鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。   作:Red October

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書き溜め使って投稿でーす!
今日は(バルクルスが)めちゃくちゃ はちゃめちゃだっ!
ガチ追い込み 情けはカット!
グ帝(つえ)えー (でも勝ちたーい!)

……すみません、何やら初っ端から妙な電波を混信したようです。ジャミングでもかかったのかな……。
え? そもそもお前が前話でジャミング仕掛けたんだろ、って? そうでした(笑)

とまあそういう訳で、今回は予告通りバルクルス攻撃です。

ちなみにここだけの話、前話にこっそり仕込んでおいた「◯野の◯トブキ飛◯隊」のネタ(それも2つ)に誰も気付いてくれなかったという悲しみ……まあ、強く意識してあの作品を見ていないと分からないレベルの小さなネタだから、気付かれないのも無理ないのですが。



142. 「剣閃作戦」! バルクルスを攻撃せよ!

 中央暦1643年5月1日、第二文明圏列強ムー国 西方の要衝キールセキに隣接するエヌビア基地。

 基地の格納庫や滑走路では軍の竜騎士や整備士が慌ただしく走り回り、竜や火喰い鳥が次々と発進する準備をしている。ニグラート連合やマギカライヒ共同体、ソナル王国のワイバーンやワイバーンロード、そして各国の軍がかき集めた大型火喰い鳥。いずれも「剣閃作戦」に参加する者達である。

 また、基地司令部には多くの人員が詰めかけていた。どの顔も緊張している。いや、その中でただ2人、ロデニウス連合王国海軍第13艦隊司令官の(さかい) (しゅう)(いち)中将と、同国陸軍第13軍団指揮官の”あきつ丸”少将だけは平気そうな顔をしていたが。

 

「ロデニウス連合王国海軍・第12航空艦隊から入電! 『敵バルクルス基地を視認、多数の黒煙を認める。また周囲に敵戦闘機なし。これより攻撃する』とのことです!」

 

 無線機を操作していた通信員からの報告に、誰かが「よしっ!」と声を上げた。更に何人かがガッツポーズをする。

 

「第一段階は成功か。続いて第二段階……上手くやってくれると良いが」

 

 作戦司令長官を務める、ムー統括陸軍の士官アスティア・モンドルキリ中将が、どこか不安そうな声で言う。それに堺が答えた。

 

「大丈夫ですよ、貴国も優秀なパイロットを洗いざらい、本作戦につぎ込んだのでしょう? 彼らは必ず、やってきてくれますよ」

「ううむ……ロデニウス連合王国の方にそう言っていただけると心強いですな」

「いえいえ。まずは吉報を待ちましょう」

 

 モンドルキリ中将に笑顔を返しながら、堺は別のことを考えていた。

 

(第1空挺団は、今回が初実戦となる……。新型銃も配備して、うちの空挺部隊の連中がビシバシ鍛えたとはいえ、上手くやってくれるかねぇ……)

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 さて、第二文明圏連合軍の攻撃が始まる少し前、グラ・バルカス帝国領ヒノマワリ州の最前線基地バルクルス。

 バルクルス基地司令にして、グラ・バルカス帝国陸軍第8軍団の指揮官ガオグゲル・キンリーバレッジ中将は、再び基地司令部の屋上に上がっていた。ただし、今度は1人だけである。さっき一緒にいた、陸軍第4師団長ボーグ・フラッツ少将はいない。

 どうしたのかというと、ちょうど今からその第4師団が訓練を行うところなのである。ガオグゲルの眼下には、ボーグが乗り込んだ前線指揮車の他、戦車、装甲車、自動車、燃料補給車などがずらりと整列していた。

 現在のところ、グラ・バルカス帝国陸軍の各師団の中でも唯一と言って良い完全機械化師団である第4師団。その中心戦力となるのが、帝国軍では「無敵の戦車」と言われる「2号中戦車ハウンド」だ。2種類が存在しており、18口径57㎜砲を搭載した主力タイプが「ハウンドI」、48口径47㎜砲を搭載し、敵装甲戦力への対応力を高めたマイナーチェンジ型が「ハウンドII」と呼び分けられている。

 ちなみにだが、主砲のスペックで既に察している方もいらっしゃるかもしれないが、このハウンド中戦車、姿形も性能も旧日本陸軍の「九七式中戦車チハ」にそっくりである。……そう言われて、こう思った方もいるだろう。「これで本当に『無敵』なのか?」と。

 うん、まあ、対歩兵戦に限れば、チハは確かに強い方である。……対歩兵戦限定であるが。

 

 そのハウンドシリーズ以外に、「2号軽戦車シェイファーII」も配備されている。旧日本陸軍の「九五式軽戦車ハ号」に似た見た目と性能であり、こちらは第4師団の戦車の数的主力となっている。

 

「うむ、さすがは精鋭帝国陸軍だな」

 

 ガオグゲルは満足そうに呟く。無敵と称されるハウンド中戦車を含めて戦車が200輌も整列し、その他にも歩兵を乗せた装甲車や自動車が、一糸乱れぬ隊列を作っている様子は、練度の高さを窺わせるものがある。その上空には、グラ・バルカス帝国の誇るアンタレス07式艦上戦闘機が何機も空中警戒にあたっており、レーダーも相俟って無敵の布陣と感じられた。

 

「これほどの大部隊ならば、ムー国などあっさりと降伏し、このムー大陸は我が国の版図に収まるだろう。そしてゆくゆくは、この世界全てが我が国の版図となるのだ!」

 

 グラ・バルカス帝国の輝かしい未来を確信し、ガオグゲルがそう呟いた、その瞬間だった。

 

ドゴアアアァァァン!!!

