鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。   作:Red October

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予告通り、今回からイルネティア編です。まずはイルネティア島周辺の制空権と制海権をどうにかする戦いからですね。

あと、自分でも意図していなかったのですが…今回めちゃくちゃ文字数が多いです。過去一多いです。
「大和」によるエストシラント砲撃回(約23,500文字)、ムーとの合同軍事演習回(約25,000文字)も多かったのですが……何と、今回は2万7千字をオーバーしております。完全に1話あたりの文字数記録を更新してしまいました。
記号とかルビの文字数を含めてこの数字なので、実際の文字数はもう少し少ないと思われますが…分割して読んでも構いません。



156. イルネティア解放戦(1)

 中央暦1643年6月17日 午前8時、グラ・バルカス帝国領レイフォル州 州都レイフォリア。

 グラ・バルカス帝国の外交官ダラス・クレイモンドは、レイフォリアの一角にある帝国外務省レイフォル出張所に出勤すべく、ハンドルを握り、自動車を走らせていた。

 レイフォリアの道路は、もともと旧レイフォル国が石畳で舗装していたが、帝国はその上からアスファルトを撒き、全く平らに整備し直して自動車がスムーズに走れるようにしていた。そのため、走り心地は良い。

 その道路の上を、今日も多数の自動車が走り、多くの人々が出勤すべく行き交っている。路面電車も、いつものシフト通りに走っていた。

 

 ダラスは出勤したら、まずはパガンダ島の現状を確認すべく、ムー大陸侵攻軍司令部に電話をかけようと考えていた。その後はおよそいつも通り、各国に突き付ける条件の整理や、各州の征統府からの報告を聞くことになるだろう。

 

(我が帝国は最強だ。軍の連中、少しは状況を好転させていろよ……)

 

 そう考えながら運転していたダラスの耳に、突如として不気味なサイレン音が響いてきた。

 

「!!?」

 

 慌てて路肩に車を寄せて止め、ダラスは周囲を見渡す。周囲でも人々が、不安げな表情で周囲を見渡していた。

 そこに、街頭のスピーカーから流れてきていたサイレン音が途切れ、大声が飛び出してくる。

 

『レイフォル軍(かん)()、空襲警報発令! 繰り返す、レイフォル軍管区、空襲警報発令!

敵機多数、西方からレイフォリアに接近中! 距離およそ30㎞、機数100以上!

総員非常配置に付け! 一般市民諸君は、直ちに付近の建物内に避難せよ!』

 

 声が途切れ、再びサイレン音に切り替わる。不意を衝かれたように一瞬立ち止まっていた人々は、大慌てで走り出し、我先に近くの建物に避難しようとする。あちこちで人々がぶつかり合い、転倒して踏まれる者もいた。路面電車も路上に停止し、我先にと多くの人々が駆け降りている。

 道路のほうも、これまで警官の交通誘導に従って整然と進んでいた車の動きが、ごちゃごちゃになっていた。アクセル全開にして逃げようとする車、急にUターンをかける車、半ばドリフトして交差点を曲がろうとする車。あまりに危険な運転に、警官も交通整理をするどころか、自らの命を守るので精一杯の有り様だ。当然、あちこちでひどい交通事故が起きている。

 

「空襲だと!? 我が軍のレーダーと戦闘機隊は何をやっている!?」

 

 この緊急事態を(ののし)りながらも、ダラスもエンジンだけ止めて車を降り、近くにあった開いたばかりの果物屋に飛び込んだ。店の中には、避難したのであろう人々が何人か、不安そうに身を寄せあっている。

 ひとまず安全を確保したダラスは、店の戸口から空を見上げた。上空を警戒していたらしいアンタレス07式艦上戦闘機が数機、機首を西に向けて飛んでいく。迎撃に向かっているようだ。

 

(良いぞ、そのまま敵機なんか蹴散らしてしまえ!)

 

 ダラスは心中で「アンタレス」に声援を送った。

 帝国のアンタレス戦闘機は無敵だ。前世界である惑星ユグドでも、この世界でもそうだった。敵機なんか、あっさり蹴散らしてくれるだろう。

 そのダラスの期待は、わずか2分で裏切られた。「アンタレス」のそれとは異なる轟音が空に響き始め、しかもそれがだんだん大きくなってきたのだ。

 次の瞬間、戸口近くで空を見上げていたダラスの視界を、異形の機影が高速でよぎった。プロペラがなく、後方に向けて斜めに伸びた主翼を持ち、後部から一筋の炎を噴き出す灰色の姿は、「アンタレス」とはまるで異なる。市街地上空を低空で駆け抜け、レイフォリアの郊外にある飛行場…統合基地ラルス・フィルマイナの方向へと全速力で向かっていく。

 

「なっ、何だあの機体は!?」

 

 ダラスは叫んだ。

 その敵機に、アンタレス戦闘機のほっそりした影が向かっていく。だが、「アンタレス」は敵機を落とすどころか、背後を取ることすらできない。逆にダラスの見ている前で、1機の「アンタレス」が撃墜された。右の主翼をへし折られてくるくると回転しながら落下し、交差点に墜落して盛大な火柱を噴き上げる。砕かれたアスファルトや機体の破片が、周囲に飛び散った。

 

「何だと!?」

 

 無敵のはずの「アンタレス」が撃墜されたことに、ダラスは驚き、思わず声を上げた。

 

 ダラスの見ていないところでは、「アンタレス」の被害はさらにひどいことになっていた。

 無敵のはずの「アンタレス」は、片っ端から敵機に攻撃されている。ある機は正面から12.7㎜機銃の掃射を受けて、コクピットを撃砕される。ある機はロケット弾のようなものにぴったり追尾され、必死の回避運動の甲斐もなく空中で爆散する。

 レイフォリア上空で「アンタレス」を襲っていたのは、第一航空戦隊の「(あか)()」から発艦した「F-86D改 セイバードッグ」である。たかが零戦52型程度の性能しかない「アンタレス」では、ジェット機に勝てるはずがなかった。

 朝の穏やかな空気をかき乱し、レイフォリア上空に侵入した「セイバードッグ改」は全部で32機。このうち制空隊の8機が「アンタレス」を引き受けている。残り24機は、「アンタレス」など眼中にないとばかり、時速1,138㎞の最高速度で市街地上空を駆け抜け、ラルス・フィルマイナへと突っ込んでいった。

 レイフォリア上空で空中戦が始まってからおよそ5分後、遅れて飛んできたロデニウス海軍の主力艦上戦闘機「(れっ)(ぷう)一一型」や「零戦53型(岩本隊)」が空中戦に加わった。第二航空戦隊の「(そう)(りゅう)」や「()(りゅう)」から発艦した機体だ。二航戦の搭乗員といえば、一航戦に次ぐ技量を持つ。その恐るべき空のエースたちが、「アンタレス」を次々と撃墜していたのだ。ちなみに“蒼龍”は艤装を再建造してもらって、戦闘能力を早くも回復している。

 一方、全速力でラルス・フィルマイナに突進していった地上攻撃担当の「セイバードッグ改」はまず、地上にいる、あるいは飛び立ったばかりの「アンタレス」を狙った。

 離陸した直後の「アンタレス」に上空から機銃が撃ち下ろされ、「アンタレス」は()す術もなく被弾。主翼の20㎜機銃の弾薬が誘爆し、スマートな機体が閃光と共にバラバラになる。

 離陸しようと滑走していた「アンタレス」も、容赦なく撃たれた。プロペラを吹き飛ばされ、着陸脚を破壊された「アンタレス」は、(りき)()のはたき込みを喰らったように前のめりに(かく)()し、滑走路を塞いで炎上する。

 そして駐機場で暖機運転を行っていた「アンタレス」も、ターゲットにされた。ブローニング12.7㎜機銃の()(せん)が降り注ぎ、たちまちのうちにエンジンを撃たれて爆発する機体、着陸脚を破壊されて擱坐する機体が出る。コクピットを撃たれ、おびただしいガラス片を撒き散らす機体もあった。

 グラ・バルカス帝国の誇る“無敵の戦闘機”「アンタレス」だが、空では無敵でも、地上にあっては全くの無力だ。何もできないまま次々と破壊されていく。

 そして狙われたのは「アンタレス」だけではない。対空砲陣地や、それに取り付こうとしていた兵員もターゲットにされた。シャワーを思わせる勢いで撃ち下ろされる12.7㎜の弾幕に、死に物狂いの形相で地上を走っていた兵員が撃ち倒される。「セイバードッグ改」の下腹から発射された「マイティマウス」空対地ロケット弾が命中し、75㎜高射砲や25㎜対空機銃が木っ端微塵に吹き飛ぶ。対空砲陣地の被害は、指数関数的に増加していった。

 それだけに留まらず、「セイバードッグ改」は通り魔のように基地を攻撃し、そのまま基地周囲の山に機首を向ける。そして、山腹に設置されていたレーダーサイトや偽装されているはずの対空砲陣地を、ロケット弾で薙ぎ払っていったのだ。それは明らかに、対空砲やレーダーサイトの破壊を任務とする「ワイルド・ウィーゼル」めいた作戦行動だった。

 

 「セイバードッグ改」が飛行場を使用不能にし、対空砲をあらかた潰した時、飛行場の真上に金属的な高音が響き始めた。尖った機首を持つ機体が、飛行場の真上で反転し、急降下してくる。

