鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。   作:Red October

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以前に読者の方から、拙作に登場する非実在兵器及び改良された史実登場兵器についての一覧を作成して欲しい、というリクエストがございまして、作成に大分時間がかかってしまいましたが、ちょうどバルクルス攻防戦が終わってキリが良いため、今回こちらで投稿いたします。
リクエストいただいた方、ありがとうございました!


異世界鎮守府 各種新兵器&魔改造兵器

(ロデニウス連合王国軍使用兵器)

 パーパルディア皇国に代わって列強国と認定され、大東洋共栄圏の主宰国としてめきめきと実力を付けつつあるロデニウス連合王国。同国が使用する兵器の大半(というかほぼ全部)が、タウイタウイ泊地を通じてもたらされた地球の兵器である……が、中には魔法技術を取り入れる、採用前に再設計する等して改良された兵器もある。ロデニウス軍が運用する地球製兵器のうち、採用にあたって改修されたものや魔改造されたものを、以下に示す。

 

[M40GRG ガラント銃]

 ロデニウス連合王国陸軍が採用している、第2世代主力小銃。セミオートマチックライフル、つまり半自動小銃である。

 元ネタは第二次世界大戦時のアメリカ軍の主力小銃「M1 ガーランド銃」。ただし変更点として、弾薬は九九式普通実包(九九式小銃や九九式軽機関銃の弾)を使用している。この点は旧日本軍がM1ガーランド銃をコピー生産した「四式自動小銃」と同じ。また、M1ガーランド銃は8発装填であるが、このM40GRG ガラント銃は10発装填となっている(九九式小銃は5発クリップ装填なので、それのきっかり2倍としたため)。

 

[StG44-R]

 ロデニウス連合王国軍空挺隊が、他部隊に先駆けて導入した突撃銃。有効射程400メートルという、ガラント銃に並ぶ射程距離に加えて、MP40と同レベルの速射能力を持ち、さらには銃身も短く狭い建物内や市街地でも取り回しが良いため、使いやすい。ただ、少し重いのが欠点である。弾丸は、九九式小銃やガラント銃に使われる「九九式普通実包」を、少し小型化したもの。

 元ネタは、第二次世界大戦時にドイツで開発された突撃銃「StG44」。世界初のアサルトライフル(なおアサルトライフルとは、89式小銃やAK-47、M4カービンなど現代各国の軍隊の主力小銃となっている銃のこと)とされる銃である。

 

[九七式中戦車GS]

 九七式中戦車チハ新砲塔型を改造し、砲塔側面に60㎜六連装ロケットランチャーを外付けした車輌。戦車第11連隊(士魂部隊)の新砲塔チハ20輌は、全てこれに改造されている。

 モデルは「バト◯フィー◯ドV」に登場した日本軍のif兵器。

 

[IV号突撃戦車 ブルムベア改]

 ロデニウス陸軍機甲部隊が火力支援車輌として採用している自走榴弾砲。設計簡略化と生産性向上のため、IV号戦車の車体を流用できるようにした結果、本車輌が設計された。

 元ネタは第二次世界大戦におけるドイツ陸軍の自走砲「IV号突撃戦車 ブルムベア」。ただし、こちらは車載用に改造された九六式150㎜榴弾砲を装備しているため、ブルムベアの主砲より砲身が長い。どちらかというと、火力はソ連陸軍の自走砲「SU-152」に近い性能である。

 

[V号中戦車パンター G型改]

 ロデニウス陸軍の主力戦車の一翼。第三世代主力戦車(第一世代はIII号戦車M型及びN型、第二世代はIV号戦車H型)として開発された。

 見た目は第二次世界大戦時のドイツ陸軍のパンター戦車G型そのもの。ただし中身が少し違う。具体的には、装甲板がRHA+チタン合金の複合装甲になっている。このおかげで史実パンターG型より10トン軽くなり(史実パンターG型は45トン、パンターG型改は35トン)、走行性能が向上した。

 なお、中央暦1643年に入ってから設計のマイナーチェンジが行われ、高価な金属であるチタンの使用量を減らして、代わりに合成ゴムを挟んだ三重複合装甲のパンター改が生産され始めている。

 

[三式弾改二]

 名前だけは「三式弾」になっているが、正体はなんと対空クラスター砲弾。「三式弾」は炸裂すると焼夷片をばら撒くが、こいつは炸裂すると数百発に達する子弾を撒き散らす。しかも、その子弾1つ1つに近接信管が搭載されているという凶悪な代物であり、敵編隊の真ん中に撃ち込むと敵機を一網打尽にできる。旧日本軍の対地クラスター爆弾である「三号爆弾」の原理を応用して作られた(第二次世界大戦の太平洋戦線では、三号爆弾を対空目的に使用して、アメリカ軍の重爆撃機を撃墜した猛者がいる)。

 強力な兵器だが、無視できない欠点として製造コストが非常に高い。銅とか大量に使い捨てにするような兵器だから、仕方ないのだが。

 

[四三式弾]

 新開発の対空砲弾。なんとサーモバリック砲弾であり、炸裂すると一定の範囲に凄まじい熱波と爆風を撒き散らして、範囲内にある物体(主として航空機を想定)を破壊する。

 実は「三式弾改二」が強力ながら製造コストが洒落にならないため、その「三式弾改二」の代替兵器として開発されたという裏話がある。

 モデルは「紺◯の艦隊」に登場した「三八弾」。まだ実戦で撃たれたことはなく、実戦投入の刻が楽しみである。

 

[ウインク型砲艦]

 旧クワ・トイネ公国海軍や旧クイラ王国海軍の近代化の第一歩として、タウイタウイ泊地が設計・建造・供与した小型の砲艦。択捉型海防艦をモデルにして作られている。小型と言いながら、両国の主力であるバリスタ装備の帆船より大きく、かつ高速であるため、初めてこの艦を見た両国の海軍軍人はビビった。

