鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。   作:Red October

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へっ!?
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はい、今回より軍祭編です。
まあ、原作をお読みの皆様なら、何が起きるか想像がついているとは思いますが…ごゆっくりどうぞ!



022. 波乱の軍祭(前編)

 中央暦1639年9月25日、フェン王国。

 この日は、5年に一度フェン王国が開催している「軍祭」の日であった。第三文明圏外の諸国家が自国の武官や兵士を派遣し、武技を競ったりすることで自国の軍の力を見せる祭りだ。これには自国の軍を見せることで他国を(けん)(せい)する目的もある。

 本当なら文明圏内の国家も呼びたいのだが、「蛮国の祭りに興味はない」というのが文明圏内各国の本音らしい。なんだかんだと理由を付けて、毎度参加を断られている。今さら力を見せなくても良いという考えもあるのだろう。

 

 その軍祭に参加していた、ガハラ神国の風竜騎士団長スサノウは、自分の他に2騎の風竜騎士を従えて、アマノキ上空を飛んでいた。

 フェン王国の首都アマノキ郊外には、多数の国の陸軍が展開している他、アマノキのすぐ沖合いには、各国の水軍の船が幾つも浮かんでいる。

 

 スサノウは内心、今回の軍祭には期待していなかった。というのは、第三文明圏外では突出した軍事力を持つアルタラス王国が、今回は不参加だと聞いていたからだ。第三文明圏外随一の戦闘力を誇る、アルタラス王国の魔導戦列艦を見るのが、彼の楽しみだったのだ。

 

 ところが、スサノウのそんな考えは、沖合いを見た瞬間にひっくり返された。

 各国の艦艇は、いずれも基本的にバリスタを装備した木製の帆船ばかり。中には少数の魔導砲を載せた船もいるようだが……それに混じって、明らかに他とは違うバケモノが3隻いる。

 それは、各国海軍の木造帆船がおもちゃの船にしか見えなくなるほどの、巨大な艦。いずれも、周囲の帆船の5倍以上の全長を持つ、第三文明圏外どころか、世界的に見てもあり得ないだろうほどの超大型艦だ。

 しかも、そのどれもが鈍色に輝いている。恐らく鋼鉄製なのだろう。となれば、パーパルディア皇国の船より強力だということになる。ご丁寧にも、周囲の船のそれとは比べ物にならない、巨大な魔導砲まで装備していた。

 そして、その3隻にはロデニウス連合王国の国旗が掲げられている。これは、かつてロデニウス大陸にあった6国の国旗の意匠を、それぞれ選抜して纏めながらも、全体を新規のデザインとすることで、「我々は連合し、生まれ変わった」という意味を表すものとなっている。そして、その国旗の下には、見たことのない赤い太陽を描いた白地の旗が(ひるがえ)っていた。

 スサノウは知る(よし)もなかったが、この3隻は、ロデニウス連合王国海軍より派遣された、第13艦隊の戦艦「(きり)(しま)」と、重巡洋艦の「()()」、「(ちょう)(かい)」である。

 

 アルタラス王国の魔導戦列艦ですら比較にならないほどの巨大な勇姿を、その3隻は惜しげもなく周囲に見せつけていた。

 

「何だありゃ!? デカすぎるだろ!? ……あれが、ロデニウス連合王国自慢の軍艦か!?」

 

 驚きのあまりスサノウが呟いていると、

 

『まぶしいな』

 

 相棒の風竜が、念話を使って話しかけてきた。風竜は知能が高く、念話により人と会話することも可能なのである。

 

「あ? ああ、確かに。今日は快晴だからな」

 

 スサノウは空を見渡して返事をした。実際、今日は雲1つない快晴である。

 

『いや、違う。太陽ではない。あの下の巨大な船…あそこから、線状の光があちこちに向けて照射されているのだ』

「光? そんなもの、見えないぞ」

『フッ……人間には分かるまい。我々が遠方の同胞と会話する時に使う光があるが、下の船から出ている光はそれに似ている。人間には見えぬ光だ。それを使えば、何が飛んでいるのか分かったりもする』

「飛ぶ竜が分かるのか? どのくらい遠くまで?」

『個体により差がある。わしは120㎞くらい先まで感じることができる。あの船から出ている光は…幾つか種類があるようだが、一番強力なものだと、群れで飛んでいる我々を150㎞の距離で探知できるようだ。単独で飛ぶと、探知距離が落ちるようだが』

 

 ここでスサノウは気付いた。まさか……

 

「まさか、あの船は遠くの船と、魔通信以外の方法で連絡を取り合うことができ、そして見えない場所を飛んでいる竜も探知できるのか?」

『少なくとも、下にいるデカブツ3隻はそのようだ』

「ロデニウス連合王国……我々と同じ文明圏外国なのに、どうやってこんなものを手に入れたんだ……?」

 