 艦上爆撃機「(すい)(せい)一二型甲」による急降下爆撃である。狙いは駐機場と基地の施設であった。

 この時になって、ようやくグラ・バルカス帝国軍の生き残った対空砲陣地が応戦を開始した。75㎜高射砲の砲声が轟き、空中に黒煙が花開く。25㎜対空機銃が火を噴き、空に向けて青白い曳光弾が駆け上がる。しかし、それらに捕らえられる機体は少なく、「彗星」は猛然と突っ込んできた。

 高度500メートルほどのところで先頭の機体が引き起こしをかけ、後続機がそれに続く。金属的な高音がエンジン音に変わったと思った時、地上に閃光が走り、大量の褐色の煙が沸いた。爆弾が落下したのだ。

 75㎜高射砲が一撃で吹っ飛び、直後に弾薬に引火して凄まじい爆発を起こす。基地施設は一瞬で炎に包まれ、駐機場に投下された爆弾は無傷で残っていたシリウス型艦上爆撃機に大きな被害を与えた。何機かは一瞬で消滅し、何機かは燃え始め、何機かは爆風に煽られて横転する。煽られた機の中には、他の機体に激突する機体もあった。

 整備場に爆弾が落下し、格納庫の屋根が落とされ、中で整備を受けていたベガ型双発爆撃機や「アンタレス」、アヴィオール型双発輸送機が押し潰される。格納庫内で爆発が起き、機体の破片だの建物の壁の残骸だの整備用の機械部品・工具だのが、一切合切吹き飛ばされた。ついでとばかりに、基地の片隅に集まっていたパワーショベルやブルドーザー等の重機にも、爆弾が叩きつけられる。

 ガソリンタンク群に1発が落下、炸裂するや、航空機用ガソリンが凄まじい勢いで燃え上がり、火山の噴火もかくやという黒煙が空に立ち上る。みるみるうちに、空が黒煙で覆われていく。

 

 急降下爆撃により、対空砲陣地はほぼ壊滅してしまい、もはや滑走路に動くものはない。そこに、最後の総仕上げ…800㎏爆弾を抱えた「(てん)(ざん)」と「(りゅう)(せい)(かい)」による水平爆撃が行われた。

 緊密な編隊を組んだ「天山」と「流星改」が、轟音と共に飛行場の真上を横切る。しばらくの後、滑走路はものすごい爆発に見舞われ、黒煙に覆われた。

 黒煙が風に吹き払われると、そこには変わり果てた滑走路があった。コンクリートで舗装されていた滑走路は、今や人の手が入っていない荒れ地のような有り様となり、爆弾孔がまんべんなく穿たれている。素人が見ても、「これは滑走路として使えない」と言い切れるレベルまで破壊されていた。

 投弾を終えた航空機は、レシプロエンジンの(がい)()を響かせながら悠々と飛び去っていった。

 

 そして、攻撃隊の護衛の役を(ほぼ)終えた「烈風一一型」であったが、ここである行動に出た。地上すれすれの低高度に舞い降りてきたのである。

 実は戦闘機隊は、ある指示を受けていた。それが、「グラ・バルカス帝国の連中に、『地獄の入口』を見せてやれ」というものである。で、具体的に何をするのかというと…機銃掃射であった。

 ただし、「命を取れ」という命令は受けていない。やることはあくまで「脅迫」程度だ。ではどうするかというと……道路などに止められている車や電車、駅の建物などに対する機銃掃射である。

 

 低空に舞い降りた「烈風一一型」の両翼から太い火箭がほとばしり、アスファルトの欠片が線状に噴き上げられた。それが、路肩に止まっている自動車に迫っていく。

 直後、自動車は20㎜機銃で一薙ぎされ、悲鳴じみた音を発して窓ガラスが砕け散った。ボディには大穴がいくつも開けられ、止めにタイヤを撃ち抜かれた自動車は、大きく傾き、痛々しい姿で動かなくなる。

 エンジンを撃ち抜かれたトラックが鈍い音を立てて爆発し、炎の塊に変わったかと思うと、多数の機銃弾が路面電車に突き刺さる。路面電車は窓ガラスが1枚残らず割られた上、電装系をやられたのか黒煙を噴き上げ始めた。

 

「くそ!」

 

 身の危険を感じ、ダラスは店の奥に引っ込む。その直後、彼が避難している店の前の道路に、次々と機銃弾が突き刺さった。

 ダラスは店の奥に逃げ込んだため、一命をとりとめた。だが、彼が店の前に止めていた自動車は、その限りではなかった。

 上空から降り注いだ火箭は、吸い込まれるようにダラスの愛車に命中。自動車は断末魔めいた音を発し、エンジンルームから火柱を噴き上げて爆発した。ガソリンタンクを撃ち抜かれたらしい。

 

「何しやがる……!」

 

 歯ぎしりしながら、ダラスは店の前を低空で飛行する敵機に視線を向ける。パイロットの姿がはっきり見えるほど低空を飛ぶ敵機は、主翼が中ほどから上に向かって曲がっており、「アンタレス」のそれよりも太く重厚なエンジン音を発していた。胴体後部に赤い円が描かれているが、グラ・バルカス帝国のマークと違って区切られていない。全くの円である。

 

(あれが、敵機か……!)

 

 何もできない悔しさと敵意に、ダラスは血が滲むほど唇を噛みしめた。

 ダラスの愛車が破壊されてからそう時間が経たないうちに、敵機のエンジン音はレイフォリアの空から消えていった。たった30分で空襲は終わったのだ。

 

 第二次空襲を警戒したのか、レイフォリアの警戒態勢が解除されたのは午前10時になってからだった。だが、一部の人々は警戒態勢の中を職場に入り、仕事を始めている。

 ダラスもその1人だった。愛車を破壊されて脚を失ったものの、彼はいつもの倍近い時間をかけて徒歩で出勤したのだ。

 職場に到着した彼は、そのままムー大陸侵攻軍司令部に問い合わせと抗議を兼ねた電話をかけた。そしてそこで、彼は意外な事実を知る羽目になった。レイフォル州内陸部の飛行場基地にも、空襲が仕掛けられたというのだ。

 

 同じ頃、ラルス・フィルマイナに置かれたムー大陸侵攻軍司令部も混乱していた。

 既にレイフォル州南部の内陸にある飛行場が1つ、空襲を受けて完膚無きまでに破壊されている。市街地や在泊艦船に対する攻撃は、市街地への機銃掃射を除けば今のところない。

 飛行場に襲来した敵機は、機数120〜150機と見られ、正規空母2隻+軽空母1隻程度の機動部隊から飛来したと見られている。それも、同時多発的にやられていることから、敵空母は合計で6隻程度いると計算されている。

 

 だが…ムー大陸侵攻軍司令部が混乱した原因は、飛行場が2つ(ラルス・フィルマイナ含む)もやられた、というものではなかった。いや、そのこと自体も驚きではあるのだが。

 まずそもそも、敵はパガンダ島を攻めているのではなかったか。現にパガンダ島の陸軍基地司令部は、戦況が刻一刻と悪化していることを伝え、1分でも早い救援を求めている。この状況で、敵にムー大陸を攻撃する余裕があるとは考えにくい。

 それに、敵艦隊は東部方面艦隊と交戦した後で連戦する形になっている。東部方面艦隊といえば帝国最強の艦隊だ。大きな被害を受けているはずなのに、なぜムー大陸を空襲するほどの余裕がある?

 

 そしてそもそも、敵のこの攻撃にはどのような意図があるのか?

 

(……読めん。どうも、敵の意図が読み切れん)

 

 ムー大陸侵攻陸軍副官ランボール・フーリマン大佐は、己のデスクに広げられた地図と書類を前にして、首を傾げていた。地図には、使用不能になった飛行場の位置が書き込まれている。

 

(やられた飛行場は、2つともかなり念入りにやられている。ただし、飛行場の位置はばらばらだ。

一見すると、パガンダ攻撃の邪魔をされないために攻撃したように見えるが……相手は東部方面艦隊を破るほどの切れ者だ、それ以外の意図があるかもしれん……)

 

 ランボールはもう一度、飛行場の被害をまとめた報告書と地図を見直し始めた。何か見落としたものがあるかもしれない、と思ったからだ。

 その時、通信系の幹部が1人、司令部に駆け込んできて報告する。

 

「哨戒中の潜水艦より、敵艦隊発見の報告あり! 戦艦2、空母4、重巡2、軽巡2、駆逐艦11の艦隊です! 国籍はロデニウス連合王国と認む!

位置は、レイフォリアからの方位315度、距離700㎞。針路は北とのことです!」

 

 そして、司令部の情報ボードに発見された敵艦隊の位置、針路、規模を書き込んだ。

 

「こいつらが、我が方の飛行場をやった敵機動部隊か?」

「それにしては針路がおかしい。飛行場をやった後なら、補給のためパガンダ島近海に戻るはずだ。なぜ北上する?」

「我が方の新たな飛行場を叩きに行く…という可能性はないでしょうか?」

「あり得るが、陸からの距離が妙に遠い」

 

 幹部たちの話を聞き、ランボールは考えた。

 

(確かに、陸地からの距離が遠いな。飛行場の攻撃を図るつもりなら、もう少しムー大陸に近づくはずだ。そうしなければ、航空機の航続距離が足りない可能性があるからな……)

 

 彼が考えている間に、ナルガ戦線(ムー大陸戦線)総司令官アルダ・グランギル大将は命令を出していた。

 

「イルネティアのバッケス基地に連絡し、『ベガ』と『アンタレス』の編隊をもって敵機動部隊を叩かせろ。『ベガ』の装備は魚雷とせよ」

「はっ!」

 

 命令を受けた幹部が、通信を送るため司令官を出ていく。

 

(………)

 

 再び自身の考えに戻るランボール。

 

(そもそも敵の機動部隊は、本当にこれだけだろうか?)

