鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。   作:Red October

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予告通り、今回はネタ満載回です。思いつく限りのネタを、ありったけ投げ込みました。
皆様はノーヒントでどれだけお分かりになるでしょうか?

あと、前回の後書きで解説するのを忘れていましたが、”呂500”によるSM56船団襲撃のシーンは、アニメ映画「対馬丸 さようなら沖縄」をモデルとしています。

大変申し訳ありませんが、使ったネタの関係で今回は外国語を多用しています。その日本語訳は1つずつ注釈に付けておりますので、適宜ご利用ください。
また、なるべく◯ー◯ル翻訳を利用する等して外国語の正確性向上に努めておりますが、完全に合っているかどうか自信がありません、何分にも私語学は専門外なもので。申し訳ございませんが、間違っていたらそっとご指摘いただけますと幸いです。



155. 静かなる(サイレント)狩人(ハンター)

 中央暦1643年6月14日、ムー大陸西方350㎞の沖合。

 4隻の船が単縦陣を組み、東に向けて航行していた。このうち3隻は全く同じ形をしており、高角砲らしい単装砲1門と僅かな機銃で武装していた。そして3隻とも(きっ)(すい)が深く、船脚は遅い。何かの物資を満載しているとみられる。

 先頭に立つ1隻は単装砲4基と機銃、それに魚雷発射管で武装していた。旧日本海軍の艦艇に詳しい者ならば、この艦は()(つき)型駆逐艦に似ていると言うだろう。

 そして4隻とも、一見すると日の丸の国旗にしか見えない国旗を掲げていた。ただしその日の丸は、よく見ると白い線で十文字に区切られている。

 

 これは、グラ・バルカス帝国の輸送船団である。グラ・バルカス帝国の戦時標準型輸送船3隻(艦番号はEC2024、EC2025、EC2026、艦名なし)と、同帝国海軍の旧式駆逐艦であるスコルピウス級駆逐艦「アンチ・アーレス」からなる小規模の輸送船団であった。

 この船団は、ムー大陸西方500㎞沖にあるイルネティア島を目的地としている。そこに展開しているグラ・バルカス帝国陸軍に、砲弾や銃弾、軍服といった補給物資と、戦車等を修理し整備するための部品・工具類を積んで、レイフォリアを出発したのだ。

 

「艦長。現在、本輸送船団はイルネティア島の東南方140㎞の位置にいます。このまま進めば、およそ15時間後にイルネティア島に到着します」

 

 輸送船団の旗艦を務める「アンチ・アーレス」の艦橋で、副長が艦長に報告を行っている。

 

「ふむ……これまでのところ異常なしだな」

 

 護送船団司令を兼任する艦長は、背が高い癖に細いため、ひょろひょろっとした印象を与える男性である。だが、これまでいくつかの戦いにも参加し、輸送任務を何度も行ってきた経験豊かな艦長でもあった。そのため、乗組員たちの信頼は厚い。

 

「ええ。我が帝国の強さをバルチスタで知らしめてから、この周辺の国家もめっきり手出ししてこなくなりましたし」

 

 副長も艦長に同意する。

 2月のバルチスタ沖大海戦で世界連合とやらいう有象無象の艦隊と、神聖ミリシアル帝国の連合艦隊と戦った後、この世界の国家はグラ・バルカス帝国の艦隊はおろか、護衛のついた輸送船団にすら容易に手出しができなくなっていた。「グラ・バルカス帝国は強い。神聖ミリシアル帝国の艦隊でも勝てなかったのに、我々では到底勝てるはずがない」と考える国家は後を絶たなかったのだ。

 そのため、グラ・バルカス帝国にとっては船団による物資輸送がやりやすい状態が続いている。

 

「もう少しで到着か。だが、敵のワイバーンロードとかいう航空戦力による空襲があるかもしれんな」

「ええ。この世界は、妙に航空戦力が発達していますからね」

 

 副長とそんな言葉を交わした後、艦長は伝声管を使って水測室を呼び出した。

 

「艦橋より水測、ソナーに異常はないか?」

『こちら水測、異常ありません』

 

 水測長から報告が返ってくる。

 

「確か、この近海でしたか。SM56船団がやられたのは……」

「うむ。警戒していたが、今のところ異常はなさそうだ。……それにしても、こう何もない海が続くと退屈になるな」

「ええ。平穏なのはありがたいですが」

 

 艦長と副長はそんな会話を交わし、笑いあった。

 

 ……その平穏を破る者が、すぐそこにいるとも知らずに。

 

 

 実はこの時、輸送船団は既に敵に見つかっていたのだ。

 だがその割には、駆逐艦「アンチ・アーレス」は敵に気付いた様子はない。何故か?

 それは、その敵が思いもしないところにいたからである。では、その敵がいたのは空か?