 武装として75㎜単装高角砲4門、25㎜対空機銃連装4基単装4基、その他九三式水中聴音機、爆雷投下軌条、九一式高射装置、13号対空電探を装備している。その後主砲を88㎜単装高角砲に強化する等のマイナーチェンジが行われた他、例えばトーパ王国に売却された本艦には艦首に砕氷機能が取り付けられるなど、カスタマイズされたタイプも登場している。

 ロデニウス海軍では、この艦は訓練用の練習艦やフリゲート、警備艇としての運用を想定しているのだが、他の第三文明圏内外各国にとっては旧パーパルディア皇国の戦列艦すらぶっちぎる高性能艦であるため、船団護衛どころか「最高戦力」として主力艦隊に配備され、バリバリの最前線運用をされている。

 ネーミングの元ネタは、現代日本で流通している黒いブドウの銘柄。「地球に帰れますように」との堺の願いを込めて、この名が付けられた。以降、ロデニウス海軍の各艦級には日本の農作物の銘柄が冠されるようになっている。

 

[ルネッサンス型輸送艦]

 第二次大戦時のアメリカ軍の戦車輸送艦を、設計をほぼ丸パクリして(しかし相当の重量物の輸送・搭載に耐えられるように)作られている。現状ロデニウス連合王国における唯一の、組み立てられた状態のティーガーI重戦車を輸送できる艦。

 名前の元ネタは、現代日本で流通しているトマトの銘柄。

 

[サトウニシキ型補給艦]

 設計ベースとなったのは改風早型給油艦「速吸」だが、エンジンの強化によって(一時的にという条件付きで)最高速力26ノットを出せるようになった艦隊随伴型補給艦。

 名前の元ネタは、現代日本で流通しているサクランボの銘柄。

 

[アマオウ型航竜母艦]

 新生パールネウス共和国から提供された竜母の基本的構造を元に、ロデニウス海軍が新規に設計・建造した竜母。旧日本海軍の祥鳳型航空母艦をベースに設計している。

 主要諸元は、全長205メートル、最大幅20メートル、排水量11,200トン。飛行甲板は全長180メートル、幅23メートル、エレベーター2基。最高速力28ノット。武装は40口径12.7㎝連装高角砲4基、エリコン20㎜単装対空機銃20丁。搭載数はワイバーン52頭、ワイバーンロード40頭、ワイバーンオーバーロード24頭、風竜15頭(但し、この数字は格納庫の容積に十分な余裕を見てのものである)。特筆事項として、飛行甲板に厚さ5㎜の鉄板を張っているため、導力火炎弾では発着艦能力を失うことはない。

 地球における第二次世界大戦当時の航空母艦としては平凡な性能だが、この世界の「竜母」の基準からいうと『キングオブチート』と言い切れるぶっ壊れ性能を有する。何せ各国の竜母は、旧列強パーパルディア皇国やレイフォル国製のものであっても木造帆船型(全長80メートル程度)で、最高速力12ノット、武装は対空バリスタ程度、搭載数はワイバーンロードで20頭なのである。しかも帆船である以上、広げた帆がワイバーンロードの発着艦の邪魔になるため、発着艦時には帆を畳む(つまり停船する)必要がある。おまけに甲板が木製なので、導力火炎弾1発の被弾でワイバーン運用不能となる。それに比べれば、ワイバーンロードどころか風竜の運用すら可能とし、しかもマストや帆がないので全速航行しながらでも発着艦可能、導力火炎弾を撃たれてもワイバーン運用可能、戦列艦すら返り討ちにできる自前の艦砲を(しかも回転砲塔で)持つなど、このアマオウ型竜母はあまりに革新的すぎる。そのため、本級は登場するや一瞬にして各国の竜母を「時代遅れの超旧式艦」に叩き落とし、文句無しに世界最強の竜母となってしまった。現在「アマオウ」「アイベリー」の2隻が就役し、3番艦「アキヒメ」が艤装工事中である。

 ちなみに第二文明圏南部の準列強マギカライヒ共同体も、機械式竜母を持っているのだが、黒船を無理やり竜母にしたような艦であるため、機械式艦と木造帆船型竜母のどっちつかずになってしまっている。当然、本級とは比べ物にならない性能差がある。このため、マギカライヒ海上隊(海軍のこと)はかなり真剣に本級の購入を検討している。

 名前の元ネタは、現代日本で流通しているイチゴの銘柄。

 

[Ju87C改]

 ロデニウス海軍第13艦隊配属の航空母艦「グラーフ・ツェッペリン」を中心に配備されている急降下爆撃機。母艦機としてだけではなく、航空艦隊(基地航空隊)にも配備できるようスタンバイされている。

 妖精"ハンス・ウルリッヒ・ルーデル"の愛機であり、地球でもこの世界でも、これまでに複数の戦果を挙げている。機体はC型だが、妖精さんたちの謎技術によってカスタマイズされた結果モジュール交換を可能としており、本来D型以降の型でないと搭載できない1トン爆弾も搭載できる他、37㎜機関砲を抱えてG型仕様、いわゆる「カノーネンフォーゲル」として使うことも可能。

 元ネタは、第二次世界大戦時にドイツ空軍が使用していた急降下爆撃機「Ju87」。「シュトゥーカ(スツーカ)」という愛称で呼ばれることが多いが、これはドイツ語で「急降下爆撃機」を意味する「シュトゥルツカムプフフルークツォイグ」の略称である。機体型式はC型、つまり艦載機型である。

 

[Me163B改 コメート]

 ロデニウス海軍の部隊のうち、基地航空隊を意味する2桁ナンバーの航空艦隊に配備された新型機。ただし試作段階のため、まだ第12航空艦隊に2機配備したのみである。動力にロケットエンジンを使用しており、とんでもない加速力を有する。