 

 計算してみると、ムー大陸攻撃に動員された空母は、合計で10隻程度。本来敵空母は16隻おり、そのうち4隻を撃沈され、2隻は損傷したはずだから、残りは10隻となる。一見すると数が合わないようにも見えるが、新しく見つかった敵機動部隊はレイフォリアを襲った連中と同一だと考えれば、およそ敵空母の残存数と一致する。

 

(数は一致するようだが、では敵の意図は何だ?)

 

 敵の意図を読めない。それがどうも、ランボールには不気味だった。

 そこへ、別の通信系幹部が飛び込んできて叫ぶ。

 

「哨戒中の潜水艦より報告! 『敵艦隊見ゆ。位置、《レイフォリア》よりの方位0度、距離10,000㎞。敵は戦艦1隻、空母1隻を伴う。発見時刻、10時01分』!」

 

 新たに発見された敵機動部隊の位置は、ムー大陸の北西沿岸部だ。だが、どこの国の機動部隊だろうか?

 ランボールと同じ疑問をグランギルも持ったらしく、命令を出している。

 

「潜水艦に、『敵針路及び国籍知らせ』と伝えろ」

 

 答えは、5分後に判明した。

 

「敵針路235度。敵はムー艦隊と認む、とのことです」

「ムー艦隊だと?」

 

 グランギルの眉が僅かに動いた。ランボールも意外の念を持った。

 

(このタイミングでムー艦隊が動いた? 何のため?)

 

 情報ボードにムー艦隊の情報が書き込まれるのを見て、ランボールは手元の地図にロデニウス艦隊とムー艦隊の位置を写した。そして、それぞれの敵艦隊の針路を矢印にして書き込む。

 

(んー……?)

 

 ランボールはふとあることに気付き、ロデニウス艦隊とムー艦隊の予想針路を地図に描いてみた。

 両方の艦隊が今の針路を取り続けると仮定すると、両方の艦隊の針路の交点から少し外れたところに、島が1つあった。その島の名は「イルネティア島」となっている。かつてはイルネティア王国が統治していたが、今やこの地はグラ・バルカス帝国領イルネティア州だ。

 

「いけない!」

 

 その瞬間、ランボールは敵の狙いを悟った。そして慌てて立ち上がり、グランギルに叫ぶ。

 

「総司令官閣下! 敵の狙いはイルネティア島と思われます。パガンダに続いてイルネティアも陥落させるか、最低でも無力化することで、我が国のムー大陸勢力圏と本土を切り離す気ではないでしょうか!?」

 

 その瞬間、司令部の空気が一瞬にして凍りついたようにランボールには思われた。

 グラ・バルカス帝国とムー大陸の間には、かなりの距離(最短5,000㎞)があり、一気に向かうことはできない。このため、海路であれ空路であれ、幾つかの中継点を経由して本土からムー大陸へ向かうことになる。その中継点の1つにして、ムー大陸に最も近い中継点が、パガンダ島及びイルネティア島なのだ。

 どちらの島にも港が整備されており、航空機用の飛行場もある。これらを押さえられてしまうと、ムー大陸にいるグラ・バルカス帝国軍は、本国からの補給が受けられなくなってしまう。

 問題はそれだけではない。今度は敵が、占領した両島の港と飛行場を奪って己のものとし、それを利用してムー大陸西沿岸部を脅かしてくる。つまり…ムー大陸のグラ・バルカス帝国の勢力圏は、本土から切り離され、孤立してしまう。

 しかも、これだけのことをやってきた以上、この後の敵の動きは明白だ。近いうちにムー大陸において、全面反攻に出てくるにちがいない。

 「敵の包囲下で立ち枯れになる」という最悪の悪夢が、目の前に迫っているということにようやく気付き、グランギル以下全員が青くなっていた。

 

「現在ムー大陸に展開している海軍戦力はどうなっている!?」

 

 グランギルの叫びに、海軍の指揮官アルゼン・ローリー中将が答えた。

 

「はっ、現在の海軍戦力は、このレイフォリアに本国艦隊の第41地方隊とレイフォル防衛艦隊が、レイフォル州北部に第42地方隊が、イルネティアに第43地方隊が、それぞれ展開しています。他に、東部方面艦隊全滅を受けて本国から増援として派遣された中央第2艦隊のうち20隻がアストラル大陸を出港、イルネティア島に向かっていますが、到着は早くても明日になります。他に、第3潜水艦隊の潜水艦16隻が戦闘可能でありますが、これらはムー大陸周辺各地に分散しています。海軍戦力は以上です」

 

 即座にグランギルが命令を出す。

 

「第43地方隊に戦闘態勢を発令しろ! イルネティア島の基地航空隊と共同で、敵機動部隊を撃滅するのだ!

それと、第3潜水艦隊にも交戦命令を出せ。特にロデニウスとムーの船舶を見つけ次第叩かせろ!

ムー艦隊などはどうとでもなる。まずはロデニウス艦隊を先に撃滅せよ!」

「承知しました!」

 

 脅威度の高い敵から先に叩く。戦術としては正しい方法だ。

 

(果たして、撃滅できるだろうか……)

 

 ランボールは、一抹の不安を感じた。

 

 

 その頃、ムー大陸西方の海上を、速力18ノットで北上する一群の艦影があった。ロデニウス連合王国海軍第13艦隊から派遣された、第26任務部隊である。

 陣容は、戦艦「アイオワ」、戦艦空母「赤城」、航空母艦「グラーフ・ツェッペリン」「(たい)(ほう)」「()()」「(ずい)(ほう)」、重巡洋艦「()()」、航空巡洋艦「(ちく)()」、軽巡洋艦「()()(くま)」「()()」、駆逐艦「(あかつき)」「ヴェールヌイ」「(いかずち)」「(いなずま)」「(うら)(かぜ)」「(いそ)(かぜ)」「(はま)(かぜ)」「(たに)(かぜ)」「(ゆき)(かぜ)」「(てる)(づき)」「リベッチオ」であった。「ユーラヌス作戦」遂行のため可及的速やかにイルネティア島に向かう必要があり、高速艦ばかりで編成されている。

 

 第13艦隊司令官の(さかい) (しゅう)(いち)中将は、現時点でのパガンダ島の戦況から、同島周辺に大規模な艦隊戦力を展開させる必要性は薄いと判断した。そこで、脚の遅い航空戦艦「()(そう)」「(やま)(しろ)」と戦艦「(なが)()」「()()」、航空母艦「アクィラ」「(じゅん)(よう)」「()(よう)」等を、護衛の()(がみ)型航空巡洋艦、ザラ級重巡洋艦、重雷装巡洋艦、駆逐艦、そして「(くし)()」等の非戦闘艦艇と共に残し、残る全艦で分散してムー大陸西部のグラ・バルカス帝国軍拠点に嫌がらせを仕掛けることとしたのである。

 第1艦隊にパガンダ島攻略の支援を任せ、堺は「ユーラヌス作戦」遂行とイルネティア攻略に当たるムー艦隊を側面から援護するため、作戦行動を決定したのだ。東部方面艦隊と戦って艤装を失った艦娘たちも、"釧路"による艤装の高速再生産を経て戦闘力を回復していたことも、追い風となった。

 

 嫌がらせに当たる艦隊は、正規空母2ないし3隻、軽空母1隻程度を基幹戦力とする航空戦隊とし、それに戦艦1〜2隻、重・航空巡洋艦3隻程度を主力とする護衛艦隊を付けた、比較的高速の艦隊とした。

 ムー大陸・旧レイフォル領でも最も南西にある飛行場には、空母「(うん)(りゅう)」「(あま)()」「(かつら)()」と戦艦「ビスマルク」を主力とする艦隊を第24任務部隊として差し向け、レイフォリアには第一航空戦隊・第二航空戦隊と戦艦「(こん)(ごう)」「(はる)()」等の護衛艦艇からなる第25任務部隊が攻撃を仕掛けている。2つの飛行場にほぼ同時に攻撃を仕掛けることで、敵航空戦力の減殺と敵軍への心理的影響、それにパガンダ・イルネティア両島攻略の安定を狙った行動だった。

 敵の迎撃も予想されるため、航空攻撃は1回限りとし、2個任務部隊とも既に一撃離脱で撤退を開始している。そして第25任務部隊から本命の第26任務部隊を分派し、2個任務部隊を隠れ(みの)にしてイルネティア島へ送り込んだのだ。

 もう既にムー艦隊も出撃しているはずである。一番槍を付け、ムー統括軍によるイルネティア奪回を容易ならしめなければならない。

 

(作戦予定では、ムー艦隊の前衛主力が3日前にスカパ・ブローを出港。今頃はイルネティア島の北東4,000㎞付近に来ているはず。そして明日の朝一番で、ムー統括陸軍を輸送する船団が出撃しますね……)

 

 第26任務部隊旗艦「赤城」艦橋にて、"赤城"は今後の流れを考えていた。

 

(ムーの揚陸艦隊が出撃し、ムー艦隊の前衛が到着するまでに、イルネティア島周辺の制空権・制海権を、私たちだけでなるべく確保しなければ……)

 

 ムー大陸の敵飛行場はある程度叩き、制空権確保に一歩近付いた。だが、まだイルネティア島の飛行場と、同島に駐留する艦隊が残っている。それに、場合によってはムー大陸、もしくは他の根拠地からグラ・バルカス帝国艦隊が来るかもしれない。負ける訳にはいかなかった。

