようだけど……明日は朝一でこの国の国王への謁見、それから先進11ヶ国会議の説明会に、国交開設の手続き……。第三文明圏外国とはいえ、あの戦闘機を持つ国だから、全く気が抜けない……。粗相の無いようにしなければ……)

 

 フィアームは1人、緊張した面持ちをしていた。

 

 

 翌日、中央暦1641年2月18日、ロデニウス連合王国首都クワ・ロデニウス 連合王国外務省。

 神聖ミリシアル帝国の外交官フィアームは、ロデニウス連合王国外務省幹部や外交官たちの前で、先進11ヶ国会議に関しての説明をしていた。彼女の顔にやや緊張したような様子が見られるのは、先ほど国王カナタ1世への謁見を済ませてきたからに他ならない。

 各人には必要事項や詳細が記載された資料が配布されており、彼らは説明を聞きながら資料を参照している。その資料の内容を要約すると、下記の通りとなる。

 

・先進11ヶ国会議は2年に一度開催される。

・前回の会議は中央暦1640年に開催されており、次回開催はおよそ1年後、中央暦1642年の4月を予定している。詳細日時については、大使館を通じて追って連絡する。

・本会議の参加国は、世界に多大な影響力を及ぼすことの出来る()()()()で構成されている。会議の主な議題は、今後の世界の運営方針についてである。

・世界中の国々がこの先進11ヶ国会議に注目しており、ロデニウス連合王国が出席すれば世界に大国として認識される。国益にも適うと考えられる。

・参加国は、世界の運営について新たな意見を述べることができる。

・原則として列強国は固定参加国であり、その他の国家は持ち回り参加となる。また、本会議において列強国からの推薦を受けた上で、参加国のうち7ヶ国以上から列強入りを認められ、かつ2ヶ国以上の列強国の承認を得ることで、新たな列強国が誕生する。

・第三文明圏については、通例では固定参加国1国、持ち回り参加国1国の計2国が出席する状態であった。ロデニウス連合王国は今回、新規参加国として「持ち回り参加国」枠での出席となるが、大東洋共栄圏を主宰する等世界に与えてきた影響が非常に大きいことから、神聖ミリシアル帝国外務省の見解においては、会議において新たな列強国認定を受けることが確実視されている。

 

「開催まで僅か1年しかなく、貴国にとって会議に向けての準備期間が十分に無いかもしれないということについては、大変申し訳無く思っています。ですが、世界に大国として認識されることは、貴国としても国益に適うと思われます。

これまでの世界会議では、『第三文明圏の列強国』としてパーパルディア皇国が固定参加、それに加えて第三文明圏の文明国が1国持ち回りで参加していました。しかし、パーパルディア皇国はあなた方ロデニウス連合王国に滅ぼされ、新生パールネウス共和国となりました。かの国の現在の状況から鑑みるに、旧パーパルディア皇国、現新生パールネウス共和国の列強失格は確実です。従って、我が国は貴国ロデニウス連合王国を、パーパルディア皇国に代わって列強国たり得る大国と認め、第三文明圏の長として……いや失礼、ここは第三文明圏ではなかったですね。大東洋共栄圏の長として、是非先進11ヶ国会議に参加していただきたいと考えています。

以上で、説明を終了致します。何か、質問はございますか?」

 

 一通り説明を聞いた後、質疑応答の時間になると同時に、ヤゴウが手を挙げた。

 

「栄誉ある先進11ヶ国会議にお招きいただけるとは至上の光栄であります、ありがとうございます。質問が一つあるのですが、よろしいでしょうか?」

「はい、どうぞ」

「いただいた資料を見ますと、前回の会議参加国の欄の第二文明圏のところに、『列強レイフォル国』という名前があります。この国は、グラ・バルカス帝国という国家に攻め滅ぼされたと伺っています。では、レイフォル国が抜けた部分は、どこの国が来るのでしょうか?」

 

 ヤゴウの質問に、フィアームは首を振った。

 

「それは……レイフォル国の抜けた部分につきましては、現時点ではグラ・バルカス帝国を招待する方向で検討しています。

この国も貴国と同じように、新規参加国としての出席要請となります。ですが、まだ打診をしている段階なので、参加するかどうかは不透明な状態です。何分、世界会議という大きなイベントですが、準備期間が1年という短い期間しかございませんので」

「承知しました、ありがとうございます」

 

 ヤゴウが着席すると、続いてメツサルが挙手した。

 

「ご説明ありがとうございました。我が国が先進11ヶ国会議に招かれるなど、この上無く光栄であります。

先ほどの質疑応答の中で、我が国は“持ち回り参加国枠”での出席になる、というお話がありましたが、第三文明圏におけるもう1国の参加国が、“列強国枠”での出席となる……という理解でよろしいでしょうか? また、我が国の他にはどの国が第三文明圏からの参加国として出席する予定でしょうか?」