 スサノウの疑問は尽きなかった。

 

 

「な、何だ、これは?」

 

 その「デカブツ3隻」のうちの1隻、重巡洋艦「摩耶」の艦橋では、(でん)(たん)(電波探信儀の略称。要するにレーダー)操作員の妖精が面食らっていた。

 彼が操作しているのは逆探(電波探知機)。そこに、レーダー波らしい反応が入っている。

 その方向を見張りに確認してもらっても、艦艇はいない。しかし空を見上げると、そこにはガハラ神国の風竜が飛んでいた事が確認された。電波の強さからみて、間違いなくこの風竜からレーダー波に似た電波が出されている。

 

「こりゃ……機上電探か……!」

 

 しかも、反応の大きさからして、機上電探としては出力が非常に高い。

 ガハラ神国という文明圏外の国家が、こんなもの(機上電探)を持っていて、しかもそれを編隊で使っている。ということは、文明圏内にはこの機上電探を実用化して、多数の機体に載せて運用している国があってもおかしくない。

(実際、第一文明圏にある列強国3番手、エモール王国は、大規模な風竜騎士団を保有している)

 

「こりゃえらいこった。提督に報告して、機上電探の開発と電波()(まん)の技術開発を急がせないと」

 

 思わぬ形で使命感に駆られる妖精であった。

 

 

 そして、別の意味で驚いている者が複数人。

 

「あれが、ロデニウスの戦船か。まるで浮かぶ城だな」

 

 剣王シハンは、側近とともにアマノキの港の波止場に立ち、集まった各国の水軍の船を眺めた。各国の船の中に3隻だけ他の国の船とは明らかに異なる、ひときわ目立つ巨大な艦がいる。それこそが、ロデニウス連合王国の艦艇だ。

 陸から見てもはっきり見えるほどの巨大な魔導砲。船の真ん中に(そび)え立つ、天守閣のような構造物。3隻のうちのどの船も、フェンの軍船とは隔絶した力を持っていることが、見るだけでわかる。

 

「いやはや、ガハラ神国経由である程度の情報は得ておりましたが、これほどとは……。私も数回、パーパルディア皇国に行ったことがございますが、あのような巨大な船は見たことがありません」

 

 王宮騎士団長マグレブが、感嘆した口調で言う。

 

「そろそろロデニウス連合王国の艦が、標的船に対して攻撃します」

 

 アインがシハンらに報告する。ちょうど時間が来たようだ。

 先日ロデニウスの使節団に対して剣王シハンが出した「力を見せてほしい」という要請。その回答が今、出されようとしている。

 シハンは、ロデニウスからの「挨拶の品」の1つである双眼鏡を手に取り、ピントを合わせる。

 双眼鏡のレンズの中に映る3隻の巨艦、そのうち最も巨大な艦……戦艦「霧島」に載せられた魔導砲(実際には、魔力は一切使ってないのでただの大砲である)が動いた。合計8門の砲が回転し、標的船にその砲口を向ける。

 

「って、ちょっと待て!?」

 

 ここでシハンは、たいへんなことに気付いた。驚きのあまり、双眼鏡を目から離して叫ぶ。

 

「あの巨艦から標的船まで、だいたい5㎞は離れているぞ!? まさか、この距離で当たるというのか!?」

 

 それを聞いた側近たちもざわつく。各国の武官たちの目も、最大の巨艦……「霧島」に、釘付けになっていた。

 次の瞬間、

 

ドドオオォォォン!!!!

 

 陸から結構な距離があるにも拘わらず、雷のような大音響が彼らの鼓膜を揺さぶった。それと同時に、火山の噴火かと錯覚するほどの巨大な炎が、「霧島」の砲口から噴き出る。戦艦「霧島」の4基の「35.6㎝連装砲」、その全門一斉射撃は、彼らに強烈なインパクトを与えた。

 発射から少し後、標的船が高い水柱に囲まれ、覆い隠される。陸からでも、軍船のマストより高くまで水柱が立ち上るのがはっきり見えた。フェンの軍船なら、あの砲弾が近くに降っただけで転覆しそうに見える。

 水柱が消えた時……4隻あったはずの標的船は2隻しか残っていなかった。

 

「な!? た、たった1回の砲撃で命中させるだと!? しかも、2隻同時に跡形も残さず……!」

 

 シハンをはじめ、見物していた者たちは唖然としてしまう。

 ちなみに、"霧島"にとってはこんなのは何でもないことだ。小さいとはいえ、いつもの砲戦距離である15~20㎞より、はるかに()()目標を狙ったのだから。

 

 残った2隻の標的船に向け、今度は「摩耶」と「鳥海」が砲撃する。艦体前方の「20.3㎝連装砲」2基ないし3基のみでの射撃だったが、威力も命中率も十分すぎた。

 最終的に、ロデニウス連合王国の艦隊は、たった2分ほどで4隻の標的船をすべて撃沈してのけた。しかも初弾からぶち当て、たった1回の砲撃で標的船を跡形もなく消し飛ばしている。恐ろしいほどの威力と練度である。