 元ネタは皆様ご存知、ナチスドイツが作った世界初の実用ロケット戦闘機。B-17だの「ショート スターリング」だのの重爆撃機を撃墜する高高度迎撃戦闘機としては非常に強力だったのだが、◯ルトラマン並みに短い飛行可能時間(わずか8分間しか飛べない)のため、戦局にはあまり貢献できなかった。

 この「コメート改」は、燃料タンクの設計を少し見直し、燃料であるヒドラジンの漏洩の危険をできる限り軽減している。

 

[B-29改 スーパーフォートレス]

 四発レシプロエンジン推進の大型爆撃機。ロデニウス軍初の重爆撃機である。パーパルディア皇国との戦争の最中に開発され、戦争後半にはパーパルディア各地に爆弾の雨を降らせた。もちろんであるが、ワイバーン種の上昇限界を超えた高度から爆弾を投下しているため、1機も未帰還になることなく任務を遂行してみせた。

 元ネタは皆様ご存知「B-29」。日本の戦争映画を見ていれば高確率で出てくる、日本全国の各都市を空襲で火の海に変え、おまけに原爆まで投下していった(悪)名高い機体。改バージョンであるこちらでは、改良点としてエンジンナセルの開口部を少し拡大してターボプロップ効果を得られるようにした上、エンジンのマグネシウム合金を減らすことで発火事故のリスクを抑えている。

 ちなみにであるが、B-29でもマグネシウム合金の多用を原因とするエンジン発火事故は多発していた。ではアメリカはどうやってこれに対処していたかというと、「大量の予備エンジンを用意して、出撃の度に交換する」である。つまりエンジンの使い捨て。米帝プレイ許すまじ。

 

[F-86D改 セイバードッグ]

 レシプロ機に代わる新たな戦闘機とするべく、ロデニウス軍が開発・配備したジェット戦闘機。ゆくゆくは古の魔法帝国の戦闘機に対抗できるようにするため、超音速ジェット機を開発する必要がある。その前段階がこいつである。

 元ネタは第二次大戦後にアメリカ軍が開発した「F-86D セイバードッグ」。元ネタとの相違点は、着艦フックを装備して無理やり艦上機化されたことと、機首に4丁の12.7㎜機銃を配備していること。

 

[RV-1]

 ロデニウス陸軍・戦略航空軍が採用している、大型ロケット兵器の1つ。爆弾に主翼と小さな垂直尾翼、それにパルスジェットエンジン1発を取り付けたような形状をしている。遠目だと航空機に見えなくもない。

 最高時速644㎞、射程距離400㎞という性能を持ち、内蔵したジャイロによって自身の位置を把握しながら、発射前に設定された目標地点に向かって飛んでいき着弾(誤差5メートル以内という、「この世界」の基準ではかなりの精密爆撃が可能)する。ブンブンという独特のエンジン音が特徴。ただし脚が遅い上に航空機の飛行高度を飛ぶため、対空レーダーで捕捉され、戦闘機や対空砲の迎撃を受けやすいのが欠点。

 元ネタはナチス・ドイツの大型ロケット兵器「フィーゼラーFi103」、別名「V-1飛行爆弾」。これの誘導性能などを大幅に改良したものが、「RV-1」である。

 

[RV-2]

 RV-1と同じく、ロデニウス陸軍・戦略航空軍が採用している大型ロケット兵器の1つ。見た目はどこからどう見てもロケットもしくは弾道ミサイル。ヒドラジンを燃料としており、マッハ2.5というとんでもないスピードで飛翔する。一度成層圏まで飛び上がった後、目標に向けて落下する軌道を取るため、本格的な弾道ミサイルの先祖であると言える。射程距離は300㎞、ジャイロの改良によって着弾誤差500メートル以内に精密化されている。しかもほぼ垂直に落下するため、フェイズドアレイレーダーでもない限りレーダーでの捕捉はほぼ不可能。さらに、音より速い速度で飛んでくるため、視覚・聴覚どちらを用いても捕捉は困難。したがって、撃たれれば往々にして奇襲となる。

 元ネタは、ナチス・ドイツの大型ロケット兵器にして地球初の弾道ミサイル「A-4ロケット」、別名「V-2」。アルコールを燃料としており、着弾誤差はなんと7〜17㎞と精密誘導兵器としては失格レベルの誤差があった。「RV-2」は、この着弾誤差を大きく減らし、まとまった数を一度に発射することで面制圧を可能としている。

 なお、ムー国の技術士官マイラス・ルクレール中佐は、この兵器の仕組みが「コア魔法」に似ていると気付いている。もちろんだが、堺も「コア魔法」の存在とおおよその仕組みを認知した上でこの兵器を配備している。将来的にはこれをたたき台にして、ICBM(大陸間弾道ミサイル)やその迎撃用ミサイル開発に繋げる予定である。

 

[Mk.98 Harpoon(ハープーン)]

 現在は戦艦「アイオワ」が装備しているのみである。まだ詳細なデータが”釧路”から届いていないため、現時点で性能を明かすことはできないが、下記「Block XX Tomahawk」の性能を見れば、こいつの性能をおよそ予想できるのではないかと思われる。

 

[Block XX Tomahawk(トマホーク)]

 西暦2174年に採用された、アメリカ軍の巡航ミサイル。凄まじい性能を誇っている。まず、弾頭にはカメラが搭載されているのだが、このカメラは光学のみならずサーモ映像にも対応でき、さらには弾頭のセンサーによって金属反応まで探知できる。また、内部には記憶媒体が設置されており、そこには多数のデータが収められているのだが、カメラやセンサーで捉えた物体を素早くデータと照合して、捕捉した目標が何であるのかを瞬時に判定できる。それだけではなく、例え偽装された砲台であろうとも捕捉できてしまうのである。

 そして、記憶媒体と一緒に搭載されたCPUにより、目標との距離、弱点、突入速度・角度などを瞬間的に計算し、さらにはチャフやフレア、EA(電子攻撃)のような妨害手段も極力無力化して、迎撃ミサイルや機関砲などに対しては回避機動を素早く計算して実行するという、正に悪夢のようなトマホークである。しかも、コンクリート製トーチカやマジノ線のような要塞でも破壊できるよう、弾頭は貫通弾として設計されている。