 

「航海長、イルネティア島までの距離と到着予想時刻知らせ」

「はっ。当艦隊の現在位置、イルネティア島からの方位195度、距離270(かいり)。艦隊速力は18ノット(およそ時速33㎞)ですから、このまま進めば15時間後、6月12日マルフタマルマル(午前2時)頃にイルネティア島に到達します」

 

 航海長妖精は即答してきた。常に航法をしっかり把握しているらしい、流石である。

 

「イルネティア島からの距離200浬地点への到達は、何時ですか?」

「はっ、本日ヒトヨンヒトマル頃になると計算されます」

(間に合いませんね)

 

 報告を聞いて、"赤城"は考えた。

 彼女が考えていたのは、今日中にイルネティア島近海まで進出し、1回の航空攻撃をかけられるか、ということだ。14時10分に到達するとして、攻撃隊の空中集合に30分、370㎞の飛行(200浬≒370㎞)に少なくとも1時間はかかるから、攻撃隊がイルネティア島上空に達するのは15時40分。攻撃に30分を要するとして、戻ってくるのは17時10分頃となる。

 気象班は、本日の日没を16時55分と報告しているから、攻撃自体は間に合うが、帰還が日没後となる。日没後の着艦はベテランであろうと高確率で事故を起こすから、できるものではない。

 となると、選択肢は本日の航空攻撃を諦めるか、あるいは……

 

「今から艦隊速力を25ノットに上げた場合は?」

「はっ、ええと……イルネティア島からの距離200浬地点への到達は、ヒトサンヒトマル頃になります」

(行ける)

 

 計算結果を聞いて、"赤城"は進撃速度を上げることを即決……しかけて思い直した。

 イルネティア島にも飛行場はあるだろう。そこに対艦攻撃が可能な機体…艦攻や艦爆とは言わなくとも、(ちゅう)(こう)(中型の陸上攻撃機。日本海軍で言うなら「一式陸上攻撃機」がこれに当たる)がいるなら、こちらを攻撃してくるはずだ。あるいは航空機でなくとも、水上部隊、または潜水艦の襲撃も予想される。

 攻撃を受ければ、艦隊は回避行動を取らなければならない。さらに言えば、攻撃後に崩れた艦隊陣形を再編成する時間も必要だ。それらを勘案すれば、残念ながら今日中の攻撃は無理だ。焦ることなく、このままの速度で進撃し、攻撃は明日以降にするべきだろう。

 

「航海長、速度・針路ともこのまま」

「速度・針路このまま。(よう)(そろ)!」

 

 第26任務部隊は、静かにイルネティア島へと向かっていた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 1時間後 午後0時10分、イルネティア島。

 イルネティア島の中央部には、グラ・バルカス帝国が飛行場を建設していた。これがグ帝呼称「バッケス飛行場」である。

 その飛行場の滑走路とエプロンを、爆音が満たしていた。滑走路に並んでいるのは、グラ・バルカス帝国陸軍飛行第266戦隊の「アンタレス07型艦上戦闘機」60機、そして陸軍飛行第502戦隊の「ベガ型双発爆撃機」40機である。

 「アンタレス」は零戦52型に似た機体で、ベガ型双発爆撃機は、性能的には旧日本陸軍の「九七式重爆撃機」に似ている。ただし、「ベガ」は九七式重爆とは異なる点として、「一式陸上攻撃機」と同じように魚雷を抱えることが可能だった。

 これは、グラ・バルカス帝国の兵器設計思想によるものである。グラ・バルカス帝国では、兵器の性能はどんな敵国のそれにも勝るものであり、航空機も例外ではなかったことから、「なるべく1つの航空機に多くの機能を持たせる」という思想が流行った。その結果、ベガ型双発爆撃機もその影響を受け、海軍からの注文を受けて魚雷を抱えられるようにしてしまったのである。

 

 暖機運転を行っている航空機に、搭乗員が次々と乗り込む。機体は順番にエプロンから滑走路へと向かい、順次空に向かって飛び立った。

 攻撃目標はただ1つ。イルネティアへ向かってきていると思われる、ロデニウス連合王国艦隊である。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 その約1時間後 午後1時20分、第26任務部隊。

 イルネティア島南部沖234浬まで進出した第26任務部隊、その旗艦「赤城」艦橋に報告が上がった。

 

「対空電探に感。艦隊よりの方位5度、距離65浬! 反射波の大きさから、機数およそ100と推定されます!」

「敵ですね」

 

 電測長妖精から上がってきた報告を聞いて、"赤城"は即断した。

 この方角に味方の艦隊はいない。また、ムーの母艦機では航続距離が到底足りず、こんな所まで来られるとは思えない。

 正体はただ1つ、グラ・バルカス帝国の攻撃隊だ。

 

『アイオワよりアカーギ、敵編隊を探知したわ。どうする?』

 

 "Iowa"からも報告が入ってきた。"赤城"は落ち着いた声で下命する。

 

「全艦、対空戦闘用意。空母の皆さんは、戦闘機隊の準備を。ただし大鳳さんとグラーフさんの戦闘機は、第二次以降の空襲に備えて待機してください。瑞鳳さんは対潜警戒を。ここは、私と加賀さんの機体で迎撃します」

『『『了解!』』』

 

 直ちに「赤城」「加賀」の格納甲板と飛行甲板は、喧騒に包まれた。

 昇降機がひっきりなしに上下し、格納庫の機体を飛行甲板へと運ぶ。「赤城」の飛行甲板に姿を現したのは、異形の機体だった。まずそもそもレシプロエンジンがなく、主翼は機体後方に向かってせり出しており、鼻面は犬のように尖っている。見るからに脚の速そうな機体だった。

 

「加賀より通信、『我、直掩隊ノ準備完了』!」

 

 両艦とも、5分と経たずに直掩隊の発艦準備を終えた。

 

「第一次直掩隊、発艦して下さい!」

「直掩隊、全機発艦」

 

 "赤城"、"加賀"の号令一下、航空機が次々と飛行甲板を蹴り、空へと飛び立ち始めた。

 

 

 グラ・バルカス帝国陸軍飛行第502戦隊の隊長、ビル・ロクストン大尉は、ベガ型双発爆撃機の操縦桿を握り、進行方向の海を見詰めていた。

 離陸してから約1時間、そろそろ敵艦隊が見えるはずである。

 

(相手は東部方面艦隊を破った敵だと聞いている……。強敵だが、これだけの数がいれば、ある程度はダメージを狙えるはずだ)

 

 彼はそう考えていた。

 

(敵も直掩機を出してきているだろうな……。空母4隻と聞いているから、直掩機も結構な数が待ち構えているはすだ。どこまでやれるか……)

 

 こちらの戦闘機は、アンタレス07式艦上戦闘機が60機。無敵とされ、帝国の誇りだった機体だが、東部方面艦隊が敗れた以上、敵の戦闘機は「アンタレス」より高性能である可能性がある。

 グラ・バルカス帝国陸軍には精神論を振りかざす者が多く、それは陸軍航空隊にあっても例外ではない。その中でロクストンは珍しく、合理的思考ができる人間だった。

 

(慢心はできん。慎重にかからねば)

 

 そう思っていた時だった。

 

『イギー1番より全機。右前方に敵艦隊』

 

 飛行第266戦隊の隊長イギー・ヘルノート少佐が、通信を送ってきた。

 ロクストンが右前方に目を向けると、水平線付近にいくつもの(かん)(えい)が見える。報告にあった敵艦隊で間違いない。

 

「ビル1番よりビル全機。攻撃態勢に」

 

 ロクストンが部下たちに命令を出そうとした、その瞬間だった。

 

ドゴオォォォン!

 

 突然、全く突然に、ロクストン機の左前方を飛んでいた「アンタレス」が、轟音と共に閃光を発した。次の瞬間には、「アンタレス」のスマートな機体が微塵に砕け散り、破片が煙の尾を引きながら海面に落下する。

 

「なっ!?」

 

 ロクストンが目を見開いている間に、10機近い「アンタレス」が同じようにしてバラバラにされた。

 急に無線が慌ただしくなり、混乱が生じ始める。

 

『なっ!? 何が起こった!?』

『分からん……ぐあっ!』

『ああ! ジーンがやられた!』

 

 ジーンというのは、第266戦隊の第2大隊長レルム・ジーン大尉のことだ。

 

『落ち着け、ルイス! 指揮を引き継げ!』

 

 どうやら第2大隊の第2中隊長ルイス・マクガーク中尉に、指揮が回されたらしい。

 

『左上空より敵機ぃぃ!!』

 

 無線機から飛び出してきた絶叫に、半ば反射的にロクストンが空を見上げた時だった。

 

ゴオオオォォォーッ!!!