 

 艦娘たちにはこの程度は朝飯前なのだが、フェン王国をはじめ各国の武官たちにとっては、驚愕でしかなかった。誰もが口をあんぐりと開け、言葉を失ってしまっている。

 

「………」

「………」

 

 誰もが沖合いを見つめたまま、動けなくなっているこの状況の中、フェン王国の剣王シハンはようやくのことで口を動かした。

 

「これは……言葉も出んな。なんともすさまじい」

 

 ロデニウス連合王国の艦艇は、どの船も標的船をたった1回の砲撃で沈めてしまった。しかも、跡形もなく吹き飛ばしている。

 そんな芸当は、列強パーパルディア皇国の軍であっても不可能だということを、ここにいる全員が理解していた。

 

 と、そこへ、

 

「……ぉぉぉぉおおお!」

 

 幾つもの、男たちが一斉に叫ぶ声が聞こえてきた。

 そちらを見ると、くすんだ緑色の服を着た一団が、こちらへ走ってくるところである。鎧も着ていない。

 その男たちは、シハンたちの前で横一列に並んで立ち止まった。

 

「それではこれより、ロデニウス連合王国陸軍の軍事デモンストレーションを開始します!」

 

 隊長らしい男性が1歩前に出て、挨拶をする。彼らはロデニウス連合王国陸軍・第13軍団の一部隊だ。

 

「まずはその前に1つ質問です。皆さんの中に、パーパルディア皇国陸軍の兵器がどのようなものか、ご存知の方はいらっしゃいますか?」

 

 この質問に、シオス王国から来た武官の1人が手を挙げる。

 

「はい、答えをどうぞ」

「それは銃だ。……というより、あなた方も持っているではないですか!?」

 

 武官の目は、ロデニウス連合王国陸軍の兵士たちが背負った、黒く細長い筒に向けられている。

 シオス王国はパーパルディア皇国のすぐ近くであり、常に皇国の脅威にさらされているため、パーパルディア皇国の兵器の情報を特に念入りに集めていた。そのため銃の存在を知っていたのだ。

 

「はい、その通り。パーパルディア皇国陸軍の主力兵器、それは銃です。しかし、我々にも銃がある。さてどっちの方が性能が上でしょうか?

……答えは、我々の銃の方です」

 

「そんなわけないだろ! 相手は列強だぞ!」

「そうだそうだ!」

 

 武官たちの間から声が上がる。

 

「まあ、簡単には信じませんよね。それでは、ちょっと試してみましょうか」

 

 それに対し、隊長は特に気分を害する風でもなくそう言うと、後ろを振り向いて合図した。

 すると、後ろに控えていた兵士のうち1人が、銃を持って前に出てくる。それを見て、各国の武官たちが動揺した。

 

「なっ!? パーパルディアの銃!?

どこから手に入れたんだ!?」

「いえいえ、手に入れたわけではありません。この銃は、かつて我が国で使われていたものです。といっても、2()0()0()()()()()()()ですが」

 

 各国武官の前に出されたそれは、まさしくパーパルディアの銃…ではなかった。似ているが、よく見ると少し違う。

 

「それでは今から、このパーパルディアの銃を撃ってみましょう。皆さんの前で、我が国の銃と性能を比較してみます」

 

 隊長がそう言うと、150メートル離れたところに木の板の的が設置された。フェン王国の建物の屋根に張られる瓦くらいの、そこそこの大きさの板、それが3枚。それに、パーパルディアの銃……を模した火縄銃が向けられる。

 

「性能比較テストのルールは簡単。発射できる弾は3発だけ。それでこの距離でこの板を3枚とも貫けるでしょうか? それだけです。

最初は、パーパルディアの銃の性能を見てみましょう。では始め!」

 

 隊長が叫ぶと、火縄銃を持った兵士が引き金を引いた。

 

パァン!

 

 乾いた音がして、銃口から派手な白煙が吹き出る。しかし弾は命中せず、虚しく空を切った。

 

「はい、1発目は外れ。さあ、2発目はどうでしょう?」

 

 隊長はそう言うが、火縄銃は撃たれない。当たり前だ、火縄銃は1発ずつの装填で、しかも先込め式。火薬と鉛玉を銃口に入れ、装填用の棒で奥まで押し込み、その後火皿に点火用の火薬を詰めてから火縄に火をつけ、撃鉄を起こしてやっと撃てるのだ。現代の銃を知る者たちが見れば、なんと手間がかかるんだろうと思わざるを得ない。

 30秒後、やっと2発目の発射準備ができた。

 

「撃て!」

パァン!