 

 ……否。答えは「水中」である。

 そう、その敵というのは「潜水艦」であった。

 

 船団から見て左方向、距離3,000メートルの海中にそいつはいた。水深10メートルの海中にあって、潜望鏡で輸送船団を見ていたのである。

 潜望鏡を操作しているのが、この潜水艦の艦長なのである……が、思いがけないことに、その人物は女性であった。

 

「敵艦、発見」

 

 少し舌ったらずなところのある幼げな声で、その女性は呟く。なぜかスクール水着を着用しているその女性は、身体も手足も健康的に日焼けしており、傍になぜか赤と白の浮き輪を置いていた。

 彼女の名は”()500”。そう、艦娘である。

 そして彼女が操っているこの潜水艦こそ、旧日本海軍の「呂号第500潜水艦」……もとい、ナチスドイツ第三帝国の誇るUボートIXC型の1隻「U-511」である。

 地球では、第一次・第二次世界大戦において「海の灰色狼」と呼ばれ恐れられた「サイレントハンター」、そのうち1隻が、グラ・バルカス帝国の輸送船団を捕捉し、攻撃圏内にその船団を捉えていた。そして「アンチ・アーレス」の貧弱なパッシブソナーでは、静かな狼の接近を感知できなかったのである。

 また、「呂500」はバルチスタ海域方面への移動中に、一時同行していた”(くし)()”に塗料を分けてもらって、潜望鏡の色を塗り直して目立たないようにしていた。そしてそもそも、Uボートの潜望鏡は比較的小さく、レーダーでは捉えにくいし肉眼でも発見しにくい。このため気付かれていなかった。

 

「武装輸送船3隻に駆逐艦1隻かー。輸送船はどれもおんなじ形をしてますって。そしてこの駆逐艦は確か……そうそう、睦月型に似てますって!」

 

 独特の語尾を付けて話す”呂500”は、潜望鏡を覗いたまま、左手に分厚い本を持った。そしてページをめくっていく。それには、何種類もの船の絵と写真が載っていた。

 この本は、潜水艦娘なら必携品とも言える、様々な艦(深海棲艦含む)の性能諸元やら吃水の深さやらを記した書物である。これがなければ、狙うべき目標との距離や目標の速度がどのくらいなのかが分からないから、魚雷の深度をどのくらいに調定すべきか、どの方向に向かって魚雷を撃つべきかが分からない。そのため、潜水艦娘にとってはこれは何より大事な書物だった。

 

「あったあった」

 

 睦月型駆逐艦の艦影と吃水の深さ、性能諸元が載ったページを見つけ、”呂500”は潜望鏡に映る敵駆逐艦と書物の写真とを見比べる。

 

「んー……それじゃあ……」

 

 本を手に持ったまま、彼女は命令を出した。

 

「1番から4番発射管に魚雷装填して注水用意! 調定深度3メートル、全部の船に1本ずつ当てる気合でいきますって! …狩りを、始めますって」

Jawohl(ヤヴォール), Herr Kaleun(ヤカロイ)*1

1番から4番発射管、酸素魚雷装填! 深度は3メートルに設定。設定と装填が完了次第、発射管に注水せよ!」

 

 副長を務める妖精が彼女の命令を復唱する。

 ちなみに、今「呂500」が搭載している魚雷は17本。本来は22本持っているのだが、ついこの間5本使って戦果を挙げたため、残りは17本である。その17本のうち4本がFaT仕様*2の特殊な酸素魚雷であり、残りは全て通常型の酸素魚雷である。しかも、22本全てが「41式魔導酸素魚雷改」であった。

 ロデニウス連合王国軍は……正確にはその傘下にいる日本国海上護衛軍・タウイタウイ泊地艦隊では、水上艦用の魚雷として九三式酸素魚雷を、潜水艦用の魚雷として九五式酸素魚雷を、それぞれ実用化している。しかし、この世界に転移してからというもの、工作艦の艦娘である”明石(あかし)”と”釧路”、その他重雷装巡洋艦の艦娘たちやタウイ工廠のエンジニア妖精たちといった”魚雷バカども(マッドトーピーダーズ)”は、「究極のステルス魚雷」を目指して研究に取り組んだ。

 酸素魚雷は、発射した直後は推進剤として通常の空気を使用し、その後だんだん酸素の濃度を高めていって、最終的に濃度100%の純酸素を使用する仕掛けになっている。このため、発射した直後数百メートル程を進む間は、酸素魚雷といえども航跡が残る。これは、技術的な限界故のやむを得ない措置であった。

 マッドトーピーダーズはこの数百メートルの航跡すら、消してしまおうとしたのである。そこで彼女たちが目を付けたのが、魔法具「風神の涙」だった。戦列艦の推進などに用いられるこの魔法具は、風を一定時間一定の方向に吹かせることができる。ということは、これを利用して酸素を吹き付ける量を調整すれば、完全無航跡の酸素魚雷を作ることができるのではないか。

 そう考えた彼女たちは、飽くなき実験を続け、中央暦1640年の秋についに完成させた。そして審査を受け合格をもらった「風神の涙」を使用した酸素魚雷は、「40式魔導酸素魚雷」の名で制式採用され、1640年の12月末頃から各艦艇に順次配備されていった。この「40式魔導酸素魚雷」は水上艦艇用であり、マッドエンジニアどもは小型化を推し進めて、翌年に潜水艦用の「41式魔導酸素魚雷」を開発している。