 

 突然、全く突然に、鼓膜を突き破らんばかりの強烈な爆発音が響き、真っ赤な炎が立ち上った。ガオグゲルの全身を熱風が撫でる。

 見ると、基地に2つある巨大なレーダーサイトのうち1つが、その根本をえぐられていた。見る間にレーダーサイトは地上に倒れていき、凄まじい轟音と大量の土煙を巻き起こして倒壊する。

 

グアアアアァァァン!!!

 

 その倒壊音が響く前に、第2の爆発音が耳をつんざいた。今度は格納庫の1つから巨大な火柱が立ち上る。

 

「な……なっ……?」

 

 あまりにも唐突な出来事に、ガオグゲルは一瞬理解が追いつかず棒立ちになった。

 

「て……敵襲! 敵襲だ!」

 

 しかし、固まったのも一瞬のこと。ガオグゲルはすぐにこれは敵襲だと直感し、叫んだ。その直後、不吉な響きを持ったサイレンの音が鳴り始める。

 兵士たちは一斉に行動に移り、各々が持ち場に向けて走り出した。そのうち5人ばかりが、滑走路脇に設けられた対空陣地に向かおうとする。75㎜高射砲が据えてあるのだ。

 ところが、彼らが陣地まであと5メートルというところまで走った時だった。

 

ドゴオォォォォォォンッ!!!

 

 三たび強烈な閃光と炎が煌めく。高射砲も兵士たちも、閃光の中に姿を消した。

 光が収まった時には、兵士たちの姿は無い。高射砲も陣地ごと跡形もなく消え失せている。

 突然始まった謎の爆発、いや、おそらくは敵襲に、ボーグ率いる第4師団も混乱している。さっきまで綺麗に整列していた戦車や装甲車は、泡を食ったように隊列を乱し、各々好き勝手な方向に走り出しかけていた。

 その瞬間、

 

ズドアアアァァァン!!!

 

 隊列のど真ん中に、盛大な火柱が立ち昇る。複数の戦車や装甲車がそれに巻き込まれ、その近くにいたハウンドI中戦車はけたたましい金属音を立てながら横転して転がった。

 火柱が収まった時には、爆発が起きた地点は直径10メートル以上にもわたって深々と抉られ、アスファルトが完全に吹き飛んで地肌剥き出しの焼けた大穴が口を開いていた。偶然その真下を地下道が通っていたが、天井が崩落して通路が僅かに見えている。

 爆発を受けた戦車や装甲車は……姿がどこにも見えない。いや、よく見ると大穴の周囲には、元が何だったのか判別できない金属片が大量に散らばっている。それだけが、そこに戦車や装甲車がいたことを物語っていた。

 

「な、何だこれは……!」

 

 基地司令部屋上から惨状を見せつけられたガオグゲルが叫んだ、その時。

 その場を逃げ出そうとしていた前線指揮車が、いきなり白い閃光に包まれた。

 

「……!」

 

 ガオグゲルが声にならない叫びを上げた時、

 

ズドオォォォォォォン!!!

 

 強烈な赤い爆発炎が目を焼き、凄まじい爆発音が鼓膜を激しく震わせた。同時にガオグゲルの身体は爆風によって勢いよく吹き飛ばされた。

 

「!!」

 

 屋上の床に背中を強く打ち付けられ、ガオグゲルの口から苦鳴が漏れる。

 ひどく痛む全身を引きずるようにして、彼はどうにか元いた場所まで戻ってきた。屋上から身を乗り出し、下を覗き込む。

 さっきまでいた前線指揮車は……どこにもいない。いや、よく見ると地面に散らばった大量の破片に混じって、細長い金属製らしい棒が1本、傍らの地面に転がっている。それが前線指揮車に据えられていた通信用アンテナだとガオグゲルが気付くのに、数秒と要しなかった。

 

(ボーグ……!)

 

 ガオグゲルは否応なく、現実を思い知らされた。

 自国初の本格的な機甲師団の指揮官だった優秀な部下は、もうこの世にいない。謎の爆発、いや敵の攻撃により、ムー国征服に辣腕を振るう前に、あっけなく逝ってしまったのだ。

 

「なんてことだ……!」

 

 グラ・バルカス帝国は、島国であるせいもあって元々海軍国であり、陸軍の装備が本格的に整えられたのはつい最近のことなのだ。このため、戦車部隊は幾つか存在するものの、随伴歩兵までを装甲車や自動車に乗せた機械化師団は第4師団のみという状態であった。その指揮官たるボーグは、機械化部隊指揮官の先駆けというべき存在であった。

 その先駆者が今、あっさり戦死してしまったのだ。まだ後輩も育たぬ先に!

