鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。 作:Red October
なお私事ながら、チャンミは2連勝目を飾れました。あのチャンミ決勝後のライブ「Ms. VICTORIA」…何やら死体蹴りライブとか言う人もいるようですが、そんな方にはこの言葉を送りたい。
「明日のために、今日の屈辱に耐えるんだ。それが漢だ!」
負けたのなら、どこかでミスがあったということですから、死体蹴りとか抜かす前に反省会して次回勝てば良いでしょう。
これが、今年最後の投稿になります。
中央暦1643年6月18日 午前4時45分、リーム王国沿岸 ヒルキガ南東100㎞沖。
そして、ダイヤモンドの中央には一際大きな艦が航行している。幅が広く、全長も戦艦クラスはありそうなその巨艦には、しかし戦艦のような大口径砲がない。むしろ右舷側に寄せられた艦橋構造物といくつかの火器、それに巨大な煙突を除けば、最上甲板は真っ平らだ。それは明らかに、「
レキシントン級航空母艦2番艦「サラトガ」。それが、この艦の艦級と名称である。
甲板の上には、既に多数の機体が並んでいた。どれも酒樽を思わせる太い胴体が特徴だ。
第二次世界大戦中期〜後期におけるアメリカ軍の主力艦上戦闘機「F6Fヘルキャット」である。しかも”Saratoga”に配備された機体は、「F6F-3」から「F6F-5」にバージョンアップしていた。
その「F6F-5」は今、全機が
「Saraの子たち、頼みます。いい? Attack!」
艦橋にて飛行甲板を見下ろしながら、”Saratoga”が号令をかける。
エンジン音が一際高まり、先頭にいた「F6F-5」がゆっくりと滑り出した。最初はゆっくり、それからどんどん加速していき、短距離走の選手を思わせるスピードとなって飛行甲板の前縁から飛び立つ。2番機以降も順次発艦していった。
「F6F-5」が順番に飛び立つ間に、昇降機は忙しなく飛行甲板と格納庫を往復し、格納庫で発艦準備をしていた航空機を飛行甲板に上げる。「F6F-5」に続いて飛び立とうとしているのは、尖った機首が特徴の複座機だ。急降下爆撃機の「
20分ほどで発艦作業は終了し、「サラトガ」を飛び立った攻撃隊は艦隊上空で陣形を組むと、北西の海に向けて飛び去っていった。その方角にはリーム王国の王都ヒルキガがある。
攻撃隊の目標は、軍港施設と軍港にいるリーム艦隊。
少し時計の針が進んで午前5時50分、リーム王国 王都ヒルキガ。
そろそろ一般市民たちも起き出そうという時間帯だが、まだ市内の道路の人通りは少ない。さらに、軍港や艦艇でも「総員起こし」の号令は出ていないため、非番の者は日頃の訓練での疲れを癒すべく、まだベッドの中であった。
そんな中、
「ん?」
リーム王下直轄海軍・第1艦隊のとある戦列艦の艦上で、対空バリスタの自主練をしていた兵士が何かに気付いた。
「どうした?」
同僚に声をかけられ、その兵士は周囲を見回しながら答えた。
「何か、妙な音が聞こえねぇか?」
「妙な音?」
「ああ。何かこう、ブーンとかグォーンとかいうような、低い音が…」
そう言いながら周囲を見回していた兵士の視線が、ある一点で止まった。
「おい、何だあれ?」
「ん?」
その方角を見ると、そこには空を飛んで近付いてくる多数の黒点が見えた。
「この音、あそこから聞こえるみたいだな」
「何だあの飛んでる奴? うちのワイバーンロードか?」
「だと思うが、ワイバーンがあんな重低音出すか?」
水兵たちがそんな会話をする間にも、黒点は少しずつ大きく見えてくる。つまり、近付いて来ているのだ。
不意に、単眼鏡を覗いていた水兵の1人が引き
「おい、ありゃワイバーンじゃない! 羽ばたいてないぞ! 飛行機械だ!!」
「なにっ!?」
「飛行機械だと!?」