 さらに、これでも飽き足らぬマッドどもは、イタリア生まれの駆逐艦娘”Libeccio(リベッチオ)”から「紡錘形の弾頭を持つ魚雷」の話を聞いて実際に作ってみせた。この弾頭に改良された「風神の涙」使用の酸素魚雷をそれぞれ、「40式魔導酸素魚雷改」「41式魔導酸素魚雷改」というのである。

 

 魚雷発射準備の様子を監督しながらも、”呂500”は潜望鏡を通しての敵の観察を止めない。今のところ、駆逐艦がこちらに気付いた様子はない。

 

「ええと、今のろーちゃんの位置がここで、敵の輸送船団がここで……」

 

 “呂500”はいつの間にか、海図と方位磁石と分度器とアナログ式ストップウォッチを引っ張り出している。ちなみに何故ストップウォッチがアナログなのかというと、ボタンを押した時の電子音を嫌ってデジタル式を避けたからである。

 古今東西、駆逐艦やフリゲート艦の乗員は水中の音を聴いて、潜水艦を探り当てるのである。余計な音を出すわけにはいかない。

 

「煙突から出る黒煙のなびき方と引き波の大きさから見て、敵の速度は推定5ノット。針路320度、距離は……」

 

 潜望鏡と睨めっこしたまま、”呂500”は右手にストップウォッチを持って時間を測っている。一定時間の間に敵がどれだけ進んだかを計算しようとしているのだ。

 きっかり1分でストップウォッチが止められる。1分の間に敵が進んだ距離が分かったのだ。これで速度が割り出せる。

 

「敵との距離は3,000メートル、速度は5ノットで間違いないですって。それじゃ、こっちが取るべき針路、雷速、開口角は……」

 

 海図台に海図を広げ、方位磁石(ドイツ語バージョンであるため、東が「O」表記になっている)と分度器、ストップウォッチ、それに鉛筆をぶちまけた“呂500”は、なんと懐から算盤(そろばん)を取り出し、玉を弾いて何やら計算を開始する。

 

「艦長、またそれ使ってるんですか?」

「そうそう。これはね、東洋の計算機ですって。バッテリー要らずで簡単に携帯できますって」

 

 静かに玉を弾いていた彼女の指が、止まった。そして彼女は、その計算結果を見て一言。

 

「よーし、これでいきますって!

()(そう)深度3メートル、開口角2度、雷速51ノット、発射雷数4!」

「Jawohl, Herr Kaleun! 諸元入力始め!」

「針路40度、取り舵回頭!」

「針路40度、取り舵。ヨーソロー!」

 

 着々と雷撃の準備を整えていく「呂500」。魚雷への諸元入力が完了するや、艦首にある4門の発射管に順次装填される。水密扉が閉められ、発射管への注水が始まる。

 

「気象衛星なんかとリンクできないのが不便ですって。いちいちアナログで計算しないといけないのが、ちょっと面倒だって」

「艦長、この世界にそんなものあるわけないでしょう。ですが、気象衛星くらいは欲しいですな」

 

 発射準備が終わるのを待つ間に、”呂500”と副長妖精が軽く愚痴を言い合う。

 発射管への注水時には、管内の空気が海水によって押し出されるため、どうしても気泡が発生してしまう。その際に独特の音が出るのだが、それを聞きつけられたが最後、敵の駆逐艦はどんな手段を使ってでもこちらを撃沈しにかかるだろう。

 注水音を聞きつけられはしなかったかと、”呂500”も他の妖精たちも気が気ではない。だが、ピンガー(アクティブソナーから放たれる探信音)が響くこともなく、潜望鏡の先の敵艦隊が速度を上げたり、蛇行運転する様子もない。「呂500」の存在には気付いていないようだ。

 と、彼女の前にある計器、そのうち「I」「II」「III」「IV」と書かれたランプが黄緑色に発光する。魚雷発射準備完了の合図だ。

  ”呂500”は、ゆっくりと走っていく敵の駆逐艦を見ながら叫ぶ。

 

「敵針路320度、距離3,000メートル、速度5ノット、蛇行運転等認められず、ピンガーもなし。

()(そう)深度3メートル、散布角2度、雷速51ノット、発射雷数4! 逃がしようもないですって!