 

 目標である木の板には、何も起きない。またもや外れである。

 

「おやおや、2発目も外しました。さて3発目はどうなる?」

 

 30秒後、第3射が撃たれた。今度はかろうじて板にヒットする。板が、バキリと音を立てて割れた。

 

「おお、3発目は当たりましたね。皆様よく覚えておいてください、これがパーパルディアの主力兵器、フリントロック式マスケット銃の能力です」

 

 隊長は気楽そうに言うが、各国の武官たちは気が気でない。あんなのが自国の軍に向けられたら、対処のしようがないからだ。

 

「ではここからは、我がロデニウス連合王国の銃の出番です。ご覧ください!」

 

 隊長がそう言うと、別の兵士が1人、三八式歩兵銃を持って前に出る。そして地面に腹這いになり、銃を構えた。

 

「では始め!」

 

 隊長がそう言ったとたん、

 

ズドォン!

 

 三八式歩兵銃がまず1発、撃たれた。150メートル先の板が1枚、バキリと音を立てて割れる。

 

「おお!」

 

 各国の武官や剣王シハンが歓声を上げた時には、既に装填用のボルトが動かされており、排莢は完了していた。同時に、2発目の発射準備はオーケー。

 

ズドォン!

 

 鳴り渡る銃声。割れ飛ぶ板の目標。

 

「な!?」

 

 各国の武官たちは仰天した。なんという装填速度だ! しかも、パーパルディアの銃は1発しか当たらなかったのに、こっちはもう2発も当てているではないか!

 

ズドォン!

 

 ボルトアクション式ライフルの装填は早い。彼らの驚愕が収まる前に、3発目の弾が発射され、板を叩き割っていた。

 ここまで、10秒とかかっていない。

 

「それまで!」

 

 隊長が号令をかける。

 

「いかがでしたでしょうか? 我々の銃は、3発撃つのに10秒とかからない。しかしパーパルディアの銃は、3発撃つのに1分もかかる。この時点で、性能差がお分かりいただけるでしょう。次に、パーパルディアの銃は1発しか当たりませんでしたが、我々の銃は全弾命中です。これほどの性能差があるんです。

よって、我々ロデニウス連合王国の銃のほうが、よほど優秀なわけです」

 

 隊長が話し終えると、各国の武官たちから拍手が上がった。

 

「おっと、驚くのはまだ早い。さらにすごいものを、お見せしましょう!」

 

 興がノってきたか、隊長も腕を広げて少し大袈裟に話す。続いて出てきたのは……細い2本の足がついた銃。皆さんご存じの九六式軽機関銃だ。新しい木の板が設置されるのを待ち、兵士が再び地面に伏せて機関銃を構える。

 

「では始め!」

 

 命令が出たとたん、各国の武官たちは開いた口が塞がらなくなった。

 

ズダダダダダダダダダダ!!

 

 ものすごい勢いで、弾が連続して撃たれる。さっきの銃2種類なんか、比べものにならないほどの連射速度だ。

 そして、九六式軽機関銃が1マガジン分、32発の弾を撃ち切った時には、板は3枚とも砕け散っていた。

 

「ご覧いただけましたでしょうか? これが、我が軍の主力兵器の1つ、機関銃です。

特徴はなんといってもこの連射速度。パーパルディアの銃なんか、100丁寄って集ってもこんな弾幕は作れません! しかも、皆様お気づきだと思いますが、距離はさっきと同じ、150メートル。距離が変わらないのに、命中精度は高く、圧倒的な数を1人で撃てる! これほどの武器は、パーパルディアでも持っていません!

パーパルディアの銃と我々の銃、どちらが優れているか、お分かりいただけると思います!」

 

 隊長はそう言うが、今度は拍手がない。各国の武官たちは、さっきの機関銃のデモンストレーションのインパクトが絶大すぎて、言葉を失っているのだ。

 

「そろそろ時間となりました。では最後に、我が軍の得意戦法をお見せして、退場したいと思います」

 

 隊長はそう言うと、兵士たちを振り返り、号令をかける。

 

「総員、死に方用意!」

 

 兵士たちは一斉に、手持ちの銃に銃剣を装着する。そして、隊長は刀を抜き、それを振り(かざ)して、

 

「突撃ぃぃぃ!」

 

 ただ一言命じた。

 

「「「天皇陛下、バンザァァァァァァイ!!!」」」

 

 銃剣を構え、一斉に走りだす兵士たち。

 ロデニウス連合王国陸軍のデモンストレーションは、バンザイ突撃で終了した。

 

 

 海軍に続いて、陸軍でも圧倒的な力の差を見せつけられた。しかも、列強パーパルディア皇国の兵器すら凌駕するほどの性能である。

 あまりのことに、誰もが言葉を失って立ち尽くす中、シハンは満面の笑みで側近に宣言した。

 