 現在は戦艦「アイオワ」が装備しているのみである。

 

[ディグロッケ]

 ロデニウス海軍第13艦隊指揮下の「独立第1飛行隊」にのみ配備されている特殊機材。見た目は誰がどこからどう見ても「釣鐘」としか評しようがない形状をしている。こんな形状でありながら、なんと飛行できる。

 大きさは、最大幅2.7メートル、高さ4.5メートルと、航空機としてはかなり小さい。武装はほとんどなく、自衛用に機体側面に4方向に据えられたMG151 20㎜機銃(旋回式)のみである。機体下部には、搭載量は多くないものの爆弾格納庫と投下ハッチが存在し、爆撃機として設計されたことが窺える。

 また、対放射線機能+光学ステルス+電磁波ステルス+サーモステルス+魔法ステルス+垂直離着陸(VTOL)機能搭載、という化け物である。つまり、放射線は例え最も強力なγ(ガンマ)線だろうと通さない装甲を持ち、光学ステルスにより透明化することができるので目に見えないし、電磁波ステルスのためレーダーも誤魔化し、サーモ(温度)センサーすら欺き、そして魔信探知機(魔力探知レーダー、略して魔探)にも映らず、挙げ句に滑走路なしでも陸だろうと空母の甲板だろうとあらゆるところに着陸し、また離陸できるという、頭おかしいスペックの持ち主なのである。ちなみに、実用上昇限度はないので、その気になれば宇宙にも行けるし、宇宙空間も航行できる。移動速度は(通常飛行で)最高で時速1,200㎞と、音速にギリギリ届いていない。ボディーは対魔法ステルスを発揮すべく、オリハルコン製となっている。そしてなんとワープ機能付きである。

 元ネタは、第二次世界大戦時にナチス・ドイツが開発していたとされる航空機。航空機とはいうが、ぶっちゃけUFOである。実は核兵器を搭載するための機体だったと言われる。操縦系統や技術体系が通常の航空機とはあまりにも異なること、極秘裏の偵察任務など特殊な任務での使用に適することから、第13艦隊指揮下の部隊で管理している。なお「独立第1飛行隊」の存在は明かされておらず、基本的に堺と一部の艦娘くらいしか知らない。

 

[ハウニブ]

 ロデニウス海軍第13艦隊指揮下の「独立第1飛行隊」にのみ配備されている特殊機材。航空機は航空機だが、なんと円盤型である。

 最大の特徴として、「EMGエンジン(電磁重力エンジン)」と呼ばれる特殊な機関を搭載している。これは簡単に言うと、「強力な電磁力の力を利用して、惑星の重力とは全く異なる新しい重力源を一瞬だけ発生させ、その新しい重力源に向かって『落下する』ことで、惑星の地表から見ると『横方向や上方向に猛烈な速さで滑るように飛ぶ』ことができる」という代物である。このため、本機は初期型でも最高時速1,700㎞、それ以降の型の機体になると通常飛行でも時速4,000㎞以上という、訳の分からない高速を叩き出せる。

 主武装は、このEMGエンジンを利用した「KSK砲(KSKはKraftStrahlKanoneの頭文字)」で、エンジンから送られた電気を強力なエネルギー弾に変換して発射するというものである。このため、本機は(自衛用の対空機銃や爆弾を除けば)実体弾を持たない。KSK砲の貫徹力は高く、「ハウニブII」が搭載する56口径80㎜KSK砲の場合、最大200㎜の鉄板を貫徹できる。戦車が搭載する程度の砲で重巡洋艦を殴り倒せる、と言えば、その貫徹力の強大さが窺い知れるだろう。

 機体は、時速数千㎞という意味不明の高速を原因とする大気との摩擦に耐えることや、変態機動にも耐えることを目的に、「ヴィクタレン合金」と呼ばれる特殊金属を用いた二重以上の構造を持たされている。この金属内には魔導金属であるオリハルコンが含有されているため、本機も対光学ステルスや対音響ステルス、対電磁ステルス、対サーモ(温度)ステルスの他に魔導レーダーにも映らなくなる対魔法ステルス能力を付与されている。

 大きさや性能の異なる4つのタイプが存在している。第13艦隊最高のエンジニア”釧路”の頭脳をもってしても解析しきれない部分が多い謎機体であり、今なお解析作業が続いている。

 元ネタはディグロッケと同じく、第二次世界大戦時にナチス・ドイツが開発していたとされる航空機。航空機とはいうが、ぶっちゃけUFOである。こちらもディグロッケと同じ理由で第13艦隊指揮下の「独立第1飛行隊」で管理している。

 

[艦娘]

 作者としてはこれが最大のチート兵器だと思う。

 見た目はヒト族の人間、中身は軍艦という訳の分からない存在。艤装を何も展開しておらず、パッと見はフツーのヒト族の女性に見える「人形形態」、深海棲艦と戦う時の格好でおなじみの「艦娘形態」、実艦の姿を展開して航行する「艦艇形態」の3つの姿を持つ。「艦艇形態」展開時は艦娘は艦長という扱いになり、妖精たちは乗組員という立場になる。形態変化はいつでも任意で行えるが、代償として無視できない疲労が発生する。

 見た目は人間でも、「筋力=機関出力」という扱いなので、例え子供にしか見えない駆逐艦の子たちでも片手でリンゴを握り潰すくらいは余裕でできる。ハイエースしてダンケダンケなんて考えようものなら、車ごと粉砕されかねないので注意。

 

[“釧路”]

 ロデニウス海軍第13艦隊最大の後方支援艦。「艦艇形態」で艤装を展開すると、全長1,460メートル、全幅470メートルという途方もない巨艦になる。艦種は「移動工廠艦」であり、文字通り工廠が移動しているかのような機能を発揮できる。損傷した艤装の修理はもちろん、新装備の開発・量産、既存兵器の改修なども行える。