さあいきます、てー!」

 

 気合が入っているのか入っていないのかよく分からない、ふんわりとした”呂500”の命令。だが、この命令こそ、死神の鎌が振り下ろされる音なのだ。

 

「Rohr Eins, Zwei, Drei, Vier! Los!」*3

 

 副長妖精が復唱を行う。カチリと音を立て、スイッチが入れられた。

 直後、ドスンと鈍い衝撃。続いてフシュー…と空気が抜けるような音が、艦首のほうで聞こえる。そして、何かが水をくぐっていったような気配が感じられた。

 41式魔導酸素魚雷改…純度100%の酸素のみを使用し、紡錘形弾頭にしたことで誤爆率も減らし、雷速を51ノットにまで向上させた最強クラスのステルス魚雷が今、グラ・バルカス帝国の輸送船団に襲いかかる。

 

「Alles ins Wasser*4!」

「潜望鏡降ろせ、きゅうそくせんこー!」

「Jawohl, Herr Kaleun! 潜望鏡降ろせ、急速潜航!」

 

 

 駆逐艦「アンチ・アーレス」の艦橋では、空からの敵襲を気にしながらも、のんびりとした雰囲気が流れていた。

 そこに突然、切迫した声で報告が飛び込んでくる。

 

『こちら水測、魚雷航走音探知! 左35度から50度、近い!』

 

 いくら「41式魔導酸素魚雷改」が無航跡のステルス魚雷だとはいっても、さすがにスクリュー音までは消せない。そのスクリュー音が、「アンチ・アーレス」のパッシブソナーに捉えられたのだ。

 予想だにせぬ報告に、艦長も副長も一瞬だけ思考停止した。一瞬後、「アンチ・アーレス」の艦橋は一気に騒がしくなる。

 

「両舷前進全速! 取り舵40度!」

「総員、対潜戦闘配置につけ!」

 

 艦長が矢継ぎ早に命令を出す。警報が鳴り響き、乗組員たちは一斉に持ち場へ走る。

 付近には敵らしき水上艦艇や航空機は何も見えないし、レーダーにもそれらの反応はない。なのに魚雷航走音が探知された。ということは、付近に敵の潜水艦がいる。

 しかし、魚雷を知らないこの世界の国家が、潜水艦など持っているはずがない。そのため「敵の潜水艦を発見!」と叫ぶクルーもいるが、他のクルーからすぐに「駄目だ!」とツッコまれる。

 

「手空きの者は、本艦左舷前方の海に注意しろ!」

 

 艦長が指令する。

 見張所に詰めていた見張員は、目を皿のようにして左舷前方の海面を見つめる。だが、その目には穏やかな波が映るのみで、どこにも怪しげなものは見えない。

 

『艦橋から見張所、雷跡視認できるか?』

 

 艦長から尋ねられ、見張員は答えた。

 

「こちら見張所、左35度から50度、何も視認できない!」

『視認できないだと? 相手は潜水艦から発射された魚雷だぞ! 雷跡がこっちに向かってきているはずだ! よく探せ!』

 

 艦長にそう言われて、見張員はもう一度、左舷前方の海面を目を皿のようにして見つめた。だが、魚雷の接近を示す白い航跡は、1本も見えない。

 

「こちら見張所、雷跡は認められず!」

 

 そう報告した、その時だった。

 見張員の視界に一瞬だけ、水面下を走る(りん)(こう)のような青白いものが見えた。

 

「何だ、今のは……?」

 

 見張員がそう呟いた直後、

 

ズドオォォォォォン!!

 

 鈍い爆発音が響き、「アンチ・アーレス」の艦体が激しく震動する。と同時に、「アンチ・アーレス」の左舷に真っ白く太い水柱が、「アンチ・アーレス」の艦橋よりも高くまで立ち上った。

 数瞬後、白い柱は瞬く間に赤い柱に変わり、先の被雷の爆発音よりも大きな、轟然たる爆発音が響きわたる。そして、「アンチ・アーレス」の主砲塔がちぎれ飛び、砲身ともども空高く飛び上がった。

 「呂500」が発射した「41式魔導酸素魚雷改」のうち1本が、見事に「アンチ・アーレス」の第一砲塔直下に命中したのだ。そして、当たりどころによっては戦艦ですら一撃で屠る酸素魚雷は、「アンチ・アーレス」の艦体を容易に引き裂くのと同時に、主砲弾火薬庫の誘爆を引き起こしたのだ。

 スコルピウス級駆逐艦「アンチ・アーレス」は、酸素魚雷の直撃によりただの1発で轟沈。艦長以下、生存者はいなかった。

 そして「アンチ・アーレス」が消し飛んだ直後、3隻の輸送船のうち2隻に「41式魔導酸素魚雷改」が突き刺さり、炸裂した。

 

 

 潜水艦「呂500」の艦内では、艦娘である”呂500”をはじめ、妖精たち一同がストップウォッチと睨めっこしながら固唾を飲んでその時を待っていた。

 魚雷を発射した後は、おそろしくなるほど静かな状態が続く。しかしやがて、その状態に変化が起きた。ハイドロフォンにかじりつき、ヘッドフォンをして音を聴いていた妖精の耳に、ぴしい! という、鉄と鉄が激しく衝突する音が聴こえたのだ。続いて、「ボコーン」とでも表現すべき鈍い爆発音がする。それが3回聴こえた。

 ストップウォッチで測っていた時間と照らし合わせると、魚雷の到達予想時刻と大差ない。どうやら魚雷はちゃんと命中したようだ。

 

「Torpedo treffer*5!」

 