「すぐにも、ロデニウス連合王国と国交を開設する準備に取りかかろう! 不可侵条約どころか、修好通商条約や安全保障条約まで持っていくぞ!」

「は!」

 

 マグレブが答える。

 その時……シハンやマグレブといった、鍛え上げている者たちは、その気配を感じ取った。

 

(……来たな)

 

 今日は軍祭の日。フェン王国のみならず他国の武官も来ている。

 パーパルディア皇国が武力を示すには、絶好の機会のはずだ。そして、奴らのことだから、目立つ目標に対して見せしめのために攻撃をかけ、示威行動とするだろう。

 となれば、狙われるのは間違いなく、フェン王城と……ロデニウス連合王国の船。あの巨体は空からでも十分目立つはずだ。

 

(さあ、ロデニウス連合王国の船よ。空からの攻撃には、お主は何とする?)

 

 この王、なんとパーパルディア皇国のワイバーンロード相手に、ロデニウス連合王国軍、いや日本国海上護衛軍タウイタウイ泊地艦隊の力を試そうというのだ。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 翼で力強く空気を切り、飛竜に乗った騎士が20騎、空を行く。その騎士たちが乗る飛竜の鞍には、尻尾を長く伸ばして交差させた、2頭の地竜が描かれていた。

 パーパルディア皇国の国家監察軍・東洋艦隊に所属するワイバーンロード2個飛行隊、計20騎。彼らは、フェン王国に懲罰的攻撃を加えるため、フェン王国の首都アマノキ上空に達しようとしていた。

 今日が軍祭であることは、彼らも把握している。軍祭となれば、文明圏外各国の武官が来ているわけだ。その目の前で、皇国に逆らった愚か者の末路がどんなものであるか知らしめるため、彼らは飛んでいた。敢えて攻撃の日取りを、軍祭の日にしていたのである。

 自分たちは、第三文明圏最強の航空部隊。文明圏外の蛮族どもに、我が軍に勝てる者などない。

 これで、各国は皇国の恐ろしさを再認識するだろう。そして、皇国への反逆者に関わっただけでも、被害が出ることを知らしめるのだ。

 

 しかし、そんな最強の皇国のワイバーンロード部隊でも、勝てない者がいる。それが、ガハラ神国の風竜だ。

 風竜は、ワイバーンロードすら凌ぐ運動性、最高速度を誇っている。それに加えて、強烈なオーラを発しているらしく、ワイバーンロードは風竜を見ただけで、震えて戦えなくなってしまうのだ。

 今も、風竜と目が合ったワイバーンロードが、不良に睨まれた気の弱い男のように、視線を逸らしている。

 

「ガハラの民には構うな!」

 

 部隊長・レクマイアが魔信で指示を飛ばす。

 

「フェン王城と……」

 

 その時、レクマイアの目にとんでもないものが映った。それは、(とりで)を海に浮かべたかと錯覚するほどの巨大な船。

 

「何だありゃ……!?」

 

 レクマイアは一瞬で目標を定めた。

 

「第2部隊はフェン王城を攻撃せよ!

第1部隊は俺に続け! あのでかい船をやるぞ!」

 

 ワイバーンロードは2手に分かれ、1隊はフェン王城に、もう1隊は戦艦「霧島」に、それぞれ急降下を開始した。

 

 

「これは……?」

 

 戦艦「霧島」の艦橋では、21号対空電探を操作していた妖精が首を傾げた。

 21号対空電探の表示画面は「Aスコープ」方式といって、レーダー波の強弱が不規則なギザギザの波線で表示される。オシロスコープみたいなものだ。ギザギザ線が表示されているようにしか見えないので、素人にはとても読めた代物ではない。

 しかし、この妖精はかなりのプロであり、この訳の分からぬギザギザから、接近する者の姿を弾き出していた。

 

「正体不明機捕捉。数は約20、これは……ワイバーンか? だが、ビスマルクや()()が捉えたワイバーンの速度よりも速い……」

 

 妖精は、すぐさま伝声管に呼びかけた。

 

「電測より艦橋、正体不明機が接近中。数は約20、当艦より3時の方向、距離約85㎞。ワイバーンと思われるが速度が速い」

 

 すると、すぐに応答が来た。

 

「艦橋より電測、了解した。そのまま未確認機の監視を続けよ」

 

 一方、電測室から通報を受けた艦橋では、艦娘である"霧島"が考え込んでいた。

 

「この祭、たしかワイバーン隊を持ってくるって国はいなかったと思うんだけど……」

 

 少し下を見て顎に手を当て、何やらぶつぶつと呟いている。

 この謎の飛行隊は、おそらく“ワイバーン”だろう。だが、ロウリアで「伊勢」が電探に捉えたものより、速度が速いらしい。

 同様の報告は"摩耶"と"鳥海"からも寄せられている。フェン軍祭派遣艦隊の旗艦として、自分はどうすべきか……?