リーム王国内にもムーの空港はあるのだが、それは内陸部にある。そのためムーの旅客機や輸送機がこんなところを飛行することは、ないと言い切れる。
では、この大量の飛行機械は何なのか。答えなど、考えるまでもない。
「待て、ありゃもしかしてロデニウスの飛行機械か?」
「もしそうなら……」
「いや、議論するまでもないだろ! て、敵襲ー! 敵襲だーっ!!」
兵士たちは艦内に向かって絶叫した。その声で次々と寝ていた水兵たちが起き出し、ハンモックから転がり出る。一瞬にして戦列艦は騒がしくなった。
ジャーンジャーンジャーン……
小隊の旗艦として動く戦列艦では、命令伝達のために搭載された銅鑼が短間隔で打ち鳴らされる。それは「非常事態」を意味する信号であった。
ヒルキガ軍港にてロデニウス軍に対する軍事行動を行うため準備していたリーム海軍第1艦隊、そしてヒルキガ防衛を担う第3艦隊は、突然の奇襲によって大混乱に陥った。何とか帆を張って出港しようとしているが、そう簡単にできる作業ではない。加えて竜母ではワイバーンロードを叩き起こして飛ばそうとしていたが、無理やり起こされたワイバーンロードがヘソを曲げてしまい、竜騎士の言うことを聞かずにぐずる様子も見られた。
まごまごしている間にも、空母「サラトガ」から発艦した第一次攻撃隊は、その速力を以てあっという間にリーム艦隊の上空に殺到。そのまま攻撃を開始した。
制空戦闘にあたる「F6F-5 ヘルキャット」が空に睨みを効かせている間に、HVARロケット弾を装備した「ヘルキャット」が対艦攻撃に移る。その目標は戦列艦だ。
空から撃ち下ろされたロケット弾は、木でできた最上甲板をあっさり貫通して艦内へ飛び込み、砲列甲板で炸裂した。砲列甲板は戦列艦の主兵装たる魔導砲が並べられた甲板であり、当然すぐ近くに即応用の発射薬がある。そんなところで爆発が起きればどうなるかは、分かり切った結果であった。
不意に戦列艦の最上甲板が大きく盛り上がったように見え、その直後に大量の焼けた木切れが八方に飛び散り、凄まじい火柱が噴き上がる。たった2発のロケット弾で戦列艦1隻が大爆発を起こし、炎の塊と化した。しかも1隻だけがやられたのではなく、早くも5隻がロケット弾を撃ち込まれて大炎上している。
災難だったのは、これが艦の密集している港内で起きてしまったことだ。爆発した戦列艦から飛んできた火のついた木切れが、そのまま無事な戦列艦に落下し、新たな火種となって燃え始める。中にはなんと、火のついたマストがブーメランのごとく飛んできて、それによって最上甲板にいた兵士とマストを薙ぎ払われた挙句、燃やされる戦列艦まで出る始末である。
ロケット弾を使い果たした「ヘルキャット」は、そのまま12.7㎜機銃6丁を振り回して対艦攻撃を継続するか、上空警戒に回る。12.7㎜機銃であっても、木造の戦列艦には十二分の威力であった。
「ヘルキャット」に続いて、重量800㎏の航空魚雷を抱えた「流星」が機体を
未だ混乱から抜け出せずにいるリーム艦隊に対し、「流星」は何らの迎撃も受けることなく突進していく。投弾点に達した機体から順に魚雷を投下し、何本もの白い線が海面に描かれ、それらがリーム艦隊に迫っていく。そして戦列艦や竜母に突き刺さるや、その威力を解放した。
この世界では水中攻撃が衝角くらいしか知られていないこともあり、戦列艦や竜母の喫水線下の防御はないに等しい。そのため魚雷は凄まじい威力を発揮した。艦底部を穿たれた戦列艦は、白い水柱を一瞬で赤い火柱に変え、魔導砲の弾薬の誘爆によって瞬時に真っ二つとなり轟沈する。下腹を抉られた竜母は、艦内を瞬く間に海水に席巻され、みるみるうちに傾斜していく。やがて乗員やワイバーンロードを海面にぶちまけながら転覆した。