 水測担当の妖精が報告した直後、副長妖精が叫んだ。

 

「Jawohl Junks, wir haben ihn!」

 

 発音は「ヤヴォール ユンクス、ヴィア ハーベン イーン」であり、ドイツ語で「よし、皆、奴を仕留めたぞ」と言っているのだが、その発音がどう聴いても日本語で「フタエノキワーミー」と言っているようにしか聴こえない。

 それに続くように、他の妖精たちが「キワーミー! キワーミー!」と口を揃えて叫ぶ。が、そこに副長妖精が「Sei ruhig*6!」と命じた。その途端、妖精たちは一斉に黙り込む。だがよく見ると、妖精たちは皆しょんぼりしていた。

 そうしている間に、海上からさらに爆発音が響いてくる。そして、ギイ…ギギイ…という金属の軋む音や、何とも形容しがたい甲高い音も聴こえる。

 沈没していく船の船体が水圧によって軋み潰れていく時の音は、どこか物悲しさを思わせる甲高い音調から、よく「船が泣いている」と表現される。そんな独特の金属音が、「呂500」のハイドロフォンに入っていた。

 

「4本中3本命中かー、見事ですって!」

 

 そんな「船の泣き声」には一切頓着せず、“呂500”はニコニコと笑いながら言った。その頃には発射管室では、魚雷の次発装填の準備が完了している。

 

「戦果確認用意。潜望鏡深度まで浮上。潜望鏡上げ!

1番、4番発射管に魚雷装填! 炸裂音は3回だったから、少なくとも1隻無傷ですって。全て討ち果たして、イルネティアへの補給を阻害しますって!」

「Jawohl, Herr Kaleun!

潜望鏡深度まで浮上! 1番、4番発射管、魚雷装填用意!」

 

 命令を復唱した後、副長妖精は”呂500”に尋ねた。

 

「そういえば艦長、相手の輸送船の喫水とかのデータが不明でしたが、どうやって魚雷の駛走深度や速度を調定したんですか?」

「勘ですって」

「この世界に来てから働きっぱなしですね、艦長の(カン)ピュータ」

 

 本来であれば、敵の性能(特に速度性能や喫水の深さ)をよく調べてから雷撃しなければならない(そうしないとせっかくの魚雷を外す可能性が高い)のだが、”呂500”は勘で魚雷を命中させていた。これは、彼女のそれまでの戦闘経験の積み重ねがあってこそできることである。

 

 

 一方、海上にいる3隻の輸送船のほうでは、乗組員たちがパニックを起こしていた。

 なんと敵の潜水艦の襲撃である。しかも、自分たちを守ってくれるはずの駆逐艦が真っ先にやられ、轟沈してしまったのだ。ついでにこの輸送船団の司令部も駆逐艦に乗っていたため、全滅である。

 もう自分たちを守ってくれる護衛艦も、自分たちを導く司令部も存在しない。自分で自分の身を守る以外にない。

 しかし、この戦時標準型輸送船に備わっている武装は、10.5㎝単装高角砲1門に25㎜連装機銃2丁、同単装機銃2丁のみと「貧相」の一言に尽きる。しかも、爆雷やらソナーやらの対潜兵器はない。

 加えて輸送船は積荷を満載しているのもあって、船脚は遅く、運動性能も悪い。下手をすると潜水艦に追いつかれるレベルである。

 おまけに、3隻のうち2隻は被雷してしまった。1隻は艦尾に魚雷が命中し、強烈な水中爆発によってスクリュープロペラが歪んだ上に舵を吹っ飛ばされてしまった。要するに航行不能である。もう1隻は艦首を叩き割られ、船倉への大量浸水によって大きく前のめりになっている。船体の沈降は恐ろしい勢いで進んでおり、沈没を免れられるか分からない。

 

 結論として、「これでどうやって戦えばいいんだ!?」という話である。

 

 しかし、無傷で生き残った輸送船の船長は無抵抗ではなかった。必死でレイフォル州とイルネティア島に向けて通信を飛ばし、SOSを送る。更に高角砲と機銃を旋回させ、砲口を海面に向けた。(けな)()な抵抗、というべきであろう。

 そして、最後の生き残りの輸送船は煙突からもうもうと黒煙を噴き上げ、被雷した輸送船を置き去りにして全速力でイルネティア島へと向かう。被雷した輸送船の乗員には薄情なようにも感じられるが、今は自身の安全の確保が最優先だ。

 

 が、しかし。サイレントハンターがそんな輸送船を見逃すはずもなく。

 

 最後まで生き残っていた輸送船の左舷やや後方、艦橋の直下から巨大な水柱が噴き上がる。その直後、巨大な炎の塊が発生し、輸送船の後部は一瞬で火に包まれた。艦橋は瞬く間に鋼鉄の巨大な松明と化し、船長以下主要クルーたちは、痛みなどを感じる暇すら与えられずに一瞬で蒸発した。舵取りを行うクルーがいなくなったことで、輸送船はよろよろと左に旋回していく。その速度は非常に遅く、ジョギング程度の速度でも追い越せそうなほどだ。