「ご質問ありがとうございます。今回は、第三文明圏の参加国枠については固定参加国枠を取り消し、持ち回り参加国2枠という形で対応させていただく予定です。また、今回の第三文明圏からの参加国は、貴国とパンドーラ大魔法公国になる予定です。パンドーラ大魔法公国は、これまでに数回先進11ヶ国会議に出席しておりますので、我が国の他にパンドーラ大魔法公国とも情報共有しておくとよろしいかと存じます」

「承知しました、ありがとうございます」

 

 その後いくつかの質疑応答を経て、先進11ヶ国会議の説明は終了した。

 

 

 使命を果たした神聖ミリシアル帝国使節団の面々は、引き続き国交開設の手続きに当たる外交官たちや彼らを統括する立場にあるフィアームを残し、他の面々は先に帰国することに決定、クイラ州方面を横断する大陸第二横断鉄道を利用して、ピカイアへと帰還した。

 

「砂漠を少しずつ緑地化する……?」

「そんなことができるのか、この国は。凄いな、我が国の農業技術に是非とも欲しい……」

 

 少しずつだが、山麓に近いところを中心に進行している砂漠化阻止プロジェクトの内容が、使節団の注意を惹いたようだった。

 

 

 そして、ピカイアに戻った使節団一同を港で待っていたのは、非常に巨大な2隻の軍艦である。

 

「「「………」」」

 

 使節団一同、驚いてしまって声も出ない。

 そこにあったのは、全長200メートル以上、幅は30メートルもあろうかという、2隻の超大型艦。巨大な三連装砲を3基搭載し、それ以外に副砲と思われる小型の三連装砲4基、それに小口径の単装砲と多数の機銃がある。艦橋はミスリル級のそれにも匹敵しそうなほど高く、天に向かって誇らしげに屹立していた。少し見えづらいが、2隻の甲板には赤と白のストライプ模様が描かれている。何のためかは分からないが。

 

「なんてデカいんだ……」

「あの大きさ、我が国の魔導戦艦にも並びかねんぞ……」

「ロデニウスに、こんな軍艦があるなんて……」

 

 ひそひそと言葉を交わす使節団の面々。その中で、ライドルカは1人考えていた。

 

(今のところ、グレードアトラスター擬きは見付かっていないな……。それにしても、あのグレードアトラスター擬きを含めれば、ロデニウスが保有する戦艦は4隻か。まだどこかにいそうだな……)

 

 ライドルカが気にしていたのは、かつてトーパ王国で目撃した「グレードアトラスター」に酷似するロデニウス連合王国の戦艦である。空から落下してくるという衝撃的な登場をし、直後に主砲で魔王ノスグーラを吹き飛ばした恐るべき戦艦だ。しかも、女性に変化することができ……

 

(待てよ!?)

 

 その時、ライドルカは“あること”に気付いた。

 

(ロデニウスのグレードアトラスター擬きは、1人の女性に変化していた……。まさか……他の戦艦も女性に変化できるのか!? そして、彼女たちがあの鎧じみた兵装を付けずとも()()()()()()()()としたら……一般の見物人なんかを装って、その辺にいるかもしれない!?)

 

 あり得そうな話である。

 

(アルネウス局長が言っていたのって、こういうことか……! 『軍艦に化けられる人間』がいるなんて、ロデニウス連合王国はなんと恐ろしい軍事力を保有しているんだ! 軍艦の性能自体も驚異(脅威)的なのだろうが、数字に表れない恐ろしさがあるんだ……。アルネウス局長が言っていたことの“真の意味”が、やっと分かった……!)

 

 人知れず、身体を細かく震わせるライドルカであった。

 

 

 そして後日、ロデニウス連合王国政府では、フィアームを通して神聖ミリシアル帝国政府から伝えられた「先進11ヶ国会議への参加要請」について検討が行われた。しかし、“自他共に認める世界最強国家からの要請”を蹴るという選択肢など、最初からある筈がない。ロデニウス連合王国政府は、一も二も無く神聖ミリシアル帝国の開催する、先進11ヶ国会議に出席する事を正式に決定した。

 

 果たして、先進11ヶ国会議の席でロデニウス連合王国を待ち受けているものは何か? それは、神のみぞ知ることである…




さてさて、ミリシアルの面々が見たロデニウスの軍艦がそれぞれ何であるか、皆様はお分かりになりますか?
これらの軍艦が何なのか、それを考えようとした時に、最初の注意が生きてきます。そう、アズールレーンの登場艦艇だからといって、拙作に登場する訳ではありません。
あと、もう1つ注意しておきますと、拙作のタウイタウイ泊地は「出撃!北東方面 第五艦隊」のイベント直前に転移した設定ですので、本イベント以降に実装された艦娘はおりません。


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次回予告。

神聖ミリシアル帝国との国交を開設し、同時に先進11ヶ国会議への参加を決定したロデニウス連合王国。その頃、世界のあちこちで様々な動きがあった…
次回「開ける世界」

P.S. 少し前に取ったアンケートに関してですが、圧倒的投票率の高さにより、アイリーン嬢の手になる「ロデニウス連合王国文化調査報告書」を先に間章として描くことで決定致しました。現在鋭意執筆中です。でき次第投稿致しますので、どうか今しばらくお待ち願います。

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