ヒルキガの港にいたリーム王国海軍の2個艦隊は、この1回の空襲で半数以上の艦をやられて壊滅した。しかも、攻撃を受けて大破した艦が沈没ではなく着底してしまったせいで、無事な艦も身動きが取れなくなってしまった。如何に優れた性能の戦列艦であっても、外洋に出られなければ意味はない。
ちなみにヒルキガ上空には4騎のワイバーンロードが哨戒任務に就いていたのだが、全騎が制空隊の「ヘルキャット」に一瞬で食われた。当たり前である。
そして実は、「ヘルキャット」の一部と「流星」隊が艦隊を攻撃している間に、残りの「ヘルキャット」と「彗星一二型甲」はヒルキガ市街地を通過してワイバーン飛行場を叩きに行ったのである。
先頭を切って突っ込んだ「ヘルキャット」がHVARロケット弾を発射するや、地上に設置された対空用バリスタが吹っ飛び、監視塔が炎に包まれる。滑走路では2騎のワイバーンロードが離陸のため滑走していたが、飛び立った直後で速度が出ないところを12.7㎜機銃で撃ち抜かれ、滑走路に叩きつけられる。さらに、滑走中のワイバーンロードも機銃掃射で斃れ、その死骸が滑走路を塞いでしまう。
「しまった!」
「何とかしてあれを退けろ!」
慌ててリーム軍の兵士や滑走誘導員が走り出すが、それを見澄まして後続の「ヘルキャット」が12.7㎜弾の豪雨を降らせる。滑走路や周辺の地面に線状に土煙が噴き上がり、それに接触した兵は一瞬で身体の一部が消失して斃れる。周囲には人体だったもののパーツが真っ赤な
その時、飛行場の上空に金属質の高音が響き始める。「彗星一二型甲」が順番に機体を翻し、急降下に入ったのだ。甲高いダイブブレーキの音をいっぱいに鳴らし、獲物に狙いを定めた猛禽のように、まっすぐ滑走路に突っ込んでいく。
リーム王国軍の魔導士が魔法を撃ち上げ、生き残っていたバリスタで矢を放つ兵もいる。だが、どちらも弾速が遅い上に単発撃ちであるため当たらない。それどころか、聞き慣れないダイブブレーキの音に焦り、照準を定めるより先にめくら撃ちしたり、呪文を唱え間違えて不発にしてしまう有様である。
擦りもしない対空砲火の中、突っ込んできた「彗星一二型甲」は次々と機首を引き起こした。甲高い金属音が猛々しいレシプロエンジンの咆哮に変わった時、地上に閃光が走り爆炎が湧く。土煙と共に黒煙が立ち昇り、けたたましい倒壊音が響く。
急降下爆撃が終わった時、飛行場の姿は一変していた。滑走路には複数の大穴が穿たれ、破壊された魔石の破片や生物だったものの一部が散らばっている。
ワイバーンの発進は到底不可能となってしまったヒルキガ郊外の飛行場。それはつまり、ヒルキガ上空の制空権が失われたということであった。さらに、海軍の艦隊もまともに動けなくなったため、制海権もほぼ失いかけている。
ついでに、実はヒルキガ郊外に設置されていたグラ・バルカス帝国の飛行場にも爆弾が落とされていた。こちらの飛行場はまだ建造率10%にも満たない未完成の場所であり、整地や兵員宿舎の建設が終わっただけで対空機銃すらまともに据え付けられていなかったが、そんなの知ったことではないとばかり、容赦無く爆弾が落とされた。
グラ・バルカス帝国に加担し、ロデニウス連合王国を倒して自身が第三文明圏内外の君主に入れ替わろうと画策していたリーム王国。その戦略に基づき、グラ・バルカス帝国に領内における飛行場建設を許可して土地を提供していたのだが、完全に仇となった格好だった。
いい仕事をしたロデニウス軍航空部隊は、悠々と翼を翻して母艦「サラトガ」に向けて帰っていった。
空襲が終わってしばらく時が経ち、朝日もすっかり昇った頃、再びヒルキガ。
王城セルコ城には次々と、今朝一番で行われた空襲の被害の報告が上がってきていた。その第一報の山に目を通し、リーム王下直轄軍の大将軍リバルは一瞬で顔色を蒼白にした。
「何だこれは……制空権も制海権も、ほぼ失いかけているではないか!