 3隻の輸送船はいずれも1本ずつ魚雷を受け、満足な航行が不可能となったのである。恐ろしいのは、全ての艦に魚雷を命中させた「呂500」の腕前だ。

 

「全艦に命中ですって! さあ、後は浮上して、砲撃で止めを刺しますって!」

「Jawohl, Herr Kaleun. メインタンクブロー!」

 

 潜望鏡で戦果を確認した“呂500”が、新たな命令を下す。

 乗組の妖精たちのうち手が空いている者が一斉に艦尾へと走り(これは潜水艦のトリムを上げ、急速浮上させるためである)、潜水のため海水が満たされていたタンクから海水が排出されていく。やがて「呂500」は、洋上にその姿を見せた。

 基本的に第二次世界大戦レベルの潜水艦は、駆逐艦の主砲と同程度の小口径砲や対空機銃を(申し訳程度だが)持っていることが多い。これは、当時の魚雷が無誘導で当たりにくい上に搭載数が少ないためだ。貴重な魚雷を節約するための、やむを得ない攻撃手段である。もちろんだが、こうした備砲を使うには浮上する必要がある。

 「呂500」の右舷前方2,800メートルほどの距離に、のろのろと左旋回する敵輸送船の姿がある。まずこの船が「呂500」のターゲットにされた。

 

「Feuer*7!」

 

 砲術長妖精の号令一下、「呂500」の艦体前方に設置された45口径10.5㎝単装砲が砲弾を発射する。たった3㎞の距離で発射された砲弾は次々と輸送船に命中し、輸送船は船体各所から出火する。それに対し、輸送船の高角砲が火を噴くことはない。船体が傾いているので正確な照準など望むべくもないし、何より「呂500」は輸送船の射界外にいるのだ。狙おうにも狙えない。

 短時間の間に10発近い砲弾を叩き込まれた輸送船は、間もなく燃える塊と化した。あれでは到底助かるまい。

 

「よし、撃ち方止め! 次に行きますって!

ここは、レイフォル州やイルネティア島からそう遠くないですから、グズグズしてると敵の駆逐艦や航空機が来るって!」

「了解。撃ち方止め! 面舵60、次の目標に行くぞ!」

 

 “呂500”と副長の号令が響き、「呂500」は燃え盛るスクラップとなった輸送船をその場に残して、次の獲物へと急いだ。

 潜水艦の足は遅い。航空機や駆逐艦に狙われると、逃げきれない可能性が高い。そのため、潜水艦乗りが生き残るための要訣の1つは、「ささっと仕事を済ませて、とっとと逃げる」に尽きるのである。

 この時には、輸送船は2隻とも航行不能に陥っていた。このうち艦首に魚雷を受けた艦は、既に艦首から船体半ばまでが水面下に沈んでおり、高く持ち上がった艦尾から乗組員が次々と海面に身を踊らせている。もう1隻はその場でグルグル回りながらも、まだ浮力を失っていなかった。

 “呂500”はすぐさま、浮力を失っていない輸送船に狙いをつける。

 

「てー!」

 

 号令と共に、10.5㎝砲が(ほう)(こう)する。4秒後、敵艦の中央にパッと火花が散った。初弾から見事に命中だ。

 次の瞬間、敵の輸送船が大きく爆発し、火球が空に向けて噴き上がった。大量の焼けた破片が周囲の海に撒き散らされる。どうやら弾薬か何かの運搬中だったらしい。

 2発、3発と続けて砲弾が撃ち込まれる。救命ボートが木っ端微塵になり、火災は誘爆によって燃え広がり、あっという間に輸送船は全身火だるまとなった。鎮火などは全く見込める状態ではない。もう放っておいても沈むだろう。

 

「戦闘終了、用具収め! きゅうそくせんこー!」

「Jawohl, Herr Kaleun. 撃ち方止め、戦闘用具収め! 急速潜航だ!」

 

 戦闘が終われば、後は潜って逃げるだけ。長居は無用だ。

 

「ジャガイモでも角材でも何でもいい、重量物を持って艦首へ走れ! Los! Los!*8

 

 一足先に艦内に戻った副長妖精が、他の乗員妖精たちを急き立てる。1秒でも早く潜ろうと思ったら、艦首に重量物を集めるに限るのだ。もちろんこの重量物には、乗組員も含まれる。乗組員の体重がそのまま、潜水艦が潜るための重錘となるのだ。

 全員が艦内に退避したのを確認し、”呂500”が艦橋の水密ハッチを閉めて戻って来た時には、妖精たちがバタバタと足音を立てて艦首区画へ走っていた。ある者は沢山の(たま)(ねぎ)が入った箱を持って走る。またある者は飲み水の入った樽を器用に背負って走る。3人がかりで太い角材を運ぶ者もいる。なんで角材があるのかというと、被弾した時に浸水を防ぐつっかい棒にするためだ。決してカチコミの道具ではない。

 

「Derzeitiges tiefer Eins-null*9! ……Derzeitiges tiefer Zwei-null*10!」

 