 一時して、"霧島"は指示を飛ばした。

 

「缶の圧力上げ。いつでも出港できるようにしておきなさい。沖で待機している艦も含め、艦隊各艦に同様の命令を。出港準備、錨鎖詰め方! 対空戦闘配置につけ!」

 

 命令は艦内電話や伝声管によって、直ちに艦内に通達され、また発光信号や電信により各艦……重巡洋艦「摩耶」と「鳥海」、軽巡洋艦「()()」、駆逐艦「(ふぶ)()」、「(しら)(ゆき)」、「(はつ)(ゆき)」、「()(ゆき)」に伝えられる。ただし、アマノキのすぐ沖に停泊しているのは「霧島」と「摩耶」、「鳥海」のみであり、残りはさらに遠くの沖合いで待機している。

 対空戦闘を意味するラッパが鳴り響き、乗組員の妖精たちが一斉に持ち場に走り出す。

 

「国籍不明機、距離約35㎞。間もなく目視距離に入ります。速度は時速約350㎞と見られます」

 

 電測室から再び報告が上がる。それからさほど間を置かずに、見張り所から報告が入った。

 

「見張りより艦橋、国籍不明機を目視で確認。数は約20、当艦より3時の方向、距離約21㎞。ワイバーンと見られるが、ワイバーンより大きいように思える」

(ワイバーンより大きく見える? そして速い……?)

 

 報告を突き合わせて、"霧島"は考えた。

 

(改良型かもしれないわね。泊地でも、最初期の主力戦闘機だった零戦21型は、零戦52型に代わっていったし)

 

 "霧島"は、すぐに艦内に指示を飛ばす。

 

「艦橋より全艦、不明機は最高時速450㎞程度と見積もられる。もし攻撃してきた場合、(しん)(かい)(せい)(かん)の“タコヤキ”を相手にするくらいの覚悟で戦いなさい」

 

 "霧島"の言う「タコヤキ」とは、深海棲艦の空母ヲ級や軽空母ヌ級、その他陸上飛行場などで運用されている新型航空機のことだ。見た目が丸く、たこ焼きのように見えるため、艦娘たちや堺はそう呼んでいる。

 艦内に緊張が張り詰める。

 

「見張りより艦橋、不明機はほぼ同数に二手に散開。一方はアマノキに、もう一方は……本艦隊に向かってきます!」

(こっちに来る……嫌な予感がするわ)

 

 "霧島"が考えた時、2つの報告が同時に上がった。

 

「機関出力安定! 出港準備よし!」

「アマノキ上空の不明機、急降下を開始……あっ、フェン王城に火炎弾を撃ち込みました! 天守閣が燃えています!」

(……来た!)

 

 "霧島"は、予感が当たったことを悟った。同時に見張り員の報告が絶叫に変わる。

 

「不明機、本艦直上! 急降下ァァァ!」

(まだよ、まだ。1発喰らうまでは……!)

 

 続いて報告。

 

「不明機発砲!」

「取り舵いっぱい! 全速回避!」

 

 "霧島"は命じたものの、回避は不可能だと分かっていた。

 「霧島」の艦体……相手からみれば的……は圧倒的に大きい。よっぽどの新米か、戦車道をやってるどこぞの学校の、不思議なほど砲撃が当たらないことに定評のある生徒会書記でもない限り、外しようがない。加えて「霧島」は、停泊していた状態からやっと動き出したところであり、現在の速度はわずか3ノット。速度も足りず、どう見ても避けられないのである。

 次の瞬間、「霧島」の水上機飛行甲板に、敵飛竜の放った導力火炎弾が命中した。衝撃は小さいが、それでもけっこうな音量の打撃音が響く。

 

「被弾!」

 

 見張り所から報告が届いた。

 その直後、次の言葉である「飛行甲板に火災発生!」を待たずに、"霧島"はただ一言、叩きつけるように命じた。

 

「対空戦闘始め!」

 

 

『霧島さん……!』

 

 「霧島」が炎上したのと同時に、"鳥海"が息を呑む音が無線に入った。

 

「この()(ろう)、やりやがったな!」

 

 "摩耶"が息巻く。

 "霧島"から「不明機接近、対空戦闘配置につけ」の指令がきたため、"摩耶"も"鳥海"も対空戦闘の準備を完了させていた。"摩耶"に至っては、全対空砲の照準を飛竜隊に向けっぱなしにしている。命令さえあれば、引き金を引いていつでも撃てる。

 

『対空戦闘始め!』

 

 "霧島"の命令がきた途端、"摩耶"も"鳥海"も覚悟を決めた。ちなみに、"霧島"も"摩耶"も"鳥海"も改二になっている。

 

『よーく狙って……てぇーっ!』

「喰らえ! ()ちろ!」

 

 

 パーパルディア皇国・国家監察軍の特A級竜騎士にして、ワイバーンロード隊の部隊長レクマイアは、ワイバーンロード第1部隊の先頭を切って、巨大船に急降下していた。

 相棒に合図を送る。すると、相棒はすぐに反応し、口内に炎の塊を生成して、導力火炎弾を発射した。それは見事に巨大船に命中する。まあ、これだけ目標が大きいと外すほうが難しい。

 

「よし」

 

 呟いて、相棒の手綱を引き、上昇させようとする。

 その時、

 

ダンダンダンダンダンダン!