まずい、これはまずいぞ! 我が軍の戦略方針が、瓦解してしまう…!」
実はリーム王下直轄軍は以前から、もしロデニウス連合王国と敵対することになった場合に戦略をどうするか、検討していた。その戦略方針は、一言で言うなら「水際撃滅」である。特に陸上において正面からロデニウス軍に立ち向かうのは難しいと判断され、さらにロデニウス軍はヒルキガを狙ってくると考えられていたため、陸海軍の兵力と竜騎士団をなるべくヒルキガに集結させることにしていたのだ。
最初は敢えて迎撃戦力を差し向けず、竜騎士団によるエアカバーが行える場所でひたすら戦力温存に徹する。そして、ロデニウス軍がいよいよ上陸部隊を差し向けてきたところで、陸上では兵力を総動員し、さらに沿岸砲台も活用して、上陸を図るロデニウス軍を全力で迎え撃つ。そして戦列艦隊で退路を断ち、包囲してすり潰す……というのが、リーム王下直轄軍によるロデニウス軍迎撃の方針である。
その方針が早くも実現困難になったのだ。
そもそも飛行場が発着不能になってしまったため、ワイバーンの運用ができない。そして、ロデニウス軍艦隊の後方に回り込むはずの戦列艦隊も、その多くが撃沈破された他、港から出ることも困難になってしまった。特にワイバーン運用不能は痛すぎる。
これで、ロデニウス軍を迎え撃てるものだろうか。
「と、ともかくも、まずは陛下にご報告申し上げなければ…!」
己の主君に報告すべく、リバルは各部から上がってきた報告をまとめて執務室へと向かった。
ところが、リバルがバンクスに報告を行っている真っ最中に「非常事態」を知らせる鐘の音が鳴り響く。今度はロデニウス海軍第16.1航空戦隊(フェン王国から発進した基地航空隊)の「一式陸上攻撃機」と護衛の戦闘機隊による空襲だ。護衛にあたっているのは爆装した「零戦62型」、そしてなんとフェン王国空軍(パーパルディア皇国との戦争が終わってすぐの頃に新しく発足した)が装備する「一式戦闘機
交差した曲刀と銃剣付きライフルの国籍マークが特徴的な一式戦闘機に守られ、爆撃隊は直ちに攻撃を開始する。グラ・バルカス帝国の飛行場への攻撃が「効果不十分」と判定されたため、こちらへの再攻撃に当たる部隊と、市街地の道路を爆撃して馬車の通行を妨害する部隊に分かれていた。
哀れなのは建設中のグラ・バルカス帝国飛行場である。まだ全くと言って良いほど建設されていないというのに、滑走路と兵員宿舎だけはちゃんと建設が終わっていたばかりに爆撃の的にされたのだから。
しこたま250㎏爆弾を浴びせられた飛行場は、せっかく整地した滑走路が荒地のように凸凹にされ、兵員宿舎も多くが崩れ落ちるという悲劇に見舞われた。なまじ飛行場だと分かりやすかったばかりに、集中攻撃の的になったのである。
一方で、市街地道路も悲惨な状態になった。石畳の舗装は「零戦62型」の20㎜機銃の掃射で穴だらけにされ、250㎏爆弾で砕かれた挙句掘り返される。それだけならまだしも、「一式陸上攻撃機」が投下した250㎏爆弾は無誘導故に狙いが逸れ、一般市民が住む建物に命中することも多かったのだ。火災の黒煙はヒルキガの空を焦がし、辺りにはかつて建物だったものと人間だったものの残骸がぶちまけられた。
リーム王下直轄軍は必死で迎撃に当たった。水際撃滅に備えて用意されていたバリスタ(どうやってかアルタラス王国製の「風神の矢」を入手して撃ってきた)や、パンドーラ大魔法公国製の「ルーンアロー」を使ってきた。また、魔導士による「ファイアボール」などの魔法による対空戦闘も行っている。また、王都周辺の飛行場に増援を要請し、ワイバーンやワイバーンロードを合わせて100騎飛ばしてきた。
しかし、高速で高空を飛行する航空機には矢も魔法も命中せず、ワイバーン隊は待ち構えていた「隼」と爆弾を投下して身軽になった「零戦62型」により、70騎以上を撃墜されて撃退された。ロデニウス側には航空機の被弾は一切ない。完全勝利である。