 艦娘ではあるが、実は地球外生命体であり、彼女が建造された地はなんと「エッジワース・カイパーベルト」(太陽系の最外縁にある小惑星帯で、地球から見ると冥王星より遠い距離に位置する)である。タウイタウイ泊地を転移させた神々の方が、「援軍」として送り込んだのが彼女である。

 

また、以下の軍艦については改造兵器ではないのだが、一応記載しておく。

[カイジ型駆逐艦]

 正体はロデニウス製の夕雲型駆逐艦。名前の元ネタは、現代日本で流通している紫色のブドウの銘柄。

 

[オウギョク型防空駆逐艦]

 正体はロデニウス製の秋月型駆逐艦。名前の元ネタは、現代日本で流通している黄緑色のブドウの銘柄。

 

[ニジッセイキ型軽巡洋艦]

 正体はロデニウス製の5,500トン型軽巡洋艦。川内型が選ばれている。名前の元ネタは、現代日本で流通しているナシ(和梨)の銘柄。

 

[アマトウ型軽巡洋艦]

 正体はロデニウス製のクリーブランド級軽巡洋艦。名前の元ネタは、現代日本で流通しているモモの銘柄。

 

[アイカ型重巡洋艦]

 正体はロデニウス製の高雄型重巡洋艦。名前の元ネタは、現代日本で流通している赤いリンゴの銘柄。

 

[ラ・フランス型輸送艦]

 正体はロデニウス製の二等輸送艦。名前の元ネタは、現代日本で流通している洋ナシの銘柄。

 

(開発中の兵器)

[45式主力戦車 ケーニヒスティーガー改]

 名前と見た目は第二次世界大戦時のドイツの重戦車「ティーガーII」だが、中身は魔改造されており、ほぼ別物と化している。具体的には、装甲はRHA+チタン合金+合成ゴムによる三重複合装甲、おまけに爆発反応装甲の搭載も予定されている。また、砲塔の大きさに比して車体が大型化しているが、これは後に主砲を交換することが想定されているためである。今は71口径88㎜ライフル砲の搭載を予定しているが、将来的には68口径105㎜砲に交換、砲弾もAPDS弾を開発することが想定されている。そのため、105㎜砲を載せられるよう車体が大型化した。なお、105㎜砲を滑腔砲とするかは現在設計中。また、105㎜砲の砲弾は重いので、主砲交換に伴い(半)自動装填装置の搭載も予定されている。

 エンジンはガソリンからディーゼルに設計変更、さらに複合装甲の採用によって重量が軽くなった(70トンから49トンまで軽量化している)ため、火力、防御力、機動力いずれもピカイチになると想定されている。

 

[A-10B改 サンダーボルトII]

 近接航空支援専用機として開発中の新型対地攻撃機。

 元ネタは言わずと知れた、みんな大好きアメリカ軍の近接航空支援機「A-10 サンダーボルトII」である。機首の「GAU-8 アヴェンジャー」30㎜七銃身回転機関砲と、主翼下に提げた大小10発の爆弾やロケット弾、ミサイル等を以て、あらゆる陸上戦力やトーチカをゴミクズにしてやる「掃除屋」である。この機体の設計にルーデル閣下がアドバイザーとして関わっていたり、設計チームの必読書がルーデル著「急降下爆撃」だったりしたのは有名な話。

 ロデニウス軍でも、転生した妖精ルーデルの熱い希望により開発スタート。今回は妖精ガーデルマンも一緒にいるため、史実のアメリカ軍では試作のみで終わった幻の夜間全天候型複座A-10、型式「A-10B」を元に設計が行われている。

 

 

(ムー統括軍使用兵器)

 第二文明圏の列強ムー国は、これまで外交においては一貫して中立を貫いてきた。しかし、グラ・バルカス帝国の脅威が日増しに高まる中、ついに外交政策を大きく転換してロデニウス連合王国と軍事同盟を締結。ついでに大東洋共栄圏にも参加した。

 その結果、ムー国には多数のロデニウス製兵器が流れ込む、又はそのライセンス生産が開始されることとなった。ロデニウス側としても、今後ムー大陸にてグラ・バルカス帝国と戦うにあたり、ムー国を補給拠点として利用したいという思惑があり、その結果ライセンス生産は比較的あっさり認められている。それを生かし、ムー国は自国の軍隊の強化を図っていた。

 ムー国がロデニウスから導入した兵器は、いずれも「ロ式(ロデニウス式)」の接頭語が付く。以下は導入兵器類を示したものである。

 

[ロ式41型7.92㎜汎用機関銃]

 ムー統括陸軍の新型機関銃。単独での運用はもちろん、戦車や装甲車の車載機銃としても使える、汎用性の高い機関銃である。このため、従来ムー陸軍が採用していた「18型6.5㎜機関銃」を代替する形で急速に配備が進んでいる。

 正体は、「MG34機関銃」のムー国生産版。ロデニウス連合王国から許可を得てライセンス生産している。

 

[ロ式41型ヒッカーズ88㎜野戦高射砲]

 ムー統括陸軍が配備した野戦高射砲。ロデニウス連合王国から輸入したものをライセンス生産している。以前ムー統括軍が配備していた国産高射砲よりも遥かに高性能であり、対戦車戦闘もできるため、ムー陸軍は本砲をいたく気に入っている。

 名前でお察しの通り、こいつの正体は88㎜Flak36 野戦高射砲。砲身長56口径。地球における第二次世界大戦では、幾多の連合軍航空機を撃墜し戦車を撃破していった、ドイツが誇る野戦砲。グラ・バルカス帝国のハウンド中戦車が相手でも、1㎞以上先から問答無用で前面装甲をぶち抜ける。なお「ヒッカーズ」は本砲の製造会社名。

 

[ロ式41型40㎜高射機関砲]