 

ドガアァァァァァァン!!!

グワアァァァァァァン!!!

 

 だが、ガオグゲルの嘆きなどお構いなしに、新たな爆発音が鼓膜を激しく揺さぶる。彼は思わず振り返って、息を飲んだ。

 飛行場に、巨大な火柱が立ち上がっている。駐機されていた「ベガ型双発爆撃機」が原型も留めず破壊され、一文の価値もないスクラップと化して燃え盛っている。そして、滑走路にも巨大な火柱が1本立ち、大量の土砂を空に噴き上げていた。

 

「くそっ!」

 

 指揮を執るべく、ガオグゲルが痛む身体を引きずって駆け出すうちにも、次々と爆発が起きる。最後のレーダーサイトも爆発の直撃で大破し、格納庫は炎の塊と変わった。駐機されていた「アンタレス」も、閃光と共に一部の機体が一瞬で消失し、他の機体は横殴りの爆風を受けてその場で横転する。第4師団の戦車や装甲車、自動車も、次々と破壊されていった。

 

(くそっ! いったい何なんだ! 敵の攻撃なら、どうやって攻撃してきているんだ!)

 

 ガオグゲルは嘆きたくなっていた。

 この連続した爆発は、断じて事故などではない。敵の攻撃だ。

 だが爆撃であるならば、敵の爆撃機がいるはずだ。然るに敵の爆撃機は目視でも見当たらず、何よりレーダーにも捉えられていない。空襲警報が鳴っていないのが何よりの証拠だ。

 砲撃かとも思われるが、それにしては弾着のペースが遅いし、砲声も聞こえない。監視塔の見張員も発砲炎を確認していない。となると、砲撃というわけでもなさそうだ。

 では、これはいったい何なのか? 分からない。全てが分からない。

 これほど恐ろしいこともそうそうない。ガオグゲルは焦り、冷静な判断を失いかけていた。

 

 

 そう、それはただの攻撃ではなかった。空のはるか高み、成層圏から落ちてきた弾道ミサイルによる攻撃だったのだ。

 グラ・バルカス帝国にとっては全く未知の兵器である「弾道ミサイル」。それは、ロデニウス連合王国陸軍・第12戦略航空爆撃団がドーソン基地から発射した、合計50発もの「RV-2ロケット」であった。一度成層圏まで飛び上がった後、ヒドラジンの燃焼による推進力と重力を味方にして、超音速で目標に命中するという悪夢のような兵器。それが時間差を置いて、バルクルス基地に命中していたのである。

 なぜこの兵器がレーダーで捕捉できないのかというと、端的に言えば、「RV-2ロケット」はグラ・バルカス帝国製対空レーダーの死角から突入してくるからである。しかも、超音速で飛ぶ代物である以上、飛翔音も聞こえないし、肉眼で捕捉するのも困難を極める。このため、ガオグゲルたちにしてみれば、突然爆発が発生しているようにしか見えないのである。そして当然のことだが、300㎞も離れたところから発射しているため、ロケットエンジン点火時の轟音が聞こえないのである。

 

 

 ガオグゲルは、堅牢な司令部施設の地下にある、非常時に備えて作られた地下司令部に入っていた。少し遅れて、管制塔で航空部隊の指揮をしていたヘルダン・パース少将も入ってくる。

 地下司令部には、無線を使わずとも各部との連絡・連携が可能になるよう多数の伝声管が張り巡らされ、また地上の様子を直接目で確認できるようペリスコープ(潜望鏡みたいなものと理解していただけると良い)も付いている。

 2人が地下司令部に入った後も、爆発はしばらくの間続いたが、何時間にも思えるほどの時間の後に静かになった。攻撃が止んだらしい。

 伝声管を通じ、次々と報告が入ってくる。

 

『レーダーサイト、2基とも大破! レーダー使用不能!』

『第1、第2格納庫大破! 待機中の航空機は全滅しました!』

『兵員宿舎、敵攻撃により大破! 現在消火活動を実施中!』

『司令部施設壊滅! 通信用アンテナも損傷、外部との通信不能です!』

『対空陣地は半数が壊滅しました!』

『第4師団、戦力の3割を喪失! 生き残った車輌は格納庫等に避難中!』

『航空燃料タンクに異常なし』

『滑走路に大破口を開けられました。航空機発着不能!』

 

 ほんの短時間の間に、バルクルスは飛行場としての機能を失ってしまったのだ。

 パースの息は上がり、ガオグゲルは蒼白になっている。

 

(いったいどうしたというのだ!? ムーの基地を爆撃しに行った部隊はどうなったのだ!?)