 舵を取る航海長妖精が深度計を見て叫ぶ。

 ギギイ……と艦体が軋む音を響かせながら、「呂500」は暗い海中へその姿を消した。その最中、”呂500”は誰にも聞こえない声で小さく呟く。

 

「ごめんね、輸送船の船員さんたち……。でも、ここでやらないと、ろーちゃんの友達や仲間が危険になりますって。なので、許して欲しいって……」

 

 

 「呂500」が潜って姿を消してから10分後、通報を受けて緊急発進したグラ・バルカス帝国軍のリゲル型雷撃機が現場に到着したが、輸送船と駆逐艦を沈めた敵の潜水艦を発見することはついに叶わなかった。その後、グラ・バルカス帝国軍の駆逐艦も到着したが、その時には輸送船は2隻が沈没し、残る1隻は相変わらず燃え続けていた。駆逐艦の艦長は、輸送船を救い得る可能性なしと判断し、漂流していた乗組員を救助した後、輸送船を砲撃で撃沈処分して引き上げて行った。

 「呂500」は大戦果を挙げた上に、敵の追撃を振り切ったのである。今回の戦闘での「呂500」の戦果は、5,000トン級(推定値)の輸送船3隻に駆逐艦1隻で、計約16,000トン。前回の分と合わせると、2万総トン以上の撃沈である。

 

 

 その日の夜、浮上してムー大陸沿岸をゆっくり北上している「呂500」の艦内では、ちょっとした戦勝の宴が開かれた。

 貴重な生のオレンジが乗組の妖精たちに景気良く振舞われる。また、出撃する直前に「釧路」の(ほう)(すい)所(つまり台所)から強だt…失礼、ギンバi…ゴホン、『分けてもらった』ローストビーフと新鮮な玉葱、これまた貴重な生の(にん)(じん)馬鈴薯(じゃがいも)でカレーが作られ、潜水艦乗りの主食ともいえるバターライスと共に供される。ついでに「コンニャク」も開けられた。

 潜水艦において最も貴重なのは、飲料水と生鮮食品である。潜水艦乗りの大敵ともいえる壊血病を防ぐため、ビタミンを摂取できる野菜や果物、特に生のものにはたいへんな価値があった。

 第二次世界大戦当時に比べて食物の加工技術が圧倒的に進歩した時代のタウイタウイでは、潜水艦内の食料事情は大幅に改善され、ドライフルーツやドライベジタブル、缶詰やビタミンを含む栄養ドリンクなどによって、長期の航海でもある程度ビタミンを確保できる。また、この世界に来てからは氷魔法を封じ込めた魔石を使ってどうにか冷蔵庫を設置できたため、ある程度の生鮮食品の保存ができる。しかし、冷蔵庫が小さいこともあって根本的な解決になっていないため、相変わらず生野菜や果物は貴重なままであった。

 今回の宴では、オレンジは言うに及ばず、玉葱、人参といった生鮮食品がどっさり使われ、しかも作るには大量の水が必要となるカレーが作られている。それだけでも、どれほど大きな宴であったかがはっきり分かる。

 ちょっとしたお祝いムードを乗せて、「呂500」の1日が暮れてゆく。明日はどんな獲物に出会えるか、という微かな期待と共に。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 一方その頃、パガンダ島沖。

 パガンダ島攻略真っ最中の第13艦隊、その陣容の中で一際巨体を誇る移動工廠艦「釧路」艦長室では、”釧路”が(こう)(こつ)とした様子で笑みを浮かべていた。

 

「ふ……ふふふふふ……」

 

 どこからどう見ても、怪しげな実験に成功したマッドサイエンティストにしか見えない様子で笑う”釧路”。

 

「完璧です。ろーちゃんには、この間盗んでいった食糧品のことを謝ってくれたら、これを渡すことにしましょう」

 

 そう言って、”釧路”は両手に持っていた黒い物体を大事そうに机の上に置いた。それは、レモンを半分に切ったような形をしている。ついでに、机の上には何かのタイルのようなものが多数置かれていた。

 

「レーベちゃんとマックスちゃんに手伝ってもらって、ついに完成した潜水艦用魚雷の磁気信管弾頭。昨日仕上がったばかりの吸音タイルと合わせれば、グラ・バルカス帝国にさらに一泡噴かせられますね!」

 

 そう、”ねんがんの じきしんかんをてにいれたぞ!”という訳である。え、何やら不穏な雰囲気? 親撲会フラグ? 何のことだ?