 砲身長65口径の機関砲。ムー陸軍での配備が多い他、ラ・トラン級防空巡洋艦などにも装備されている。従来からあるムー海軍の艦艇に装備する計画もあるが、この機関砲は意外に重いので検討が難航している。

 正体は「ボフォース40㎜機関砲」のムー国生産版。本砲は今でもなお使用されている、スウェーデンが生んだ傑作対空砲である。

 

[ロ式41型20㎜対空機銃]

 マイラス他の有識者が「航空主兵論」を唱え始め、さらに中央暦1641年初頭の合同軍事演習でムー海軍機動部隊がロデニウス海軍のたった4隻の空母に殲滅された後、ムー国は航空機の脅威を正式に認識した。その航空機に対抗すべく配備が始まったのが、この20㎜機銃である。ムー国産の対空機銃である「8㎜単装対空機銃」を置換する形で、従来のムー海軍艦艇にも急速に配備されている。

 正体は「エリコンFF 20㎜機銃」のムー国生産版。

 

[ラ・テックス戦車]

 ムー国陸軍が自力で開発・配備していた装甲戦闘車輌。その性能特徴を一言でまとめるなら、「マークI戦車(第一次世界大戦時のイギリスの戦車)の主砲を据え付けたサン・シャモン突撃戦車(第一次世界大戦時のフランスの戦車)」というところである。首都防衛隊の切り札として配備されていた。

 しかし、後述するラ・スタグ自走砲などの導入により、直ちに全車の退役が決定。

 

[ロ式42型ガエタン75㎜自走砲 ラ・スタグ]

 ラ・テックス戦車に代わって配備が始まった装甲戦闘車輌。48口径75㎜砲を装備し、前面装甲厚80㎜となかなかの防御力を持ち、ラ・テックス戦車が裸足で逃げ出す走行性能をも持ち合わせた、ムー国にとっては画期的な車輌である。

 正体は、ロデニウス陸軍の「III号突撃砲F型」をムー国内でライセンス生産したもの。強力な火力(ムー統括陸軍基準)を持つが、車高が低く、長身の人が多いムー軍人にとっては窮屈なのが難点。主にガエタン工業にて生産されている。

 

[ロ式42型30トン級戦車 ラ・シマン]

 ムー統括陸軍初の戦車。正体は「偉大なる凡作」ことアメリカ陸軍の「M4シャーマン中戦車」の無印タイプである。ただし、主砲は48口径75㎜砲になっており、火力を強化されている。

 ガエタン工業、イレール兵器工業、ヒッカーズ重工など各社で生産が行われているが、まだ配備が始まったばかりであり、数は少ない。

 

[ロ式41型12.7㎝両用砲]

 ムー統括海軍が導入した新たな艦砲。砲身長38口径、次弾装填にかかる時間はおよそ5秒(乗員の練度による)。

 ムー海軍の艦載砲としては初めて、対水上戦闘と対空戦闘の双方に同時に対応できる砲である。ムー海軍内で航空機を脅威とみなす論調が強まっていることもあり、本砲の導入は両手を挙げて歓迎された。

 元ネタは、第二次世界大戦時にアメリカ軍が使用していた「38口径5inch両用砲Mk.28」。ラ・トラン級防空巡洋艦やムー海軍の各種駆逐艦に主砲として搭載されている他、戦艦「ラ・カサミ改」「ラ・エルド改」にも搭載されている。その他、「ラ・コンゴ級戦艦」などのムー海軍新鋭艦の多くに、本砲が搭載されている。

 

[ラ・カサミ級戦艦]

 ムー統括海軍の前弩級戦艦。リグリエラ・ビサンズ社が建造している。ムー海軍の戦艦では初めて回転砲塔を装備した。見た目と性能は、旧日本海軍の「敷島型戦艦」に似ている(8㎜単装対空機銃を多数装備しているため、対空能力は敷島型より少し高い)。

 同型艦「ラ・カサミ」「ラ・サヒア」「ラ・マキシ」「ラ・エルド」「ラ・ツセ」。

「ラ・カサミ」

 ネームシップ。中央暦1642年4月下旬、フォーク海峡海戦でグラ・バルカス帝国航空機の攻撃により大破座礁。同年6月に入ってロデニウス軍の大型工作艦「釧路」により離礁、タウイタウイ泊地に運ばれ、修理兼魔改造を受ける。その結果、なんとレナウン級巡洋戦艦をモデルとする超弩級戦艦にクラスチェンジしてしまった。

 中央暦1643年、ロデニウス海軍第13艦隊のムー大陸遠征に合わせてムー国に引き渡される。ところが引き渡されて早々、2月上旬のオタハイト沖海戦でまたもや大破。バルクルス攻略作戦発動中の現在は、オタハイトにてドック入りし、修理中。

「ラ・エルド」

 姉妹艦の1隻。中央暦1642年2月上旬、バルチスタ沖大海戦にて大破。マイカルに帰投後、修理兼魔改造として5インチ両用砲満載の防空戦艦になることが決定し、バルクルス攻防戦真っ最中の現在は”釧路”の手で改造工事中。5月上旬には工事が終わるものと見積もられている。

 

[ラ・コンゴ級戦艦]

 ムー初の国産超弩級戦艦。設計図データと、ボイラー・タービン系のみロデニウス連合王国から輸入し、それ以外は自力で国産化して作っている。正体はムー国産の「金剛型戦艦」である。

 火力、砲撃命中精度、防御力、個艦防空能力、索敵能力、速度など、あらゆる性能でラ・カサミ級を圧倒する高性能艦であったため、ムー側はロデニウス連合王国に敬意を表し、「金剛」の名をいただいて「ラ・コンゴ」と艦名を設定した。ちなみに2〜4番艦も順次建造されており、それぞれ「ラ・エイヒ(比叡)」、「ラ・ナルハ(榛名)」、「ラ・リシマ(霧島)」と艦名がリスペクトされている。

 