 

 パースの脳裏を、疑問が目まぐるしく駆け巡る。

 実はこの時点で、「ムーの基地」ことドーソン基地を攻撃しに出撃した航空部隊は、とっくに全滅に追い込まれている。文字通りの全滅であり、1機たりとも帰還できない状態になっていたのだが、ジャミングのせいで無線通信を絶たれていたバルクルス基地には報告は全く届いていなかったのだ。

 

「何ということだ……飛行場の機能を失うとは……」

 

 消え入りそうな声で呟いたガオグゲルだったが、しかし彼の脳はフル回転していた。

 

「第18倉庫から移動式の対空機銃を出し、対空陣地の代わりとせよ!」

「了解しました」

 

 指令は伝声管を通じて迅速に伝わった。まだ、人員は残っている。ならば、できることはある。

 ところが、ほんの少しだけ安堵しかけたガオグゲルの元に、監視塔からの絶叫に似た報告が飛び込んできた。

 

『こちら監視塔、東方の低空から飛行物体が接近中! 数……約20! かなり速いです!』

「飛行物体だと? 20とは少数だな……敵の大きさは?」

『は、大きさは「アンタレス」と大差ないように見えます。航空機と思われ……何だこれは!? 速い! どう見ても時速800㎞は余裕で出ています!』

「何だと!?」

 

 ガオグゲルは怒鳴った。

 グラ・バルカス帝国の誇るアンタレス07式艦上戦闘機は、機動性と高速を確保するためスリムに作られている。最高時速は550㎞にも達し、「無敵の戦闘機」だと思われていた。

 それなのに、敵機は時速800㎞を叩き出しているという。いったいどういうことなのか!?

 

『我が方の戦闘機、敵機に向かう!』

 

 監視塔から続報が入る。どうやら既に空に上がっていた上空警戒の「アンタレス」が、侵入者を撃墜しようとしているようだ。

 ……が。

 

『な……! こ、こちら監視塔、「アンタレス」が次々と撃墜されています!』

「何だと!? それだけじゃ分からん、もっと詳しく報告しろ!」

『それが、敵機が白い煙を引く何かを発射すると、その何かが「アンタレス」をぴったり追尾して命中、「アンタレス」を一撃で粉砕しているんです! そればかりではなく、敵機は機首に四連装の機銃を装備しており、「アンタレス」はその濃密な火箭にかかって撃墜されている模様……なっ!? て、敵機にはプロペラがついていません!』

 

 監視塔からの報告は、あまりにも要領を得ない。そのため、自分の目でも確認しようと、ガオグゲルはペリスコープを上げる。

 東の空に焦点を合わせると、そこには驚きの光景があった。

 

「な……何だあれは!?」

 

 見たこともない鏃のような形状をした灰色の戦闘機が飛び回り、機体下部から白い煙を引く何かを次々と発射していた。それは寸分の狂いなく「アンタレス」を追尾、命中しては「アンタレス」を木っ端微塵にしていく。

 ものの5分もかからずに、空中にいた「アンタレス」は全て撃墜されてしまった。まあ、相手が悪すぎる。零戦21型モドキ(アンタレス07式艦上戦闘機)戦後世代ジェット機(F-86D改 セイバードッグ)に勝てるはずがない。しかも「セイバードッグ改」には、必殺の「AIM-9M サイドワインダー」空対空ミサイルが搭載されているのだ。チャフもなく、超音速も出せない「アンタレス」では、到底対処できるものではない。

 

「何だあれは……!? て、敵機の性能が高すぎる……!」

 

 ガオグゲルと交代してペリスコープを覗いたパースも、驚きのあまり開いた口が塞がらない。

 瞬く間に「アンタレス」は全滅してしまい、バルクルス基地上空の制空権は完全に敵に取られてしまった。対空砲陣地が応戦し、高射砲弾や機銃弾が空へと昇っていくが、捉えられる敵機はない。まあ、亜音速で飛翔する機体を目視照準で捉えること自体が無茶なのだが。

 逆に、突っ込んできた灰色の敵機……「セイバードッグ改」は対空砲の発射地点を見つけるや地上に舞い降り、下腹部から「Mk.4 FFAR マイティマウス」噴進弾を浴びせかける。無誘導のロケットが着弾するや、高射砲陣地の砲弾が誘爆し、陣地そのものが大爆発によって吹っ飛ばされる。対空機銃が破壊され、銃座についていた歩兵たちが骨も残らぬレベルで瞬時に消し飛ぶ。あまりにも一方的な虐殺劇が、そこにあった。

 

「くっ……!」

 

 ガオグゲルとパースは、あっという間に味方の迎撃能力を失わせていく敵機を、奥歯を噛み締めて睨みつけることしかできなかった。

 

 だが、受難はこれで終わりではない。灰色の敵機が姿を消した直後、新たな敵機が襲来したのだ。

 

「第4防空陣地から伝令、東方の低空から飛行物体が接近中! 数……約30! かなり速いです!」

 

 飛行場の管制塔も監視塔もやられてしまい、有線通信の手段も断ち切られてしまったため、生き残っている対空砲陣地から走ってきた伝令兵が、ガオグゲルとパースに続報を伝えてきた。

 

「また敵機か!」

「はい。このうち20はレシプロ機なのですが……残り10機は見たことのない奇妙な飛行物体です!」

「何?」

 