 

 落雷かと錯覚せんばかりの轟音。

 次の瞬間、灰色のかなり巨大な機影が彼の視界をよぎった。圧倒的に速く、詳細は確認できなかったが…少なくともプロペラがないこと、そして後部から1本の炎を噴き出していることが、ロクストンには確認できた。

 

「なっ、何だあいつは!?」

 

 全く見たことがない機体であり、ロクストンの口から驚きの言葉が漏れる。

 

『何だあいつは!? 圧倒的に速い!』

『アンタレスなんか目じゃない! 全く追い付けないぞ!』

『な、何かが! 何かが追って(爆発音と共に中断)』

『速すぎる! もう後ろに(通信途絶)』

『死にたくない…死にたくない!』

 

 無線は大混乱に陥っていた。

 

「全機、編隊を密にしろ! 繰り返す、編隊を密にしろ!」

 

 ロクストンは必死に指示を飛ばす。

 この時には既に「アンタレス」は30機が失われ、「ベガ」も4機が撃墜されている。だが、悲劇はまだ終わらない。

 

『こちらビル2番! 前上方から新たな敵機!』

 

 2番機から警告を受け、ロクストンは前方を見上げて…固まった。

 

「何だあいつ!? プロペラが後ろにある!?」

 

 そう叫んだ瞬間、突っ込んできた敵機の機首に強烈な発射炎が閃いた。太い火箭が包み込むように殺到してくる。

 直後、これまで感じたことのない凄まじい衝撃がロクストンを襲った。激しい震動の中、自機の左エンジンが吹っ飛び、炎と黒煙が左主翼を覆うのを彼は見た。

 

「総員だっしゅ――」

 

 脱出しろ、と命じようとした時、左主翼で新たな爆発が起こり、炎の塊が凄まじい勢いで膨れ上がった。それが機体の燃料タンクの爆発だと気付く前に、ロクストンの視界は一面真っ赤に染まり、これまで感じたことのない苦痛と共に彼の意識は消し飛んでいた。

 

 飛行第266戦隊の隊長イギー・ヘルノート少佐はまだ生き残っていたが、地獄を目の当たりにしていた。

 アンタレス戦闘機が……グラ・バルカス帝国が誇る最強無敵の戦闘機が、赤子の手を捻るがごとくあっさりと撃墜される。前世界では圧倒的高性能を誇ったベガ型双発爆撃機も、まるで虫でも相手にしているかのように、たった一撃で叩き落とされる。命を懸けた猛烈な特訓で鍛え上げた腕を持つはずのパイロットたちが、「貴様たちの努力など無意味だったのだ」と言わんばかりに、次々と撃墜されていく。

 

 そして敵の戦闘機は、その異形の姿をイギーの前に見せつけていた。

 最初に襲ってきた敵機は、そもそもプロペラがない。灰色に塗装され、(やじり)のように尖った形状をしており、主翼は後方に向かって斜めに生えている。機体後部からは1本の炎を噴き出していた。その飛翔速度は信じがたいほど速く、「アンタレス」が全く追い付けないどころか、背後を取っても、機銃の照準を合わせている間に一瞬で振り切られてしまう。逆に後ろを取られたら、「アンタレス」が得意の旋回性能を発揮する暇もなく、青白い多数の火箭をまるで網を投げかけるようにぶちまける。「アンタレス」は避ける暇もなく絡め取られ、蜂の巣にされて叩き落とされる。

 それに、この敵機は時折ロケットのような兵器を放つ。友軍機は必死に回避行動を取っていたが、そのロケットは明らかに向きを変えて味方をぴったり追尾し、命中して「アンタレス」を一撃で木っ端微塵にしていた。

 

 そしてもう1種類の敵機もまた、異様な姿をしていた。プロペラはあるが、なんと機体後部に付いている。ついでに主翼も機体後部にあった。プロペラと主翼を後ろに付けた機体なんて、彼は見たことがなかった。

 機体形状は砲弾に翼とエンジンを付けて飛ばしているようなものであり、速度は灰色の機体には及ばないものの非常に速い。時速650㎞は余裕で出ているだろう。

 そして、機首には大威力の機銃を装備しており、「アンタレス」の20㎜機銃よりも太い火箭を放ち、「ベガ」に一撃で火を噴かせている。高速性能を生かし、爆撃機に対して一撃離脱戦法を仕掛けていた。

 

 それらの機体により、「アンタレス」も「ベガ」も次々に撃墜されてしまい、もはや残っているのはヘルノートくらいになってしまっている。無線も静かになってしまっていた。

 

「こ、こんな…馬鹿な……」

 

 彼は完全に絶望していた。そんな彼の背後に敵機が1機迫りつつある。それに気付いたヘルノートは回避機動を取ろうとする。が、敵は一瞬で距離を詰めてきていた。もう、逃げられない。

 

「そんな馬鹿な……そんな馬鹿なぁっ!」

 

 敵機からほとばしった大量の青白い火箭が突き刺さり、「アンタレス」がバラバラに砕けるまでの数秒間、彼はそう叫ぶ以外になかった。

 

 

「直掩隊から報告。『敵機全滅、(がい)(しゅう)(いっ)(しょく)ナリ』」

 

 通信長妖精が上げてきた報告に、"赤城"は無言で頷いた。そして無線機のマイクを取り上げ、全艦に告げる。

 

「赤城より全艦、対空戦闘終了、用具収め!」

『『『了解!』』』

 

 機敏な返事が返ってきた。

 上空には、J47-GE-17Bエンジンの(たけ)(だけ)しい(ほう)(こう)、そしてハ43エンジンの力強い轟音が響いている。敵機と交戦していた直掩隊が帰還してきたのだ。あまりにも優秀すぎて、各艦の対空火器を使うまでもなく、敵を全機撃墜してしまっていた。

 直掩に当たったのは、「赤城」の「F-86D改 セイバードッグ」12機、そして「加賀」の「(しん)(でん)(かい)」12機である。高い練度に加えて機体性能の差もあり、文字通り鎧袖一触で敵攻撃隊を全滅させてきたのだ。

 

「直掩機、収容始め。収容完了後は、全艦、針路・速度ともこのまま。目標、イルネティア島!」

 

 第26任務部隊は、再びイルネティア島を目指して航行を開始した。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「1機も連絡がないだと?」

 

 さらに約1時間後 午後2時45分、イルネティア島 バッケス基地。

 イルネティア駐留軍司令ルパート・フィッケル少将は、飛行長から寄せられた報告に眉をしかめた。

 昼過ぎに出撃した攻撃隊は、帰還時刻を30分ほど過ぎた今に至るも、1機も帰ってきていない。そればかりか通信さえ絶っており、完全に行方不明と化してしまっていた。

 敵は空母4を含む大艦隊、発見に失敗する方が難しい相手だ。そして、帝国軍の演習の中では、いくら激しい対空砲火を上げようとも、何機かは攻撃を実施し、そのうち何機かは攻撃を成功させて帰ってくるものだ。それが、まさかの全機未帰還、しかも連絡すら途絶しているのである。

 

(いったい何があったというのだ……)

 

 フィッケルは、頭を抱えたくなった。

 もし敵の直掩機や対空砲火によって全滅してしまったのだとすれば、敵の対空砲火や戦闘機は恐ろしい性能を持つということになる。何せ帝国の誇る「アンタレス」を60機も一息に全滅させ、それだけでなく高性能を誇る「ベガ」をも殲滅してしまっているのだ。前世界のライバルだったケイン神王国でも、これほどのことはできないだろう。

 

(敵は、いったいどれほどの強さがあるのか……? そして、東部方面艦隊との戦いを生き延びた敵の残存戦力は、どのくらいあるのか……?)

 

 それだけが、フィッケルには気がかりだった。

 

 実は、事態はグラ・バルカス帝国軍が想像しているより遥かに深刻である。

 東部方面艦隊と戦ったロデニウス海軍第13艦隊は、艦艇については損害を「出していない」。いや、正確には大破は多数あったものの、あくまで「艦娘の艤装放棄」に留まっており、「撃沈」は1人もいないのだ。

 そして、東部方面艦隊と戦い、艤装を失った艦娘たちも、既に艤装の再受領を完了して、戦力として復帰してしまっているのだ。ついでにいうと、母艦航空隊の再建もほぼ完了してしまっている。

 これは"釧路"の存在に依るところが大きい。彼女なしには、艤装の再建造など不可能だっただろう。「移動工廠艦」の名は()()ではないのである。

 

「やむを得ん。今日の航空攻撃は中止とする。

それと、第43地方隊に連絡し、イルネティア島南部沖で敵艦隊を迎撃させよ。敵のほうが戦艦の数が多いが、巡洋艦と駆逐艦の数ではこちらが上だ。それにレーダーもある。夜戦なら勝てる!」

 

 フィッケルは、本国艦隊第43地方隊の力を信じていた。

 第43地方隊の装備は、オリオン級戦艦1隻、スプートニク級小型空母2隻、タウルス級重巡洋艦3隻、キャニス・メジャー級軽巡洋艦4隻、スコルピウス級駆逐艦12隻、キャニス・ミナー級駆逐艦4隻。戦艦の数で負けているが、巡洋艦と駆逐艦は優勢だ。特に近距離戦闘が増える夜戦なら、勝機はあるだろう。

 こうして、夜間水上戦闘の刻が迫りつつあった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 時が過ぎ、日が沈んで午後9時ジャスト、第26任務部隊はイルネティア島からの距離150浬の位置にまで来ていた。途中で2度潜水艦の襲撃を受け、対潜戦闘と回避行動を取らざるを得なかったため、遅れが出たのだ。まあ、この程度は"赤城"には想定済みだったが。

 

(イルネティア島まであと少し。けれど、地球には「百里の道を行く者は、九十九里を以て半ばとせよ」という言葉がある。まだ油断はできない。

それに、そろそろ敵の水上部隊が出てきてもおかしくない……)

 

 ちょうどその時、電測長妖精が叫んだ。

 

「SG-1対水上レーダー、感あり! 艦隊よりの方位15度、距離24浬!」

「全艦に伝達、『合戦準備。夜戦に備え』!」

 

 報告を受けるや、"赤城"は(りん)とした声で命じた。

 予想した通り、敵艦隊が夜戦を仕掛けてきたのだ。しかも、距離24浬(≒45㎞)で探知できたということは、敵には戦艦がいる可能性が高い。

 