 

 聞いたことのない音が耳に入った。

 

「何だ?」

 

 呟いた瞬間、相棒のすぐ脇を青白い魔法らしいものが飛び過ぎていった。

 レクマイアは知る由もなかったが、これは九六式25㎜対空機銃より放たれた曳光弾(狙いを調整するために入れられている、わざと青白い光を曳かせるようにした弾)である。

 次の瞬間、相棒の左の翼が根元からちぎり飛ばされ、鮮血が赤い水玉となって宙を舞う。

 

「うわあぁぁぁぁ!?」

 

 悲鳴を上げられたのも、僅かな時間。

 レクマイアは海面に墜落した。ただ、高度が低かったのと、相棒が最期の瞬間に身を挺してクッションになったため、彼自身は無傷ですんだ。

 

「げほっ、げほっ!」

 

 なんとか海面に浮上した彼は、喉に入った海水を吐き出す。

 

「くそ、味方は……」

 

 言いながら、レクマイアは空を見上げ、()(ぜん)とした。

 空の色が変わりそうな、猛烈な敵の迎撃。そして、それに絡め取られてミンチにされて墜落する仲間たち。中には導力火炎弾の発射態勢に入ったところをやられた者もいた。

 一方、敵の巨大船は5発ほどの導力火炎弾を喰らったようだが、特に大きなダメージを受けた様子もなく、攻撃と航行を続けている。

 

「嘘だろ……?」

 

 文明圏外国の船ならば、火炎弾を喰らえばただではすまないはずだ。しかしこれは……敵の船はどれだけ頑丈なのだろうか?

 想定とは全く異なる事態に、レクマイアは呆然とするばかりだった。

 

 

「敵飛竜隊、全滅! 王城に向かっていた敵が、こちらへ向かってきます!」

 

 見張り所からの報告が、「霧島」の艦橋に届けられた。さっきの攻撃で4発の火炎弾を被弾しながらも、「霧島」には特に大きなダメージは入っていない。すでに「霧島」の艦上では、被弾箇所に応急班が駆けつけ、ダメージコントロールにあたっている。

 

「了解。撃たせないで、全力迎撃!」

 

 "霧島"はそう命じたが、今度は1発貰うか貰わないか程度の被害で済むと判断していた。こちらには、「摩耶」という名の“防空の鬼”がいる。

 

 "摩耶"は、タウイタウイ泊地に着任した艦娘としては、かなりの古参にあたる。なんでも、戦艦や空母が着任する前から、艦隊の主力を担っていたらしい。

 このため"摩耶"は、その武装による防空能力と長いキャリアによる経験が合わさり、タウイタウイ泊地においては防空戦闘で右に出る者なしとまで言われていた。武装の性能は"Iowa(アイオワ)"や(あき)(づき)型のほうが上だが、彼女たちはまだ経験不足で、"摩耶"ほど的確に弾幕をかけられない。

 

『これでも喰らえーっ!』

 

 "摩耶"の威勢のいい声。続いて「摩耶」の艦尾に据えられた、箱状の兵装が回転した。特別装備の「12㎝30連装噴進砲」だ。

 

しゅばばばぁっ。

 

 真っ白い煙を放って、合計60発のロケット弾が飛翔する。それらは、ちょうど縦一列に並んで急降下しつつあった敵ワイバーンの先頭を、包み込むようにして爆発した。煙が一面に立ち込める。

 

『まだまだ!』

 

 ダメ押しとばかりに、「摩耶」が高角砲やら機銃やらをしこたま叩き込む。「鳥海」も「霧島」も発砲した。

 

『どうだ……?』

 

 "摩耶"のこのセリフ、フラグが立ったと考えた皆さんはどのくらいいらっしゃるのだろうか?