空襲によって既に迎撃方針の根幹が機能不全となったリーム王国であるが、しかしバンクスからの命令に変更はなかった。「王都周辺の諸侯の兵力を集めると共に、市街地道路を封鎖し、防備を固めよ。このヒルキガそのものを戦場として、上陸してくるロデニウス軍を迎撃する」というものである。また、「一般市民から志願兵を募っても良い」とまで通達されていた。
ちなみにこの市民の動員であるが、実はなかなか上手くいっている。というのも、リーム王国は元々すぐ南があのパーパルディア皇国だったせいもあり、いざとなれば武器を取ってパーパルディア軍に対抗する覚悟が一般市民にもできていたのである。まあ、リーム王国の教育体制に「国のため、王のために必要ならば死ね」とかいう論調が入っているせいもあるのだが。
ともかくも多くの市民が志願兵となって即席の訓練を受けており、軍に志願しなかった市民でも、道路を塞ぐバリケードを作るのに家具を提供したり建設を手伝ったり、兵士と共に蛸壺型の壕を掘ったりして、迎撃の準備を着々と進めていた。
しかし、ロデニウス軍は一切手加減しなかった。こうした建設作業をしている人々の頭上にも、何度となく爆撃機や爆装した戦闘機が飛来し、容赦無く機銃掃射や爆弾、ロケット弾を見舞ってくる。建設されていたバリケードが破壊される事例が多発し、さらに道路が爆弾で掘り返されたことで馬車の通行が困難となり、補給体制に支障が出始めていた。
なおこの時、空襲に使われたロデニウス軍の機体は全て航空機だったのだが、空を観察していたリーム兵の中にはロデニウス軍が使う飛行機械の種類が変わったことに気付いた者がいた。日没に近い時間帯に行われた空襲では、奇妙に脚が突き出た飛行機械が複数目撃されたのだ。これまでの空襲では、脚を引っ込めた飛行機械ばかりが来ていたというのに、である。
陽が沈めばロデニウス軍の攻撃も一旦終息する、とリーム側では予想していたのだが、ロデニウス軍はその予想に反して昼夜を分かたず航空攻撃を繰り返し、さらに照明弾を投下するなどしてヒルキガの市民たちや兵士たちの精神を掻き乱した。
まる一昼夜に渡り続けられたロデニウス軍の空襲。それにより、ヒルキガ市内の道路はあちこちで大穴を開けられ、道路に築かれたバリケード陣地も4割ほどが破壊され(ただし一部は空襲で破壊された家の残骸などを使って再建された)、沿岸砲台はまだ多くが残っていたものの海軍の戦列艦隊は港から出ることが困難になってしまった。
これほどの空襲は過去に例がなく、ヒルキガの一般市民や兵士はそのほぼ全員が悟っていた。遠からずこのヒルキガに、ロデニウス軍がやってくると。
そして、ヒルキガの人々の考えは正しかった。
リーム兵の一部が見たという「奇妙に脚が突き出た飛行機械」……その正体は「二式水戦改」と「
「二式水戦改」の航続距離は1,150㎞しかない。この数字を元に考えると、ヒルキガ上空で空戦が勃発した場合の安全マージンも考えて飛んでいるだろうから、「二式水戦改」が発進した地点はヒルキガの沖合…距離にしてだいたい300㎞ほど離れたところくらいだろうと推定されるのだ。
つまり逆に言えば……「二式水戦改」の母艦たる水上機母艦が、ヒルキガにだいぶ近い海域まで進出している、ということなのである。
ロデニウス軍の攻撃開始の刻は、刻一刻と迫っていた。
という訳で、少々駆け足気味になってしまいましたが、ヒルキガの制空権・制海権の奪取に成功。次回から敵前上陸開始です!
2022年も、拙作「鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。」をお読みくださいまして、誠にありがとうございました。2023年も、堺と艦娘たち・妖精たちを、よろしくお願いいたします。
次回予告。
リーム王国・王都ヒルキガの制空権・制海権をおよそ確保したロデニウス連合王国。頃合い良しと見做し、作戦計画に従ってロデニウス陸軍及び海兵隊がヒルキガへ敵前上陸を開始する。新しい兵器を引っ提げて……
次回「野望の代償ーーヒルキガの戦い」
1月中にリーム王国とは(物理的に)話を付けたいですね。