 伝令兵の報告が要領を得ないため、ガオグゲルは今度も自分の目で確かめることにした。

 ペリスコープを上げて東の空を見ると、報告された通り30ほどの飛行物体が接近しつつあった。レシプロエンジンらしい轟音に混じって、何やらブンブンという、聞いたことのない音も聞こえてくる。いったい何なのか、想像もつかない。

 

「あれが奇妙な敵の飛行物体か! 確実にこちらに向かってきている……! ありゃいったい何だ……?」

 

 見当はつかないものの、敵機であることは間違いないと判断し、ガオグゲルは指示を出した。

 

「残っている対空砲を動員して迎撃! 幸い敵の数は多くはない」

「了解、すぐに伝えます!」

 

 伝令兵が急ぎ配置に戻っていく。

 しばらくの後、砲撃音が響き始め、空に黒い煙が花開き始めた。しかし時限信管を使った砲弾であり、対空砲の数も激減したため、なかなか命中しない。

 

「脚は速いが、なんであれは直線的にしか飛んでいないんだ……? よほどのヘボなのか?」

 

 ガオグゲルが呟いた、その時だった。

 10ほどの謎の飛行物体のうち、先頭の1機がブンブン音を止めた。と同時に、それは針路を地上に転じ、糸が切れたように落下してくる。

 

「え?」

 

 ガオグゲルがあっけにとられたその時、落下してきた物体は格納庫と倉庫の間に消えた。

 

ドガアアアァァァァン!!

 

 瞬間、激しい爆発音が響き、格納庫が一瞬で倒壊する。

 

「な!?」

 

 驚いたガオグゲルが声を上げた時には、飛行物体は次々と基地に落下し始めている。凄まじい爆発音と地響きが連続し、司令部は大地震にでもあったようにぐらぐらと揺れた。

 ついでとばかりに、敵のレシプロ戦闘機は地上すれすれに舞い降り、爆弾を投下し両翼から太い()(せん)を放つ。対空機銃の銃座に火花が散り、直撃を受けた兵が一瞬でその場から消失する。戦車が逃げ込んだ建物に、戦闘機が投下した爆弾やブンブン音を立てる謎の飛行物体が直撃し、戦車は一瞬で建物ごと木っ端微塵にされる。

 

「ま……まさか体当たりか!? 練度の低いパイロットの機体を、爆弾を装備したまま突入させているのか!? 狂ってやがる!」

 

 ガオグゲルの推測はハズレである。

 今バルクルス基地を襲ったのは、50発が発射された「RV-1飛行爆弾」の第1陣だった。内蔵されたジャイロによって自機の位置を確認しつつ、目標に突入、これを破壊するという大型ロケット兵器である。

 「RV-1飛行爆弾」は航空機と同程度の高度を時速644㎞で飛行するため、目標上空に敵戦闘機がいた場合や対空砲が生きている場合は迎撃に遭う可能性が高い。このため、「セイバードッグ改」が先んじて突入し、在空の「アンタレス」を一掃すると共に”ワイルド・ウィーゼル”のごとくロケット弾で対空陣地を無力化したのである。その後で本命の攻撃が始まった、というわけであった。

 

 「RV-1飛行爆弾」による波状攻撃は5回も繰り返され、その度にバルクルス基地は爆発の轟音と地響きに揺れた。

 攻撃が終わった後には、地上から入る報告はどれも絶望的なものになっている。

 

「伝令! 格納庫棟全壊! 戦闘機、爆撃機いずれも大破しました!」

「伝令! 重機及び戦車隊、全滅の模様!」

「伝令! 対空陣地は、高射砲が全滅! 対空機銃は、移動式のものを含めて大半が沈黙しました!」

 

 対空砲がほぼ沈黙し、滑走路も使用不能とあっては、最早空からの敵に対する反撃はできない。バルクルス基地は、制空権を完全に失ったのだ。

 

「緊急報告! 敵機多数が東方から接近中! 相当数の単葉機と複葉機です! 数は目視した限り、300を超える模様!」

 

 そこへ、悲鳴のような報告が対空陣地に張り付いていた伝令兵から寄せられる。しかもその内容はまさに「泣きっ面に蜂」であった。

 

「何だって!? くそっ、奴ら本気を出してきたか! しかし300機だと!? このバルクルスを更地にでもする気か!?」

 

 ガオグゲルはつい怒鳴った。

 バルクルス基地は、決して大規模な基地とは言えない。いくら第4師団が補給拠点としているとはいえ、グラ・バルカス帝国軍の基準でいえば中規模基地である。そんな基地に、ムー製の時代遅れの複葉機を含むとはいえ300機もの戦闘機や爆撃機が押し寄せる……ムー国は本気だ。本気で、このバルクルス基地を叩こうとしている。

 

(悔しいが、今ばかりはどうしようもないな……)

 

 そんな考えが、ガオグゲルの脳裏に浮かんだ。

 

「おのれ……複葉機なんて旧式機、基地機能がまともであれば……!」

 

 掌に血が滲むほど拳を強く握りしめ、パースが怒りと悔しさを織り交ぜた声で呟いた時、それを待っていたかのように笛のような音が多数降ってきた。

 

ヒュウウウウ……ドドドドドーン……

ダダダダダダ……

 