 

 次の瞬間、煙を割いてワイバーンが1騎、突っ込んできた。胴体3箇所に被弾し、血飛沫を噴いているが、それでも「霧島」へ突っ込んでいく。

 

『『あっ!』』

 

 "摩耶"と"鳥海"の声が重なった。

 直後、ワイバーンが火炎弾を1発発射する。それは見事に「霧島」の水上機飛行甲板に命中した。しかもそこでは運悪く、ダメコン要員の妖精たちが消火作業にあたっていた。

 

「ぎゃあああ!」

「た、助けてくれぇー!」

 

 全身火だるまにされた妖精が悲鳴を上げる。さらに、炎が「零式水上偵察機」に燃え移り、航空機が炎上する。

 火炎弾を放ったワイバーンは、よろめきながらも離脱しようとしていた。が、タウイ一の対空番長は決して見逃しはしない。

 

『この野郎!』

 

 怒りに任せて、"摩耶"が対空機銃の25㎜弾をありったけ叩き込む。ワイバーンは離脱も叶わず、空中で竜騎士ごとバラバラにされた。この表現には、比喩や誇張は一切入っていない。

 

 

パーパルディア皇国監察軍東洋艦隊所属、ワイバーンロード2個飛行隊、全滅。戦死者は敵味方合わせて23名。

 

 

「なんと……」

 

 シハンは言葉を失っていた。他の各国の武官たちも、開いた口が塞がらなくなっている。

 今襲ってきたワイバーン、あれは“ワイバーンロード”だった。この辺でワイバーンロードを運用している国は1つしかない。なので、今のワイバーンロードはパーパルディア皇国のもので間違いないだろう。

 フェン王国も含め、文明圏外の各国がワイバーンロードを相手にするのは、至難の技だ。

 フェン王国の場合、ワイバーンロード1騎に対して1個武士団をあてても不足している。そもそもワイバーンロードの鱗は固く、矢を通さない。

 フェン王国軍がワイバーンロードを落とすには、バリスタを直撃させるか、代々伝わる豪弓「ライジョウドウ」を使うしかないが、ライジョウドウは固すぎて、フェン王国で使える者は3人しかいない。

 しかも、今挙げた方法は、相手が油断している場合にのみ通用する。戦闘態勢にあるワイバーンロードを落とすのは、事実上不可能だ。

 

 文明圏外国家がワイバーンロードを1騎でも落とすことができれば、その国は世界に誇れるだろう。我が国の軍はワイバーンロードを撃墜するだけの力がある、と。

 

 そのワイバーンロードを、ロデニウス連合王国(正確にはその配下にいる日本国海上護衛軍・タウイタウイ泊地艦隊)の艦は、ハエでも捕らえるかのように、いともあっさりと叩き落としてみせた。それも、20騎を相手に正面切って対決し、空の色が変わるほどの猛烈な迎撃を喰らわせて、1騎残らず叩き落としたのである。

 

 歴史が変わる、大きく動く予感がする。

 

 剣王シハンは笑いながら、燃え盛る自身の城を眺めた。

 

「ロデニウス連合王国……すさまじいものだな!」

 

 

 一方その頃、

 

『あの船……なかなかやるな』

 

 上空から戦いを眺めていた風竜が、口を開いた。

 

『あの船からトカゲどもに、人間には見えない光を浴びせて、飛行速度や進行方向をおおよそ割り出している。そして、船の砲を予想されるトカゲどもの進行方向に合わせて発射することで、当て易くしているのだ。あの船は、そこそこの技術がある』

「そうなのか? どのくらい凄いんだ?」

 

 跨っているスサノウが尋ねる。

 

『あの船の技術をもう少し発展させると、言い伝えにある古の魔法帝国の対空魔船みたいになるんじゃないか?』

「げっ!? じゃああれは、古の魔法帝国の対空魔船にも匹敵するってのか!?」

『あの船はまだタマゴだがな。成長させればそのくらいになりそうだ』

「こりゃあ、帰ったら報告書が大変だぞ」

 

 スサノウは1人、覚悟を決めるのだった。

 その頃、スサノウの真下の海面では、海に落ちたレクマイアが「霧島」から浮き輪を投げられ、救助されていた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 同時刻、フェン王国西方60㎞の海域にて。

 

「り、竜騎士隊との魔信、途絶しました! 全滅したと思われます!」

 

 魔信士が悲鳴のような報告を上げた。

 パーパルディア皇国・国家監察軍東洋艦隊、フェン派遣艦隊の全艦に激震が走る。

 

「いったい何があった……」

 

 艦隊司令ポクトアールは、嘆きたくなった。とても嫌な予感がする……。

 しかし、今回の任務は第3外務局長カイオスの命令である。皇国の威信がかかった重要な任務である。途中で投げ出すことは、許されない。

 皇国監察軍東洋艦隊所属の戦列艦22隻は、フェン王国への懲罰的攻撃に加え、ワイバーンロード部隊を倒した相手を各国武官の前で滅するべく、「風神の涙」を使用し、帆をいっぱいに張って東へと向かった。




というわけで、やっぱり被弾してしまった霧島ですが…霧島は戦艦です。
つまり何を言いたいかというと、これです。

??「戦艦が簡単に沈むか!」


次回予告。

突如発生したパーパルディア皇国のワイバーンロードによる攻撃を、みごと跳ね返したロデニウス艦隊。そこへ、新たな敵の接近の報が入る…
次回「波乱の軍祭(後編)」

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