[ラ・ラツカ級航空母艦]

 ロデニウス連合王国から自国に輸入された「F4Fワイルドキャット」「SBDドーントレス」「TBDデヴァステーター」の性能に、ムー統轄軍は大いに満足した。ただ、これらの機体は重く、ラ・コスタ級やラ・ヴァニア級では運用できないことが発覚した。そこでムー海軍は、「全金属製単葉機を運用できる、大型かつ高速の新型航空母艦」を欲し、ロデニウス連合王国からデータ提供を受けて本級を建造した。

 設計元になったのは雲龍型航空母艦。ただし、「葛城」がムー海軍に実物見本として示されたことから、その名を頂いてネームシップは「ラ・ラツカ」となっている。対空高角砲が5インチ両用砲に交換されている他、レーダーがSK対空レーダーに、機銃がボフォース40㎜機関砲とエリコン20㎜機銃に交換されるなど、一部の再設計が行われている。

 中央暦1643年5月現在、竣工しているのはネームシップの「ラ・ラツカ」1隻のみである。そのため、ムー海軍は2番艦「ラ・マギア」以降の竣工を急いでいる。「ラ・ラツカ」は現在マイカルにて、ロデニウス海軍第13艦隊指導の下猛訓練中。期待の新鋭空母だけに、ムー海軍は一刻も早い戦力化を望んでいる。

 

[ラ・トラン級防空巡洋艦]

 ロデニウス連合王国から提供された設計図データを元に、ムー海軍が建造した巡洋艦。当時ムー海軍では駆逐艦が建造されつつあったため、駆逐艦を率いることができる水雷戦隊旗艦としての巡洋艦が求められた(従来のムー海軍の巡洋艦では、30ノット以上の高速を出せる駆逐艦に追随できず、魚雷を搭載していないことも祟って水雷戦隊旗艦たり得ることができなかった)。また、ムー海軍内の一部、特に首都防衛艦隊や空母機動部隊では航空機を脅威とみなす論調が強まっており、敵航空機の脅威から艦隊の主力を守ることができる艦が求められた。この2つの要素を組み合わせた結果、建造されたのが本級である。

 元ネタはアメリカ海軍の「アトランタ級防空巡洋艦」。艦名は同級の捩りとなっている。艦の復元性を確保するため、アトランタ級の中でも中期型と呼ばれるタイプの設計データが選ばれ、建造されている。

 現在は1番艦「ラ・トラン」、2番艦「ラ・ユーノ」、3番艦「ラ・サディン」が就役しており、4番艦以降も建造と戦力化が急がれている。

 

[ラ・ハンマン級駆逐艦]

 ムー海軍が初めて建造した駆逐艦。水上砲戦、魚雷戦、対空戦闘、対潜戦闘いずれもオールラウンドに戦える、バランスの良い戦闘力を持つ駆逐艦である。但し艦橋構造物がでかいせいで、トップヘビーであり、復元性が悪い。

 元ネタはアメリカ海軍の「マハン級駆逐艦」。クラスチェンジしたラ・シキベ級と共に、ムー海軍の初代駆逐艦とされた。「ラ・フレッツ級駆逐艦」の建造開始に伴い、16隻で建造が打ち止めになっている。

 

[ラ・フレッツ級駆逐艦]

 ラ・ハンマン級駆逐艦の欠点である復元性を改善しながら、ラ・ハンマン級と同じ武装を転用でき、尚且つ生産性にも優れた駆逐艦として、ムー海軍が導入した駆逐艦。

 元ネタはアメリカ海軍の「フレッチャー級駆逐艦」。ムー海軍の次代を担う駆逐艦と目され、目下多数建造計画中。

 

[ラ・シキベ級護衛駆逐艦]

 本来は「ラ・シキベ級軽巡洋艦」と呼称されていた艦である。ところが、性能が「八重山型通報艦」程度しかなく、そのためラ・ハンマン級、ラ・フレッツ級といった駆逐艦の登場であっという間に淘汰されてしまった。しかし、曲がりなりにも空母機動部隊に随伴できる速度と外洋航行能力があるため、主砲を5インチ単装両用砲に交換し、爆雷やソナーといった対潜兵器を増設した上で、護衛駆逐艦に転用されることが決定した。既にテストベッドとして2隻が改造工事を受けており、今後順次改造される予定。

 

[ラ・ホトス級護衛駆逐艦]

 本来は「ラ・ホトス級巡洋艦」と呼称されていた、ムー海軍の艦艇。性能が「須磨型防護巡洋艦」程度しかなく、そのためラ・シキベ級と共に駆逐艦にクラスチェンジした。旧式艦ゆえ仕方ないが、巡洋艦にしては脚が遅いので、護衛駆逐艦にすることが計画されている。

 

[30型艦上爆撃機「ソードフィッシュ」]

 ムー統括空軍の複葉爆撃機。250㎏爆弾を抱える水平爆撃機として運用されていた。ロデニウス連合王国から航空魚雷が伝わってからは、雷撃機としても運用できないか検討されている。

 実は、イギリスの「ソードフィッシュ」に見た目も性能もそっくり。布張り複葉機であるところも同じである。

 

[ロ式40型艦上戦闘機「アラル」]

 ムー統括空軍が初めて配備した、全金属製単葉機。ロデニウス連合王国からデータ提供された「九六式艦上戦闘機」を、ライセンス生産したものである。

 「マリン」と同じエンジンながら、「マリン」より遥かに高性能であるため、一瞬にしてムー統括空軍の次期主力戦闘機の座を勝ち取った。意外に思うかもしれないが、運動性能ではグラ・バルカス帝国の「アンタレス07式艦上戦闘機」にも負けない。最高速度や火力では負けるけど。

 また、神聖ミリシアル帝国の制空戦闘型天の浮舟「エルぺシオ3」と比較すると、最高速度や火力では劣るが、運動性能と加速力で勝るため、巴戦などの機動戦に持ち込めば互角に戦えないこともない。