 爆発音の度に司令部は不快な振動に揺れる。更に機銃掃射の音もそれに混じる。やられることはないと頭では分かっていても、恐怖でしかない。

 爆発音や爆弾の落下音、機銃の掃射音はともかく、複葉機のエンジン音を怖いと思ったことはこれが初めてだった。

 今頃ムーの航空隊は、地上の施設を徹底的に爆撃し、地上に動くものがあれば迷わず機銃弾をお見舞いしているであろう。それに対し、バルクルス基地は戦闘機を飛ばすことができず、対空砲も大半が沈黙した状態であり、無抵抗と言っても良い。

 

「今は、耐えるしかないか……」

 

 ガオグゲルがぽつりと呟いた。それに答えるように幹部の1人が声を上げる。

 

「司令、このバルクルス基地のエアカバーは、本基地に配備された航空隊だけが担っている訳ではありません。

無線が通じないので外の状況が不明ですが、この周辺には航空基地マーキュリーがあるのです。そこから発進した航空隊が、このうっとうしい蝿どもを叩き落としてくれるでしょう」

 

 しかし、ガオグゲルは首を横に振った。

 

「……甘いな」

「はい?」

「甘い、と言ったんだ。

プロペラエンジンを持たず、時速800㎞を出せる戦闘機を投入してきた敵だ、常識は通用しない。恐らく、周囲の基地にも奴らの手が及んでいるかもしれない。今はひたすら耐えることしかできんだろう」

 

 実際、ガオグゲルの見立ては合っている。

 バルクルスがムー航空隊に攻撃を受けているちょうどその頃、マーキュリー基地にはロデニウス連合王国軍・第12戦略航空爆撃団の「B-29改 スーパーフォートレス」が、「F-86D改 セイバードッグ」の護衛を受けて水平爆撃を行っていた。マーキュリー基地は「アンタレス」を飛ばして迎撃にあたったが、「アンタレス」は「F-86D改」に圧倒され、迎撃どころか自身の身を守ることすら覚束ない。当然、「B-29改」を攻撃する余裕なんてない。また、地上の高射砲には「F-86D改」のロケット攻撃が浴びせられ、次々と破壊されていく。そのため、「B-29改」の迎撃手段はあっという間に封じられた。それを良いことに、「B-29改」はほぼ何者にも邪魔されることなく、悠々と水平爆撃を行っていた。

 投下されたのは250㎏爆弾だったとはいえ、高度5,000メートルもの高空故に位置エネルギーが十分上乗せされた爆弾である。着弾するや滑走路には大穴が穿たれ、格納庫が一瞬で倒壊し、駐機していた「ベガ」や「アンタレス」が木っ端微塵に吹き飛ぶ。マーキュリー基地はこの空襲に対処するだけで精一杯であり、バルクルスの援護などとてもできなかった。

 

 ガオグゲルは言葉を続けた。

 

「しかし、不幸中の幸い、ここは堅牢な地下要塞だ。ムー国の爆撃程度じゃびくともせん。

歩兵部隊にも既に撤収を指示した。問題は、地上がどうなるかだ」

 

 基地は全滅するであろう、という絶望感と、それでもこの地下司令部は安全だ、という安心感。複雑な感情が入り混じっていた。

 

 

 そしてちょうどその頃、バルクルス基地の上空は数百機もの航空機が飛び交い、グラ・バルカス帝国陸軍が撃ち上げる対空砲の曳光弾が、地上から天空へ逆さに降る雨となって飛び交っていた。ムー製の複葉爆撃機「ソードフィッシュ」が250㎏爆弾を抱えて緩降下でバルクルス基地に突っ込み、爆弾を投下する。それを援護する「マリン」戦闘機が60㎏爆弾を落とし、機銃掃射を加えて対空機銃を黙らせる。その隙間を縫うようにして、ムー国の新型単葉爆撃機「ピラーニ」が、穴あきダイブブレーキを展開し、サイレンのような甲高い音をかき鳴らしながら突っ込んで500㎏爆弾を叩きつける。その上から、ロデニウス海軍第12航空艦隊の「一式陸上攻撃機」が250㎏爆弾を雨のように降らせる。バルクルス基地は、徐々に迎撃能力を失いつつあった。

 

 

 永遠にも思える時間の後、ムーの航空隊は飛び去ったらしく、爆発音やエンジン音も聞こえなくなり、地下司令部に静寂が戻ってきた。

 地下司令部に異常はないものの、ペリスコープは爆撃によって破壊されたらしく、覗き込んでも何も見えなくなってしまっている。

 外の状況が不明な中、ガオグゲルは幹部に尋ねる。

 

「どうやら終わったらしいな……外の状況は不明か。地下司令部に避難できた歩兵部隊の人数は分かるか?」

「は、現在確認中ですが、概ね350人程度と思われます」

「350だと……ずいぶんと減らされたな……。無事な出口は?」

「まだ全貌の確認ができておりませんが、少なくとも第12、第18、第24区画は無事であり、そこからなら非常用トンネルを使って基地外に避難できます。また、非常用のトンネルは損傷認められず、3つのトンネル全てが使用可能です」