「筑摩さん、夜間偵察機を!」

『分かりました! 水偵のみんな、よろしくね』

 

 敵の戦力を把握すべく、"赤城"は"筑摩"に夜間水上偵察機の発進を命じた。

 航空巡洋艦「筑摩」は、近距離索敵機兼弾着観測機として「零式水上偵察機」を9機、夜間索敵機として「九八式水上偵察機(夜偵)」を5機搭載している。それを飛ばし、敵艦隊の観測を行おうと、"赤城"は考えたのだ。

 

「筑摩さんとアイオワさんは、第六駆逐隊、阿武隈さん、照月さん、リベッチオさんと共に、空母の皆さんの護衛をお願いします! アイオワさんは、いざとなったら独自判断で、ええと…とまほーく、でしたか? それを撃って下さい、どうぞ!」

『アイオワよりアカーギ、対艦攻撃よね? それだったらHarpoonと間違えてるわよ、どうぞ』

「赤城よりアイオワ、失礼しました! 場合によりハープーンで援護お願いします!」

『OK! 任せといて!』

「摩耶さん、那珂さんと第一七駆逐隊の皆さんは、私に続いてください! 敵艦隊を撃滅します!」

『合点だぜ! 生まれ変わった摩耶様の本当の力、見せてやる!』

『那珂ちゃんセンター、一番の見せ場です!』

『うちに任しとき!』

『今度こそ…守り抜くさ』

『相手にとって、不足なしです!』

『砲雷撃戦、いっときますか!』

『艦隊をお守りします!』

 

 全員、戦意は十分なようだ。

 夜間水上戦闘部隊に選ばれた面々は、いずれ劣らぬベテラン揃いである。"那珂"は比較的古い時期から艦隊を支えており、第一七駆逐隊の面々は比較的新参のメンバーもいるものの、「()()(すい)(せん)」の親玉たる"(じん)(つう)"に鍛えられたおかげか、練度はかなり高い。そして"摩耶"は「堺の7本の懐刀」に数えられる超ベテランである。本来の専門は対空戦闘だが、20.3㎝砲の火力は夜戦でも役立つはずだ。

 ……それを言い出すと、"赤城"自身も「7本の懐刀」の1本なのだが。

 

(この戦い、何としても勝ってみせる……!)

 

 "赤城"は闇の彼方に、闘志を(にじ)ませた視線を送った。

 

 10分後、複数の報告が上がった。

 

「筑摩の索敵1号機より入電! 『敵ノ並ビハ駆逐12、軽巡4、重巡2、戦艦1』!」

「電測より艦橋。敵艦隊、艦隊よりの方位10度、距離38㎞! 急速接近中!」

「逆探、感あり。波長10㎝。発信源は右15度~30度と推定。発信源さらに増加中!」

「敵はどうやら、こちらの存在に気付いていますね。電探使ってるようです」

 

 "赤城"も、グラ・バルカス帝国軍について話は聞いている。電探(レーダー)を実用化している可能性が高く、数で押してくるため、決して侮れる敵ではないと。

 だが、レーダーなら自分たちだって持っているし、艦の質や練度なら負けない自負はある。条件は五分五分、それならば夜戦上等だ。

 

「今の針路だと反航戦になりますね。敵に対して丁字を描きましょう。

艦隊、右90度回頭用意。敵との距離ヒトナナマル(17,000メートル)にて、左舷砲雷撃戦用意!」

 

 こちらの陣形は単縦陣。先頭が「赤城」、その後方に「那珂」「浦風」「磯風」「浜風」「谷風」「摩耶」と続いている。

 敵はおそらく、後方にいる戦艦と重巡でこちらを牽制しつつ、前方にいる軽巡と駆逐艦を突撃させ、「赤城」に雷撃を見舞ってくるだろう。だが、そうは問屋が卸さない。

 戦艦空母「赤城」の主砲は、45口径35.6㎝三連装KSK砲4基。実体弾を撃てないため、主砲による対空戦闘は期待できないが、その代わりに対艦戦闘では無類の強さを誇る。何しろ大和型のバイタルパートだろうと撃ち抜けるのだから。

 

「敵艦隊、さらに接近。距離フタゴーマル」

 

 電測長妖精は、刻一刻と敵が近付いてきている様子を知らせている。

 

「摩耶さん、弾着観測機を出してください」

『了解だぜ!』

 

 "摩耶"は弾着観測機として「零式水上偵察機」を搭載している。それを出し、(ちょう)(こう)弾投下と弾着観測に当たらせるのだ。

 

「敵との距離フタマルマル」

 

 夜間で20㎞先となると、目視では到底見えない。このため、「熟練見張員」と併用して対水上電探が使われるようになっている。

 

『敵艦隊を捉えたぜ! 吊光弾、いつでも行けるぞ!』

 

 合戦の準備が整ったようだ。

 

「主砲、電力回路接続。砲撃用意!」

「了解、主砲電力回路接続」

『見張所より艦橋。観測機、吊光弾投下!』

「艦長、砲戦目標の指示、願います」

「目標、前方の敵軽巡洋艦。2番艦を狙ってください。

軽巡や駆逐艦の魚雷は脅威です。速攻で撃沈した後、戦艦を叩きます!」

「了解しました。目標、敵軽巡2番艦!」

「目標、敵軽巡2番艦。測的始め!」

 

 「赤城」艦橋の雰囲気は殺気立ち、艦橋内に詰めている妖精たちも戦意を漲らせている。士気は十分だ。

 

「敵艦隊、距離ヒトハチマル!」

 

 この報告が来た瞬間、"赤城"は下令した。

 

「艦隊、右90度一斉回頭! おもぉかぁーじ!」

「面舵一杯、宜候(ようそろ)!」

 

 舵輪が目一杯回される。「赤城」は排水量が3万トンを超えているため、舵の効きが鈍い。早めに舵輪を回しておかなければならないのだ。

 25秒ほどのタイムラグの後、「赤城」は大きく右に艦首を振った。後続艦も続けて回頭する。

 

「敵艦隊、距離ヒトナナマル!」

「敵軽巡、駆逐艦、増速! 本艦に向かってきます!」

 

 敵はやはり、水雷戦隊による「赤城」への雷撃を狙っているようだ。見込み通りである。

 

「測的よし! 照準よし! 主砲射撃用意よし!」

「撃ち方始め!」

 

 "赤城"は凜とした声で命令を下した。

 左に向けられた3本の砲身、その1番砲から、太く青白い火箭が噴き伸びる。第二次バルチスタ沖大海戦に続き、「赤城」は敵艦に向けて主砲を発射したのだ。

 

「『那珂』撃ち方始めました! 続いて一七駆各艦、撃ち方始めました!」

「『摩耶』撃ち方始めました! 目標は敵重巡1番艦の模様!」

 

 味方も順次攻撃に入ったようである。

 その時、闇の彼方に発射炎が閃いた。発射炎に照らされ、敵艦のシルエットが一瞬だけ露になる。(たか)()型重巡に似た影が2つ、そして戦艦。

 

『敵戦艦、重巡、発砲!』

 

 見張所からその報告が飛び込んだ時、射撃指揮所から歓喜の声が届いた。

 

『初弾命中! 敵軽巡轟沈!』

 

 CICにいる"赤城"には、その様子は見えなかったが、指揮所にいた面々ははっきりと見た。

 闇を切り裂くように直進した35.6㎝KSK砲弾4発は、吸い込まれるように敵軽巡2番艦に命中。正面から射弾を喰らったキャニス・メジャー級軽巡洋艦は、ひとたまりもなく叩き潰された。箱のような艦橋とマスト、それに3本煙突が一瞬で消し飛んだかと思うと、艦体前部で爆発が起こり、四角い構造物と細長いものが宙を舞う。その直後、艦体後部で巨大な爆発が発生し、束の間夜の闇が駆逐された。

 「赤城」の砲撃は、敵軽巡洋艦の装甲をやすやすと貫通し、上部構造物と主砲を破壊した後、魚雷発射管を直撃し、魚雷の誘爆を引き起こしたのだ。複数の魚雷が一時に爆発したのでは、軽巡が耐えられる打撃ではない。

 

「目標、敵軽巡4番艦! 測的始め!」

 

 軽巡洋艦の1番艦は"那珂"に任せ、"赤城"は新たな敵軽巡洋艦に狙いを定めるよう命じた。

 駆逐艦や軽巡洋艦の魚雷は決して侮れない。それに、"摩耶"はたった1人で敵重巡洋艦2隻と渡り合っているし、敵戦艦はおそらくこちらを狙っている。手早く片付け、戦艦を倒す必要があった。

 

「測的よし! 照準よし! 主砲射撃用意よし!」

「撃ち方始め!」

 

 "赤城"が命じた時、空が落下してくるかのような轟音が響いた。と思った時、「赤城」の左舷に白く太い水柱が4本屹立する。

 敵戦艦の砲撃だ。敵はこちらに正面を向けているから、おそらく前部の2基の主砲を斉射してきたのだろう。

 敵戦艦の主砲弾落下による水柱を掻い潜るようにして、「赤城」の2番砲から放たれた砲撃が飛んでいく。しかしここで、敵戦艦は左に大きく艦首を振った。回避行動ではなく、同航戦に持ち込むための回頭らしい。そのため、“赤城”の第1射は空振りとなった。

 

『那珂、敵軽巡に命中弾!』

『磯風、敵(きょう)()! 次より斉射!』

『浦風、被弾!』

『弾着、全弾近!』

 

 次々と報告が入ってくる。

 