 ネーミングの元ネタは、かつて地球において「世界で4番目に大きい塩湖」と言われた「アラル海」。

 

[ロ式42型艦上戦闘機「バミウダ」]

 37型艦上戦闘機「マリン」、ロ式40型艦上戦闘機「アラル」に続いてムー統括軍が配備を開始した艦上戦闘機。ムー統括軍の機体として初めて過給機を装備した機体であり、このため最高速度、加速力、実用上昇限度において劇的な性能向上を果たした。

 ネーミングの元ネタは、地球において「魔の海域」の1つとされた「バミューダ・トライアングル」。正体はアメリカ軍の戦闘機「F4Fワイルドキャット」。この機体とミリシアルの「エルペシオ3」を比較すると、ほぼ全ての性能で「バミウダ」が互角ないしやや有利。しかし実のところ、これを配備してもまだグラ・バルカス帝国の「アンタレス」には劣勢。

 

[ロ式42型艦上爆撃機「ピラーニ」]

 ムー統括軍初の急降下爆撃機。頑丈な構造のため生残率が高く、急降下爆撃により高い命中精度を確保し、爆弾も500㎏爆弾搭載可能のため破壊力抜群、さらには爆弾を持っていなければ戦闘機との空中戦もある程度戦える。従来ムー統括軍では「ソードフィッシュ万能論」が唱えられていたが、それをあっという間に覆した傑作機である。史実ナチス・ドイツよろしく、ムー統括空軍が急降下爆撃機万能論に走らないか、堺は心配している。

 ネーミングの元ネタは、熱帯に棲む淡水魚ピラニア。正体はアメリカ軍の爆撃機「SBDドーントレス」。機体はSBD-3ベースだが、エンジンはSBD-5のものにチューンアップされている。このため1,000ポンド爆弾(454㎏爆弾)より重い500㎏爆弾の搭載が可能。この500㎏爆弾は、ロデニウス軍の主力急降下爆撃機「彗星」や「彗星一二型甲」に搭載するものと同じであるため、ロデニウス軍とムー統括軍の間で補給体制の一本化ができている。

 

[ロ式42型艦上雷撃機「カルハリアス」]

 ムー統括軍初の全金属製雷撃機。

 ネーミングの元ネタは「ホオジロザメ」の学名。正体はアメリカ海軍の雷撃機「TBDデヴァステーター」。機体の型式でいうとTBD-1が供与された。今までにない機体であるため、ムー統括空軍上層部は大いに喜んでいる……のだが、この機体では性能不足だと知っている堺はこっそりマイラスに接触しており、(すぐには開発できないことは承知の上であるが)この機体の上位互換となる「TBFアヴェンジャー」の設計をさせようとしている。

 

この他、計画・開発中の兵器として以下のものがある。

[ロ式43型イレール75㎜自走砲 ラ・ラング]

 ラ・スタグ自走砲に続いて、ムー陸軍が開発中の自走砲。70口径75㎜砲を搭載し、従来のムー陸軍の装甲戦闘車輌とは一線を画する火力を持つ予定である。

 正体はIV号駆逐戦車のうち、70口径75㎜砲を搭載したタイプ。パンターG型改と同じ主砲を装備しており、火力は間違いなくトップクラスである。ただ、ラ・スタグ自走砲同様に車高が低いので、長身の人が多いムー国軍人にとってはいささか窮屈な車輌になることが予想されている。イレール兵器工業が製造する予定。

 

[ラ・リブラ級軽巡洋艦]

 ムー海軍が建造を予定している新型巡洋艦。ロデニウス海軍の重巡洋艦やグラ・バルカス海軍の大型巡洋艦(重巡洋艦のこと。史実アメリカのアラスカ級のような、戦艦と重巡洋艦の性能を足して2で割ったみたいなヤツのことではない)と砲撃戦を戦える艦が少ないことにムー海軍が危機感を抱き、ロデニウス連合王国からのデータ提供を得て本級の建造を計画した。水上砲戦能力と対空戦闘能力を両立した、性能バランスの良い艦となる予定である。ただし魚雷はない。

 本級は「軽巡洋艦」と呼ばれているが、それは名ばかりであり、実際は排水量11,000トンオーバーの大型艦である。ラ・デルタ級装甲巡洋艦(春日型装甲巡洋艦相当、排水量7,700トン)より大きい。ムー海軍では初の、排水量1万トン超の大型巡洋艦である。

 元ネタはアメリカ海軍の「クリーブランド級軽巡洋艦」。このため艦名も同級のリスペクトである。トップヘビーを避けるため、中期型の設計図が使われる予定である。

 なお、現段階のムーの技術では、主砲である47口径15.2㎝三連装速射砲の生産が困難であることが判明し、「繋ぎの案」としてラ・トラン級防空巡洋艦と本級の中間的な性格を持つ艦の建造が検討されている。

 

[ラ・トーガ級潜水艦(仮称)]

 ムー統括海軍が研究・開発中である、ムー初の国産潜水艦。ロデニウス連合王国からのデータ提供を元に開発が進められている。

 データとして使われているのは、ドイツ海軍の「UボートI型」。ただし、Uボートは艦番号のみで呼称されるため、「艦名がないのはちょっと……」というムー海軍の意向により、名前だけアメリカ海軍の「ガトー級潜水艦」から拝借している。

 

[シデン-カイニ(仮称)]

 名前でお察しの通り、ムー統括空軍が量産を検討中の「紫電改二」。ロデニウス連合王国から数機が実機供与されており、ムー国の航空機会社エストリバー社にて性能解析・研究中。ムー統括空軍では、グラ・バルカス帝国の「アンタレス」を重大な脅威と見做しており、それを性能面で超えるであろうこの機体には結構な期待をかけている。




今後、順次追加することになると予想されます。

前回の予告通り、次回は第二次バルクルス攻防戦。そしていよいよ、第13艦隊総動員の海戦パートに入っていきます。

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