「分かった。さらなる敵の攻撃も予想される、警戒体制を維持せよ」

「了解しました」

 

 まだ伝声管は生きており、それを通じて命令が伝達される。

 指示を出したガオグゲルは、小さく息を吐いた。

 

(まさか、こんなことになるとは……)

 

 その思いだけが、彼の脳裏に渦巻いている。

 事の発端は、何の前触れもなく突然始まった、複数の爆発だった。あの爆発は、ガオグゲルの印象に強く残っている。あれほど訳の分からない光景を見るのは初めてだった。

 あれが敵の攻撃であるらしいことは、はっきりと分かっている。だが、いったい如何なる手段を使って攻撃したのか。そこが全くの謎であった。

 航空機でもなく、砲撃でもない。しかしこちらを叩くことができる手段を……それも、こちらが捕捉できない手段を、敵が持っている。そのことにガオグゲルは戦慄を隠せなかった。

 

(何だったのだ……あれは?)

 

 この戦いが終わったら、あの謎の攻撃について調査を行う必要があると、ガオグゲルは考えていた。

 

「おのれ……あんな旧式機ごときに、ここまで良いようにやられるとは……!」

 

 考え事に耽るガオグゲルの隣では、陸軍空将パースが血が滲むほど唇を強く噛み締めている。

 複葉機などという旧式機に対し、何もできぬままほとんど一方的に攻撃された。こんなことは初めてであり、パースのプライドはズタズタにされていた。

 

 ガオグゲルとパース、そして多くの帝国軍兵士たちが亀のように地下壕に籠っている頃、地上は地獄と化していた。

 バルクルス基地の地上建造物はほぼ全ての建物が炎上しており、中には完全に崩壊してスクラップの山にされた建物もある。対空陣地は全滅状態であり、地面には至る所に爆弾の着弾跡や機銃掃射の跡が残っていた。

 一度空中に上がれば強力な力を振るう戦闘機や爆撃機も、地上にいたところを襲撃されてはひとたまりもなく、燃え盛る炎の塊と化している。滑走路は穴だらけにされており、素人が見ても使用不能なことが一目で分かるほどだった。

 もうもうと立ち込める熱気が、熱風となって吹き渡る。

 地面には、あちこちに元は人間だったであろうものが散らばっていた。黒く焼け焦げ、ほとんど炭となったもの。かろうじて人としての原形を留めているもの。腕1本だけにされたもの……付近に動くものは見当たらない。

 「地獄」という言葉がぴったりの惨状であった。

 

 破壊し尽くされ、全滅にも等しい被害を受けたバルクルス基地。既に基地機能などなく、瓦礫の堆積場というに等しい惨状を呈していた。

 だが、これほどの被害を受けても、まだ地上には少数ながら生き残っている兵がいた。

 

「な、何とか生き残れたか……」

 

 ごうごうと渦巻く炎と黒煙の陰で、対空陣地の残骸にかじりつくようにして隠れていた兵の1人が、掠れかけた声でそう呟いた。それを皮切りに、周囲から数人の歩兵が姿を現す。奇跡的に空襲を生き延びた、数少ない兵士たちだった。

 

「空襲は終わったようだが、どうする?」

「とりあえず、今の状況を地下司令部に報告しよう」

 

 当面の行動方針が決まった、その瞬間だった。

 

ギュオオオオォォーン!!

 

 背筋が凍るような咆哮が轟いた。

 

「なっ!?」

 

 兵士の1人が恐怖に染まった声で叫ぶ。

 上空に、翼を羽ばたかせて飛ぶ竜がいた。明らかに敵のワイバーンである。そのワイバーンが翼を広げ、兵士たちに向けて一直線に突っ込んできた。大きく開いた口の中に炎を滾らせながら。

 

「一難去ってまた一難か!」

「応戦しろ!」

「どうやって戦えば良いんだ!」

「小銃あるだろ! それで対空射撃だ!」

「当たるのかよ!?」

「ないよりマシだ!」

 

 口々に叫びつつ、グラ・バルカス帝国の歩兵たちは必死の思いで小銃を空に向ける。「SRC38」と呼ばれる、カルスライン社製のボルトアクション式ライフル銃だ。

 

ダン! ダン! ダン!

 

 比較的短い間隔で銃声が響き、SRC38が火を噴く。しかし、対空機銃でさえなかなか当たらないというのに、アイアンサイトによる目視照準のみかつ単発撃ち、しかも曳光弾もないボルトアクション式銃では、掠る様子も見えない。まぐれ当たりを期待するだけである。

 無慈悲にも、ワイバーンの口から滾る炎が火炎弾として発射された。次の瞬間、銃を撃っていた兵士たちは絶叫と共に火だるまになり、数十秒後にはその命を戦場の塵と散らしていた。

 兵士たちは目撃することはなかったが、バルクルス基地にはさらに多数の火炎弾が降り注いでいた。

 

「何てことだ……!」

 

 このタイミングで、地上の様子を窺うべく地下司令部に避難していた幹部の1人が、地下へ通じるドアをそっと開け、外の様子を確認していた。あまりの惨状に、彼は思わず声を上げる。