 そしてそれ以前に、あれだけ高性能な酸素魚雷を作ったにも関わらず、未だにその性能向上を図ろうとしている。魚雷バカここに極まれり、である。

 

「T班がやっている『音響追尾装置付き弾頭』はまだ少し時間がかかるし、あとはW班がやっている新型機関の開発を待つばかりですね。過酸化水素を使うのが欠点ですが、これをたたき台にしてAIP機関をさらに発展させたいですね! あるいは、原子力機関の開発も……?」

 

 と、”釧路”が取らぬ狸の皮算用をしているところへ、部屋のドアをノックして妖精が1人入ってくる。

 

「K班より報告です! 例の機体、どうやらモノになりました!」

「本当!? じゃあ早速見にいくわ!」

 

 慌てて立ち上がる”釧路”。

 

「これで、地上戦も空中戦も多少楽になるわね?」

「はい。というか艦長、貴女の余計な要求のおかげで、グラウンドクラッタの処理プログラム組むのに悩まされましたよ。そのせいで開発遅延したんですからね!」

「ごめんごめん。でもどうしても外せない機能だったからね。

さて、飛行場を確保できたら試験飛行させるわよ!」

「壊さないでくださいよ。試作1機しかない上に、原型の機体からしてバカでかくて作るの大変なんですから」

「善処するわ」

「くれぐれもお願いしますよ……」

 

 そんな会話と共に、”釧路”と妖精は艦長室を出ていった。

*1
「了解、大尉殿」という意味。ちなみに正しい発音は「ヤヴォール、ヘア カロイン」だが、一部の発音が端折られたりした結果、「ヤヴォール、ヤカロイ」となっている

*2
簡単に言うと、搭載されたジャイロ機構によって、グネグネと蛇行しながら進むシステム

*3
1番から4番管、放て!

*4
直訳すると「全て水中です」である。意味としては「全魚雷、順調に航走中」となる

*5
魚雷命中

*6
静かにしろ

*7
撃て

*8
「それ、それ」と言っている。意味は「それ、急げ」とけしかけている

*9
現在深度10メートル

*10
現在深度20メートル




ようやく、第13艦隊の潜水艦娘たちにスポットを当てて描くことができました。今回は「ろーちゃん」こと”呂500”の活躍でした。Uボートの本領発揮です。
そして、せっかくUボートがあるんだから、ということで、今回はゲーム「サイレントハンター」シリーズや映画「Das Boot」を中心に、ネタ満載とさせていただきました。流石にタミフルシンバルは入れられませんでしたが。
使ったネタは以下の通りです。ノーヒントでどれだけお気付きになりましたか?

・サイレントハンターシリーズ(特に「サイレントハンターIII」のネタが全体にわたって登場。「フタエノキワーミー!」からの「静かにしろ!」でショボーン、「気象衛星とリンクできない」、勘ピュータ、各種ドイツ語、親撲会)
・映画「Das Boot」(そもそも「フタエノキワーミー!」からの「静かにしろ!」自体が、この映画で出てきたセリフである)
・宇宙戦艦ヤマト2199(“呂500”の「狩りを、始めますって」という台詞の元ネタは、ヴォルフ・フラーケンの「狩りを、始めよう」である)
・ゲーム「バトルフィールド1942」(鉄板ネタの1つ「敵の潜水艦を発見!」→「駄目だ!」)
・ジブリ映画「天空の城ラピュタ」(“呂500”が使った「東洋の計算機」)
・「蒼き鋼のアルペジオ」(“呂500”の「きゅうそくせんこー!」)
・史実日本海軍(命中寸前に青白く見える「青白い殺人者(ペイル・マーダー)」こと酸素魚雷、週1回はカレーの日、「ギンバイ」こと食糧や嗜好品のちょろまかし、潜水艦乗りの「コンニャク」ことコニャック、潜水艦乗りの食糧事情)
・ロマンシングサガ(「ねんがんの ◯◯をてにいれたぞ!」)

ちなみに「勘ピュータ」という表現が出ていますが、これは決して「勘ピューター」の誤字ではありません。潜水艦の乗員、特に魚雷の発射や航法などに関わる人には理系の方が多く、また理系では「エレベータ」「コンピュータ」のように各単語の最後を伸ばさない発音が基本です。なので、「勘ピュータ」という表現になりました。
それと、このタウイタウイにいるろーちゃんは地味にそろばん2級を持っています。日本文化にすっかり馴染んでますね。

グラ・バルカス帝国の戦時標準型輸送船ですが、第二次大戦中にアメリカを中心に使われた「リバティ船」をイメージしてください。
そして釧路さん? 貴女、いったい何を作ってるんですか?
あと、「潜水艦用魚雷の磁気信管」と聞いて「あっ(察し)」と思った人、正直に手を挙げなさい。「魚雷開発係」という名の魚雷を発射管に突っ込んで射出する権利をあげます。


年明け間もないのにもうUA89万突破とは…こんなネタのごった煮をご愛読いただきまして、本当にありがとうございます!!

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次回予告。

東部方面艦隊の全滅、敵の重包囲下に置かれたパガンダ島、そしてまさかの敵潜水艦。相次ぐ凶報に喘ぐグラ・バルカス帝国ムー大陸侵攻軍に、更なる急報が飛び込む。それはレイフォリア全域に鳴り響く空襲警報だった……
次回「イルネティア解放戦(1)」

p.s. 国家試験の受験シーズンのため、これより更新頻度が低下します。大変恐縮ですが、何卒ご理解願います。

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