「主砲、下げ50! 次弾砲撃用意!」

「射撃用意よし!」

「第2射、()ぇ!」

 

 「赤城」各主砲の3番砲が雄叫びを上げる。4条の青白い光線が闇を裂き、敵軽巡洋艦へと突進する。

 

『浜風、被弾!』

『磯風、敵3番艦撃沈! 目標を敵6番艦に変更!』

『浦風、さらに被弾! 火災発生!』

 

 敵味方ともに被害を出しつつ、交戦を続けている。

 その時、突然敵隊列の後方からおどろおどろしい爆発音が伝わってきた。それに混じって、見張員妖精が歓喜の声を上げる。

 

『敵重巡1番艦轟沈! 「摩耶」の砲撃です!』

 

 

 「赤城」が敵の駆逐艦を減らそうとしている時、「摩耶」は1隻だけで敵の重巡洋艦2隻を相手取ろうとしていた。

 

「1対2、上等! 勝てると思ってんなら大間違いだ、全艦まとめて叩き沈めてやる!」

 

 自分のほうが圧倒的劣勢であるにも関わらず、"摩耶"は全く(ひる)む様子を見せない。それどころか、彼女は艦橋の中央に仁王立ちとなり、不敵な笑みを浮かべている。

 敵が水雷戦隊を前面に出し、「赤城」に雷撃を狙うだろうことは、彼女にも分かっていた。戦艦を駆逐艦で仕留めるには魚雷しか方法がないのだから、誰だってそうする。それに、敵のほうが駆逐艦の数が多いのだ。雷撃射点につける可能性は高い……と敵艦隊が勘違いしてもおかしくはない。

 この場合、敵戦艦は水雷戦隊の援護を兼ねて「赤城」を狙うだろう。となると、「摩耶」を狙ってくるのは2隻の敵重巡となる。

 "摩耶"は既に、交戦プランを組み立てていた。まず敵重巡1番艦を仕留め、その後は敵重巡2番艦と腰を据えて撃ち合うことになるだろう。上手くすれば、他の敵艦も叩きに行けるかもしれない。そして敵重巡の1番艦だが…上手くいけば、一撃で仕留められる。

 

(まずは目の前の敵だな)

 

 そう考えつつ、"摩耶"は発砲を命じた。

 

「目標、敵重巡1番艦。砲撃始め!」

「目標、敵重巡1番艦。砲撃始めます!」

 

 砲術長妖精がそう返すや、ブザーの音が艦橋に響いた。

 それが途切れると同時に、艦橋の前後で雷鳴のような砲声が轟き、艦体が震えながら僅かに右へ傾ぐ。各主砲…「20.3㎝(3号)連装砲」の1番砲を放ったのだ。

 

『敵重巡1番艦発砲! 前部主砲の斉射です!

続いて2番艦発砲。こちらも前部主砲の斉射!』

 

 見張員妖精が敵の動きを知らせてくる。

 

「上等じゃねえか。お前らが誰と戦ってんのか、実技で教えてやるぜ!」

 

 今や闘志が女性の形になったもの、といっても過言ではない様子を見せている"摩耶"は、凄みのある笑みを浮かべた。

 

「艦長より砲術、どのタイミングで使うかはまだ分からんが、一応『四三式弾』を用意しといてくれ」

「四三式…でありますか?」

「ああ。一斉射分でいい」

「承知しました」

 

 何故に対空砲弾である「四三式弾」を対艦戦闘に使うのか、分からないながらも、砲術長妖精は素直に指示に従った。

 

「それと、敵重巡が左回頭に入ったら、即座に斉射だ! タイミング間違えんなよ!」

「承知しました!」

 

 もちろん、彼女のこの指示には意味があった。

 そこへ、降ってきた敵弾が落下し、巨大な水柱を立てる。初弾であるせいだろう、まだ至近弾すらない。

 

(あちらさんも電探あるはずだが……まあ、初弾命中はそうそう出ねぇか)

 

 などと"摩耶"が考えている間に、彼女の射弾と敵重巡2番艦の射弾が落下した。どちらも目標を捉えてはいない。

 

「第2射、()ぇ!」

 

 再び3隻は互いを撃ち合ったが、こちらにも直撃弾はない。合計12発の20㎝砲弾は、海水を空に噴き上げただけだ。

 そして、"摩耶"が第3射を放とうとした時、それは起きた。

 

「砲術より艦長。敵重巡1番艦、取舵!」

 

 それを聞くや、彼女はただ一言、命じた。

 

「ぶっ放せ!」

「全門斉射、宜候!」

 

 瞬間、交互撃ち方のそれに倍する衝撃が「摩耶」艦体を震わせた。20.3㎝砲4基8門を、一斉に発射したのだ。

 回頭中の艦というのは、速度が大きく低下し、端から見ると止まっているように見えるものである。そこを狙って、"摩耶"は主砲の全門斉射を命じたのだ。上手く行けば、ブチ当てられる。

 

(さあ、どうだ……?)

 

 敵の速度を計算して、敵艦のやや前方に向けて主砲を撃ったが、当たるかどうかはまだ分からない。

 固唾を飲んで見守る"摩耶"。敵艦が回頭を終えた…と思った時、彼女の射弾が落下し、敵艦の姿が水柱の向こうに隠れた。そして次の瞬間、強い光が一瞬だけ夜の闇を消し去り、少し遅れて凄まじい爆発音と衝撃波が「摩耶」の艦体を叩いた。

 大爆発を起こした敵巡洋艦1番艦は、艦の後部が炎と黒煙に覆われ、行き脚は完全に止まっている。よく見ると、艦首と艦尾が僅かに持ち上がっていた。

 

『命中! 敵重巡1番艦轟沈!』

「よし!」

 

 見張所から寄せられた歓喜の報告に、"摩耶"はガッツポーズを決めた。

 彼女の砲弾は敵重巡の後部に命中し、魚雷発射管を直撃して誘爆を引き起こしたのだ。4本以上もの魚雷が同時に爆発したのでは、敵重巡にとっては致命傷のはずだ。

 

「目標、敵重巡2番艦。測的始め!」

 

 戦闘不能となった敵艦にこだわる暇はない。"摩耶"は即座に目標切り替えを命じた。同時に砲術長妖精に質問する。

 

「今装填してるのは徹甲弾か?」

「はい、そうです」

「それの次に『四三式弾』を装填することは、できるか?」

「可能であります」

「よし、次弾は『四三式弾』。敵重巡の頭をこんがり焼いてやれ! ついでに照明弾代わりにしてやれ」

「は!」

 

 そう、「四三式弾」は燃料気化砲弾であるため、炸裂すると広範囲を焼くことができる。装甲貫徹力はないに等しいが、装甲のない測距儀やレーダーアンテナになら、被害を与えられる。それらを破壊すれば、敵は正確な射撃が不可能となるばかりか、こちらは「四三式弾」の閃光で照らされた敵艦を正確に照準できる。

 

『見張より艦橋、敵重巡2番艦回頭終了。発砲しました!』

「測的よし! 照準よし! 射撃用意よし!」

「撃ち方始め! 一斉撃ち方!」

「一斉撃ち方、宜候!」

 

 強烈な反動と砲声が、「摩耶」艦体を揺さぶる。それが収まったタイミングで、"摩耶"が号令をかける。

 

「次弾装填! 弾種四三式!」

「弾種四三式、宜候!」

 

 「四三式弾」の装填を待つ間に、敵の射弾が落下する。1発が至近に落ちたらしく、「摩耶」の艦体が爆圧を受けて右に傾ぐ。

 

『左舷中央に至近弾1。損害軽微!』

「装填よし! 砲撃用意よし!」

「ぶちかませ!」

 

 "摩耶"の「20.3㎝(3号)連装砲」4基が、三たび一斉射を放つ。敵も撃ち返してきた。

 弾着は"摩耶"のほうが僅かに早い。敵重巡のすぐ真上に巨大な光の玉が8つ出現し、敵艦の影がくっきりと浮き上がった。

 

「測的、射撃諸元の再計算を急げ!」

「砲術了解、測的をやり直します。次弾、弾種徹甲!」

 

 "摩耶"が命じ、砲術長妖精が返答した直後、敵の砲弾の落下音が響いた。甲高い音が彼女の頭上を左から上に抜け、5本の水柱が「摩耶」右舷に突き立つ。

 

「敵はまだ照準を合わせてない、今のうちに先手を取るぞ!」

 

 "摩耶"がそう命じた時、

 

「砲術より艦長、射撃諸元入力よし!」

 

 砲術長妖精が報告を入れた。

 

「砲術長、やれるな?」

「あんだけ明々と照らされたんですよ。これで外したら、懐刀の名折れですぜ!」

 

 "摩耶"の問いに、砲術長妖精は不敵な笑みで応じた。

 この頃には、もう「四三式弾」の閃光は消えている。だが、計算は十分できたはずだ。

 

「よし、一斉撃ち方! 外すんじゃねえぞ!」

「合点承知! 一斉撃ち方、てぇーっ!」

 

 「摩耶」はこの日4度目の斉射を放った。敵艦も艦上に発射炎を閃かせる。

 今度も、弾着は「摩耶」が先だった。敵艦の艦上にぱっと閃光が走った、と思った時には、大量の水柱が敵艦を隠す。

 

「命中っ!」

 

 歓喜の報告が上がる。

 水柱が崩れると、敵は赤々とした炎の中にその姿を見せていた。

 

「2発命中、火災発生!」

(いっ)()()(せい)に叩きのめせ!」

 