 見上げると、数百もの竜が空を舞っていた。まだ敵の攻撃は終わっていないようである。

 

「くそっ、航空機が去ったと思ったら今度は竜か! 第二文明圏とかいう野蛮人どもがこぞって攻撃してきているのか!?」

 

 幹部は思わず罵ったが、実は彼の発言は正鵠を射ていた。まあ、この時点で彼にそれを知る術はなかったのだが。

 

「あ……あれは!?」

 

 そこへ別の物を見出し、幹部は目を見張った。

 基地上空、それもかなり低空を、双発のレシプロ機が多数飛んでこちらに向かってくる。

 

「我が軍の『ベガ』にそっくりじゃないか! まさか爆撃機か!?

あっ、主翼に赤い円がある! ということは、あれはロデニウス連合王国の機体か!」

 

 なおも幹部が様子を見ていると、レシプロ双発機から次々と白いものが投下された。飛行機の軌道上に連続して開く白い花……硝煙のせいで黒が目立つ景色の中、それは美しく見えた。だが、その花の下にぶら下がっているものに気付いた時、幹部は真っ青になった。

 

「ひ……人!? まさか、空挺か!

地上部隊を送り込んできやがった!!」

 

 想定外もいいところであった。真っ青になりながら、幹部は地下司令部へと走って戻る。

 グラ・バルカス帝国にも空挺部隊はある。しかし、高空からの降下は命がけそのものであり、また空中での姿勢制御など一般の兵士が必要としない種類の訓練を多く必要とする。そして、空挺部隊の面々は重火器類をあまり持ち込めないせいもあって、陸戦の練度は低く、経験も浅かった。

 空挺を行う場合、歩兵の装備はなるべく軽いほうが良い。そのためグラ・バルカス帝国軍の空挺部隊は、1個小隊につきボルトアクション式小銃1丁か短機関銃1丁程度の持ち込みが限界であり、主力兵器は拳銃または手榴弾というお粗末さであった。アサルトライフルなんて最新兵器は、配備されていないのである。

 敵はそう手強くはない……はず……。

 

(ともかく、早く報告しなければ……!)

 

 急ぎ報告に向かう幹部。そうするうちにも、航空機から降下した空挺部隊……ロデニウス連合王国軍・第1空挺団総勢500名以上が、空からバルクルス基地に迫りつつあった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 同時刻、ムー国西部 アルーの町郊外。

 アルー防衛を担うムー統括陸軍第24任務部隊の司令部は、町の西側に築かれていた。その司令部にて、動きがあった。

 

「航空部隊より報告、『バルクルス基地の地上建造物は壊滅。部隊前進を命じられたし』!」

 

 無線機にかじりついていた通信兵からの報告に、アルー守備隊長ベルタ准将が頷いた。

 

「作戦通りか。よし、ロデニウス陸軍の部隊に前進命令を伝達せよ!

いや……私が見送りに行って直接伝えよう。彼らには世話になったからな」

 

 そう言って、ベルタは席を立った。

 

 その10分後には、ベルタ以下アルー守備隊の面々に見送られて、この世界ではほとんど最新鋭にあたる戦車を装備した機甲部隊が出撃していた。ロデニウス連合王国陸軍第1軍団隷下の一部隊で、軍団の先鋒に立つ部隊である。

 第1軍団の機甲部隊は、第13軍団からの教導によって「パンツァー・カイル」を戦術に取り入れている。このため、軍団の先鋒を務める部隊はパンターG型改やティーガーIを装備していることが多い。この部隊も例に漏れず、偵察用として配備されている4輌のIV号戦車H型を除けば、構成戦車は全てパンターG型改であった。今回は機動力を重視したため、ティーガーIはあえて編成から外している。

 随伴歩兵を乗せたハノマーク装甲車やキューベルワーゲン、トラック、ヴィルベルヴィント対空戦車などに守られて、特徴的な傾斜装甲を有するパンター改が西進する。目標は、バルクルス基地だ。占領後の基地の防衛が、彼らに課せられた任務である。




初っ端からぴょいぴょいしてんじゃねえよ、というツッコミは甘んじてお受けします。
重ね重ねすみません、今回は最初っからネタに走りました。いきなりの電波曲混信。電波系だけに。
そしてついに初めて実戦投入となったロケット兵器、見事に活躍。今後もできる限り積極的に使っていきたいですね。


UA79万突破とは……拙作もこんなところまで来たか、と感無量です。
皆様、ご愛読本当にありがとうございます!!

評価9をくださいましたstss様
評価10をくださいましたsato905様、犬筆しるし様
ありがとうございます!!
また、新たにお気に入り登録してくださいました皆様、ありがとうございます!


次回予告。

空爆とロケット攻撃によって、地上施設のほぼ全てが壊滅したバルクルス基地。頃合い良しと見た第二文明圏連合軍は、「剣閃作戦」の最終段階、空挺作戦の開始を決断する。バルクルス基地攻防戦も、最終段階に突入する……
次回「決着! 『剣閃作戦』!」
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