 砲術長妖精の報告と"摩耶"の号令を押し潰すように、敵弾の飛翔音が迫った。

 直後、「摩耶」を挟み込むように複数の水柱が(ほん)(とう)し、艦体が激しく揺さぶられる。

 

「夾叉されました!」

「怯むな! ()ぇー!」

 

 全く動じる風もなく、"摩耶"は号令する。

 先に命中弾を出したのはこちらだ。このまま攻撃し、敵艦を倒してしまえば良い。彼女はそう考えていた。

 4基の主砲が咆哮し、それに応じるように敵艦も発砲する。発射炎はさっきまでの砲撃よりも強烈だ。敵艦は、斉射に踏み切ってきたのだ。

 

「だんちゃーく、今!」

 

 しばしの後、砲術長妖精が報告した。同時に、敵艦の艦上に爆発光が煌めく。火災炎が拡大し、敵艦はより明るく照らし出された。火災はどうやら、艦体後部で起きているようだ。

 ただ、まだ火災煙が後方に流れているところから判断して、敵艦の機関は生きている。更なる打撃が必要だった。

 その時、敵弾の飛翔音が急速に拡大したかと思うと、後方から強烈な衝撃が艦橋を襲った。"摩耶"自身も足を(すく)われ、床に膝をつく羽目になった。そこへ砲術長妖精が、真っ青な顔で叫ぶ。

 

「砲術より艦長。第3砲塔被弾!」

「…!」

 

 これには"摩耶"もうめき声を漏らした。

 

「弾火薬庫、注水急げ!」

 

 だが彼女も歴戦の艦娘である、即座に対処命令を出し、敵艦を睨み据えた。

 

「やってくれたな……。やられたらやり返す! 10倍返しだ!」

 

 その言葉と共に、3基に減った主砲が火を噴く。

 少しして敵艦も発砲したのだが、後方に(なび)く火災煙が吹き飛ばされない。後部の2基の主砲が沈黙している。

 

(敵も主砲を潰されたな。どっちも残る主砲は3基、これで五分五分だ!)

 

 まだ勝機はある。絶対に勝ってやる。その気合いを(みなぎ)らせ、"摩耶"は弾着を待った。

 「だんちゃーく、今!」の声と同時に、敵艦に新たな直撃弾が出る。距離があるため、どの程度の打撃を与えられたかは判然としない。

 そこへ敵弾が落下した。今度は1発が艦首に直撃し、揚錨機が粉微塵に吹っ飛ぶ。前部甲板に大穴が穿たれ、黒煙が噴出し始めた。

 

「前部甲板に被弾。火災発生!」

「応急班、ダメコン急げ!」

 

 指示を出した時、"摩耶"はあることに気付いた。

 敵艦の火災煙が後方に引きずられることなく、1箇所にわだかまったようになっている。

 

(機関が()(しゃ)()になったな)

 

 彼女はそう直感した。

 黒煙がわだかまっているということは、敵艦の速度が落ちているということだ。この状況で意図的に減速するとは思えないから、考えられる可能性はただ1つ、さっきの彼女の攻撃で機関をやられた、というものになる。

 

「苦しませたかぁねえ……これであの世に行きな!」

 

 速度が低下した敵艦に向け、主砲が吼え猛る。その時、敵艦の艦上に新たな閃光が走った。主砲を撃ってきたのだ。

 

「まだ生きてんのか、しぶといな。だが、それもいつまで保つ?」

 

 "摩耶"が呟くように言った時、彼女の射弾が落下した。水柱の向こうに、敵艦が見えなくなった。

 水柱が崩れた時、敵艦はおびただしい量の黒煙を噴き上げていた。黒煙はほとんどその場にわだかまっており、艦橋も炎に包まれているように見える。

 

(やったかな)

 

 こちらに飛んできた敵弾が外れたところに落下するのを見て、"摩耶"はそう思った。

 そのまま少し様子を見るが、敵艦の主砲が火を噴く様子はない。ここに至り、彼女は敵艦撃沈と判断した。

 

「勝つには勝ったが、思ったより喰らったな……。

艦橋より見張所、味方の様子は?」

『見張所より艦橋、駆逐艦「浦風」大火災。戦闘不能の模様。他、「浜風」「那珂」損傷。なれど、敵軽巡4隻撃沈破、敵駆逐艦は10隻近く撃沈破した模様。「赤城」は現在、敵戦艦と交戦中!』

 

 今までは自身の戦闘に追われていて気付かなかったが、遠雷のような砲声が轟いている。敵戦艦の発砲音だろう。

 

「『赤城』が損傷した様子はないか?」

『「赤城」に火災、艦体傾斜、いずれも認められず。敵戦艦と4つに組んでいます』

「了解。

通信、機動部隊から緊急信はないか?」

「通信より艦長、緊急信無し」

「よし、ならアタシは周囲の警戒に当たろう」

 

 報告を聞いて"摩耶"は即決した。

 まだ敵の駆逐艦が突っ込んでくるかもしれない。機動部隊には「アイオワ」がいるとはいえ、警戒するに越したことはない。

 

「艦長、『赤城』を援護しなくてよろしいのですか?」

「要らん要らん」

 

 砲術長妖精の疑問を、"摩耶"はバッサリと切った。

 

「赤城の火力と命中精度なら、アタシの援護無しでもやれるだろ」

 

 そう言った瞬間、闇の彼方に凄まじい閃光が走った。一拍遅れて、海面が割れたかと錯覚するような轟音が響き渡る。

 敵戦艦が激しい火災を起こし、赤々と燃え盛っていた。黒煙は海面付近まで流れ落ち、艦の周囲にわだかまっている。水蒸気らしい白い煙も見えた。

 

「ほらな」

 

 それを見やって、"摩耶"が言う。

 

「確かに…」

 

 砲術長妖精も、これには同意せざるを得なかった。

 "摩耶"が敵の重巡洋艦2隻を抑えている間に、"赤城"は"那珂"、一七駆と共に敵水雷戦隊を撃退し、その後はたった1人で敵戦艦と撃ち合い、これを見事に仕留めたのだ。流石は410㎜装甲すら穿つKSK砲の威力と命中精度、そして彼女の練度の高さ、というところだろう。

 

 こうして、「イルネティア島南西沖夜戦」は終わった。

 ロデニウス海軍第26任務部隊は、"浦風"が艤装放棄、"摩耶"、"那珂"、"浜風"、"谷風"が損傷。小破で済んだ"摩耶"と"那珂"、"谷風"はともかく、"浜風"は中破してしまった。某ちょび髭閣下なら間違いなく「お○×いぷるーんぷるん!」とツッコミを入れる状態になってしまったのである。元々そうなってるだろ、って? ご(もっと)も。

 まあとにかく、"浜風"の作戦継続参加は危ぶまれたのだが、本人の強い意志により継続参加が決定した。ただし、「絶対に無理をしないように」とは"赤城"直々のありがたーいお言葉である。また、“浦風”本人と彼女と共に戦って生き残った妖精たちは“雪風”に救助された後に「アイオワ」へと移乗した。

 一方のグラ・バルカス海軍第43地方隊はというと、戦艦1、重巡2、軽巡3、駆逐艦7を喪失し、軽巡1、駆逐艦3が損傷。健全なのは駆逐艦1隻だけという、「全滅」以外の表現が見つからない、(さん)(たん)たる惨敗であった。まあ、相手が悪すぎた。第43地方隊は元々が「植民地護衛艦隊」であり、現地人の反乱の鎮圧等の「弱い者いじめ」の経験はあっても、ガチ艦隊との正面からの殴り合いは経験したことがない。そのため、艦娘たちの練度と艤装性能の差も合わさり、ここまで辛酸を舐める羽目になってしまったのだった。

 

「これで、敵艦隊1個を撃滅しましたね。規模から考えて、おそらく地方隊クラスの敵部隊でしょう。ですが、まだどこかに空母がいてもおかしくありませんね。明日以降は警戒しておかないと」

 

 呟きつつ、"赤城"は艦隊陣形の再編成を命じた。

 その遥か後方では、増援となる第27任務部隊(TF27)として戦艦「()(さし)」「()(えい)」「(きり)(しま)」、航空母艦「(しょう)(かく)」「(ずい)(かく)」他巡洋艦4隻、駆逐艦12隻のガチ艦隊がイルネティア島へと向かっている。

 

 イルネティア王国解放は、果たして叶うのか。この段階でそれを知る者は、まだ誰もいなかった。




とりあえず、ムー大陸からの空襲をある程度阻止した上で、イルネティア島にいた敵艦隊1個を壊滅させることに成功。しかし、まだ敵には十分な海上戦力・航空戦力が残っているようです。海と空の戦いはまだまだ続きそうですね。
次回以降、イルネティア島への直接攻撃が始まることになるでしょう。そして、海戦も増えてくると思います。結構な規模の群像劇になることが予想されます…描くのは大変ですが、頑張りたいと思います。

それと、こっそり仕込んであったエスコンネタに気付いた方は挙手していただけると幸いです。


UA90万突破とは…皆様、本当にご愛読ありがとうございます!!

評価9をくださいましたdousen1様
評価10をくださいましたかいざーおー様
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また、新たにお気に入り登録してくださいました皆様、ありがとうございます!


次回予告。

パガンダ島攻略と同時並行で始まったイルネティア解放戦。未だ強大な海軍・空軍力を保持しているグラ・バルカス帝国軍に対し、ロデニウス海軍第13艦隊は艦娘たち・妖精たちの練度と「アイオワ」搭載の誘導弾を武器に挑む!
次回「イルネティア解放戦(2)」
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